せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2004年12月04日(土) 「贋作・毛皮のマリー」稽古

 gaku-GAY-kaiの稽古初日。
 稽古場へ向かう途中、アルピーナさんとうち合わせ。
 フライングステージとしても久し振りの稽古。
 のぐ、まみー、としくん、りょうちゃん、ながやまくん、それに、早瀬くんが遅刻して参加。
 みんなに今回はこんな話だよというのを説明。それぞれの役どころも伝える。
 今日は、オリジナルのテキストを遊んでみる。
 帰りには、酒部長りょうちゃんの引率で酒部活動。
 とっても早い土曜の終電に間に合うよう帰ってくる。


2004年12月02日(木) 青年座「桜姫東文章」@OFF・OFFシアター

 朝、ジオラマ・マンボ・ガールズのベリンダ・ツルモトから、今年は参加できないかもしれない旨のメールが届く。ダンスの先生のお仕事が忙しくなってしまったのだそう。どうしよう! 企画もろとも再検討だ。
 昼間、「毛皮のマリー」に早瀬くんに出演してもらえるようお願いする。出演者のスケジュールの調整で、当初のプロットを大幅に変更する。
 アルピーナさんからスケジュールが届く。予定よりも早く稽古入りしてもらえそうだとのこと。よかった。

 夜、下北沢に青年座「桜姫東文章」を見に行く。来年ご一緒することになった原口優子さんが桜姫を演じている。一倉梨紗ちゃんと作・演出の松本たけひろくんと一緒。
 大南北の「桜姫東文章」の全編をきっちりと見せてくれる台本。
 え、こんな役あったっけ?なところまでを一人一役で、全て女優さんたちが演じていく。
 序幕の江ノ島稚児ヶ淵の場面は人形劇。黒衣が登場して、遊び心たくさんな芝居づくり。
 それから本編が始まってからも次から次へと登場する役々が、もうやりたい放題なかんじでとっても楽しい。
 女優が演じる男役がどんどこ出てくるんだけど、ある人は宝塚風だったり、ある人は女剣劇風だったり。衣装もそれぞれでとっても楽しい。花組芝居ほどの確信犯ぶりとやりすぎ感はなく、ちょうどいいやりたい放題感。ひげの描き方、もみあげの描き方にとってもこだわりが感じられる最前列での観劇。釣鐘権助はどこかNYのハーレムのにおいがした。
 そのまん中で桜姫を演ずる原口さんは、ロリータから始まり、最後はマダム風へと、見事な変貌をとげる。台詞はどれも、南北の文体のまま。歌舞伎のやりとりとは全然違う、現代風な意識のやりとりが古風な台詞にのっているのが、とってもおもしろい。歌舞伎の役々はどこかで、生理的な部分を「なし」にしないと成り立たないものじゃないかと思うのだけれど、原口さんの桜姫は、女の子が女になっていく生理をきっちりふまえてそこにいる。女の生身の体をもった桜姫というのを初めて見たような気がした。
 局長浦を演じる今井和子さんがすばらしい。南北の台詞をしゃべりながら、こんなに捨ててしまっていいのかいというくらい、さらさらと流していく。歌舞伎座では絶対にできない台詞術だ。
 カーテンコールは、出番の終わった女優さんたちは、すっかり素に戻っての登場。ようやく、あ、あの人だったんだとわかるが、逆に、何をやっていたのかがわからなくなったりもする。
 終演後、べったこで軽く飲む。松本くんと初めてのおしゃべり。彼は2002年のパレードを歩いてくれたんだそう。そんな話しもいろいろ聞く。
 原口さん、一倉さんとも初飲み。いいお酒を飲んで、楽しく帰ってくる。

