せきねしんいちの観劇&稽古日記
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昨日の授業を踏まえてのエチュード。 前半は、クラスの中で一人仲間はずれになった子をどうするかというもの。 どうするかに行く前に、その子が一人になっていく過程が、生々しい。 昼を過ぎても、今の高校生の日常について、あれこれ話す。というか、聞かせてもらう。びっくりすることたくさん。 今の彼女たちを僕が描くには、思っていたより、たくさんの「想像力」が必要そうだ。 食事もとらずに14時過ぎまで話し、ばたばたと休憩。 その後、幽霊が登場する場面を演じてみてもらう。 伝えることは、今回もやはりむずかしい。 初めはクラスのみんなが見ている状況だったのを、途中から、三人だけのシーンを設定した。 見えてきたことたくさん。 三日間の授業、生徒たちがとても身近になった。 ためらいや遠慮がなく、あだなを呼び捨てできるようになった。 これから約5週間、彼女たちと一緒に芝居をつくる。 仲間になれたかな?と思えた三日間。 大急ぎで東京へ。 急に入った打ち合わせを一つすませて、サロン・ド・gaku-GAY-kaiの打ち上げに遅くなって顔を出す。 こうやって会うのは久しぶりな面々と終電まですごす。 帰りは、マルゴリータ・なすと、大江戸線の中で語る。主に、ジオマンの反省と今後について。
9時からの授業。石井先生に車で迎えに来ていただいて、学校へ。 今日の「挨拶」は、成人式。沖縄県の成人式と福島県の成人式。ややあっさりしたかんじ。え、もう終わりなの? ウォームアップで発声の基本をいろいろやってみる。 どうやって声を響かせるか。共鳴させるってどういうことか、などなど。 しりとりを低い声や高い声でやってみる。 相手にどうやって届けるかということを意識してみる。 今日の授業のテーマは、「想いを伝える」。 二人組になって、相手に自分の想いを伝える。 「海に行きたい」「○○してほしい」などなど。 言葉で説得するのだけれど、理屈じゃない言葉で、相手を動かすのはとても大変だ。 後半は、「相手のために」という気持ちをプラスする。 それまで、自分の感情を爆発させられていたのが、急に言葉が届かなくなる。 「相手のためを思って何かする」というのは、もしかすると彼女たちには遠いことなのかもしれない。 「相手のためを思う」のなら、何かしようとはしないで、そっとしておくということの方が、リアルなのかもしれない。 でも、それでは芝居にならない。 言葉は相手の心を動かすためにある。そういう前提で書かれているのが、演劇の言葉だ(例外もあると思うけど)。 むずかしいことなのかもしれない。 また、自分の発した言葉を相手がどう受け止めたかということを、相手の立場に立って感じるのもむずかしいようだ。 だから、会話がなかなか積み上がっていかない。 思いがけない大きな壁にぶつかったような気持ち。 生徒たちも、どうしてだろう?ととまどっているのが、よくわかる。 今日は、まずはここまで。 夕食を、今夜も石井先生と。いわき駅前の中華屋さんで。 今日の授業について話すうちに、「あいだにあるもの」のアイデアがどーんと浮かんでくる。わくわくと話し、お腹いっぱいになり。一人、ホテルへ戻る。
いわき総合高校の授業。 今日から三日間、二泊三日の合宿(僕の気持ちとしては)の授業。 一日目の今日は、10時過ぎに湯本駅に着いて、午前中から午後まで。 来る前に見た天気予報はしっかり雪マークだったのだけれど、小雨が降るくらい。ただ、とっても寒い。 授業の始めに演じてくれる挨拶。今日は、いのししとねずみがバトンタッチをする場面。「喪中なんで・・・」と今いち乗りの悪いねずみがおかしい。 拍手回しやしりとりのウォームアップ。すっかりテンポよく、身体と言葉の関係もすっきりしてきたかんじ。 午後からは、エチュード。今回の「あいだにあるもの」は幽霊の話だ。 