せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2008年06月15日(日) 日曜日

 いい天気。
 朝から篠原さんと電話で「劇読み」の打ち合わせを。
 たまっていた洗濯ものを片付けて、ついでに猫を洗う。
 ちょうど夏毛に生え替わったタイミング、ていねいにブラシをかけてから洗ったので、洗い上がりがとてもきれい。すっきりとやせた猫になった。
 半乾きで弱気になっているところにつけこんで、爪も切ってしまう。いつものように暴れることもなく、大人しくしている。
 そうか、これからはこの段取りでいこう。
 たまっていた仕事をかたづけ、また篠原さんと打ち合わせ。
 夜、メルマガの仕上げと発送すませる。 
 購読ご希望の方は、こちらまでご連絡ください。
 バックナンバー、というか復活第一号はこちらです。
 「FS通信(えふえすつうしん)劇団フライングステージのメールマガジン」


2008年06月14日(土) メールマガジン

 「劇読み!vol.2」の台本を読んでいる。
 すぐ「リーディングとして、どう演出するか」ということばかり考えてしまうので、シンプルに普通に上演されているのを想像しながら読むようこころがける。
 その絵面をどこまで具体的に舞台化するかを考える。
 リーディングだもの、ト書きもセリフも全部読んで、俳優は座ったままだって何も問題はない。
 それだけで立ち上がってくるものはなんだろうということを想像する。
 そして、やっぱり、どんな工夫をすると、よりおもしろくなるかということを考えてしまう。
 俳優さんたちとの顔合わせは来週末だ。

 2年前に創刊してすぐにストップしてしまった、フライングステージのメルマガを復活させる。
 週末の発行に向けて、原稿作りと内容の確認のやりとりを劇団のメンバーと。
 以前使用していたパソコンがクラッシュしてしまい、登録いただいた読者のみなさんのアドレスがわからなくなってしまった(決して流出したりしているわけじゃありません)。
 今回、晴れて(!)復旧不能ということが判明したので(今さらですが)、あらためての登録をお願いして、新たに始めようということになった。
 PC用のレイアウトですが、携帯でも受信可能だと思います。
 送ってみて!という方は、こちらまでご連絡ください。配信させていただきます。
 携帯ではやっぱり重たすぎるという方は、「そのまま」返信していただけたらと思います。
 バックナンバーは、携帯からも参照可能なブログにアップしていこうと思います。
 アドレスはこちらです。「FS通信(えふえすつうしん)劇団フライングステージのメールマガジン」
 *まだ空です。明日以降アップの予定です。
 毎月15日発行で、文字数は大体5000字くらいの予定です(長!)
 よろしくお願いします。


2008年06月13日(金) 腹ぺこ

 朝、母親が妹のところの犬、ラムを散歩のついでに家に連れてきた。
 まるまると太って、伸び放題に毛が伸びている。
 誰もこいつがトイプードルだとは思わないだろう。
 ちょっとした中型犬だ。
 ずいぶん久しぶりの会ったのだけれど、ちゃんと言うことを聞いて、お座りをする。
 さすが、犬。やっぱり猫とは違うな。

 「襤褸と宝石」でご一緒した三谷昇さんから色紙が届いた。
 直筆の言葉に花のイラストが添えてある。
 その言葉は、「2キレのパンあれば 1キレを喰いて もう1キレを 花に代えよう・・・ ギリシャ・詠み人知らず」というもの。
 「花に代えよう・・・」。いい言葉だなあ。
 これはたぶん、いつもお腹いっぱいの人じゃなくて、いつもお腹を空かせている人の言葉じゃないかと思う。
 腹ぺこだけど、パンが2つあったら、一つは食べて、一つは花に代える、ってことだと思って読むと、よりいっそう大切な言葉に思えてくる。
 腹ぺこと言えば、「襤褸と宝石」で民夫を演じていた別所ユージさんは、大勢のキャラクターの中で一番お腹を空かせてそうな役作りをしていた。
 その日暮らしをしていながら、バイタリティあふれるバタ屋たちの中で、一人だけお腹を空かせてるようなそんな人物が民夫だった。
 彼もきっと、パンが二つあったら、一切れを花に代えるような人なんだろうと思う。
 三谷さんから、いただいた言葉からいろいろなことを考えた。
 お礼の手紙を早速書いた。
 ありがとうございました。


