せきねしんいちの観劇&稽古日記
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| 2005年01月19日(水) |
ワークショップ3日目 |
朝からファッションチャンネルニュースのMA。 「2005春/夏 東京コレクション」全3本のうちの2本を一度に。 東コレは参加ブランド数も減って、かつてのようないきおいはないけど、どこもそれなりにちゃんと見られるものばかりになった。 ストリート系だったはずなのに、こんなに大人になっちゃうんだと思うところもあり、パリコレのテイストのコピーだったら、街のブティックの服とどう違うんだろうと思うところあり、それでも中出順子さんと楽しくおしゃべり。 ワークショップの予定を伝えていたので、いつもよりもテンポ良く、早めに終了。 大急ぎで御成門から北千住へ。
30分遅刻すると伝えてあったものの、途中からどうやって参加しようかとちょっと考えてしまっていた。 とりあえず、靴と着替えを新しくもっていって、入り口で着替えてから部屋に入ろう、最初の休憩までは見学して、それからだなと思っていた。 着替えて、部屋に入ったら、みんなは輪になって、そのまん中でソネットを暗唱している人に紙を丸めたものをどんどんぶつけているところ。暗唱している人は、その攻撃を無視してソネットに集中しなくちゃいけない。 僕はこそっと入ったつもりなのに、しばらく見ているうちに、みんなに見付けられてしまい、「おいでよ」と言ってもらう。どうしようかと迷ったのだけれど、「遅くなりました、ごめんなさい」といって、輪にはいった。ロジャーが「新しいいけにえが来た」と言ってみんなをわかせた。 今日はまず、最初はソネット。紙をぶつけたあと、ずっとぶつける用意をして最後のフレーズが終わったところで一斉に投げたりする。 それから、みんなが叫び続ける中、みんなが耳をふさいでいる中、全員が部屋の外に出てしまったあとで、などなど、いろんなシチュエーションでソネットを読んだ。 その後は、独白。 昨日、読めなったので、僕は今日発表しなくちゃいけない。 ばかみたいにドキドキする。手が冷たい。 こんなに緊張して、台詞をしゃべるのは、ほんとに養成所のとき以来だと思う。 ハムレットの2幕2場の独白を演じた。 昨日、ロジャーに言われたように、きっちり観客に語りかけて、目を見ながら話そうと心がける。一人に人間として、ちゃんとその場にいようと。 せりふがあちこちであやしくなり、最後に花道に見立てた輪の外に走りこんだときに、新しい靴のせいか、勢いがありすぎたのか、右足を少しひねってしまう。 ロジャーはとてもユニークだとほめてくれた。よくあるハムレットのイメージ、高貴で美しいというイメージはないが、弱くてずるい、人間がそこにいたと。 終わって、しばらくふるえていたくらい、緊張した。 とにかく、最初の段階は乗りこえた。これからどうなるか、とにかく始まったかんじ。 その後、ジュリアスシーザーをみんなで読む。 明日までに、ブルータスとキャシアスのどちらをやるか選んでおくこと。 僕は、今回のハムレットとは全然違うブルータスをあえてやってみようと思う。 帰りに、篠原さんと階下のおそばやさんで軽い食事。 今日の独白の感想をいろいろ言ってもらう。
| 2005年01月18日(火) |
ワークショップ2日目 |
今日、ロジャーは、まず、一人ひとつずつ「ジョーク」を言ってごらんという。 ジョークって……。結局、僕が思いつけないでいるうちに、次に進む。 ロジャーは、台詞がそこにあるんじゃなくて、俳優が自分自身としてそこにいるんだということを、何度も言う。やや、僕的な言い方になってるかもしれないけど、伝わってくるのはそういうこと。でも、その一方で、台詞に感情をのせすぎないで、台詞自体に語らせるというようなことも言う。矛盾してるようだけど、どちらも大事だと。今回のワークショップの終わりには、これがわかるようなると、ロジャーは言っている。 続いて、ソネット。やりたい人が、輪のまん中で演じる。 誰も出る人がいないので、一番最初にやらせてもらった。 休憩までに全員がやって、休憩の後、「みんなでソネットを書こう」ということになる。 俳優3チーム、演出家2チームで、14行の詩を書く。最後の2行は韻を踏んでなきゃいけない。 できるの、そんな?と思って始めたものの、みんなで詩をでっちあげるというのは、なかなかにおもしろくて、それ以前に、このメンバーで一つのものをつくりあげるというのが楽しい。