 UZUくんからフライヤーデザインが届いた。
 夜遅くに申し訳ないと思いながら、出演者等の修正等もろもろのお願いをする。


2004年12月01日(水) 「生きながら火に焼かれて」

 アムネスティのリーディング台本の構成のために、「生きながら火に焼かれて」を読み直す。
 シスヨルダンのスアド(仮名)という女性が、19歳で恋に落ちて、子供を身ごもったために、一族の恥であるとして焼き殺されそうになる。いわゆる「名誉の殺人」だ。この本は、彼女が人権団体の女性ジョセフィーヌに救われてスイスへ逃げ延び、その後二十数年経ってから当時を振り返り手記として書いたもの。
 部族社会の中での抑圧された女性の生活ぶりはすさまじい。男性=抑圧する側として、ずっと読んでいると、彼女をスイスへ送るために両親がエルサレムへビザの申請にいく場面の緊張感に息をのむ。抑圧する側だった彼らもまた、イスラエル人に対してはまた、被抑圧者となるのだ。この果てしない暴力の構造の不毛さに唖然とする。
 現在もまだ「名誉の殺人」は続いているという。アムネスティが集めた、女性たちの詩のほかに、スアドさんの声と人生をきっちりとりあげて、いい台本にしたいと思う。
 このエルサレムでの場面を取り入れることで、くり返される暴力の構造のおおもとが見えてくるような気がする。

 篠原さんと西山水木さんから、来年、熊本で開催される劇作家大会の案内をいただく。99年の札幌の大会では、篠原さんと出会い、戯曲賞の候補になっていた「ゴッホからの最後の手紙」のリーディングを行った。あれから五年。今度は、劇作家としてお手伝いをしようと思っていたら、大会の日程が判明。3月18日〜21日。DOUBLE FACEの公演とまるかぶりだ。
 篠原さんに、申し訳ないけれどと電話をかける。もっと早く知ってたら、どうにかしたんだけど。お手伝いできなくてとても残念。篠原さんたちにぼくの舞台を見てもらえないのも残念。


2004年11月30日(火) 富士見ヶ丘小学校演劇授業

 富士見ヶ丘小学校で演劇授業。今日は、学習発表会の感想をみんなに行ってもらう。
 青井さんがリードして、まず子供達、そして、篠原さん、田中さん、ぼく、それから、ずっと取材しているカメラクルーのみなさん、先生方と、みんなの感想を共有する。
 子供達が実にいい笑顔でこの場にいることに感動する。
 前はこんなじゃなかった。
 いいチームができているんだなとあらためて思う。
 
 帰り、高円寺に寄って、アメリカから輸入してもらったカラオケCDを受け取る。
 マミーとしばらくおしゃべり。
 これで作詞を始めることができる。帰りの電車の中で聞こうと思うが、やっぱり電車は気持が悪い。いらいらしながら眠ってしまう。
 部屋に戻って、たまっていたメールに返事を書く。
 熱はようやく36度代に。
 カラオケのCDはなかなかに手強いかんじ。去年のシカゴのような完成度とはちょっと違う音質。どうしようかあれこれ考える。


2004年11月28日(日) 「春謡会」@浅草公会堂 「羽衣リサイタル」@白萩ホール

 制作の高市氏が参加する新舞踊の会「春謡会」のため浅草へ。
 15時に来ればだいじょぶという高市氏のアドバイスのとおり15時着。彼の出番の前後だけを拝見して、大塚隆史さんの個展に行き、その後、UZUくんとフライヤーのうち合わせをしてにしやんの芝居を見るという、今日はもりだくさんなスケジュール。というか、体調が悪くてずっと先送りにしていた用事をまとまってかたづけなくてはいけない日。
 高市氏の出番は押しに押して、終わったのが17時過ぎ。いろいろたっぷり見ることができたよかったのだけれど、この時点でタックさんの個展には伺えそうもなくなる。
 家元の踊る「お祭り」がさすがの見事さ。その他の出し物も衣装と鬘のセンスがとってもいいい。ただギンギラするんじゃない、しっとりしたかんじですばらしい。
 高市氏の「女人忠臣蔵、七段目お軽」は、忠臣蔵の七段目のお軽の芝居を古典と新舞踊とを交互に折り込んだ構成。高市氏、もとい、妙左さんの新舞踊は初めて。お軽の着付けもいつもシャープな色味が多いのでとても新鮮。去年のgaku-GAY-kaiの「セ・フィニ」以来の踊りを堪能する。
 新宿でUZUくんとうち合わせ。gaku-GAY-kai 2004のフライヤーデザインについてあれこれ相談する。
 その後、にしやんの「羽衣リサイタル」へ向かうが、フライヤーを忘れたことに気がつきパニック。白萩ホール、たしか職安通りの向うだと思ったけど……
 NTTに聞いてもわからず、いっこうちゃんに電話するがつながらず、あちこち歩く。
 早瀬くんに電話して、教えてもらい、15分遅刻してたどりついた。結局30分以上この界隈を歩き回ってしまう。
 暗い教室の廊下を懐中電灯で案内された先にそのホールはあって、まるで学園祭の教室でのライブみたいな雰囲気。
 布団がしきつめられた修学旅行?の夜に女の子達ががんがん唄いまくる。
 にしやんが唄う「窓辺のワルツ」に涙する。思いの届き方のようなものが特別だよねと改めて思う。
 終演後、にしやんに挨拶して失礼する。
 高市氏に電話して今日の感想を。途中でバッテリーがあがったので、あわててハイジアの一階の公衆電話から続きを話し、地下鉄に乗る。
 帰ってきて、熱を計ったら、7度3分。もう直るのかとちょっとほっとする。 
 


