せきねしんいちの観劇&稽古日記
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サーカス劇場の「幽霊船」を見に、夢の島へ。 紫色のテントが、第五福竜丸の展示館の向かいの建てられて、にぎやかな音楽で迎えてくれる。 座長の清末さんにすすめられて、公演期間中だけ閉館時間をのばしてくれているという第五福竜丸の展示館に行ってみる。 前に来たのはいつだろう。記憶も曖昧だけれど、このあたりはもっとざわざわしていたような気がする。 第五福竜丸は、昔思ったのと同じ印象。舟ってなんて大きいんだろうと、今日もまた思う。 久しぶりのテント芝居。舞台は半分、テントの外。赤テントあたりで芝居の最後に開く、舞台奧が初めから開かれている。外の風が劇場とは違う空気感を生み出しているのがおもしろい。でも、あきらかに演技エリアが広いので(上に)、芝居の大きい小さいや、役者のうでがもろに見えてくるシビアなしかけ。 9月のクロカミショウネン18でご一緒するワダ・タワーさんが、出演している。体も大きいけど、芝居も大きい(声も大きい)。外の空気に負けないパワーが魅力的だ。 副座長の森澤くんも、とっても若いのにどうしてこんなになつかしのアングラの空気を身にまとってるんだろうという芝居。大胆でめちゃくちゃで、でも、誰よりもいろんなことを気にしながらの芝居。 終演後、一緒になった今井克己くんと一緒に乾杯におじゃまする。 おしゃべりいろいろ。 帰りしなに、舞台に立たせてもらう。 テントの中の客席に向かって立つと、頭の上は空だ。なんだかわくわくする。 外の芝居の気持ちよさが少しわかったような気持ち。
富士見丘小学校演劇授業。 新年度、最初の授業。講師は鴻上尚史さん。 篠原さんと二人で今日は見学をさせてもらう(午後からは、劇作家協会の東憲司さんも一緒に)。 特活室で、一クラスずつ。3,4時間目と5,6時間目。 富士見丘小学校での演劇授業は、今年で5年目。 鴻上さんの授業も、今回が5回目だ。 「声とからだを使ってあそぶってどういうこと?」と最初に黒板に書いて、授業が始まる。 輪になって手をつなぐ。となりの人と手を合わせ、肩胛骨を動かしながら、押しっこをする。 二人組になって、鏡のエチュード。 二人組になって、背中合わせになって、立ち上がる。四4人、8人、12人で。 箸を人差し指で支えながら、目をつぶった二人が立ち上がる。せーのもカウントもなしで。 立ち上がったら、一人ずつ、ぐるっと回る(箸をささえたまま)。 子どもたちは、どちらのクラスもしっかり集中しながら楽しんでいるようすがすばらしい。 5年前の一番最初の鴻上さんの授業のときは、2クラス合同で、体育館で、とっても暑くて、話をちゃんと聞かせるだけでとても大変だった。 今日は、どちらのクラスも、休憩後に自然に集まって腰を下ろし、全員が鴻上さんの方をしっかり見ていた。強制されてるんじゃなく、みんな、一人一人が話をちゃんと聞こうとしている。 みんな、演劇を楽しみにしてくれてるんだなあというのと同時に、演劇の授業はこうして「聞く」ことをちゃんと伝えてるんだと思った。 後半は、声で遊ぶことを、「何を変えると声は変わるのか」という言葉をモチーフにいろいろさぐっていく。 「大きさ」「高さ」「早さ」「間」「音色」。毎年、よくわかるなあと思うのだけれど、みんな子どもたちから、答えが出てくる。 鴻上さんは、大きさを変えたり、高さを変えたり、早さを変えたり、声色を変えたり、自分でやってみせながら、子どもたちにもやってごらんと言う。子どもたちは、一緒になって声を出しながら、いっぱい遊んだ。 最後に、馬場先生に、篠原さんと二人、紹介してもらう。よろしくお願いしますとみんなに挨拶。 ランチルームで、鴻上さんを囲んで、全校の先生方と振り返りの時間。六年生の担任は、田中先生と金丸先生。新しく赴任していらした音楽の先生と少しおしゃべりさせてもらう。 さあ、新しい一年が始まった。今年はどうなるだろう。 帰り、篠原さんと、劇読み!の打ち合わせ。篠原さんの「ゴルゴダメール」について、思うことをいろいろ言わせてもらう。話ながら、自分の芝居の作り方を考える。僕が書きたいことは何だろうかと。話した言葉がみんな帰ってくる、そんな時間。
