せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2008年10月21日(火) 今日も図書館

 gaku-GAY-kaiのフライヤー用のイラストがランベルティさんから届く。
 今年もまた素敵なイラストだ。これからデザインを始める。

 ジョン・パトリック・シャンリィの戯曲「ダウト - 疑いをめぐる寓話」を読み終える。
 初めは、なんだろこれ?と思いながらだったのが、ぐいぐい引き込まれる。
 1964年のNYのミッションスクールを舞台にした4人芝居。
 神父である教師は、校内でただ一人の黒人生徒(12才)に性的虐待と行ったのか?
 否定する神父と、疑いつづけるシスター。
 このシスター・アロイシスというキャラクターがすばらしい。
 常に神と向き合いながら、自分の中にある「疑い」についての問いかけをやめない。
 真実はなにか?というワンシチュエーションで終幕まで、ものすごいかけひきがつづく。
 そして、ラスト、文字通り、体が震えるような感動。
 このシスター・アロイシスという役、いつかちゃんとやってみたいと思った。
 
 今日も図書館へ。
 仕事の帰りに一度、部屋に戻って、自転車に乗って出かける。
 ベランダに置いたジャーキーは、そのまま。昼間は来ないのか?
 図書館へは、電車のガードを2つくぐっていく。
 その2つめのガードがきれいな舗道になっていて、前にここで猫を二匹見かけた。
 と、今日もいた。
 どんな間柄なんだろう。友達、親子?
 キジトラっぽい一匹と、なんだか茶色と黒のまだらなぼさぼさした猫。こっちは、少し若いのかもしれない。痩せている。
 自転車をとめても逃げようとしないので、エサをやりながら、写真をとらせてもらう。
 茶色い猫ばかりががつがつ食べて、キジトラは少し離れて見ている。
 親猫なのかもしれない。

 いつまでも遊んでいると閉館時間になってしまうので、図書館へ向かう。
 この間、読み終えられなかった資料をおしまいまで。
 別の資料も何冊か。
 ついでに岩田専太郎の画集も見てみる。
 また何冊か本を借りて帰ってくる。
 帰り道、ガードしたの猫たちの姿はない。
 と思ったら、キジトラがフェンスの向こうでこっちを見ていた。茶色はいない。
 フェンスの向こうはちょっとした草むらになっている。
 このあたりがねぐらなんだろうか?
 図書館にはこれからしばらく通うことになりそうだ。
 ここの猫たちとも顔なじみになれるだろうか。


 部屋に帰ってベランダを見たら、ジャーキーがなくなっていた。
 さっき帰ったときにはまだあったから、今、食べたんだろう。
 こっちの猫とも仲良くなれたらいいな。



2008年10月20日(月) 猫たち

 近所の猫と仲良くなりたくて、猫用のジャーキーを持ち歩いている。
 毎日見かけるコンビニのとなりの飲み屋さんの猫二匹は、入り口脇がご飯場になっていて、そこにいるときは、大体、食べているか、寝ている。
 飲みに入ってしまえばいいのかもしれないが、家の近所で飲むというのが、どうも苦手だ。
 猫二匹に大きな白いラブラドールが一匹いるその店は、女将さんが一人でやっているらしい、一番苦手なタイプ。
 向かいの銭湯からの帰りしならしい女将さんが、外にいた猫たちに声をかけて、店を開けているのを見たことがある。
 微妙に仲良くなりにくい距離感の猫たちだ。毎日会うのだけれど。
 家の近くの公園の前が猫のたまり場になっているらしく、何匹かが集まって、夜の早い時間に集会をしている。
 この公園は、近所の若い子たちのたまり場にもなっているようで、派手目な車とバイクが何台も、よくとまっている。暴走系じゃなくて、免許取ったばかりの子が、なんとなく集まってる、素朴なかんじ。
 ここの猫たちには、誰かがエサをあげているらしい。ここで見た猫をずいぶん離れた通りでも見かけたりしている。猫の縄張りは、ほぼこの町内全部といっていいのかもしれない。
 昨日、買い物の行きがけに通りかかったら、何度か会っている茶トラが一匹で地面に置かれたエサを食べていた。食べてるところにエサをやるのはどうかと思ったのだけれど、これも食べてみるかい?とジャーキーを置いてみる。
 用心深い茶トラは、少し離れたところから見ているだけで、近寄ろうとしない。まあ、いいかとその場を後にしたのだけれど、帰りに見てみたら、ジャーキーはなくなっていた。食べたのか、片付けられたのかは、よくわからない。
 今日、仕事からの帰り、いつもは歩かない商店街を通って帰った。と、黒猫とぶちの猫が道路の真ん中でうろうろしている。
 お、これはチャンス!と近寄ったら、すぐ近くに若い女性が立っていて、バッグからキャットフードを取り出しているところだった。
 僕と同じことを考えている人がここにもいた、と思いながら、先を越されたようで、ちょっとくやしい。
 ここで、彼女に話しかけたりすると何かが始まったりするのかな?と思いながらも、邪魔しちゃわるいというような気持ちで、立ち止まらず歩いた。
 そして、さっき、ベランダから妙な音がするのでサッシを開けてみたら、今朝、ゴミを出し忘れたごみ袋がひどいことになっていた。
 袋が破れて、中身がほぼ全部出てしまっている。生ゴミは入ってないはずなのに、なんで?
 これは猫のしわざか?と思い、ベランダから乗り出してみたら、そこに犯人がいた。
 僕の部屋は2階で、すぐ前が自転車置き場の屋根になっている。その屋根の上でやつは、こっちをずっと見ている。じーっと。
 あまり動かないので、写真を撮ってみた。
 フラッシュにも驚くようすもないので、まあ、いいかと、片付けていたら、いつの間にかいなくなった。
 目だけが光って、あとは真っ暗な写真をPCでいじってみたところ、どうやら黒猫らしいことがわかった。しっぽが短い。
 先週、自転車置き場で僕の自転車のサドルに座っていたやつに違いない。
 また来るだろうか?
 とりあえず、ごみ袋は部屋の中に入れて、ジャーキーを小皿に載せておいておく。