2004年11月27日(土) 富士見ヶ丘小学校 学習発表会 二日目 VOICE 04

 がたがた震えて起きられない。熱は7度7分。朝からラッキーと思いながら、朝からこれでは昼間どうなるんだろうかとちょっと心配になる。
 9時過ぎに四谷区民センターへ。
 毎年お手伝いをしているぷれいす東京主催のHIV啓発イベント「VOICE」。
 まなぶくん、あにたもくんとうちあわせして、10時に富士見ヶ丘へ向かう。
 5年生の発表から見ることに。終わって、6年生を舞台裏に訪ねる。
 よかった、みんないい顔をしてる。
 今日は、保護者のみなさんが見に来る日。客席のビデオカメラ率が高いのにびっくり。
 それでも、昨日よりもずっと反応がいいのは、大人の方がわかるってことなんだろうか。
 拍手がちゃんと届いたり、笑い声が起こったりするので、みんなも乗っているのがわかる。
 みんなで作っているという空気が見事に生まれている。
 え、もう終わりなの?というくらいいい時間が流れて終了。
 これまでちゃんとしゃべったことのない子どもたちが、きちんとしゃべっていることに感動する。先週まではこんなじゃなかったよね。
 大きな声を出そうとか、はっきりしゃべろうっていうことももちろんだいじだけど、自分の思いを自分の言葉をちゃんと伝えることができるっていうのは、なんてすごいことなんだろう。
 ぼくは、小学校六年生のとき、区の合同音楽祭で開会の挨拶をすることになり、あがって泣けてきてしまって涙ながらに帰ってきた思い出がある。今、自分が思ってることを言ってごらんと言われたら、当時のぼくは、きっと何も言えなかったに違いないと思う。子供達を見ながら、できて当たり前の演劇人のぼくじゃなく、何も言えない小学校六年生のぼくとして、向き合っていたいなと改めて思った。
 「思い通りにならないけれど」は昨日より、ちょっと元気がなかった。いつも実は楽しみにしてる、さいごの「ウォウウォウウォウ!」もいまひとつ。いつも元気にはじけてるあきとを見たら、これでいいんだという顔でるんるん唄っていた。
 お疲れさま、いい舞台になったね。
 お昼をいただきながら、今日の発表について話す。
 一時に大急ぎで富士見ヶ丘を出て、四谷へ。
 四谷のリハーサルは順調に進む。
 反射板をおろしたままの舞台で、緞帳を降ろさないということもあり、これまでにないシンプルな進行が可能になっている。
 手伝いに来てくれた荒くんを発見、お願いそばにいてと頼んで、ずっとぼくについていてもらうようお願いする。
 リハーサルは予定通り終了。
 本番も定時開演。
 今年もまた舞台袖で、進行のお手伝い。
 「バビ江ノビッチ・バビエ」「おわっとう」「YUKIMASA」とにぎやかにもりあがる。
 続く、ぷれいす東京制作のビデオは、HIVに感染した当事者の声をそのまま伝えるというもの。体の一部を映しながら、生の声がまっすぐに届く。
 後半は、「ディベルッティメント」「スキンエコー」、べーすけさんのピアノ、ブルボンヌとエスムラルダのショー、最後は、「世界に一つだけの花」を全員で唄って終了。
 ブルちゃんのショーは、風の谷の村長ナウシカへのインタビューを、サンプリングで構成したもの。あんなに笑ったのはほんとにひさしぶり。おもしろかった。
 予定を五分だけおして、終了。片づけをばたばたとして、9時半に撤収。ぼくは、打ち上げには顔を出さずに地下鉄に乗って帰ってくる。乗ったとたんにダウン。へろへろになりながら帰宅。いっこうちゃんにメール。熱は7度6分。明日は昼間で眠れる。明日一日頑張れば、一休みできる。


