2006年06月05日(月) |
静岡市西奈図書館の指定管理者制度 |
今日は、「政策ネット・虹と緑・静岡県」と並んで県内の市民派議員で組織されている「駿河湾ネットワーク」の政策研究会が静岡市議会の会議室で開かれました。テーマは「指定管理者制度と情報公開・評価制度」。
一般的指定管理者制度の学習だけでなく、静岡市の図書館分館へのこの制度の導入が主要問題です。総務課の職員からの問題提起ですが、制度の概略だけでなく、この間の図書館議論への反省やご自身の意見も含めて報告され好感を持ちました。
これまでのマスコミを通じて知り得ている事以外に基本的な点について確認できました。まず、06年度の予算で分館への制度導入を検討する委員会予算が提案され可決されている事。
教育委員会としては、07年度に西奈図書館に試験導入し、分館全体に広めたいという方針をもっている事、そのための検討委員会に提案する方針を固めるために図書館協議会に諮問を行った事。
その図書館協議会は、制度導入について裁決した結果、反対が多数を占めている事、おそらくこのあとの答申案は反対意見になると思われるが、静岡市、教育委員会がその答申に従うかどうか、注目される事、などです。
私は、これまでの手続き経過、博物館法に基づく芹澤美術館は直営で、図書館法に基づく静岡市図書館の一部に指定管理者制度が導入されることの経過、個人情報の取扱い、評価制度の中身、などです。
今後、市民グループの意見を聞く⑦中で問題の本質に近づいて見たいと思います。
2006年06月04日(日) |
どぶそうじにおける道普請精神 |
今日は町内のどぶ(側溝)そうじ。朝からどぶさらいの音が聞こえてきます。8:00からのはずですが、7:00頃からはじめられているようです。これはいけないと、急ぎ早に着替えて家を飛び出します。
自分の家の前は既にきれいにされていました。町内を流れる何箇所かの排水のうち一本が私の組にあり、そこには10数人以上の方がシャベルを使って体を動かしています。さっそく、すくい上げられた草と土砂の運びにかかります。
毎年、どこの町内でも見かける光景です。そして、どこの町内でも問題になるのがこの掃除に参加する人としない人が出てきて、そのことをどう扱うか、です。欠席した人には罰金をもらったらどうか。
我が町内ではそうしたことは起きていませんが、結構デリケートな問題です。最近、国土交通省が「道普請」という言葉を使いはじめています。公共事業批判、財政破綻の中での「道普請」の見直しです。
因みに「普請」とは、普(あまね)く=(広く、すみずみまで)、請(こ)う=(ある事をしてくれるよう相手に求める)の意味で、おおぜいの者の労力をお願いするという禅語に由来するとのことです。
行政的にこうしたことが注目されたのは、長野県の2600人の栄村で、国の定める全国共通の道路企画と補助金システムに風穴をあけたことによります。住民の金銭負担を含んでの道路整備です。新たな行政と住民の協働です。
私が小さかった頃、村の運営はこうした「道普請」的手法で行われてきました。ただ、私や多くの若者が村を抜け出す一つの理由に、こうした自治機能としての「道普請」精神のもつ隣組的監視機構です。
高度経済成長により古い共同体は解体し、人間関係の希薄な都市型共同体に転換すると同時に、「道普請」は行政のサービス需要として拡大し財政負担をもたらしました
食の安全を求めた共同購入運動での班活動はテーマによる新しい共同体運動でもありました。今、NPO型社会として、「道普請」機能が生まれ変わろうとしています。果たしてこれはうまく浸透していくのか。
今日のどぶそうじで普段見えない角度からの住宅風景にもうひとつの町並みが見えて不思議な感覚です。
自・公与党による民主党の丸呑み方針に、唖然としたのは私だけではなかったと思います。小泉首相の国会の延長なし姿勢に、何としても成立させたいとする与党側の「奇策」は失敗に終わりました。
失敗に終わらせたのは、言うまでもなく民主党小沢代表による「民主党案を丸呑みされても一文の得にもならない」発言。民主党としても提案した修正案が通る訳ですから、反対する理由がありません。
しかし、小沢流「権謀術数」政治が圧倒しました。教育基本法民主党案もこれに類します。愛国心を前文にいれるという形で党内対立を調整して、自民党案には反対する、なかなかです。民主党の存在が力強く感じます。
その結果、小沢政治は多くの世論支持を獲得しつつあります。この小沢流はどのような形で国民の中に浸透していくんでしょうか。アンチ与党ではありますが、市民的原理主義とはやや遠い感じです。