2008年10月19日(日) ヒロインの顔

 昨日届いた、富士見丘小学校の6年生の作文を読んでいる。
 先週の話し合いをふまえての、2月の卒業公演の題材になるお話。
 おお、こう来るか!というものがいくつもあり、笑わされてしまう。
 夕方、図書館で、新作の資料にあたる。
 昭和8年発刊の原典の復刻版。
 装幀も挿絵も文字も、そのままをコピーしてある本。
 扉の装画に、ヒロインの姿があった。
 挿絵の作者は平田専太郎。
 江戸川乱歩の「黒蜥蜴」の挿絵を描いていたのもこの人だ。
 本作のヒロインと女盗賊黒蜥蜴が、同じ顔立ちをしている。
 そして、僕の頭の中のイメージがすんなりつながった。
 そういうことだったんだ。
 写真が残っている実際の彼女の肖像ではなく、この顔とつきあっていけばいいのかもしれないと思った。
 メモを取りながらだったので、読了することができず、今週中にまた出かけることになるだろうと思う。
 初めて行ったこの図書館は、戯曲が充実していてうれしい(雑誌コーナーに「テアトロ」と「せりふの時代」もある)。
 迷ったあげく購入しないでいた戯曲を、何冊も借りて帰ってくる。


2008年10月18日(土) ミュージカル

 今日は休み。
 どこにも出かけずに、家でしかできないことをすると決める。
 朝から、掃除と洗濯。
 衣替えで出しただけだった冬物のシャツ類を、思い切って洗ってしまう。
 ベランダが、何日ため込んだんだろうというくらいなシャツでいっぱいになる。
 このところ毎日作っている野菜スープに、お米と一緒に炊く雑穀を一袋入れてみた。
 こじゃれた「雑穀のスープ」になるかと思ったら、できあがったのは、茶色いおかゆ状のものだった。すごいな雑穀。
 新作の準備をあれこれ。
 手に入らなかった資料が、近くの図書館にあることが判明。貸し出し禁止なのだけれど。
 明日、行ってこよう。
 「贋作・大奥2 ATSUHIME」の準備も。キャストが全部決まったので、構成とミュージカルナンバーを考える。
 思いついて、トニー賞の授賞式のビデオを見てしまう。2004年版。司会のヒュー・ジャックマンがとにかくかっこいい。オープニングの「ワン・ナイト・オンリー」。ロケッツのダンサーたちと一緒になって足を上げて踊るヒュー・ジャックマン。彼は、「ボーイ・フロム・オズ」でこの年のミュージカル主演男優賞を受賞してるけど、このオープニングのパフォーマンスもすばらしい。
 「屋根の上のバイオリン弾き」「アヴェニューQ」「ウィキッド」。
 作品賞候補のハイライトシーンを見ているだけで、心が洗われるような気持ちになる。
 演劇に携わっていることのしあわせを、あらためて感じる、そんな気持ち。
 夜、昔はもっていたのに、いつの間にかなくしてしまったニナ・ハーゲンのレコード「NINA HAGEN BAND」をネットで見つけて注文する。信じられないお買い得価格。この中の「NATURTRANE」という曲を、昔、ダンスの試験で踊ったことがある。
 真夜中、自転車に乗って、セブンイレブンにクロネコメール便を出しに行く。
 明日の朝でも同じなんだろうけど、外に出てみたかった。
 まだ寒くはないけど、シャツ一枚だと風が冷たい。
 クロネコといえば、クロネコヤマトのCMがおもしろい。
 JRの車内広告映像で見た、15秒の「宅配はネコである」のCM。
 これもおもしろいけど、僕は30秒バージョンも好きだ(クロネコヤマトのサイトからいつの間にかなくなってしまったのは、動物愛護の観点からだろうか?)。
 YOUTUBEのアドレスを貼っておくので、見てみようという方はどうぞ。