2008年06月12日(木) 魔女とワークショップ

 高校の後輩で友人の小林くんから、「襤褸と宝石」の差し入れにいただいたオリジナルDVDを見る。
 今回ご一緒した三谷昇さんが出演の人形劇「三国志」「ウルトラマンタロウ」「宇宙刑事ギャバン」などの詰め合わせ。
 「ウルトラマンタロウ」では二谷副隊長(故名古屋章さんとのからみがおもしろい)、「宇宙刑事ギャバン」の魔女キバと、役柄のふり幅がものすごいことになっている。
 僕が三谷さんを最初に見て記憶に残っているのは、市川崑の映画「獄門島」。クセのある復員兵(実はものすごく重要な役)を飄々と演じていた(「犬神家の一族」の鑑識課員もいい味だ)。
 どの役も全然違うキャラなのに、間違いなく、三谷昇ならではの人物になっているのが、すごいなあと思う。
 特撮ものの悪役の魔女。あこがれる(笑)。
 朝ドラの「瞳」には、篠井英介さんが今日も登場。酔っぱらった飯島直子を暖かく見守るバーのママ。そして、店の壁には、日舞を踊っている姿の篠井さんの写真が何枚もパネルになって飾ってある。
 そういえば、篠井さんも、映画「キューティハニー」で、悪役シスター・ジルをやっていた。
 ううん、うらやましい(笑)。

 HPにワークショップの情報をアップする。
 一応、こちらにも・・・

>>>

 ひさしぶりに公開ワークショップを企画しました。
 一つは、二日間で一つの場面をつくりあげる「芝居づくり」を目的にしたもの。
 もう一つは、リーディングのワークショップです。
 こちらは、以前から企画していた古今東西の「ゲイ文学」を読もうというもの。
 フライングステージならではの企画じゃないかと思います。
 演劇経験者もはじめての方も歓迎です。
 ふるってご参加ください!

☆フライングステージ ワークショップ 

 日時:2008年7月5日(土)18:00--21:00
        7月6日(日)18:00--21:00
 会場:杉並区内施設
 講師:関根信一
 参加費:1000円(各日) テキスト代含む
 内容:基礎トレーニング シアターゲーム 場面をつくる 

 二日間のワークショップでテキストをもとにした場面をつくります。
 一日だけの参加も可能です。参加資格等は特にありません。
 会場、内容等のお問い合わせ、お申し込みはこちらまでどうぞ。
 *お問い合わせ先:劇団フライングステージ stage@flyingstage.com まで

☆ゲイ文学リーディングワークショップ

 古今東西のゲイ文学を読んでいくワークショップを始めます。
 作品の背景についてあれこれお話しながら、
 シンプルな朗読から始めて、ドラマリーディングにまで発展できたら・・・。
 やや不定期になるかもしれませんが、まずは月に一度の開催を予定しています。

 日時:7月13日(日)13:00--17:00
 会場:杉並区内施設
 講師:関根信一
 参加費:1000円(テキスト代別途)

「ゲイ文学をリーディングしてみませんか。
 古今東西の様々なゲイ文学のテキストを取り上げて、
 背景とともに読んでいく、フライングステージならではのワークショップです」

 参加資格等は特にありません(経験、年齢、セクシュアリティ等)
 会場、内容等のお問い合わせ、お申し込みはこちらまでどうぞ。
 *お問い合わせ先:劇団フライングステージ stage@flyingstage.com まで


2008年06月10日(火) ツバメと芸談

 衣替えで出したまま今年一度も来ていない半袖のシャツを着て出かける。
 風が気持ちいい。
 仕事場の近くで、ベビーカーに赤ちゃんを乗せた茶髪のカップルが、マンションの入り口を見上げていた。
 と僕の頭をかすめてツバメが飛んでいった。
 二人の視線の先には、ツバメの巣とそこから顔を出している4羽のヒナがいた。
 なんだかほっかりとした気持ちになる。
 昨日の夜中、NHKの「プロフェッショナル」に坂東玉三郎が出演していた。これまでの未放送部分ということで、英国ロイヤルバレエのプリンシパル吉田都も。
 とても具体的な芸談がとてもおもしろい。女として立つにはどうするかなどなど。
 その勢いで、芸談が読みたくなり、今日は一日、歌舞伎の芸談を持ち歩いて読んでいた。
 「ミッシング・ハーフ」に登場させてもらった歌舞伎俳優、四世沢村源之助の「青岳夜話」、五世尾上菊五郎の「菊五郎自伝」。
 明治の俳優の日常と芝居のつくりかたが見えてくる。黙阿弥の諸作品の初演時のことや、衣装やかつら、そして芝居の工夫。
 何度も見て知っている舞台の場面が、こんなふうにして生まれたんだというのがわかって、とてもおもしろい。
 古典も初めは新作で、まっさらなところから作り上げていった人たちがいるんだ。当たり前のことなんだけどね。
 