小沢政治が自・公政権を脅かしつつあるというマスコミ評価に釈然としないものを感じるのは私だけでしょうか。共謀罪反対の声を上げた市民の動き、全国弁護士会の力、この草の根のパワーがその背景にあります。
6月7日18:00静岡県弁護士会が斎藤貴男さんを講師に共謀罪反対の集会を開催します。会場は弁護士会館です。参加費は無料とのこと、是非大勢の方に参加していただきたいと思います。
2006年06月02日(金) |
村上ファンドとライブドア |
村上ファンドのニッポン放送株の売買をめぐり、インサイダー取引など証券取引法違反の疑いがあるとのことで、東京地検がが「村上ファンド」の村上世彰氏の事情聴取にはいったとのことです。
既にライブドア関係の裁判が始まっており、堀江貴文氏と宮内亮司氏らと対決が注目されています。そうした中での村上ファンドへの捜査の広がりは、検察サイドの経済犯罪への相当な構えを示しているようにも受け取れます。
そんな中、若者と団塊世代の対話を企画してきた地域政策研究所と知事選挙で若者の投票呼びかけキャンペーンをおこなった学生グループが、ライブドア事件とは何であったのか、という講演会を計画しています。
講師はアエラ編集部の経済記者・大鹿靖明氏で『ヒルズ黙示録 検証ライブドア』の著者です。ライブドアを取り巻く人間関係を丹念に取材をしていた経過を本にまとめたものです。
大鹿記者は朝日新聞静岡支局に勤務経験もあり、静岡とも関係のある方です。若い世代のこの企画、多くの皆さんに参加をしていただきたいものです。 期日は6月10日(土)19:00 アイセル21にて。
2006年06月01日(木) |
韓国・地方選挙でウリ党惨敗の影で永住日本人の投票行われる |
今日から1周間毎朝の街頭演説です。衣替えでクールビズもはじまり、ノーネクタイ姿が目立ちました。私もクールビズスタイルでした。一方で今日は改正道路交通法の改正の最初の日です。
マスコミでもこの問題は大きく取上げられています。民間人による駐車の取り締まり、運送関連業への影響、毎日の暮らしへの影響、様々な観点からの切り口があります。とは言っても街頭演説しながら車のことが気になりました。
さて、今日の外信では韓国の地方選挙でのウリ党惨敗のニュースが大きく扱われています。この評価については、緑の党を目指す人々の情報も加味して後日論じたいと思います。
小さな記事ですが、静岡新聞にアジアで初めての永住外国人の投票権を認めらて、永住の日本人の方が投票に参加したというニュースがありました。これはなかなかすごいことです。
日本では、既に長期にわたって在日韓国人の方々が運動してきました。未だ実現をしていません。韓国の民主化のスピードの早さに驚くばかりです。韓日関係がギクシャクしていても、こうした基本的権利が動き出していることに注目です。
2006年05月31日(水) |
収用法47条に基づく却下実現への道 |
今日の収用委員会は16:50ころから開始され、増田会長から開会宣言、今後の運営についての権利者グループとの事前協議についての考え方、収用委員会の役割などについて説明、が示されました。
事前協議については、これまで権利者グループから進行についての事前協議の申し入れが伝わっているが双方にコミュニケーションがかけていた、本件の適切な運営のために審理計画による具体的協議を原則として行う、
形として事務局に書面で出してもらい委員会で協議する、直接話をして考え方を伝えていくことも考える、権利者全員に発言の機会を与えてもらいたいとのことであるが、できる限りご意見を、可能な限り伺いたい。
ただ、収用法による迅速な審理という要請もある、気持ちとしては可能な限り、時間的制約もあるが、ご趣旨を尊重したい、発言者、内容、時間、期日などご要望を検討したい、事前協議窓口は、委任状という形での集約をお願いしたい。
このあと、藤沢弁護士からオオタカの森の家の権利者特定が行われていない点についての調査の要請、中村英一さんからの昨日の意見書陳述、県からの起業者説明、藤沢弁護士からの次回での求釈明の時間の確保の申し入れが行われました。
最後に増田勝さんから収用委員の現地視察質問、増田会長は、委員会としてはしていないが、その計画も検討している、との回答。次回は7月4日、会場は後日連絡、事前協議は6月15日までに書面で提出してほしい、とのことで終了。
