せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2003年10月09日(木) 演劇部稽古 Mナイト「みゆきの子供になりなさい」@Qube

 小松川の演劇部に顔を出す。
 高校生は忙しい。授業が終わっても、なんだかんだと用事があって、なかなか全員集まれない。
 その間に、小道具の確認やら衣装の着付けやらをしてから、なんとか通し稽古をはじめる。
 今日は、三年生のノンちゃんが来てくれている。本番は、舞台の裏に着いてくれることになった。
 芝居は、今日もとってもうるさいバドミントン部の前でしっかり進んでいく。
 ふっと静かになったときが、とってもうれしくて、芝居がしみじみとよくわかる。そんな瞬間がおもしろい。
 一回できあがった後の二日落ちのようなものにはまりこむ前に、本番が迎えられそうだ。
 終わった後、ノンちゃんは、「短い期間でよくここまで変わったと思う」と言っていた。
 僕も同感だ。
 今日もタイムは変わらず。始めるのが遅かったので「マキ気味にやってね」と言ったのだけど、これっぽっちも変わらない。最後も途中経過も。それもまたよしかもしれない。


 夜は新宿のQubeでMナイト。アルピーナさんがプロデュースしてる、Mで始まるアーチストのリスぺクトイベント。
 あまり早く行ってもと思い、喫茶店でパソコンに向かい、メモ書きをたくさんする。
 で、9時過ぎにMナイトへ。
 第二シーズン二回目の今夜は中島みゆき。これまで取り上げたのは、松田聖子、松任谷由実、槇原敬之、などなど。
 アルピーナさんに挨拶をして、さくっと帰ってくる。
 立ち話で、「gaku-GAY-kai2003」の「贋作・大奥」のアルピーナさんの出番についてうち合わせ。
 おなじみの聖子ちゃんショーの曲目を決定する。

 帰りの電車の中で、永井愛さんの「こんにちは母さん」をまた読む。
 大好きな芝居だ。
 エッセイ「中年まっさかり」に書かれているいくつものエピソードが、戯曲の中に取り込まれている。「兄帰る」にも同じような「生な言葉」が折り込まれていて、読んでいるととても切なくなってくる。
 芝居をつくっていく上でのしんどさのようなもの、逃げられない苦しみといった、作者の生な感情が登場人物に生きていることに感動しながら、なんて上手いんだろうと感じ入る。
 ほんとに苦労して書いているんだなあとしみじみ思う。
 また、苦労しないで書かれたものなんて、何一つないんだなとも。
 僕も、もう一がんばりも二がんばりもしないといけない。

 初日まで、あと41日!


2003年10月08日(水) 日暮里、浅草、「イヌの仇討」

 朝から予定していた仕事が急になくなってしまい(うち合わせはしたんだけどね、結局企画自体がなくなって)、下準備をしていたのでややがっかりしながら、昨日の続きの矢絣の布地探しに日暮里に出掛ける。

 おなじみのトマトで探したのだけれど見つからない。惜しいのはあるんだけどね。
 上の階に行こうとエレベーターに乗ったら、乗り合わせたおばさんに「おしゃれですね」と話しかけられる。エレベーターの中は、僕とおばさんの二人きり。
 「え、そんなことないですよ」と返事をしたら、おばさんはとてもびっくりしたようす。さらにあわてて「あ、そうなの……。でも、いいかんじよね……」などとしどろもどろになってしまい、三階で降りて行った。
 どうやら、彼女は僕のことを「おばさん」だと思い、「おばさんにしてはおしゃれ」だと思って声を掛けたらしい。それが、男の低い(低め)の声で、おばさんじゃなくておじさんだということが判明。びっくりしたというわけらしい。
 僕は別にちっともおしゃれな格好をしてたわけじゃなくて、黒いジーンズにブーツ、アロハシャツの上にGジャンを羽織って、頭は金髪。
 たしかに、「おばさんにしては」というカッコがつけば、「おしゃれ」なのかもしれない。
 それにしても、昨日、ヒゲをそったばかりで、こんな目にあうなんて……。「自然なおばさん度」が上がっているということか。