 宅配は、ネコである(15秒)
 http://jp.youtube.com/watch?v=6TuzYeXh8tU&NR=1

 宅配は、ネコである(30秒)
 http://jp.youtube.com/watch?v=5-3dCN19mFU


2008年10月15日(水) 助成金とスクールバス

 午後から、芸術文化振興基金の説明会に、千駄ヶ谷の日本青年館へ。
 外苑前で地下鉄を降りて、神宮球場の前の道を歩いていく。
 球場から、大学生野球の応援の音が聞こえてくる。
 説明会では資料をもらい、説明を聞きながら、もろもろの確認。
 来年の企画がどんどん具体的になっていく。
 終了後、篠原さんをはじめとする、劇団劇作家のみなさんと合流。
 千駄ヶ谷の駅前でしばしおしゃべり。
 その後、淵野辺の桜美林大学へ。
 「祝/弔」で演出助手をしてくれていた寺田千晶さん出演の劇団銀石 企画ユニット・レオゴンズ「The Reogons Show 2 〜Minor Game〜」を見に行く。
 先週の武蔵小杉に続いて、淵野辺というところに行くのも初めて。
 小田急線で町田に行くのもひさしぶりで駅前の変貌ぶりにびっくり。
 淵野辺からバスで桜美林大学まで。
 学内のホールでの公演ということで、ややアンダーグラウンドなイメージがあったのだけれど、いい意味で裏切られる。
 学内は、とてもきれいで(暗かったけれど)、何より印象的だったのは、客席への誘導を初めとする表方の気配りが、とてもていねいだったこと。客席誘導のスタッフのポケットには、ペンライトが2本入っているし、当日パンフの袋とじに、ていねいにミシン目がはいっていたりするあたりも。
 桜美林は演劇コースがある大学なわけだけれど、こういう気配りのしかたも、しっかり身につけてるんだなあと感心する。
 芝居は、オムニバスのコント。シンプルに笑えるもの、じーんとしてしまうものなどとりまぜて楽しい100分。
 寺田さんは、ほうきとバケツを相手にしての一人芝居がおもしろかった。子どもの頃に好きになった男子二人をそれぞれ、ほうきとバケツに見立てての一人語り。
 その他の演目では、自分がロボットだったと気がつく男の子を演じていた役者さんが印象に残った。名前がわからないのだけれど、ほろりとさせられる。
 終演後、寺田さんにご挨拶。
 満員のスクールバスで淵野辺まで。
 都心で芝居を見て、ざわざわした気持ちになるより、よっぽど気持ちのいい観劇体験だった。
 これまで、情報としては知っていても、なかなか足がのばせないでいた桜美林大学の演劇公演だけれど、また行ってみようと思う。
 いいきっかけをもらえたことに感謝。