全体が終わったのは18:30くらいでした。長い1日でした。今日の行動が今後どのような形で展開して行くのか、不安を感じながらも、何とか47条に基づく却下の道が開き始めた、しかし、その道が平坦な道でなく、まだまだ始まったばかり、という印象でした。
※※ 長い1日を振りかえる
収用委員会が一方的な指揮のもとで進行するのか、権利者グループとの事前協議前提の公正な運営に転換できるのか、大きな課題を抱えてのはじまりでした。朝9:00に会場のグランシップ前には100名以上の権利者達が集まりました。
9:15に受け付けに移動し、三々五々に会場内に入ります。ただただ広い。最前列にいくと既にメンバー達は、収用委員会事務局との収用委員会席、起業者席、権利者席の配置を同じフロアでの位置にすべきと異義申立てが始まっていました。
というのも高い舞台に収容委員7名の席があり、フロアの発言席を見下ろすようになっていたからです。収用委員会発行のパンフレットでは、同じフロアで対等審議できるように説明されています。
そうこうしている内に開始時刻の10:00になり、参加者達は舞台の上にぞくぞくとかけあがり収用委員7名を待ちうける事になりました。しかし、大勢の権利者を前にして収用委員は地下の控室に退去してしまいました。
そこで、代理人の塩沢・中野弁護士と私で、事態の収拾と運営に関しての話し合いを申し入れをしました。収用委員会側は、地権者グループが舞台から撤退することを条件に話合いに応ずる事になりました。
私たちとしては、1、運営に関して「却下を実現する会」メンバ―を含めた事前協議の開催、2、同じフロアへの席の廃置替えを要請。増田会長としては、委員会内部での協議を行いたいとのことで30分後に協議再開を約束して別れました。
12:00過ぎに協議が再開されましたが、とにかく開会する、事前協議は次回から行う、起業者説明、意見陳述(順番の変更、若干の時間の延長)、17:00は延長、席の廃置替えは三時間もかかるので今日はこの形で、との回答。
これでは地権者グループとして受け入れる事はむずかしいと思うが、権利者グループに回答内容について説明し、再度の話をも持つことで、会議の席を離れようとしました。が、13:30に開始するので返答はいらない、との対応でした。
当然にして権利者グループがこれに納得するはずもなく、膠着状態が15:00すぎまで続きました。再度の代表者による話合いを申し入れしました、受け入れる事は出来ないとの回答でした。
ここで、逡巡。このまま流会でいくのか、それとも譲歩案を提示すべきか。地権者グループは、流会意見が多数を占めていました。迷いましたが、藤澤・中野・松谷で、以下の譲歩案を提示しました。
事前協議を次回からはじめる、このことを開会にあたって会長から言明する、したがって事前協議のない今回の一方的な地権者の意見陳述スケジュールは破棄、起業者説明については認める、説明の前に権利者側から2点の意見表明を行う。
2点とは、権利者の範囲(オオタカの森の家は共有であるので権利者再チェックすべき)、昨日の47条却下意見書の陳述、というものです。収用委員会側は、この案を受け入れるので話合いを再開したいとの回答。
ただ、権利者グループがこの案で納得できるかどうかは未知数です。そこで、主だった役員に妥協案を提示したことを説明、しかし、了承はえられませんでした。そうこうしている中で収用委員会側との協議に出かける事になります。
収用委員会としては、今回のこの事態は審議の妨害行為と認識、しかし、地権者グループと発言者、テーマ、時間について事前協議することを拒まない、可能な限り発言者を認めるが無制限ではない、開催曜日も協議対象とする。
収用委員が権利者と会うのはルール外、事務局と協議してもらうが必要があれば収用委員として事前協議に参加する、ただ、権利者の窓口が今日の代理人は22人の代理、議員はどこまで影響力があるのか、疑問。委任状集約をお願いしたい。
会場の席配置の変更は、今日の段階では難しい、今後は選定も含め、同じフロアでの席配置を検討する、との回答。この内容を持ちかえるが全体の了承を得られるかどうかはやって見ないとわからないが努力する、と席を立ちました。
そして権利者の皆さんに説明しようとしますが、まずは役員に説明しないと合意は難しいとのアドバイスがありロビーにて状況説明と討論。ここは意見は真っ二つ。流会にすべき、事前協議の担保、意思ある権利者の発言確保は可能なのか。
ドンドン時間が経過し、収用委員会側から16;30に会合の再開の催促を受けるハメにも。交渉人の交代も含めて議論になりましたが、かろうじての合意が成立。全体説明会に臨むことになります。
