せきねしんいちの観劇&稽古日記
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| 2004年01月15日(木) |
演劇人の会ミーティング る・ばる「片づけられない女たち」 |
昼から、梅ヶ丘の燐光群さんのアトリエで「非戦を選ぶ演劇人の会」の集まり。 イラクから帰っていらした平田伊都子さんのお話を聞く。 新聞やテレビの報道ではわからないイラクの今の話をいろいろ伺った。 自衛隊の派兵も決まってしまった今、これからどうなるのか? 一番忘れられているのはイラクの人たちのことだという話に大きく頷く。 後半は、会のうち合わせ。2月の燐光群さんの公演中のスズナリでイベントをやろうという話が決まる。 永井さん、篠原さん、くまがいさんと梅ヶ丘のうどん屋で食事をした後、豪徳寺から世田谷線に乗ってシアタートラムへ。永井さん作演出のる・ばる公演「片づけられない女たち」を見に行く。 五十過ぎの三人の女たちの芝居。連絡がとれないので、心配になって来てみると部屋はものすごいちらかりよう。ていうか、ゴミの山。 夜の十時過ぎから、その山を片づけはじめようと決心する三人の、リアルタイムな1時間40分。 片づけ始めては、すぐに別のおしゃべりに夢中になってしまう。片づけようとするために余計ちらかってしまう。そんな、ほんとうなら「バカじゃないの?」ないろいろが、なんだかとってもいとおしかった。 高校のバスケット部の同級生な五十代の三人の中には、17歳の彼女たちがちゃんといるのもうれしい。 作劇や演出に、斬新なものすごいものはないんだけど、ほっかりとほんとにいい芝居だった。 篠原さんに、フライングステージの芝居に似てると言われる。たしかにそうかもしれない。人間がちゃんとそこにいて、さもない話で右往左往しているかんじ。僕も見てて、そんなことを少し思ってたんだった。 終演後、永井さん、篠原さん、劇作家セミナーの谷さんと飲むことに。 台本を書く大変さについて、大いに盛り上がる。 すっかり終電を逃し、僕は、練馬へ帰る永井さんと一緒に車で高円寺まで。 永井さんごちそうさまでした。 今日は一日、ほんとに濃い一日だった。 毛布にくるまってもなかなか寝付けず、いつまでも起きている。
| 2004年01月14日(水) |
フライングステージ初稽古 |
フライングステージの今年最初の稽古。なんだけど、参加者は、僕とマミーとマッスーの三人。 基礎トレをばっちりやるぞ!と新しいスウェットを持ってったりしたんだけど、その気合いはすぐにトーンダウン。三人で、ストレッチをしながら、だらだら話す、「お正月ってかんじだよね」(マミー談)な稽古。 早めに上がり、「よーし、飲みに行くぞ」となったが、大戸屋でご飯、ビール付きとこっちもトーンダウン気味。 それでもわいわい飲んで楽しい、初稽古。 帰りの電車で、3月の「Four Seasons 2」のフライヤーデザインを2人に見てもらう。 「いいじゃん、かわいいじゃん!」(マッスー談)。 「『この人は出ません』って書いとかないとね」(マミー談)。
| 2004年01月13日(火) |
少年王者舘 KUDAN Project「真夜中の弥次さん喜多さん」 |
池袋のシアターグリーンで、少年王者舘 KUDAN Project「真夜中の弥次さん喜多さん」を見る。 少年王者舘は去年に続いて二度目。でも、今度は別プロジェクト、二人とも初めての役者さんだ。 しりあがり寿の原作を舞台化したもの。一昨年、見逃してたので、今回は是非とも見たかった。 いやあ、おもしろい芝居だったなあ。 「エセ」でリアルじゃない江戸から、リアルな伊勢(イセ)に行こうとする二人が、川沿いの宿で足止めを食ってる。その宿の部屋は江戸の喜多さんの部屋にも似ていて……。 雨が降り出すと、「ふりだし」に戻ってしまう、どうどう巡りなやりとり。二人の会話は、ヤク中の喜多さんの夢の中の出来事のような、そうでないような。 この夢が本当かということを延々、確かめていく過程が、舞台の嘘とのかけひきのようでね、なんともよかった。 見えないうどん(本当に蕎麦屋に注文して出前を取ってる)が、ほんとにあるのかないのか?部屋の壁、客席にむかった「第四の壁」はほんとうにあるのか、天井はほんとうにあるのか? 天井には「しおうめ」がいっぱいぶらさがっていて、その中からは「塩梅=梅干」が転がり出てくる。 どこまでが夢でどこまでがリアルかということを、もういいよというくらい、何度も何度もくり返しているうちに、いつの間にか、見ている僕たちも、この芝居の世界づくりに荷担してることに気がつく。 最後の場面、エンドクレジットが映写される中、ものすごい勢いで全ての装置が取っ払われていく。これでおしまいかと思ったら、最後に二人が登場して、襖の向こうに。その襖が倒れると、そこにはもう誰もいない。 見事なラストだった。これで、カーテン・コールもなしに終わるのもありなんだろうけど、きっちり二人が出てきて、挨拶。その加減も、ちょうどよかったね。 シアター・グリーンの閉館記念公演には、とってもふさわしい。劇場の夢がいっぱいの不思議な芝居になってた。あの原作が、こんな「劇場愛」の物語になってるなんて、思いもしなかった。 シアターグリーンは、僕が17歳のクリスマスに初舞台を踏んだ劇場だ。高校時代の友達と一緒に立ったその舞台は、ほんとにヒドい芝居で、次々降板していく仲間の後、僕は意地になって舞台に立ったんだった。