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2001年10月14日(日)
ニナガワカンパニー・ダッシュ『2001・待つ』

『待つ』シリーズは3年振り、カンパニー公演は2年振り。ベニサンピットでのニナガワカンパニー・ダッシュ。

9月に彩の国で上演した『ハムレット』には行けなかったのだが、9月11日以降の演出に変更があり、その演出内容が随分物議を醸していたのは記憶に新しい。あれから約1ヶ月経った今日の公演で、その演出モチーフを実際に目にする事が出来た。

実際あの日の2〜3日後にこの演出を観たらどう思っていただろう。1ヶ月経っているから比較的落ち着いて観る事が出来たのだろうか。だとしたらそれはそれで、もう忘れる態勢に入っているのではないだろうか。そういう自分に愕然とした。

蜷川幸雄は演劇にしか表現出来ない“現在”を執拗に描く演出家だ。年頭の『真情あふるる軽薄さ 2001』から、“出口なし”な感が続く。だが、いくら先が見えなくても、この演出家はその見えない状態すら舞台に引きずりあげ続けるだろう。語れる希望はなにひとつないし、希望なんて語らない。30年前、この答えを聞いて、彼に突きつけたナイフを降ろした青年は、今も蜷川の芝居を観ているだろうか。

高橋洋がいなかったのはやはり残念だった。カンパニーも辞めてしまったそうだ。『1998・待つ』で「あの役者は誰だ!?」と終演後キャスト表を大急ぎでめくった程のインパクトがあった彼をまたこの劇場で観たかった。役者を辞めないでほしい。

終演後ロビーに出ると、蜷川さんが談笑していた。いい笑顔のひとだ。この笑顔の下にはいろんな思いがある。まだまだこのひとの演出は観たい。身体には気を付けて、あんまり沢山仕事しないでくださいよ。年末の『四谷怪談』も楽しみにしてます。



2001年10月15日(月)
レディオヘッドのビデオ

久々に『7 TELEVISION COMMERCIALS』と『Meeting people is easy.』を観直す。

『7〜』はクリップ集。ああ大好きだ大好きだ!

「FAKE PLASTIC TREES」は、曲が好きってのもあるけど(今回の来日では私の行ってない日に限ってやってくれたそうで…なんでじゃー!(泣))、これのクリップはもう大好きで大好きで、『7〜』が出る前に出ていたUKもののコンピビデオを潰した程観まくったもんでした…『7〜』は潰さないようにしなければ。…いや、潰したらまた買うけど。それくらい好きなのよー。ジェイク・スコットがディレクションだそうで、このひとスマパンの「DISARM」とか、私の好きなクリップを結構撮っている。映画も(『プランケット&マクレーン』)観てみたいなとは思ってるんだけど、どうなのかな。

「HIGH AND DRY」も好き。これってUKバージョンもクリップあったっけ?観たような…気のせいかな。メンバー全員出てるのが好きなんだけど、「KARMA POLICE」も好き。いや全部好きなんだけど。またそろそろクリップ集出してほしいな。

やー、久々に観るとトム若いなー。今やおとうさんだもんね。

『Meeting〜』は観るとヘコむんだけど好きなドキュメント。特に、普段はひとあたりの良さそうなコリンがキてるとこはヘコむ。謝ることないのにね。長くてつらいツアー。それでもそのツアー中にレコーディングをしているメンバーを見てホッとしたり。音楽が大好きな、素晴らしいバンド。

入力が切れると出力も出来なくなる。最近随分入力を怠っていたなーチャージチャージ。そろそろ出力体勢に持っていくぞ。



2001年10月16日(火)
『トゥームレイダー』

土曜日はニナガワカンパニー・ダッシュの後に『トゥームレイダー』。振り幅広すぎ。

いやーもうジョリ姐男ットコ前!最高!ボインなのに腕の血管とか凄い!紅一点(ジャスミンのあのコは別で)なのに登場人物中いちばん男らしい。男の中の男!惚れるっちゅうねん。格好よすぎ。

もう他に何も言う事など…楽しかったよー。



2001年10月19日(金)
エディーのうた

好きな歌うたいは沢山いる。

その中でも高音中音低音といろいろ区分分けがあって、高音チームで大好きなのはマニックスのジェイムズやレディオヘッドのトム。中音はニルヴァーナのカート、レッチリのアンソニー。