全体説明でもいくつ者意見が出され、時間制約の中でのぎりぎりの合意。そのあと、収用委員会側との再度の協議となり、今日の日記のはじめの進行となるわけです。住民グル―プの民主主義の難しさとすばらしさが複雑に交錯します。
明日の収用委員会を前にして、「却下を実現する会」で下記の申し入れをしました。団体名では、受け取っても権利者としての資格に問題があり、裁決過程での公文書扱いにならない、を巡って議論が平行線となりました。
やむなく参加したメンバー全員が権利者でもあったので個人名を書き添えました。今回の申し入れが反対派の基本的な姿勢となります。意見書を提出した全員の発言の場が確保される委員会運営をどう実現できるのか、がカギです。
午前9:00にグランシップ入り口に集合です。10:00からの開会に備えます。できるだけの大勢の権利者の皆さんの参加と一般の方々の傍聴を呼びかけたいと思います。
2006年5月30日
意 見 書
静岡県収用委員会 会長 増田 尭 様
土地収用裁決申請却下を実現する会 事務局長 増田 勝 静岡市葵区鷹匠2‐12‐10「市民ひろば」内
行政手続法や情報公開法などの様々な法制度によって、行政運営の公正の確保と透明化の一層の向上が求められる時代において、「公共の利益の増進と私有財産との調整を図」る(土地収用法第1条)ための妥当な審理を行わなければならない収用委員会においても、その透明性の確保は必要不可欠なものとなります。また、収用委員会は公正中立な行政委員会であり、損失補償に関する専門知識を有する機関であることから(「逐条解説土地収用法」上巻P723)、公正かつ慎重な審理が求められることも言うまでもありません。
土地収用法第47条では、収用委員会が申請を却下しなければならない場合の要件が複数定められています。多くの権利者によって構成されている私たちの会では、それらの要件に該当する重大な事実について、今後の審理過程において明らかにしていきたいと考えております。
そうした事実の概要について以下のように整理するものであり、収用委員会の公開審理の場において、権利者及び国民全体に対する透明性をきちんと確保した上で、これらの事実について充分な時間をかけた公正かつ慎重な審理が行われることを求めるものです。
また、そのような土地収用法の精神を担保する為には、土地収用法第43条の規定に基づき意見書を提出した、権利者全員の発言の場の確保が必要であることを申し添えます。 1、 収用申請に係る事実
イ、土地物件調書作成に係る事実 土地収用法第36条では、裁決の申請に先立ち、収用又は使用する土地及びその上にある物件の状況、権利関係を調査し、土地物件調書を作成する必要があると定められています。そして、この土地物件調書の作成に瑕疵があるときは却下事由になるとされています。この土地物件調書の作成過程での法的問題点について、審理過程で明らかにしていくものです。
ロ、土地物件調書に係る事実 土地収用法第47条では、土地調書に当然記載すべき関係人の権利の表示、署名押印がかけているとき(昭和31・8・9建設計総受第72号新潟県土木部長あて計画局総務課長回答)、土地所有者を誤った裁決申請であるとき(昭和28・2・19建設計和第5号和歌山県知事あて計画局長回答)等には、申請が土地収用法の規定に違反するものとして却下の裁決をすべきものとされています。また、土地物件調書が所定の方式を欠いた場合、記載事項が真実でない等の場合は、却下事由に該当すると定められています。これらの問題について、審理過程で明らかにしていくものです。
2、事業認定申請に係る事実
イ、任意交渉に係る事実 土地収用法第47条では、起業者が適切な任意交渉をしなかったという事情は却下事由に該当すると定められています。そもそも、この静岡空港の土地取得交渉において起業者たる静岡県知事は、「誠心・誠意」の交渉を行った上であくまでも任意取得を図るという旨を公言してきました。さらに、国・国土交通大臣に対してその趣旨の確約書を提出し、その上で設置許可を受け、事業を進めてきたものです。ところが起業者は、そうした公的発言、確約書の内容を一方的に破棄して、土地収用法の適用申請を行って現在に至っているものです。その過程において、土地の権利者に対して適切な任意交渉努力が行われてこなかった事実について、権利者自らの証言において明らかにしていくものです。
