せきねしんいちの観劇&稽古日記
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毎年、街で金木犀の匂いに気がつくと、ああ、もう秋か・・と思うのだけれど、今年はなんだか遅いんじゃないかなとずっと思っていた。別にデータととってるわけじゃないのだけれど。 で、ここ数日は金木犀が家の近所でも満開だ。 朝、洗濯物を干して出かけると、自然ないい匂いがするといいなあと思ったりするものの、さすがにそこまで強力じゃないかんじ。というか、この頃使っているダウニーの香りが強烈なのだろうけれど。 夜、「祝/弔」でご一緒した、まっつんこと松岡努さん出演の熊猫楼「雨上がりのソラのように」を見に、大塚の萬劇場へ。 客席で古賀さんとタワーさんとばったり。楽しくおしゃべり。 銭湯を舞台にした人間模様。というよりは、のんびりした時間が流れてく、そんな芝居。 まっつんは、渋めの町内会長さん役で、今回も短髪&あごひげ。 終演後、まっつんにご挨拶。お疲れ様です。 大塚までの道をおしゃべりしながら三人で歩く。 家に着いて、教育テレビの「芸術劇場」を見る。イデビアンクルーの「排気口」。 てっぺんさんこと松之木天辺さんが出演。そうぞう舎で稽古場が一緒だったのだけれど、一度もばったり会うこともなく、本番もうかがえなかった。 いやあ、おもしろかった。 喫煙所にありそうな「排気口」から始まる男女の出会いが、不思議な宿屋というか旅館に場面が変わっていって、女将さん、女中さんたち、番頭さん、ぼけたおじいさん、などなどそれぞれ濃いキャラクターが踊る踊る。 着物で踊ると、全然予想もしなかった躍動感が生まれてるよう。というか、もう、それだけでおかしい。 てっぺんさんは、長身短髪&ひげ面のまましれっと女中キャラで登場。 ただでさえ目立つポジションなうえ「リバーサイドホテル」まで歌ったりして。 男子に色っぽいモーションをかけては蹴り倒され、母からの手紙に涙ぐみと、もう大活躍。 堪能しました。 次回の男子だけでのイデビアンクルーの舞台がますます楽しみになった。
アルピーナさんと待ち合わせをして、gaku-GAY-kai2008の会場のArcHさんへ、契約にうかがう。 久しぶりなバブリーナさんにごあいさつ。 11月30日の開演時間その他を決定していく。 よろしくお願いします。 今月中にはフライヤーを作りたいと思っています。 DMの発送の予定はないのですが、情報はフライングステージのホームページにアップする予定です。 ご予約等も不要です。クラブイベントですので、当日ご来場ください。
「gaku-GAY-kai 2008」
日程:2008年11月30日(日)19時30分開演 会場:新宿2丁目 クラブArcH http://www.clubarch.net/ 演目:「贋作・大奥2 ATSUHIME」ほか 入場料:2,500円 / with1drink 出演:石関 準 岸本啓孝 関根信一 アルピーナ エスムラルダ 永山雄樹 マヤ吉 モの字 遠藤祐生 小林高朗 竹薮ヤケ太 柳内佑介 西田夏奈子 水月モニカ ジオラママンボガールズ ほか
2008年10月08日(水) |
富士見丘小学校演劇授業 池田塾「痩せてたまるか!」 |
午前中、富士見丘小学校の授業。 今日は授業と言うよりは、作品についての話し合いにおじゃまする。 前回の先生方との打ち合わせで決めた、作品の方向をふまえて、子どもたちの考えをいろいろ聞く。 というか、作品についての話し合いをしてもらう。 ひさしぶりの小学校は、視線が自然に下がってしまい、ふしぎな感覚。 1組、2組、それぞれ、とてもおもしろい話し合いを聞かせてもらった。 子どもたちの言葉の中に、小学生があまり使わないと思える単語や言い回しが顔を出すのがおもしろい。 「(芝居の中に)事件がない」「劇として山場ができなくて盛り上がらない」「見ている人が共感できるお芝居がおもしろい」「このクラスの人たちは、劇をもたせることができないと思う」「みんなが主役ではいい劇が作れない」などなど・・・。 子どもたちの中に、「芝居」というものが、いつの間にか根付いているのが感じられて、それが、まるで自分の手柄のように思えてうれしくなってしまう。 子どもたちは、耳から聞いた「芝居の言葉」を、自分のもの(のように)して使っている。 こんな小学生、ほかにはいないだろうと思う。 演劇をつくる小学生たちのお話になりそうな、今年の卒業公演。 どんな芝居がいいかを話し合う子どもたちの場面に使えそうな、おもしろい、そしていいセリフをいっぱい聞くことができた。