隅田川のほとりの稽古場。 窓から川面が見える。 この芝居にぴったりなロケーションだ。 立ち稽古。 舞台は、キャバレー「リヴァ・サイド」。僕はその支配人。 支配人だから、ここのことを誰よりも知っていて、自由に動けないといけないはず。 でも、何にもできない。 まだまだセリフにたよって、ようやくそこにいられるかんじ。 国友社長役の剣持さんの自由さがまぶしい。 もっとちゃんと息をしよう。 演出助手の石原さんと、7月の劇読み!vol.2の話もいろいろする。 夜は、中野のポケットに藤井ごうさん作演出のR-vive公演「誰ガ為ニ陽ハ昇ル」を見に行く。 新興宗教の施設の跡地を片付けるボランティアたちとそこの新たなオーナー、そして居残りの信者たちと、街の人々の戦いの物語。 俳優さんたちが、なんでもない状態でそこにいるときのいかたがとてもちゃんとしている。 昼間の自分のいかたについて、いろいろ考えさせられた。 帰りは雨。
三谷さん以外の全員がそろっての「襤褸と宝石」顔寄せ。 ANZAさんとは、去年の非戦を選ぶ演劇人の会のリーディング以来。 今日は読み合わせ。全体を聞くのは久しぶり。新鮮。 自分がやらなくてはいけないことをいろいろ考える。 副支配人役の黒木さんが、ていねいな老けのキャラ作りをしてくれているので、僕は違うことを考えないと。 戦後の成り上がりの元花火屋の社長に対する、根っからの劇場の人間。 誰よりもこのキャバレーにはくわしい、いっぱしの芸術家気取りの男。 まだまだセリフと相手の関係から、外堀を埋めるようにして自分を探る段階。 まず自分がちゃんといられるようにならないと。 衣装の候補も着させてみてもらう。 健翔さんのお父様のスーツがたくさん。 また一つ、僕が演じる浜内という人物に近づいた気持ち。
猫がまたケガをしてきた。 ようやくなおって、あとは毛が生えるのを待つだけのしっぽの付け根から、また血が出ている。 僕は髪を短くして髭をまたのばし始めた。 うちの猫は、僕のひげが好きらしい。 枕元に寝ながら、あごに顔をこすりつけては目を細めている。 部屋の模様替えをした。 大きな鏡を動かす。これまで壁に沿っておいていたのを、ライティングデスクに横に立てかけた。部屋を微妙に仕切るかたちに。 一緒に掃除をしたので、床が広くなった。 古い本をまとめて処分する準備をする。 本を捨てるのはしのびないけれど、あんまり古い本はブックオフでも引き取ってくれない。 せめて、週末の廃品回収のリサイクルに出そうと思う。
朝になって、熱は少し下がった。 午前中、おとなりの奥さんと不動産屋さんが家に。 母ととなりの奥さんとの会話。 孫は何人という話から、子どもの話になり、うちの母が、どうしてほとんど年子で二人産んだあと、もう一人になったのかという話で、「人が子ども抱いてるの見てると、もう一人ほしくてしかたなくて」。 そうか、そういう理由で弟は生まれたのか。 今日は母の日。 カーネーションは、弟たちから届くだろうと思うので、花以外のプレゼントを購入。 久しぶりに髪を切った。熱っぽいのにどうかと思うが、長い髪が目に入っていらいらする&くしゃみ&涙が出るので。思い切って短くと思ったのだけれど、「襤褸と宝石」の役を考えてほどほどに。 夜、富士見丘小学校の昨年度の打ち上げ、というか、青井さん、健翔さん、篠原さん、里沙ちゃんと集まる。 去年も同じ集まりがあったのだけれど、僕は仕事で行けなかった。 芝居の話、いろいろで楽しい時間をすごす。 「狂人教育」を見に来てくれた里沙ちゃんから、「包帯を巻いてる役は誰なんですか?」と聞かれる。「僕だよ」と答えたら、びっくりされた。なんだかうれしい。もう一つ、終演後、里沙ちゃんの後ろに座っていた男女が、「あのおばあちゃんやってるのは男なの女なの?」と話していたそう。パンフを見ればわかるのに。それもまたうれしい。
風邪をひいてダウン。 熱と鼻水と咳で、仕事が全然はかどらない。 なんとか行けるんじゃないかと思っていたマミィの踊りの発表会もごめんなさいする。 ふらふらだ。 夕方から横になるが、寒くて眠れない。 枕元の猫をなでてもちっとも暖かく感じないのは、夏毛に生え替わってしまったからだろうか。
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