7人のチームなので、1人2行ずつ分担して、わいわい作ってしまう。「できたよ、すごいよ!」と僕たちのチームは自画自賛で盛り上がる。 舞台に椅子を並べて発表。チームの代表として、僕が読ませてもらうことになった。ロジャーは「読み手を決めたら、その人にどう演じてほしいかをみんなで伝える」んだという。 僕も、1行ごとにみんなの意見を聞く。発表開始。他のチームはみんなすっごいシリアスでかっこよくてびっくり。僕たちのチームはかなりくだけていて、ロジャーの感想は「ファニー」だった。でも、いいよ。ちゃんと詩にはなってたし、客席の反応もよかった、ていうか、受けてたし。チームみんなで「イェーイ!」と盛り上がる。 後半は、独白。 「ハムレット」「シンベリン」のヤキーモ、「恋の骨折り損」のビローンが登場。 がんばれ!と思う人。すごいなあと思う人。見ているだけでもとってもおもしろい。 ロジャーの感想と説明を聞いて、僕はどうやろうかと考える。ソネットをずいぶんやらせてもらったので、僕の発表は明日にした方がいいかなと思う。 でも、終わり近くまでみんなとロジャーの演技を見ているうち、「早くやらないと、どんどんやりにくくなる」という当たり前のことに気がつく。 でも、しょうがない。明日、やってやろう。「ハムレット」の独白を。 って、何だか、ハムレットの独白の最後みたいだね……。
| 2005年01月17日(月) |
富士見丘小学校演劇授業 ワークショップ1日目 |
今日も朝から富士見丘小学校へ。 駅で、熊本の劇団きららの池田さんたちと合流。今日は見学していただくことに。 田中さんがお休みなので、歌の練習の前のウォームアップのためのゲームを僕がしきることになった。 二人で手をつないで、ひっぱりあってバランスをとる、Vの字になってという、前にやった遊びを今日も。二人組や三人組があちこちでできて、後半は、音楽室にいる全部のチームがいっせいにきまるというのをやってみる。男の子たちは無謀な「10人一度」に挑戦して、それが結構うまくいったりして、でも、あまりに場所をとってしまったので、女子がやる場所がなくなってとまどったり、とにかくわらわらする。 西野さんの歌の練習。先週やった1番のおさらいをして、みんながちゃんとおぼえていることに驚く。西野さんも。 その後、2番、3番を練習して、これもすぐにできてしまう。 照れがなく歌えてしまえる女子の方が、男子の何倍も声が出ている。 途中で、西野さんが、ピアノの前に男子を集めて、男子だけの練習をはじめる。 「声変わりしてる子は、無理しない方がいいよ」と、話しはじめたら、それまで歌ってはいるんだけど、どこかざわざわしていた男の子たちが真剣に話を聞き始めた。お休み状態になっている女子が今度はちょっとざわざわしてきた。そうしたら、一番ざわざわしてると言ってもいいくらいのダイテツくんが、女子に「うるさいよ!」とわざわざ言いにいった。びっくりした。男子はそれ以降、それまでよりも、いい集中のしかたをするようになったような気がする。 朝から3時間連続の音楽の授業。途中の休み時間には、ちっとも休まないで、みんなして暴れている。大人と子供では、「休憩」の意味が違うんだ。 3時間目の終わりに、先生方に聞いてもらう。西野さんが何度も言っている「お客さんは初めて聞くんだよ。だから、ちゃんと歌おう」という言葉の意味が伝わったと思う。 いい歌だ。青井さんの歌詞も、西野さんの曲もとってもいい。 大人はほろっとしてしまう。子供はどうなんだろう? 彼らが大人になったとき、なつかしく思いだして、歌ってくれるといい、そんな歌だ。
授業の後、先生方とうち合わせ。 今回、初めて図工の先生にお会いする。舞台に飾るオブジェについての相談。 毎回来るたびに廊下に貼ってある子供達の絵のすばらしさにぼくらはびっくりしていた。 6年生が書いたスニーカーの絵。そのスニーカーが語ってる言葉も書いてある。子供達はほんとにいい言葉をそこに描き出していた。このスニーカーの絵と言葉が使えないだろうかという話もしてみる。
