Howdy from Australia
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研究室の皆で会う日取りがようやく決まった。それにしても、2月から連絡を取り始めたというのに、実際に会うのは5月1日。
一時は10名近くいたメンバーも、出身地(メルボルン)や母国(台湾、ドイツ、オーストリア)に帰ったりしたので、現在シドニーで集合できるメンバーは私を含めてたったの6名。それなのに、全然日程の調整がつかず、一時はどうなることかと思った。これで、何とか全員揃ってKの論文発表のお祝いが出来る。皆からそれぞれ「ありがとう!」というメールをもらい、ちょっと救われるのだった。
昨晩は留学当初からの友達Yがうちに泊まりに来てくれ、とても楽しいひとときを過ごすことができた。連休中は勉強するぞ!と意気込んでいたが、やっぱりそれだけでは寂しいものがある。私の気持ちを察するかのように、夕方、携帯にメッセージが入り、「一杯どうよ?」とお誘いが。
しかし、軽く一杯で済むわけがない。白ワイン持込でお寿司屋で食事をし、韓国映画のDVD(『猟奇的な彼女』)まで借りてきて見て、それからさらに話題は尽きることなく、結局寝たのは午前2時。翌朝は一緒に食料品の買出しに出かけ、カフェでお昼も取り、別れた時にはすでに午後3時を回っていた。病院の図書館で借りてきた本にはまだ手を触れてもいないが、連休の滑り出しはなかなかよいかもしれない。
昨晩はごうごうという風の音と窓ガラスを打つ雨の音がうるさくて、夜中に何度も目が覚めた。しかも、朝から暴風雨でかなり憂鬱になる。自宅からバス停、バス停から職場までの短い距離を歩いただけなのに、傘は強風で裏返しになるわ、ズボンはびしょびしょに濡れるわで悲惨だった。
午前中は同僚の仕事が時間内に終わらないというのでその手助けに借り出され、午後はうちの研究所所長と上司と私の三人で面談があった。
産婦人科医でもあり大学教授でもある所長は、患者さんも院生も多数抱えていて、かなり多忙な様子。こうやって時間を取って話をする機会が持てたのは、実は就職してから何と初めて!
いつも挨拶程度の会話だけしか交わしたことがなかったので、面と向かって研究について具体的に質問されると、と〜っても緊張してしまい、しどろもどろになってしまった。勉強不足露呈。
上司が補足説明してくれて、さらに自己嫌悪に襲われる。ここ三週間頭に詰め込む作業ばかりで、分かった気分になっていただけだったのかも。物事を筋道立てて説明できるまでの理解力は養われてないのを実感。
面談の最後に近いうちに今後の研究の方向性や意義について発表をしてみないかと所長直々に尋ねられ、快く引き受けたものの、これで私の今週末の大型連休の予定は決まったな…と学生の頃に戻ったような気分になる。
でも、周産期医学、免疫学、内分泌学、これ全部まともにやろうと思ったら、4連休ぐらいじゃ足りないわけで。ま、地道に頑張るしかないか…。
トリプシン処理をしてから一週間ぐらいはそのまま様子を見ようということで、細胞の成長を待つ日々。
細胞が愛されていないって思わないように出社と同時に細胞の観察をするのが秘訣なんだよ〜と、上司に言われたが、細胞相手に「愛」を語られ、文化の違いを感じる。
考えてみると、これまで大学院や病院でお世話になった先生方は皆女性だったので、男性の上司に指導を受けるというのはこれが初めて。
今の上司はこの国では珍しく時間前行動をするタイプで、細やかな気配りもできる。行動力も責任感もあるし、何よりやる気に満ち溢れている。しかも、上司が昔つけていた実験ノートを参考までに見せてもらったら、その几帳面さにはただただ驚くばかり。
おお、重要な箇所には二重線が、定規でひいてある!自分の実験ノートと照らし合わせると、私のは殴り書きというか落書きに近い…。
この上司の誕生日が来週の火曜日なのだが、職場の皆で上司には内緒でお祝いをしようということになっている。実は、上司は甘いものが大の苦手で、ケーキ類は一切口にしないらしい。自分の誕生日を祝ってもらうことすら本当はいやなのだとか。しかし、共に働くものとしてはそこがまさに狙い目。去年も、「1年に一度くらいは食ってみろ〜!」みたいな勢いで無理やりケーキを食べさせたらしい。これは楽しみ。
日本食が好きだと聞いていたので、巻き寿司でも作ろうかと思ったが、当日人様にお見せできないものを作ってしまっても困るので、ここは無難にいなり寿司にしようかな。家で食べる分には少々見栄えが悪くても目をつぶってもらえるが、高さがまちまちで、具が中央に集まっていない巻き寿司を持っていくのは、やっぱり考えもの。
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