2008年06月09日(月) 次にすすむ

 朝から雨。昼間は晴れたり降ったり、落ち着かない。
 とりあえず、傘を持って家を出る。
 「劇読み!」の台本を読む。
 僕が演出を担当するのは篠原久美子さんの「ゴルゴダメール」と石原燃さんの「人の香り」の日本(もう一本、佐藤喜久子さんの「若草物語」には俳優として出演します)。
 「リーディングってうさんくさいんですよ」と、2月の劇読み番外公演の座談会で僕は話した。
 ただ読むだけでいいのか、作品として立ち上げるのか、俳優はどこまで表現するのか、台本を手に持って文字を追いながら相手に向かって話しかける芝居をするなんて、それはライブの芝居としてはどうなんだろうと・・・。
 その思いは今も変わらない。去年の「劇読み vol.1」で担当した4本の作品では、それぞれふさわしく思えるスタンスで演出をした。
 今度はどうしようか? いろいろ考えてみる。
 夜、明樹さんと非戦を選ぶ演劇人の会の打ち合わせを電話で。
 メールじゃない電話で話すのは、やっぱりいいなとまた思う。
 一つの舞台が終わって、また次にすすんでいける。
 そんな今に感謝。


2008年06月08日(日) 千穐楽

 13時と17時の開演。
 マチネ。3場のセリフをかんでしまう。あたふたとしゃべるところなので、「あせってるかんじがするからいいんじゃない?」と言われたりもしたのだけれど、やっぱりショック。気持ちを表現しようとするからいけないんだ。言葉を伝えないとね。
 終演後、岸本くんと丸尾丸さんにご挨拶。突然来てくれてびっくり&感謝。「やせた?」と聞かれて「髪型のせい」と答え、その後、フライングステージのこれからの予定(年末のgaku-GAY-kaiのことなど)を話しているうちに、「ようやくいつもの関根さんになった」と言われる。うん、たしかにそうかも。
 富士見丘小学校の宮校長先生にもご挨拶。「この間と全然違う」と驚かれる。前回見ていただいたのは「新・こころ」の下宿のおばさんで、和服で日本髪だった。僕もびっくりだ。もっというと、先月は、鹿殺しの「狂人教育」で白髪を振り乱した黒の総レースのドレスを着たおばあちゃんだったわけだから、岸本くん、丸尾丸さんが驚くのも無理はない。
 今日もANZAさんからお弁当の差し入れをいただく。昼夜の間の短い時間、とてもありがたい。おいしくいただく。ごちそうさまでした。
 ソワレの舞台の開演前、舞台上で三谷さんが谷川俊太郎の「おなら」の詩を演じてくれた。富士見丘小学校で谷川さんが演じてくれたのとはまた別のおもしろさ。
 そして、千穐楽の舞台。
 僕は、開演してからずっと舞台奧にいさせてもらっている。楽屋の明るさと舞台を行ったり来たりするのは苦手なのと、やっぱり舞台から聞こえる生の声に耳をすましていたいと思うので。
 今日で最後の「襤褸と宝石」、全部の言葉がとても生き生きと心に届いた。何回も聞いているセリフなのに、ああ、そうなんだと思うことが今さらながらたくさんあって驚く。
 戦争中、ジュリアはどうしていたんだろうとか、戦地で民生は何を見てきたんだろうとか。言葉の向こうにある人生をいろいろ想像する。
 無事に終演。カーテンコールで暖かい拍手をいただく。
 楽屋で久しぶりの九美さん、古川さんにごあいさつ。どうもありがとうございました。
 楽屋を片付けて、一足先に打ち上げに。
 ばらしは、若手のみなさんががんばってくれている。感謝。
 今回、もう何度目かの居酒屋での打ち上げ。
 今日も三谷さんから素敵な言葉をいただいた。
 芥川比呂志さんの言葉。俳優は生涯に三本、「やってよかったと思える舞台」にめぐりあえたら本望だと。主役だけがいい気持ちになるんじゃなくて、脇役や裏方の全員がやってよかったと思える舞台が三本。そして、三谷さんは、おっしゃった。今回の「襤褸と宝石」はそんなだったと。
 ほんとうにそうだなあと僕も思う。
 正直、はじめはどうなるんだろうと心配がたくさんだった公演。「襤褸と宝石」という戯曲も、なんだか描き切れていないような、もどかしさがあって、セリフもなかなか入らないでいた。
 それでも、稽古をして本番の舞台を重ねていくうちに、大事なのは、生きた人間としてそこにいることなのだということがわかってきた。
 舞台の上でちゃんと生きた心と体で人と関わりながら、その時その時を新鮮に生きていければ、思いが祈りが生まれてくるんだということ。
 僕は、3年ぶりの男性の役、稽古のはじめのうち、本当に僕でいいんだろうか?と思っていた。
 僕じゃなきゃいけないものしかやらないと思って、もうずいぶんになるけど、今回の支配人の役は僕じゃなきゃできないものになるんだろうかと、心配だった。
 それが、いつのまにか大丈夫、これでいけると思えるようになったのは、健翔さんをはじめとする一緒に舞台をつくったみなさんのおかげだ。
 ほんとうにありがとうございました。
 今年に入って、僕はもう何本もやってよかったと思える舞台に出会えている。
 感謝しながら、もっともっといろいろなことに挑戦していけたらと思う。


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