まず、自分が幽霊になったら、どうする?ということを、一人一人全員にやってもらう。生きている人たちに中に入れない微妙なかんじ、それと、一人一人全然違う、「今」についての認識がおもしろい。 18時までの授業の後、石井先生と食事に。成人式の連休でどこも人でいっぱい。 何軒目かの居酒屋でようやく落ち着くことができた。 海に近いいわき、やっぱり魚がおいしい。 名物のメヒカリという小魚の唐揚げ。ソイという白身の魚の刺身。カンパチのかぶと焼きなど。 ホテルは、駅前でネットの接続も簡単。 メールを送り、東京にいるときとほとんど変わらない夜。 部屋がきれいな分だけ、気持ちもおだやかかもしれないなと思う。
去年のPal'sSharer「にねんいちくみ保護者会」に出演の中村公亮くんから案内をもらって、萬劇場へ。 「ヴェニスの商人」をさっくりとまとめた、軽いかんじの楽しい二時間。 中村くんは、急遽バッサーニオを演じることになったそう。 冒頭の恋を語る場面、想いがセリフに乗っていて、シェイクスピアの二枚目らしい始まり方。 それにしても、「ヴェニスの商人」という芝居は、ほんとうにバラバラだ。 あれもこれもと詰め込んだかんじだから、どこをメインにするかがとても難しい。 今回は、歌を入れて、全体を軽やかな物語として構成している。 シャイロックを演じた俳優さんが、しっかり全体をおさえていて、すばらしい。 終演後、中村くんに挨拶。同じ回を見に来ていた、やっぱり「保護者会」で一緒だった迫園さんにもご挨拶。 その後、両国の倉庫へ。 荷物をピックアップの予定だったのだけれど、あまりの多さに断念。また改めてということする。森川くんに預けていた鍵だけをピックアップして帰ってくる。
一日、外に出ない。 やらなきゃいけないことに向き合う。 まずは、トシをこしてしまって今さらなかんじの掃除をしてみる。 あっという間に夜。 仮のベッドカバー用に劇場に持って行ったカーテンを、倉庫に置きっぱなしにしているので、部屋の中にいても、外にいるように一日の日差しの変化を感じる。 余分に寝だめをしようとするが、眠れない。 「Tea for two」が終わったら読もうと思っていた本を、何冊か読んでみる。
昼前から篠原さんと、新宿トップスにて、富士見丘小学校の打ち合わせ。というか、台本作成。 夕方、いったん別れた後、また合流し、11時過ぎまで、ほとんど一日中を一緒にすごす。 コンセント拝借しての作業、とてもありがたい。 書き上げた11時過ぎに、とりあえずギネスビールで乾杯。 ばたばたと終電で帰ってくる。そして、また次の仕事にとりかかる。
2008年01月08日(火) |
「Tea for two 〜 二人でお茶を」千穐楽 |
午前中、仕事が終わらず、小屋入りしてからもばたばたする。 ややあわただしい気持ちのまま開場、開演。 サンモールスタジオは、楽屋がロビーをはさんだ劇場から遠い場所にある。 僕も成田さんも、受付を開始したら、下手袖の楽屋スペースにいっぱなしだ。 といっても、開場するまでは、舞台で段取りの確認や、のんびりおしゃべり。 いつもそうだけど、劇場と仲良くなった頃に公演が終わる。 ゲネのときには、まっすぐ見ることに努力がいった客席も、もうなんでもない。 がんばっていようと思わなくても、ラクな気持ちですんとそこにいることができる、しあわせな時間。 最後の舞台、最後だから特別なことをしようというのでもなく、淡々と終了。 終演後、バラシ、そして打ち上げ。 余裕を見て成田さんと話しながら帰ろうと思っていたのだけれど、終電があぶなくなったので、新宿線に乗って、ばたばたと帰宅。 ああ、終わったと感慨にふけるというよりは、「さあ、次!」と次の仕事にとりかかる。 ご来場いただいたみなさん、一緒に舞台をつくりあげてくれたみなさん、どうもありがとうございました。
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