ロ、事業計画に係る事実 土地収用法第47条では、申請に係る事業と事業認定を受けた事業との間に同一性を認めることができるが、両者の間で事業計画が著しく異なる場合には、事業認定における土地利用や事業の公益性等についての判断をもはや維持することができず、改めてこの判断を経ることなしには収用又は使用の裁決をすることはできないので、却下の裁決をすべきものとされています。 起業者は、2004年11月26日に開港予定を2年延長し、2009年とすることを明らかにしました。そして、その直後の同年11月30日に、国土交通省地方整備局に事業認定申請書を、同省航空局に工事完成期日変更申請書(2008年11月1日完成予定)を郵送し、事業認定申請を行いました。この2009年は、羽田空港の再拡張事業が完成する年とされており、この事業について土地収用法の適用等は予定されていないため、数回にわたって開港年次の延長がなされてきた静岡空港の事業とは異なり、この羽田空港拡張事業は予定通り2009年に完成するものと考えられます。しかし、開港予定延長発表直後に事業認定申請を行ったことからも明らかなように、この申請書における需要予測等の諸データは、2009年段階での周辺状況を全く考慮していないものです。 ところが実際には、拡張された羽田空港からは国内線はもとより、アジア便を中心とした国際線も数多く就航することとなります。そうなれば、成田空港、中部国際空港との競争を前提に算定された静岡空港の国際線需要予測はもちろん、国内線においてもその算定の根拠において大きな変更をもたらされることは明白なことです。そして、札幌便年間50万人の需要予測を基に大型機が就航することを前提として、2500mの滑走路を計画した事業の基本計画の根拠自体が揺らぐこととなります。その結果、収用対象地は必要最小限とすることとする事業認定の判断基準に基づけば、2500m滑走路を前提とした収用対象地の範囲も、その正当性を欠くこととなると考えられます。このような諸事実と問題点について、審理過程で明らかにしていくものです。
3、事業認定無効に係る事実
土地収用法では、事業認定に関することは事業認定庁(本件では国土交通大臣)が行い、補償などに関することは収用委員会が行うこととされています。したがって、収用委員会は自らの判断権限を有しない事業認定の適法性についての判断は行わないため、その審理権限もないとされています。しかし、「審理に入った段階で、当事者の主張などにより収用委員会が重大かつ明白な瑕疵があると認めた場合には、収用委員会は不適法な審理手続きを開始したことを認め、改めて申請を却下するのが適当であると考えられます」(「Q&A土地収用法」)とあるように、事業認定自体が無効である場合には、収用委員会は申請を却下しなければなりません。 無効な行政行為とは、重大かつ明白な瑕疵を有するものであるとされますが、「重大かつ明白な瑕疵」という概念は、きわめて抽象的で漠然としており、その具体的な中身が明確に定義されているわけではありません。最高裁は、「瑕疵が明白であるとは処分成立の当初から誤認であることが、外形上客観的に明白である場合を指す。・・・行政庁がその怠慢により調査すべき資料を見落としたか否かには拘らない」と「一見明白説」をとっていますが(最判昭和36・3・7民集)、下級審の中には、「明白な瑕疵とは、何人もその瑕疵の存在の格別の調査をするまでもなく一見して認識しうる場合ばかりでなく、行政庁が特定の行政処分をするに際し、その職務上当然に要求される調査義務を尽さず、しかも右調査義務の履行として簡単な調査をすることにより容易に判明する重要な処分要件の存否を誤認してなした場合にも、右に所謂明白な瑕疵があると解すべきである」として「客観的明白説」をとるものもあります(東京高判昭和34・7・7行集)。 このように、「重大かつ明白な瑕疵」についての判例の理解は必ずしも一致しておらず、個別具体的事例に応じて弾力的に運用されるものと解されます(原田尚彦・行政法要論)。こうした意味において、本件の事業認定そのものに重大かつ明白な瑕疵が複数認められるため、審理過程で個別具体的に明らかにしていくものです。
以上
2006年05月29日(月) |
またも気になる静岡新聞「日曜社説」 |
昨日の静岡新聞「日曜社説」、テーマは教育、「政治が操る季節 惑わされず、本質を見きわめよう」、どうしても気になってしまいます。先週の介護保険についても意見をと思いましたが自省しました。