午後、朝から一緒だった篠原さんとお茶をしながら打ち合わせとおしゃべり。 夜は、そのまま、劇団劇作家の相馬くんが書き下ろした池田塾公演「痩せてたまるか!」を見に、ブディストホールヘ。 この間の合評会で感想を言わせてもらった台本の舞台化。 思うこといろいろ。
2008年10月05日(日) |
KAKUTA「スターマン」 「ラ・マレア横浜」 |
午後、青山円形劇場に、KAKUTA公演「スターマン」を見に行く。 「狂人教育」でご一緒した馬場恒行さん、そして、来年の新作でご一緒する高山奈央子さんが出演。 キャンプ場を舞台にしたお話。 タイトルの「スターマン」が、デビッド・ボーイの曲のタイトルだと、見ている途中で気がつき(そういう話が登場するので)、急になつかしく身近な芝居に思えてくる。 舞台になっているキャンプ場も、なんどかでかけた奥多摩の氷川キャンプ場にイメージが重なってくる。 軽やかに切ない、とてもいい芝居。 理由のわからない涙が自然と流れてくる。 終演後、馬場さん、高山さんにご挨拶して、失礼する。
夜は、横浜まで行き、吉田町で開催されている「ラ・マレア横浜」を見る。 野外劇というか路上劇。 関内駅近くの吉田町の通りの両側で9本の演劇が上演されている。 一本約10分。終了すると照明が消えて、2分間でリセット。また開演という繰り返し。 芝居は基本的にセリフがなく、人物の思いはプロジェクターで言葉になって映写されている。 降り出した雨がどんどんはげしくなったので、1本見た後で駅の近くまで戻り、ユニクロで傘を買う。 となりの古着屋で目についた紫の着物を衝動買い。 雨の中、荷物を抱えて、また路上で観劇。 バーや、本屋や、また誰かの部屋や、パーティが行われている部屋のベランダや、文字通りの路上や、目の前で演じられる場面と、実際のこの街のふんいきの微妙な温度差が楽しい。 元々はアルゼンチンで初演されたものが、この横浜を舞台にした設定にアダプトされているのだけれど、描かれている人物に「日本人じゃないよなあ」と思える部分がいろいろあって、不思議な異国情緒のようなものをかえって強くかんじた。 俳優さんたちは、男性も女性もなんだか似たイメージのキャラクターが多かった印象。 演出プランなのか、演出家の好みなのか。 腹筋を続ける男性、バーに一人いる初老の男性、部屋で恋人からの電話を待ちづける眠らない女性、書店で恋心に揺れる男性。 道ですれちがっただけの人にも、その人だけのドラマがある。 そんなことを考えさせられた観劇体験だった。
一昨日、出演のお願いをした、クロカミショウネン18の加藤裕さんから連絡をもらう。 新作に出演していただけることになった。 とてもうれしい。 役のイメージがどんどん具体的になる。 稽古開始がますます楽しみになった。
2008年10月04日(土) |
くろいぬパレード 劇団劇作家 |
午後から、くろいぬパレードの「くろいぬ学園の文化祭〜逆境ではナイン〜」を見に、渋谷のルデコへ。 受付からもうセーラー服、学生服がいっぱいで、ふしぎな雰囲気。 クロカミでご一緒した長谷川さんも学ラン姿。 ただ、ヒゲを生やしたままなので、かなりうさんくさいかんじだねと話す。 文化祭の出し物のように次から次へと繰り出されてくる演目が楽しい。 こういうイベントありだなあと、フライングステージでもできないかしらと考える。 昨日、精算会で一緒だった岡田梨那ちゃんにばったり。 彼女には、来年の新作に出演をしてもらえることになった。 また連絡しますねと、ばたばたとお先に失礼する。 夜は、劇団劇作家の合評会におじゃまする。 4本の新作台本についての合評。 思うことをずいぶんしゃべらせてもらった。 終了後、みんなで食事に行き、ここでもまだ話したりなかった台本の話。 楽しく盛り上がる。