午後からのワークショップのため、僕と篠原さんは、大急ぎで北千住に向かう。 ぎりぎりの時間に滑り込み、受付をすます。 僕は俳優コース、篠原さんは演出家コース。 講師のロジャー・リーズさん。イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニーにいたベテランの俳優さん。 視聴覚室の半分に客席が組んであって、半分は何もない空間、舞台。 はじめは、みんなが客席に座って、今回の12日間にわたるワークショップの概略についての説明を、演出家協会のみなさんと、ロジャーから。 続いて、俳優コースの面々は、舞台に輪になって座り、簡単なシアターゲーム。 今回のワークショップは、演技全般ということではなく、シェイクスピアを中心にした演技の研究。 膨大な課題についてのレクチャーを順番に。その時々にいろんな人が出て読んだり、みんなで読んだり。初めて会う人たちの個性がとってもおもしろい。僕がさぐってるように、みんなもさぐってる。「これがもう芝居だって気がしてくる」と篠原さんは言っていた。 正直、僕はあがってた。後半になって、ようやく落ち着いたんじゃないかと思う。 明日までに、ソネットの18番と自分が選んだ独白を覚えてくるようにという宿題。 「精読しておくように」という事前の連絡は、「覚えておくように」っていうことだったんだ、やっぱり。 6時までそれは中身の濃い時間が過ぎて、今日はおしまい。 帰りに、篠原さんの知り合いの山本くんと三人で食事。僕と篠原さんは、お昼食べる時間がなくて腹ぺこだったので。 山本くんは劇作家で、性同一性障害についての芝居を書いている。いろいろ話を聞き、思ったことをどんどん言わせてもらった。ちょっと言い過ぎたかもとやや反省。 話している間に、篠原さんに鶴屋南北戯曲賞の選考結果の連絡がはいる。新国立に書いた「ヒトノカケラ」が候補作。受賞は坂手洋二さんの「だるまさんがころんだ」だそう。「約束」の初日直前に見た「ヒトノカケラ」が、どれだけ僕を奮い立たせたかということを、初めて篠原さんに話す。「僕も僕にしか書けないものを書くんだって思った」と。
帰りの電車の中で、全く手をつけていないソネットの18番を覚える。 駅に着く頃には、なんとかなった。自転車に乗りながら、暗唱できるようになって、ほっとする。
| 2005年01月16日(日) |
「二人でお茶を」ごあいさつ |
夜中、TVでやっていた映画「シェルブールの雨傘」を見てしまう。もう何度目になるんだろう。 1989年、昭和の最後の年に、僕はこの舞台に出演していた。震災前の神戸のオリエンタル劇場での舞台稽古が終わって、明日は初日という日に、昭和天皇が亡くなった。明日の初日は開くのか中止か。結局、開いたその舞台はもしかすると、平成になって一番はじめに幕を開けた舞台かもしれない。 カトリーヌ・ドヌーブの美貌は、若さでいっそう輝いている。最近の「8人の女たち」での大女優ぶりを見ると、この映画でジュヌビエーヴを演じる彼女が二重写しで見えてくる。 大好きなラストシーン。再会したギイとジュヌビエーヴが、ほんとうに何もないまま別れるガソリンスタンドの場面。僕は、ガソリンスタンドの店員の役で出ていた。 画面いっぱいに降る雪を見ながら、オリエンタル劇場の舞台に降っていた紙の雪を思いだした。
DOUBLE FACEの「二人でお茶を」のご挨拶文をまとめたので、ここにもアップしておきますね。
<ご挨拶> 今回のお話は、1980年から2005年までの25年間にわたる二人のゲイの物語です。バーナード・スレイド作の素敵な舞台「セイムタイム・ネクストイヤー」、年に一度の浮気のデートを25年間続けた男女二人のお話を、日本のゲイにおきかえてみようというのがそもそもの思いつきでした。 舞台は札幌。年に一度東京からやってくる妻子持ちのゲイと札幌在住の母親と二人暮らしのゲイ。二人が過ごす一夜×25年間。昭和が平成になり、20代の二人が40代、50代になっていく、四分の一世紀。20世紀のおしまいから21世紀のはじまりにかけての時代をていねいに写しとっていけたらと思っています。 この25年間は、そのまんま80年代から今までの日本のゲイ・シーンのうつりかわりでもあります。90年代のゲイ・ブーム、そして、いつの時代も変わらないカミングアウトの問題、それに忘れてしまうわけにはいかないエイズも、二人がくりひろげるドタバタの背景に顔をのぞかせます。 物語が始まる1980年、僕は15歳。はじめて芝居を見たのがこの年でした。あれから25年。振り返ってみれば、電話からファックス、そして、ポケベル、携帯、インターネットと、通信手段だけでもこんなに変わってきています。今、僕がこうして文章を書いているパソコンだって、もとはワープロ、25年前には影も形もありませんでした。そんないろいろを小道具に使いながら、年に一度のデートのたびに起こるすったもんだの騒動を、おもしろおかしく描いてみようと思います。 世の中の様々なものが形を変えて進化してきたこの25年。それでも変わらないものは何なのかを、どんどん変わっていく時代と二人の役者の身体(!)をとおしてごらん下さい。 タイトルの「二人でお茶を TEA FOR TWO」は、ドリス・デイ主演の映画のタイトルから拝借しました。決して明るく楽しいばかりではない二人の25年を「TEA FOR TWO」の軽やかなメロディとともに、ちょっとせつないコメディとしてお送りします。 あなたの25年はどんな時代でしたか? そんなことを考えながらご覧いただけたらと思います。ご来場をお待ちしています。(関根信一)