最後の所に「一国のリーダーたらんとする者には「日中」「日韓」「日米」の外交力も大切だが、それ以前に国づくり、人づくりにいかなる経綸を持っているかだ」と書き手のいつもの手法での非難されるべき政治家像が提示されています。
5月7日の「それでも優しい気遣いがうれしい」という社説の最後に「他国に拉致された国民の救出の先頭にも立てずしてリーダーを目指そうとはおこがましい」とあります。拉致問題とはすぐれて外交問題です。
それぞれの社説の主張自身については考え方あり、それはそれとして受け止めたいと思います。問題は、主張の一貫性であり、それぞれの社説の底流にあるジャーナリズム原点である批判的精神・価値観の存在です。
これは私自身、石川知事を批判する時にどの観点で、どのような価値観に基づいて、どことどこで食い違い、どことどこで一致点があるのか、ないのか、批判するだけでの自らの優位性に溺れていないか、自己点検をしているつもりです。
因みに経綸とは、辞書を引けば「国家を治めととのえること。また、その方策」、近代の歴史の中では、中江兆民の「三酔人経綸問答」を思い出します。グローバリズムというアメリカ一辺倒のこの時代に「教育における経綸」とは。
2006年05月28日(日) |
ごみゼロサミット2006、大いに感動 |
47の県内環境市民・学生サークルの協賛を得て開催された「ごみゼロサミット2006」、会場の三分の一を占めたであろう学生・若者の熱気の中で成功裏に終わりました。主催者のみなさんのご努力に敬意を表したいと思いました。
西原茂樹牧之原市長の忌憚のない、論旨明確な発言、上勝町ゼロウエイストアカデミー事務局松本夏子さんの実践と理念に裏打ちされたゼロウエイスト紹介、二人の組み合わせもなかなか良かったと思います。
そして、今回の一つの目標であった若い世代の環境への取組みを知ると言う点についても本当に多くの実践例が紹介され、大いに感動しました。彼らが社会に出てどのような自己主張をしていくのか、関心が湧きます。
松岡さんによればウエイストとは浪費、無駄を指す言葉との事で、ゼロウエイストと言うとゴミ収集がないとか、34にゴミを分別することと理解されがちであるが、それは結果であり問題は捨てられるゴミの潜在的価値を見つけること。
34の分別があるが、例えばトイレットペーパーの芯の回収があるが普通では「雑紙」に分別される事になるが、「トイレットペーパーの芯」として分別にしている、そうすると分別に参加しやすくなる、という現象があるとのこと。
つまり、生活感覚に引き寄せることで回収・分別・処理という「ブラックボックス」に想像力が生まれ、過程が透明にすることができる、そのことはゴミをきっかけにモノ・自然との接し方を考える文化につながる、と。
一方で、ここまでやってリサイクル率を高めても、自治体の努力によっては越えられない壁がある、企業・中央政府への働きかけが必要になる、と。改めて循環型社会への道筋を教えられた思いです。感動と刺激いっぱいの集会でした。
2006年05月27日(土) |
静岡市にLRTが走る日 |
「静岡にもLRTを走らせる会」の例会が昨日開かれました。ちょっと遅れて参加しましたが、世界のLRTのビデオを中心に事務局の山本耕三さんが熱心な説明をされていました。ちょっと、今までと感じが違います。
というのも、盛んに静岡市にLRTが走る事が前提のようなお話が言葉のはしはしに伺えるのです。小嶋市長がLRT導入を決めたということなのか、何なんだろう、と。受付のスタッフの方に静鉄がLRT導入を発表でもされたんですか?
テレビ局取材も入っています。詳しくはわかりませんが、静岡鉄道が新静岡センターの改装の際に、LRTの復活があっても対応できるような設計をしているとのことのようです。事実とすればすごいことです。
会場の閲覧資料で富山県のLRTの写真がありました。以前に国土交通省が富山県のLRT構想をバックアアップするとの情報は聞いていましたが、もう走っているんでんだという事を知りました。静岡県からも視察にいっているとの事です。
閲覧資料の三浦展氏の『ファースト風土化する日本』(洋泉社)にあるように、ある意味、LRTはファーストフードでなくスローフードに似合う乗り物です。LRTは、交通手段だけでなく社会のあり方や街作りとも絡んで来るキーワードです。
フランスのストラスブールのLRTを視察に出かけて10年近くが経過しますが、山本さん達の市民活動の成果が現れてくる大きな時代の変化を実感します。来年は市長選挙、LRTが政治争点となり、走る日が1日でも早くなることを願うばかりです。
|