 日暮里で何も見つからなかったので、浅草に向かおうと決心。錦糸町行きのバスで下谷、根岸、竜泉を通って、浅草寺の裏で降りる。
 浅草寺の境内に入ったら、ちょうど「平成中村座」の裏手だった。
 何やら人が集まっている。どうやら、昼の部の「鏡山再岩藤」のラストシーンが近いらしい。
 舞台の裏側が道(?)に面していて、大きなクレーンに黒衣さんが何人もスタンバイしている。
 そのうちに、舞台が大きく開いて(幕は下りてる)、勘九郎さんが走って出てきた。と見る見る、クレーンに身体をしばりつけてる。幕が振り落としでなくなって、客席が全部見えるようになったところで、そのまま舞台へどーんと……。
 宙乗りじゃなくって、クレーンで上下っていうのが、串田さんっぽい演出だなと思った。
 道に集まった僕たち(総勢三十人くらい)は、開いたまんまの幕の後で、クレーンに乗った勘九郎さんが上下している様子と、大喜びのお客さんの様子を拍手しながらずっと見てたんでした。クレーンと一緒に勘九郎さんが、舞台奥に引っこんで来て幕。
 勘九郎さんは、黒衣さんたちに、動きをこうして……と細かく指示をしてる。
 で、カーテンコール。幕が開いたところに勘九郎さん&クレーンが大きくせり出して、客席の上まで出て、上下してる。お客さんは大喜び。
 ひとしきりご挨拶が済んだ後、幕がしまって、クレーン&勘九郎さんは舞台奥に。
 台から降りると、拍手していた僕たちに向かって手を振ってくれた。
 なんだか、すごいうれしかった。何人かは毎日来てるようなかんじの人だけど、大半はほんとの通りがかりの人たち。そんな人たちに、舞台の奥をバーンと開けておいしいところを見せちゃって、「只見するんじゃねえ」じゃなくって、手を振ってくれる余裕がね。
 朝からへとへとで何だか沈んでた気持ちが一気に元気になったような気がした。
 その勢いで、門前の着物屋さんを何軒かまわって、最後の一軒で、矢絣の着物を手に入れる。
 紫と白のオーソドックスなのじゃない、紫一色のやや変わった柄なんだけど、イメージとしては十分。値段もとってもお手頃だったので、即ゲット。
 そのまんまバスとJRを乗り継いで、小松川高校へ。
 
 今日は、衣装を着ての通し稽古。
 買ってきた矢絣をお犬さま付女中役のあやかちゃんに着てもらい、OKということに。
 ほかの役の着物もあれこれ考えて、これで決定ということになった。
 芝居は、あちこち「もっと……」というところはあるものの、ずいぶん安定してきた。
 終わったあと、細かいダメ出しをする時間がなかったので、一人に一言ずつ感想を伝えて、全体としては「ついにどこを見ててもおもしろくなった」と話す。
 文化祭の後、初めて稽古を見せてもらったときには、「お話の中心をずっと見ていないといけない」というダメを出した。全体が一つになっていないと、この芝居の緊張感はなくなってしまうから。それから約20日経って、この芝居に出ている全部の役がきっちりといいチームになっているのがわかるようになった。話の中心を追って芝居を見ている合間に、ふっと脇を見ても、そこでちゃんと羽目を外さない、きちんとした芝居をしている。もとい、1時間という上演時間の間、ほとんど出ずっぱりの登場人物全員が、きちんとそこで息をしている、そんなかんじ。
 ややほめすぎな気がしないでもないのだけれど、僕の感想はそんなところだ。
 それから「とても疲れていて、悲しい気持だったのだけれど、今、あなたたちの芝居を見せてもらって、元気をもらった気がします。地区大会では、一日の最後の演目。朝からずっと芝居を見ているお客さんと審査員にも、そんな元気をあげてくださいね」とも話した。
 衣装は決まったものの、小道具の準備はまだまだ終わらない。みんなまだまだやることがいっぱいだ。

 夜は、台本。もらった元気を化学変化で文字に変えていく。

 初日まであと42日!