半月ぶりに「祝/弔」のメンバーと会っての飲み会。 どうもお疲れ様でした! 一次会、二次会と席をかえながら、楽しくおしゃべり。 酔ったいきおいではないのだけれど、来年の新作の出演のお願いなんかもしてしまう。 「新・こころ」で遠藤くんにそうしたのと同じように、またしてもトイレの前で。 ただし、今回はちゃんと細かい部分までじっくり話させてもらった。 終電に間に合うよう、ばたばたとお先に失礼する。
すっかり涼しくなったので、衣替えをひさしぶりにちゃんとしてみる。 引っ越して荷物がすっきりと、どこに何があるかわかるようになったので、衣替えも軽い気持ちでできるような気持ち。 箪笥の中身を入れ替えたりしているうちに、引っ越しのときのままで開けてない段ボールが気になり、それも整理してしまう。 と、またしても古いノートを読み出してしまう。 今度は、僕が中学三年の時のノート。 初めて劇場に行って見た芝居、劇団四季の「コーラスライン」の初演の頃の日記、というか、「コーラスライン」に関係ある新聞の切り抜きやらチラシやらチケットやらが貼られた、スクラップブックのようなノート。 1989年のものなので、29年前(!)。セロテープのあとは茶色い四角のしみになってしまっている。 新聞の文字は昔はこんなに小さかったんだとおどろく。 今はベテランの市村正親さんの若かりし日の写真がたくさん。大好きであこがれていたなあとなつかしい。 日記は、舞台を見に行くまでのあれやこれやが細々と書いてあるのだけれど、肝心の舞台のようすは、暗転して最初のナンバーが始まったところで終わっている。 学校から大急ぎで帰ってきてから出かけている14歳の僕は、日生劇場に向かう前に、東京駅の大丸でやっていた「モディリアニ展」ものぞいている。ああ、そうだったなあと思い出す。 10月2日、6時30分開演のチケットは、2階のA列の28番。4000円。 前売りの初日に日生劇場に買いに行ったことも思いだした。 学校の帰りで学生服のままだったので、受付のおじさんに(チケット窓口じゃなくて、ロビーにテーブルが出ていた)「中学生?」と聞かれて「はい」と答えたら、「じゃあ、いい席をあげよう」と言って用意してくれたチケットだったことも。 学校を早く帰るときの先生とのやりとりのようすがおかしい。 一昨年のフライングステージ公演「ムーンリバー」で僕が演じた先生のモデルになっている彼女の言葉が、僕が舞台でしゃべったものととても似ていて笑ってしまう。まあ、彼女をモデルに、というかイメージして書いたのだけれど。 ちょっとここに書き出してみる。
1979年10月2日(火)
で、その日、ぼくは、図書室の放課後開放のための当番なので、 「今日の放課後の図書室休んでもいいですか?」 と吉野先生に言いに行った。 「ちょっと用があるんです。」 「ちょっとじゃ、だめよ。何なの?」 と先生は聞く。 「映画?」 「まあ、そんなもの。」 とぼく。 「何よ、はっきり言わなきゃだめよ。ちゃんと言いなさい。」 「えー、あの、舞台を見に行くんです。」 「まあ、生意気ね。何?」 「コーラスライン、劇団四季の。」 「まあ、ませてるのね。一人でいくの?」 「はい。」 「いくらなの?」 「4千円の席だけど。」 「まあ、負けそう。生意気ね。もう負けてるか。」 「じゃあ、いいですか、今日休んで?」 「はい。」 「さよーなら。」 と話がすんだので、もう急いで帰ってきた。
彼女は、僕が一番影響を受けた教師かもしれない。 今もおつきあいがある高校での中島さんとは違った面で、僕に詩や小説のおもしろさを教えてくれた人だ。 校内暴力でめちゃくちゃだった中学一年のクラス担任で、僕は登校拒否になり、彼女自身も登校拒否になり(!)、二学期半ばで担任を交替したんだった。 当時30歳になったと子どもたちにからかわれていたから、もう60歳になってるんだろうか。 その後、どうしてるんだろう。 なつかしい人のことを思い出した。 日記の日付がちょうど10月2日だったのも不思議なかんじ。 一緒に出てきたプログラムと一緒に、机の上の見えるところに置いておく。
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