午後から、富士見丘小学校の宮校長先生の書道の展覧会に銀座の鳩居堂画廊へ行く。 宮先生からお話をうかがいながら、宮さんの義理のお母様の書かれた詩を書いた書を拝見する。いい詩、いい書だなあと素朴に思った。 さすがに書の展覧会、受付で記帳するのが筆。筆をもつのは何年ぶりだろう。ほんとに指が震えてしまって、自分でもおかしかった。そんでもって、恥ずかしかった。 その後、UZU君の個展を見に、新宿のラヴァーズ・ロック・カフェへ。 UZUくんには残念ながら会えず、お花を預けて失礼してくる。
今日はなんて寒いんだろう。 オイルヒーターは今ひとつ「あったまってる感」に乏しいので、この頃は、キャンドルを灯していることが多い。 全然本来の役目じゃないんだけど、さすがに火が燃えてるっていうのはあたたかい。ので、ちまちまと火の用心をしながら、ひとりロマンチックごっこをしている。 マルゴリータなすからもらったものやら、あちこちで見付けては買い込んでおいたものが冬場になると「暖房目的」でどんどん燃やされている。 100円ショップでずいぶん前に買った、ペパーミントの香りがするというキャンドル。 よく見たら「ちゅラい」って書いてある。「ちゅうい(注意)」って書きたかったのね。 ラベンダーやら何やら、ほかのものも全部「ちゅラい」。MADE IN CHINA。
夜中、NHKのドラマ「ER8」を見る。 憎まれ役ケリー・ウィーバーがレズビアンだとカミングアウト(アウティングに近い)して、波紋を呼んでいる。「いて当然」という常識のなかで、それでもやっぱりいろいろあるっていうのが、興味深い。 こんな話がとってもリアルに描かれてるドラマってない。やっぱり見てしまう。 そういえば、「アリーmyラブ」に出てた、ポーシャ・デ・ロッシもカミングアウトしたんだよね。こちらは、実生活での話。
DOUBLE FACEの公演のタイトルを決める。「二人でお茶を TEA FOR TWO」。 ドリス・デイ主演の映画のタイトル。 映画のタイトルを拝借するのは、久し振りだ。 以前は、よくやっていた。「美女と野獣」「秘密と嘘」「陽気な幽霊」「オープニングナイト」。 今回もまた、オリジナルの映画とは全然関係ないお話になる予定。 サブタイトルを「ホテル『白い恋人たち』の25年」にしようかと思ったがやっぱりやめておく。そんなに説明しなくてもいいよね。
明日は雪らしい。 出掛けなくていいように、スーパーに出掛けて、食材をわらわらと買ってくる。 この間、重たい思いをしながら買ってきたコントレックスの1.5リットルボトルが、同じお買い得値段で売っていてがっかりする。ブームに乗った輸入しすぎか。 夜遅くまでやっているスーパーは、それなりに人がいるのに、生鮮、特に肉が全然なくなってしまっている。 水につけておいたひよこ豆でカレーをつくろうと思ったのだけれど断念。トマト煮込みに変更。
電車の中で、ワークショップの課題の台詞を覚えようとする。自分が書いたんじゃない台詞を覚えるのはひさしぶり。 ハムレットの独白からとりかかるが、なかなか入ってこない。 今回は青井陽治さんの新訳。以前覚えたものとごっちゃになってしまい、はかどらない。 原文との対比をしているととてもおもしろい。英語のもつリズムがもうそれだけでわくわくするほどだ。 「おお、復讐!」は「Oh,vengeance!」。日本語だとよくわからない「ただヘキュバのため!」っていう言葉も「For Hecuba!」って声にしてみると、日本語にはない力強さが伝わってくる。なんておもしろいんだろう。 日本語に翻訳された時点で、英語の響きのおもしろさは失われるけど、そんな響きがあったんだってことは、覚えておきたいと思う。 朝、同じく課題になっている「ジュリアス・シーザー」の場面のため、押入から新潮文庫の「ジュリアス・シーザー」を探し出した。昭和60年の出版。養成所にいたときやった課題のために買ったんだとなつかしい。
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