で、初日のカーテンコールで出演もしていた作演出家が「稽古不足でごめんなさい」とお客さんに謝った。僕は、打ち上げにも顔を出さずに、彼らとはそれっきり絶交。今、思うと、もっといいやり方あったんじゃないの?という気がしないでもないけど、当時の僕にはそれがせいいっぱいだった。 そんなわけで、この劇場は、僕にとって、とっても「負」なイメージを持ってる小屋だ。 その前も後も、いろんな芝居をここで見たけど、いつも思うのは、この劇場がなんとも言えない、怪しさを持ってるということ。 芝居を見始めたばかりの高校生だった僕には、芝居=悪くて怖くて後ろめたいモノの代表みたいな小屋だったのは間違いない。 今日のこの芝居は、他の劇場でやっても、きっと十分成り立つんだろうけど、このシアターグリーンという小屋でやってこその怪しさが上乗せされてたと思う。その「おまけ」を堪能したのは、きっと僕だけじゃないとも思う。 ラスト間近に、ほんとうの真っ暗闇の中でセリフだけが聞こえてくる場面がある。その中で「手は握られてる時だけ、手だってわかるんだ」というセリフがとってもしみた。本当の闇が出来る劇場は、実はそんなにない。味のある「真っ暗闇」が実にいい芝居だった。 とっても満足して帰る。 でも、すぐに帰ってしまうのはもったいない気がして、池袋の街をふらふら歩く。歩いてるうちに、区役所の方まで行ってしまい、豊島区民センターの前の公演でひと息つく。 初めて池袋演劇祭に参加したとき、CM予告編大会の練習をここでしたなあと思い出す。 今日も帰りは、西新井までバス。いい芝居を見た後のゆったりしたいい気持ち、知らない人にもやさしくなれてしまうような、そんなかんじ。
新宿でジュンちゃんと待ち合わせ。「東京レズビアン&ゲイパレード2002」のビデオをもらう。ウルフくんと三人でしばらくおしゃべり。 食事をして帰った後、夜、WOWOWでやってた広末涼子、筧利夫主演「幕末純情伝」を録画しながら、つい見てしまう。想像してたよりもずっとずっとよかった。 むちゃくちゃ寄りまくりのカメラが、この芝居には妙に合ってたかもしれない。
今日の昼間、日比谷公会堂であった「イラク派兵に反対する会」には、結局、仕事で行けなかった。 そのかわりのように、今日は一日、戦争について、ずっと考えている。 「せりふの時代」の最新号を買って、座りっぱなしの東武線〜半蔵門線の車内で読む。 平田オリザ作「南方俘虜記」、アリエル・ドーフマン「The Other Side/線の向こう側」。戦争についての戯曲。 アリエル・ドーフマンは「死と乙女」で有名な作家だ。 まもなく新国立劇場で上演されるこの戯曲は、架空の国の国境を舞台にした三人芝居。 なんて力強い作劇なんだろう。シンプルな言葉の持つ力の強さを改めて感じる。 翻訳されても、それでも薄まっていかない言葉の魂のようなもの力強さ。 不条理劇のような、ファンタジーのような、リアリズムのような不思議な芝居だ。 一度読んで、もう一度読み返す。 出演は、岸田今日子、品川徹、千葉徹也の三人。とってもナイスなキャスティングだと思う。 楽しみな芝居がまた一つ見つかった。 僕が戦争について書くとしたらどんな芝居になるんだろう? 前に篠原さんと話していたとき言ったのは、「ローマの休日」のゲイ版のアダプテーションだと思うということ。僕が書く、戦争と平和の物語は、きっとそんな切ないコメディになるんだと思うと。 今、また新しい地点でまた違ったことを考えはじめている。その考えが一本の芝居になるのは、いつだろう? まずは書いてみることか。
仕事の帰り、池袋から西新井までバスに乗ってみる。 疲れて、どうしても座って帰りたかったので。 池袋で読む本がなくなり、NHKの人間講座「こんにちは、一葉さん」のテキストを買う。 作者の森まゆみの「一葉の四季」は前に読んでたんだけど、あまりぴんとこなかった。 なんだけど、このテキストはおもしろい。 写真がいっぱいでね。明治初年の崩壊した江戸城の様子とか、戦争で荒れ果てた上野の寛永寺とか。ああ、ここを天璋院は明け渡したのね……などと勝手に感慨深い。 作品の解説というだけでなく、一葉の交友関係に立ち入っているのも興味深い。 井上ひさしの「樋口一葉に聞く」もよかったけど、こちらの方が、手に取るようにわかっていいかもしれない。 知らない暗い道をバスで行きながら、読み終えてしまう。 ほんとに久し振りな西新井駅西口。駅前の花屋で、水仙を買って帰る。
仕事の行き帰りの読書で、有吉佐和子の「悪女について」を読む。大好きな本だ。 中学一年の時、ドラマ化されて、主演は亡くなった影万里江さん。ドラマでは考えられないようなオールスターキャストで、一話に一人、登場する人物が、虚飾の女王、富小路公子について語っていく。 朝と夜で読み終えてしまう。ほんとにるんるん読んでしまう。 こんなふうに「惑溺」して読んでしまう本が僕にはあと何冊かある。 まず、モームの「劇場」。中年の舞台女優が主人公のバックステージもの。「ガラスの仮面」の元ネタはこれか!と思うようなエピソードが楽しい。 それから、樋口一葉の「にごりえ」「たけくらべ」「十三夜」といった作品群。悲しい気分の時に聞く中島みゆきのように、気持が沈んでしまうとき、僕は一葉を読んでいる。 ともあれ、久し振りにのんびり読書な時間が持てて、しみじみと幸せ。
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