Howdy from Australia
←|目次|→
働き始めて一週間が経った。最近は目覚まし時計より早く目が覚めるようになり、6時起床にも体が慣れてきたようだ。仕事は覚えることが多く、一人立ちできるまでにはまだまだ時間がかかりそうだけれど、働きながらオーストラリアの教育制度を学ぶことができて、結構楽しい。
職場で一緒に昼食を取っていると、色々な世代の人がいるせいか、話題も育児、教育、政治、ゴシップと幅広い。「トニーはね、大学の同窓生に結構有名人が多いんだよ」と紹介され、そのトニーが旧友の名前を照れくさそうに挙げると、そこで輪になっていた皆が「ほぅ〜」と驚いたり、「あぁ、あの人!学生時代はどんな人だったの?」と、盛り上がる。思いっきり取り残されるも、え?誰それ?何してる人?と面と向かっては聞けないので、後でこっそり違う友達にその有名人がどれぐらい有名なのか聞いてみた。オーストラリア人なら誰でも知っている作家とか記者だって。芸能人ならともかく、そこらへんの話題はちょっときつい!でも、世間話ができるようになって一人前なのかも。日々自分の語学力を痛感させられるのも、この職場のいい所。
ちなみに今日は初給料日。まだ、研修の身で会社に一切貢献していないのに、しかも働き始めて一週間というのに、お給料がもらえるなんて!振込み明細をもらって、ただもうにんまり。両親にも電話で報告したら喜んでいた。自分で稼いだお金かぁ…。ここまで長かっただけに、しみじみ。
緊張しながら迎えた初日。研修室に通されると、自分の名前が書かれた名札が置かれていた。素晴らしい!何を隠そう、日本語だろうが英語だろうが人の名前を覚えるのが大の苦手。仮に名前を音で聞いたまま覚えたとしても、大体スペルがめちゃくちゃだったりする。
長いテーブルには分厚い研修教本と筆記用具が人数分きれいに並べてあり、ファイルには名前まで印刷してあった。オリエンテーションが始まると研修室に正社員も集まり、簡単に一人ずつ自己紹介をしていく。オーストラリア人を筆頭に、インド人、フィリピン人、タイ人、イタリア人、フランス人、フィジー人、韓国人、中国人、日本人(自分)と、かなり国際色豊か。私と同じ新規採用の社員の中には、専門学校の元先生とか、法律、政治学、心理学を勉強している現役大学生とかもいて驚く。年齢も20代前半から、退職間近?という高齢の方まで幅広い。新しい環境で一から人間関係を築いていくのは努力も勇気も必要だけれど、何もかもが新鮮で小心者のくせに楽しかったりする。
世話好きで面倒見のよさそうなオバチャンから、初日からTシャツ姿のオニイチャンまで何人もの人と話をした。中でも盛り上がったのが自分と同じような境遇のインド出身の女性。留学生として渡豪し、卒業後永住権を取得した彼女は会計士で修士の学位を持っているのだけれど、会計士の職に応募しても経験不足という理由で採用されず、新卒の職に応募すると今度は高学歴ということで相手にされなかったとか。半年近く会計士の職にこだわり続けるも駄目だったので、とりあえずこの職で経験を積んで次につなげようと考えたのだそう。短期契約の仕事だけあって、次の職のことや希望の職について包み隠さず話ができるのが、おもしろい。
通勤は一時間かかるけれど、行きも帰りも座れるので本も読めて快適だった。来週の月曜日までに納税者番号や銀行口座の詳細などを記入し提出しなくては。あ〜、初給料が待ち遠しいっ…てまだ研修の身だけど。
いよいよ明日は初出勤。不安と期待が入り混じる中、一本の電話が入った。聞き慣れない声に戸惑いながら話を聞くと、研究員の職に応募していた病院からで、何と!面接の案内だった。丁重に断って電話を切ったあと、文字通り頭を抱えてしまった。希望の研究職に応募しておきながら結果が待てず、一秒でも早く無職の身から解放されるために事務職の仕事を取ってしまった。悲しいけれど、精神的にも経済的にも余裕というものが全然無かった。あの時点では賢明な選択だったのだと自分を納得させようとするけれど、やっぱりとほほっ…て感じ。それでも「二兎を追うものは一兎をも得ず」という展開になっていたら、その方がずっと堪えただろうし、これも経験、経験。明日から仕事なんだし、頭を切り替えくては。
|