2004年11月26日(金) 富士見ヶ丘小学校 学習発表会 一日目

 富士見ヶ丘小学校の学習発表会本番。
 9時から始まる会の初めから見ようということで、7時前に家を出る。
 一年生から順に劇や歌や合奏や研究発表がもりだくさん。
 一年生の劇「のはらのうた」は、もんしろちょうのさなぎを前に、虫たちがつぎつぎとやってくるお話。踊るアリたちの中に、一人とっても光ってる子を発見。篠原さんと、こんなに小さい頃から演劇に対する向き不向きが見えちゃうのってすごいよねえと話す。
 二年生は、「はだかのおうさま」。ミュージカルになっているのがおもしろい。「わたしには見えな〜い♪」のように。はだかになってしまう王様が寒そうだった。ぼくは上手のはしにいつもいた、やる気のない、みょうに味のあるラッパ吹きがツボ。
 3年生は、このあたりに伝わる「高井戸ばやし」の発表。歴史を調べて、保存会の方に教えてもらって、みんなでお囃子を演奏した。
 4年生は、「学習発表会物語」。みんなで何をやろうか考えるようすをそのまま劇にした。幕の前であれがいいこれがいいと話をして、幕が開くとその場面が演じられるという趣向。「タイタニック」「水戸黄門」「マトリックス」となかなかにおもしろかった。水戸黄門のかつらは、紙でできていて、とっても帽子のようなんだけど、「これはちょんまげ!」という意志がかんじられるできあがり。袴にみせかけたスカートや、着物の柄が、近くでみるとかわいいくまの顔でできてたり。
 5年生は、手話を使った合唱と合奏。始まったとたんに、心打たれてしまう。かなりわかりやすい自分におどろきながら、感動。
 いよいよ6年生。それまで、みんな最上級生として照明をあてたりいろんな仕事をしていた。そんなみんなの姿は、授業で会うときよりもずっと大人に見えてドキドキする。
 みんなは舞台にあがって、ぼくらは下手側で応援する。
 今日は、地元の幼稚園保育園の子供たちが大勢見に来ている。小さな子たちがはたしてちゃんと見て聞いていてくれるだろうかというのが一番の心配だったのだけれど、全然だいじょうぶでびっくりする。むしろ、高学年になるほど、だんだん集中が切れてきたかんじ。
 子供達は、りっぱに舞台を努め、最後の「思い通りにならないけれど」も楽しく歌えた。
 初日が無事に開いたねえという気分で、校長室でお昼をごちそうになる。
 午後から、子供達がこれでいいのかどうか心配しているという声を聞き、急遽、5時間目を使って、篠原さん、田中さんと一緒に、子供達に話をすることになった。
 マイクの使い方や、みんなでやってることはとってもすごいことなんだよということ、自信をもっていいんだよということなどなど。順番に話をした。
 田中さんは、俳優としての立場から、いきいきとみんなと励ましてくれた。
 篠原さんは、劇作家としての立場というよりも、これまでずっと彼らを見てきたおねえさんとしての言葉を。
 ぼくは、ちょっとやってみようと言って、実際に舞台でやるよりはずっとシンプルな質問、生年月日や星座や好きなテレビの話をみんなでして、それをみんなで聞こうということを。
 話しながら、どんどんみんながもりあがっていくのがうれしい。
 45分の予定をずっとオーバーして、みんな元気に出て行ったところでおしまい。
 三人の結束も強くなったような、そんな5時間目だった。
 子供たちに「明日も来てくれますか?」と尋ねられて、三人そろって「もちろん」と答える。
 ああ言われては来ないわけにはいかないよねと篠原さんと話す。明日はVOICEなのでごめんなさいするつもりだったのだけれど、なんとか来ようと思う。

 仕事に遅刻して行こうと思ったのだけれど、電話して、やっぱり休ませてもらうことにした。 夜はにしやんの舞台の予定。電車にのってうつらうつらしているうちにまた熱が上がっていくのを感じて、やっぱり今日は休もうと決心する。にしやんにメールと電話。明日のVOICEのうち合わせを生島さんとする。中抜けが可能になりそう。よかった。
 夜、帰ってきたネコを抱えて眠る。熱は下がらない。


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