せきねしんいちの観劇&稽古日記
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衣装で使う帯枕が見つからずさがしまわる。ふと目についた隣の部屋の箪笥の引き出しをあけたら、そこに入っていた。その箪笥は亡くなった叔母の形見で、中に着物がどっさり入っている。長く料理屋の仲居をしていた叔母は、着物が仕事着で趣味でもあった。どうしてその引き出しを開けようと思ったのかわからないが、なんだか「これを使いな」と言ってもらったような気がした。ありがとうと声に出してから、部屋を出た。 今日は11時入り。少し前に下北沢について、スタバでコーヒーを買って駅前広場にもどったら、キャストがほぼ全員駅前に立っている。まだ開いてないみたいというまみぃ。と鶴丸くんがペルモビルの階段を上っていくのを見て、みんなで「つるちゃん!」と呼び止めて、「まだ開いてないんだって」と合流したところに、まちゃが来て、「何してんの?」と言われる。微妙なタイムラグだったらしい。みんなで集団登校のように劇場入り。 14時からのゲネプロの準備。稽古もあちこち。今日の炊き出しは、親子丼。 ゲネ終了後、もろもろの確認。 初日開演の前の、客席作りをキャストのみんなと制作陣で。10名の男子が一緒になって作業している姿が、とてもほほえましい(僕は主に見ていたので9名か)。 開演。お客様の前で、今回も芝居が立ち上がって、生まれていく。 僕は、うっかり長く着てしまった着物の扱い、特に衣紋の抜きの微妙さにとまどいながら、それでも今ここにいることを存分に楽しませてもらう。そして、初日終演。 終演後、お客様にご挨拶。初日乾杯に流れる。 久しぶりに飲んで、電車を乗り過ごし、一駅先の綾瀬まで行ってしまう。電車が遅れていたせいで、なんとか無事に帰宅。
場当たり。照明と音響のきっかけと、舞台上の位置の確認。 昨日一日かけてできあがった装置の上で、どう動いて芝居していくかをどしどしやっていく。 稽古場でできると思っていたことができなかったり、そのかわりに思いもしなかったことをやることになったりと、たくさんの変更を加えながら舞台ができあがっていく。 昨日から、樺澤氏、そしてマチャの手によって、炊き出しが昼食、夕食に登場。 カレーライス、麻婆ライス、すき焼き丼、焼きそば、豆乳鍋と、豪華、そして盛りだくさん。暖かいものが食べられるのはとてもうれしい。 今日は、初めてかつらと着物をつけての稽古。ドラァグクィーンのなりをしているときよりというか、また違った緊張がいつも頭の上にあるかんじ。歩くのには足下を気にしながら、頭も気になるという別々なかんじにとまどう。 舞台転換、早変わりと、全員がばたばたと動き続ける今回の舞台。みんなでつくっているというかんじがひとしおだ。 昨日はちょっとよそよそしく思えた劇場が、今日は味方に思えてきた。そんな一日の変化。
「新・こころ」、いよいよ明日初日です。どの回もまだチケットのご用意ができます。 今までのフライングステージにはなかったような、でもフライングステージでなければできない、そんな舞台になっています。 みなさまのご来場をお待ちしていますね。ご予約は関根または劇団までどうぞ! よろしくお願いいたします。
朝から仕込み。久しぶりの駅前劇場。2003年の7月以来。 舞台装置がどんどん組み上がり、照明も入っていく。 稽古場で平面だった舞台が、立体になる。 役者衆は、それぞれの衣装の確認や楽屋づくり、セリフあわせに余念がない。 小道具の確認やらなにやらの買い出しに出たり入ったりしながら、ここで芝居をやるんだという気分で下北沢の町を歩く。これもまた久しぶりの感覚。 メーク用品の買い出しに行ったスズナリのならびのブティック。 対応してくれたお姐さん(!)にいろいろ相談して、いつもは使わない「落ち着いた」色のファンデーションを購入。知り合いに新橋の芸者さんがいたとのことで、「芸者はね、あごと背筋よ」とアドバイスをもらう。芸者役だとは言ってないんだけど、日本髪をかけると話したら、そんな伝わり方を。参考にさせてもらおう。どんな芝居?と聞かれて、「こころ」の話をする。僕の役柄も。「いいと思う。がんばって!」と言ってもらう。 夜、明かりあわせを時間まで。 シンプルな、でも、こんな装置、フライングステージは駅前劇場で建てたことないという規模の装置に、照明が入って、どんどん世界が新しく生まれていくのを見る。 家にかえって、小道具で使う漫画、よしながふみの「大奥」を手にとってしまう。この人の嘘は、つよくて、そして美しい。 これから劇場で生み出していくはずの、大きな嘘もこうでなくっちゃねと、はげまされた気分。
午後、トラックがきて、装置と一緒に小道具、衣装がつまれていく。 夜、通し稽古。2時間7分というタイム。途中のラップは、昨日までとほぼ同じ。 切れ目なく続いて、明治と現代を行き来する今回の舞台は、場面の切り替えがなかなか大変だ。 照明と音響に助けてもらいながら、どんどこ芝居が進んでいく様子をイメージしていく。 この稽古場とも今日でお別れ。掃除をして、稽古場打ち上げのビールで乾杯。 駅まで向かう道のジンチョウゲはもうちりかかってる。 稽古をしているうちに季節はかわっていった。今年もまた。 明日は小屋入り。
まみぃと二人、昼から大門さんのお宅に伺い、衣装とかつらの相談。 かつらをかけさせてもらって、おお、こんなことになるんだ、とびっくり。 僕が演じる、奥さんは、登場人物のなかで一番年かさで、なので、かつらも一番「時代」だ。 そのまま、稽古場へ。 がつがつと稽古する。 初日まで、6日。
海へ行く場面。男くさい、そしてナイーブな場面。とてもせつない。 漱石の言葉がもりだくさんの重厚な場面。こちらもせつない。 もっともっとと積み上げる。 夜、照明の黒尾さん、音響の中村さん、小宮さん、舞台監督の鳥養さん、制作の樺澤氏、三好さんが来てくれる。 タカツからの小道具も到着。これから実際の道具で稽古ができる。 大勢のスタッフの中、あちこちを通してみる。 役者達は少し緊張気味。でも、そんな状態でも見えてくるものは何かを、しっかり確認する。
2008年03月11日(火) |
小道具と衣装・かつら |
濃霧のせいで東武線が動かない。北千住まで1時間近くかかってしまう。 タカツで小道具の選定。小池れいさん、鳥養さんと。 味のある小道具をいくつも選ぶ。 その後、美術の打ち合わせ。 稽古場へ。 午後の時間、えんちゃん、まちゃと、「こころ」後半の山場、二人で海に出かける場面、そして、自殺した小宮を発見する場面。原作に描かれていないことを、いろいろやってもらう。 夜、衣装とかつらでお世話になる大門さんが来てくれる。相談あれこれ。 稽古は、午後、自主練を外でしていてくれたもっちゃんと早瀬くんの場面から。 その後、桑島さんの語りの場面、など抜き稽古。 帰り、樺澤氏とうちあわせ。駅前でずいぶん長いこと立ち話。
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