で、低音チームは何と言ってもこのひと、パールジャムのエディー・ヴェダー。

今でもよく聴くブートCD『last american heroes』。このベタなタイトルが、皮肉にもこれ程似合ったバンドはなかなかいない。1994年4月16日、N.Y.でのライヴ音源。ピンとくるひとにはくる、そう、カートが亡くなって約10日後。

そのせいかは判らないが…、いや、やっぱり影響はあるだろう。一触即発の恐ろしい程の緊張感溢れる演奏、熱狂するファンの" F*ck you, Eddie! "という激励、音質はそんなに良くないが、多分客席から録ったその音は異様な臨場感。トップの「REARVIEWMIRROR」、終盤の「JEREMY」のエディーのうたと観客の大合唱は、いつ聴いても条件反射で鳥肌たって涙が出る。

エディーがこんな風に唄う事はもうないと思う。けど、それはそれでいいと思う。でも、この頃のエディーのうたはホントに好きだな。

いちばん最近観たエディーは、先日のアメリカ同時多発テロのチャリティー番組『A TRIBUTE TO HEROES』。L.A.からの中継で、パールジャムのメンバーマイクと、師匠ニール・ヤングと一緒に。突然の事だったのでびっくりしたけど、嬉しかった。でも状況が状況だけに、しんみり聴いた。

当分日本には来ないだろうな。二度と来ないかも知れないな。ライヴビデオもオフィシャルで出た事だし、それを観ながら待っていよう。気長にな〜。



2001年10月20日(土)
ジョニデ祭り

前の職場の友人とジョニデ&実話祭りと称して『夜になるまえに』『ブロウ』の梯子&新宿渋谷うろうろツアー。

まず西新宿ブート街をうろうろ。予想通りレディオヘッド日本公演のブートがごっそり。CDは全公演、ビデオは東京の3公演。ソースは同じなのだが売ってる店によって価格が全然違うので、明日行く御茶ノ水の店も見てからどこで買うか考えよう。しかし何でこんなに価格違うの?そして何故これに限って試聴させてくれないんだA*RS!そして何でそんなに高いんだA*RS!

CDは自分の行った10月3日は買うの確実なんだけど、大阪公演も気になるし、「FAKE PLASTIC TREES」をやった日のも聴きたい。ビデオはどれがいいのやら。「60〜80分部分は何も映ってません」とポップに書いてるのを試聴せずに買うのは勇気が要りすぎ。他の店で試聴出来るとこを探そう。

渋谷へ移動、『夜になるまえに』リピート。やっぱりいい。まだ観たい。詳しくは後日。

新宿へ戻って『ブロウ』。やっぱクスリは何の得にもならんと言うか…売っても打っても一緒だね!自業自得と言えばそれ迄なんですが。ジョージさんは商才のあるひとだったので、これがクスリじゃなくて他のもんの取引でも成功してたんじゃないかと思ったり。おかあちゃんと二人目の嫁にイライラ。自分ばっかりキレイキレイでいようと思うなよー!お前等も悪いんじゃー!そう考えると癌で亡くなった一人目の嫁が、もし死ななかったらここ迄道を踏み外さなかったか…とちょっと思ったがいやいや、そんな事はないだろう。やっぱり自業自得です(鬼)。

そんな中どんな時でも息子を愛してくれるおとうちゃんのシーンが唯一ホッとするシーン。

役者陣は皆さん達者で面白かった。二人目の嫁ペネロペさんのあばずれっぷりがサイコー。ギャンギャンうっさいんじゃー!かわいーなー。恐ろしく細かったけど役作りかな。おとうちゃんレイ・リオッタは久し振りにいいひと役でホッとしたり(笑)いや最近いや〜な役でしか観てなかったから…。

全体的に、作るのに時間なかったのかなーと何故か思ってしまった。なんかせかせかした印象。実在する人物の半生を描いた作品なのでちゃっちゃと纏めるのは判るけど、時代の移り変わりをジョニデのルックス(役作り)におんぶにだっこ状態ってのは…ジョニデは良かったですけども。同じ日に『夜になるまえに』を観た事もあり、実話の映画化はデリケートなもんだなあと思った。ここらへんは監督の手腕に左右されるものが大きいだろうな。