2003年10月07日(火) 「PRESENT」稽古

 小松川高校演劇部の稽古に今日も顔を出す。
 今日は小返しをしようという日だったのだけど、衣装の確認やら何やらで稽古らしい稽古は少しやっただけで時間に。
 フライングステージの稽古に向かう途中、新宿でメーク道具を買い、御女中の衣装に使う矢絣の布を探してみるがこちらは見つからず。

 フライングステージの稽古は、コバヤシくんが風邪で休み。
 稽古は、基礎トレの後、台詞で語ってた場面を実際にやってみるとどうだろうということで、倒れてる人形を起こすエチュードを(まだ持ってってない場面なんだけども)。
 何度もやっていることなんだけど、今日はとっても時間がかかった。
 時間いっぱいやってしまって、今日はおしまい。
 三枝嬢に来てもらって、この間、通販で注文した僕の衣装を見てもらう。
 カタログの細身のサイズとは当たり前だけど、シルエットが違う。
 もう1サイズ上の方がいいかどうか考えて、やはりこのままで行こうということに。
 帰りはすっかり寒いかんじ。
 いっこうちゃんはカワくんと三茶で飲みだそう。
 僕はキッちゃんと電車の中でおしゃべり。歌舞伎座の夜の部の「お染めの七役」の玉三郎の早変わりを袖から見ていた話などなど。

 初日まで、あと43日!


2003年10月06日(月) 台本

 試行錯誤とはこういうものかと実感する一日。分量だけは増えるのだけれど、これでよしという実感がない。微妙なかんじ。
 夜、タックスノットヘ顔を出して、ウスイさんの病状についてタックさんから話を聞く。
 手術は無事に終わって何より。いつ頃お見舞いに行ったらいいかを相談する。
 「違う太鼓」の制作のエイジさんとフライヤーの折り込みについての話をいろいろと。
 パチパチはまだ左腕が痛いそうだ。このところものすごかった「病気シリーズ」のアンカーなかんじかな。
 帰り、制作の高市氏から電話。台本の話をする。
 それから、来年の秋の公演について。予定していた劇場がとれなかったそうだ。さあ、どうしよう。
 部屋にもどって、昼間の続き。試行錯誤は、まだ続く。

 初日まで、あと44日!


2003年10月05日(日) 「イヌの仇討」通し稽古 「おはなはん」「サラ」

 「イヌの仇討」の通し稽古。
 いつもは運動部でうるさい体育館が今日は誰もいなくて静か。
 11時から衣装をつけて通してもらう。
 もっと短くなるかと思ってたら58分というタイムが出た。
 60分を超えると失格になってしまうので、カットした部分の復活についての提案はやめておく。
 OBのコバヤシくんとシモジくんが来てくれる。
 午後からの二度目の通しの途中からは昨日に続いてゴトウくんも。
 このところついのめって見てしまっているので、文化祭以来初めて見る人の感想はとても参考になる。
 それにしてもみんないい芝居をするようになったと思う。
 中盤の弘樹くんの芝居で、僕は毎回ほろっとしている。

 三年生のシダくんが、冒頭に出演することが決定。台詞は一つだけなんだけど、実にいい芝居をしている。さすがの三年生だ。

 さくっと帰ってきてから、台本やらたまっている原稿やらに取りかかる。
 昨日から腰がまた痛くなってきている。
 椅子に座ってパソコンに向かってキーボードを叩くとき、力の加減で腰に力が入っているのかもしれない。
 全身を使って打ってるってことなんだろうか、やっぱり?

 夜中、テレビをちらちらと。
 NHKアーカイヴスの「おはなはん」。樫山文枝がとってもきちんとした芝居をしていてびっくり。近所のおばさん役で出演の野村昭子(「渡る世間〜」でおなじみ)が、まだ40そこそこだろうにしっかりおばさんからおばあさんまで演じているのがすごかった。他には知ってる俳優が出てないというのも時代を感じさせるなあ。
 小野田勇のきちんとした台本に心を洗われるような気がした。さすがは名作と言われるだけのことはある。
  
 BS2で放送の、麻実れいと金田龍之介の「サラ」を少しだけ見る。芝居自体は期待していたほどではなかったが(ちゃんと見てないんだけどね)、番組冒頭の金田龍之介へのインタビューがとてもおもしろかった。
 なんて勉強熱心な人なんだろう。地芝居からアマチュア演劇、新派、ミュージカル、商業演劇というキャリアもすごいが、「アクターズ・スタジオインタビュー」を見ているということにも驚き。「ロビン・ウィリアムズやハーベイ・カイテルならどうやるかと思ったりするんですよ」という言葉にも感動。

初日まで、あと45日!