2008年10月12日(日) 両国にて

 朝、目が覚めると、なんだか眼がかゆい。
 秋の花粉症か?と思うが、すぐに部屋に飾った百合が咲いているせいだと判明。
 昨日はつぼみだったのに、今朝は満開。
 おしべの花粉もしっかり粉を吹いていて、部屋は甘い匂いでいっぱいなので。
 すぐにティッシュでおしべをとっておく。
 ついでに写真も撮っておく。
 午後から両国へ出かける。
 シアターΧで、高校演劇の地区大会を見るため。
 駅から京葉道路の向こうの回向院に向かう通りが歩行者天国になってお祭りをしている。
 両国からくり祭というらしい。
 祭につきもののテキ屋さんたちとは違う、ちょっとおしゃれな葦簀を掛けた屋台がいっぱいならんで、太鼓のパフォーマンスの真っ最中だ。
 秋晴れのいい天気にさわやかがさらに倍なかんじ。
 地区大会での母校演劇部は、文化祭での上演をバージョンアップ。
 台本を整理したせいで、キャラクターとストーリーがすっきり見えてきた。
 何より、シアターΧのちょうどいい大きさの舞台で演じられることで、いろいろなことがぐーんと素敵に見えてくる。
 劇場に助けられるってこういうことだなあと思う。
 終演後、出演の現役生と会うのに失敗し、客席で会ったOB、OGの面々と近くのファミレスでおしゃべり。
 ここは、以前はデニーズだったのだけれど、いつの間にかオールセルフサービスの不思議なファミレスになっている。
 今日のプログラムの一番最後の演目を見て、その後、ようやく現役生と話すことができた。
 感想を伝える。お疲れ様でした。
 審査員のみなさんの講評を聞く。見ていない演目も、どんな芝居だったんだろう、見てみたかったなあと思わせてくれる、そんな視点からの言葉がとてもあたたかい。


2008年10月11日(土) Pal'sSharer「Romeo+Juliet+Juliet」 唐ゼミ「ガラスの少尉」

 阿佐谷のアルシェに、去年一昨年と書き下ろしを演出させてもらってPal'sSharerの公演「Romeo+Juliet+Juliet」を見に行く。
 阿佐谷のアーケードには大きなハロウィンの飾り付け、そして、ジャズフェスティバルの旗がひるがえっている。
 芝居は、披露宴の出し物「ロミオとジュリエット」の稽古をするために集まった30歳を目前にした高校のクラスメイトたちのお話。
 場所も時間もまさに、この阿佐谷のアルシェという劇場の今をそのまま使っているのがおもしろい。がらんとした何もない空間がうまく生きている。
 久しぶりな仲間たちがわらわらと集まってきて、お互いの今をしゃべりあう前半がおもしろい。後半、やや、みんなが正論を話し過ぎかなという気がしないでもないものの、今ここでこれを見ているおもしろさは十分かんじられる、いい芝居だった。
 終演後、演出の森さん、はじめ出演のみなさんにご挨拶。舞台監督の田中さんに「髪が黒い」と驚かれる。
 少し歩きたくなったので、南阿佐ヶ谷まで歩いていたら、佐藤大司くんに呼び止められて、びっくり。自転車の後ろに男の子を乗せている。彼は、僕が名付け親になった優一郎くんだ。もう三歳になるそうで、今日は二人で散歩とのこと。
 近況を立ち話して、泰子さんによろしくと、また会う約束をして別れる。とてもうれいい偶然。というか、ご無沙汰していて本当にごめんなさい。
 その後、唐ゼミ「ガラスの少尉」を見に、川崎市市民ミュージアムまで。
 武蔵小杉からのバスが一時間に3本くらいしかないことがわかり、タクシーに乗る。
 どこだかわからないところにいく気持ちがもう、非日常でわくわくする。
 唐ゼミの青テントに電球のオレンジの明かり、どきつい色味の看板がまたいいかんじ。
 芝居は、1973年のラジオドラマを元にしたもので今回が舞台では初演とのこと。といっても、テイストはまるのまんま唐十郎。
 エメロンのなつかしのCM「振り向かないで」をモチーフに語られる、人の倍の肺活量があるヒロインと、戦争中のバリの記憶をもつ中年男。場面は、ガラス工場とバリをまたにかけて、時間を超えて繰り広げられる。
 といっても何の説明だかわからないようなかんじで、とにかく、おもしろい1時間半だった。
 テントの中の装置は、墜落した飛行機の内部のようで、ここにガラス工場やら喫茶店やらヒロインの部屋や、ジャングルやらが、無理矢理に登場してくる。そのちっともオートマチックじゃないかんじが、なんともいえず楽しい。
 なつかしい、中島みゆき作の「匂いガラス」が聞けたりしたのもうれしかった。
 役者では、隊長役の安達俊信さんが実にすばらしい。押し出しも立派で、そして色っぽい芝居だった。
 来年は、上演不可能と言われる「下谷万年町物語」を上演するとのこと。
 初演を見ている僕は、あの舞台がどんなふうによみがえるのか、とても気になる。
 帰りは、観劇後の人たちだけで満員になったバスで武蔵小杉の駅まで。
 知らない街までやってきて、芝居を見る、そのことが一つのおもしろい体験になった。
 劇場へ行き、芝居を見ることへの、そこはかとないおっかなさが、ひさしぶりに感じられた。


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