2001年10月21日(日)
親切なブート屋さん

今日は御茶ノ水のブート屋巡り。

価格が抑え目のブート屋さんを夏に教えて貰って、気に入ったんでちょくちょく行く様になった。今日もまずそこへ。

レディオの来日公演はまだ入荷してませんか?と訊いたら「まだなんですよ。でも今出ているのはオーディエンス録音だから音質悪いけど、もうちょっとしたらサウンドボード盤が出る予定ですよ」と教えてくれた。親切だ〜。いいとこだ〜。入荷した頃また来ますと言って今日はおいとま。ありがとうありがとう!これからはなるべくここで買う様にするよ!でも店の名前未だに憶えてないの(笑)

ブートって、CDの価格はどこの店もあんまり変わらないけど、ビデオは同じものでも平気で¥1,000〜1,500違うのは何故だ〜。そしてすぐ値崩れするのは何故だ〜。今A*RSでは名作タイトル1本¥1,000セールをやってて、目当ての奴は既に持ってるもんばっかりだ〜。レッチリのジョン復帰の奴は、当時¥4,500(確か)で買ったよ…20分ちょいの奴を…(泣)



2001年10月22日(月)
『夜になるまえに』

20日にリピート。

あのハビエル“ムンムン”(しつこいよ自分)バルデム兄さんが、なにをどうすればあんな静謐な人物に!もともとアレナス本人が、ハバナビーチで五千人斬り(笑・だって本人が言ってんだもんよう)のひとだというのに、穏やかな佇まいで、灼熱キュ〜バのムンムンさと亡命迄の波乱万丈な人生を不思議と感じさせない人物だった様だ。ゲイの仲間たちとドライヴ〜♪の時も(オープンカーにみっしり6人乗り込んでる図はすごいもんがあった(笑))、ほかのひとが大はしゃぎしてる中ひとりにこにこしてるって感じだったしな。

カストロを「亡命を許した心優しき独裁者」と書いた某誌の様に短絡的にはなれない。ゲバラとカストロがおこした革命に熱狂したアレナスも、その後のカストロ政権下で長い間苦しむ事になる。コスモポリタンと言えば聞こえはいいが、彼の場合はどこへでも行けると言う事ではなく、どこにもいられないのだ。自由を求めて亡命したアメリカにも居場所はなく、郷愁にかられながらも帰る事は出来ない…。アメリカに渡りたてのアレナスと親友ラサロが、雪のN.Y.を笑顔で走る車上のシーンが胸につのる。ここらへん、同じシュナーベル監督の『バスキア』で、バスキアと友人ベニーがちっちゃなジープに乗って街を走る終盤のシーンと被ったな。今は安らかで幸せそうだけど、のちに起こる事を予感させるような切ない感じ。

どんな状況でも書かずにはいられない。木の幹に書く、刑務所で書く、森の中で暗くなる前、“夜になるまえに”書く。カチャ、カチャ、カチャカチャ、タイプが走り出す。壮絶なんだけど、そこここに笑えるシーン。ケツの穴に原稿を詰めて刑務所から持ち出す運び屋(ジョニー・デップ最高!艶やか!スーパー☆美尻アクター特許取得)、美しい軍人(これまたデップ、最高)の股間に顔を埋める至福の時を妄想する取り調べ中(命も危ないってのに)、亡命する為の気球を蜘蛛の糸状態でひとりじめして、墜落して死んじゃう元彼、亡命の為の審査方法。こーいうとこでユーモアが出てきちゃうとこがまた凄いんだけど。シュナーベル監督の物悲しいユーモア感覚(気球での亡命案や、アレナスの最期に立ち会ったラサロがとった行動は監督の創作と言う事になっている)とうまくマッチして、アレナスって人物に魅せられてしまう。

選曲を含めた音楽も良かったなー。風景は弦もの、行為はうたもの。検閲を受けた『めくるめく世界』をフランスに持ち出して出版して貰う為、アレナスが家に大急ぎで戻り、原稿を友人カマチョ夫妻の待つ空港に持っていく迄の曲がミスマッチで印象的だった。切羽詰まりきってるのに優雅なうたもの。サントラ買ってみよう。

画ヅラの美しさも満喫。森、海の自然のみならず、囚人たちがアレナスに、これと引き換えに手紙を書いてくれと紐につけた石鹸玉を振るシーンも。泥だらけでキッタナイ監獄なのに、あのシーンは美しかった。これと引き換えにアレナスは書く事が出来たのだから、彼にとって石鹸は宝石の様なものだったのかも知れない。

あ、あとコロッケがやたらとうまそーでした(笑)

N.Y.を舞台にした映画には、もう双子ビルが映る事はない。9月11日以前に撮影された映画の公開は続く。映画の中の、在りし日の風景を見るたび胸が痛む。