2003年10月04日(土) 稽古二つ

 小松川高校演劇部「イヌの仇討」の稽古に顔を出して、中盤以降の小返し。
 OBのゴトウくんも来てくれておしゃべりしながら、平井駅まで歩く。
 彼も言っていたが、この道は一人で歩くには遠すぎるなあ。

 フライングステージの稽古の前に、新宿で白い帯を買う。この間「白い着物ってどんなでしょうね?」という訳のわけのわからない相談に乗ってくれたマイシティの呉服屋のおじさんに「見つかりました!」と報告がてら。

 フライングステージの稽古は、基礎トレを中心に。
 台本の稽古は、エチュードではうまく成り立つ会話が、台詞になったとたん「何かやってやるぞ」状態になってしまって、いまいち。
 ひさびさに登場の小林くんといっこうちゃんの演技が新鮮。
 いっこうちゃんが、相手の言葉をきちんと聞いているのが、当たり前なことだが、素晴らしい。
 「どうやろうか」ではなく、相手の話をとことん聞くことで自分が立ち上がっている。
 終わった後、「『ヌード』の二人の場面みたいだね」と言われる。
 僕といっこうちゃんが、カメラマンとその恋人の二役を「日替わり!」でやった芝居で、僕らの二人の場面は、「こんなに舞台上で休んでたことはない」ってくらいリラックスしてたんだった。
 あのときは「これっていいのかしら?」と思ってたんだけど、今の僕は、それこそをやっていきたいんだなと気がついた。

 帰りに電車にはとってもにぎやかな外人さんの集団。酔っぱらってるのかもしれない。いったい何者?といっこうちゃんとおしゃべり&メールをする。

 世田谷で降ってた雨は中野では降ってないとメールで教えてもらう。越谷も涼しい風の吹く、いい天気。

 初日まで、あと46日!


2003年10月03日(金) 衣装いろいろ

 三枝嬢と三軒茶屋でうち合わせ。
 通販のカタログを前に、どれがいいかと検討する。
 秋冬物はまだ平気なので、在庫があぶなくなっている夏物を選ぶことに。
 あらかじめ候補を見つけて置いてくれたので、さくさくと決まる。
 うーん、これでだいじょぶかな?
 届くのが楽しみ。

 古着やさんの白い着物は、やっぱり裏についていたので、上下で別れてしまっていて、一着の着物にはなってなくて、アウト。この分の代金を返してもらってきた。

 部屋にもどって、着物をいろいろ見ていたら、真っ白じゃないけどクリーム色の着物を発見。そうだ、「サド侯爵夫人」のルネで着たんだった。うっかりしてた。明かりが当たればなんとかなるだろう。
 そのうちにもう一枚発見。こちらは縞の綸子っぽい布地。これを明日持っていこうと思う。
 うちに着物、それも舞台で着てしまっていい、ややくたびれた着物があるのは、柴又の料亭に勤めていた伯母の形見がたくさんあるからだ。
 仕事で着ていた汚れが目立つものや、まだ仕付けをとっていない小紋など、着物道楽だった独身の伯母は、芝居道楽(?)な僕をとても助けてくれている。
 仏壇に毎日手を合わせるのは実家に戻ってからの習慣だが、祖母や父、伯母に伯父、それに犬のモグの写真までもを一緒に見て、挨拶をしている。
 話しかけることはさすがにないが、ふと「ありがとうね」と言っていることが多いのにこの頃気がついた。
 台本、いろいろ書いてみる。僕の演じる母親役がちょっと微妙なかんじで立ち止まっている。

 初日まで、あと47日!


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