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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
「たねや」のロングセラー商品に、「ふくみ天秤」がある。担当者は、お客様に気づかれないよう、少しずつ変えて味を変えていると言う。お客さんは「昔から変わらず、いつも美味しいね」と言ってくれる。「変えていないのではなく、変えているのだけど、変えたと気づかれないように変えるのがプロだ」。変わらないことが伝統ではなく、気づかれないように変えていくことが伝統なのだ。
「たねや」のヒット商品に、「のどごし一番本生水羊羹@330円」がある。この商品は、加熱殺菌をしない、こだわりの製法で生み出している。お菓子の価値の一番は、時代とともに変わる。かつて砂糖が入っていて甘いことが一番の価値だった。が、今は抵糖が求められる時代になった。加熱をしないと、甘くなくないのだが、逆にそれが受け入れられ、感動を生んでいるのだ。
ラコリーナで商品開発者の話を聞いた。開発のプロセスは、�|甘�者が社長の思いを聴く。例えばこの材料を使ってみると言われる。�◆屬燭佑笋世辰燭蕕海�作る」「どうしたらたねやらしさが出せるか」を考える。��試作する �ぜ卍垢�試食する。社長は「たねやの味は亭主である俺が決める」と言い切り、少しもブレない。基準は社長の舌だ。たねやらしいかどうかは言葉ではない。「考えるな、感じろ」という以外に良い商品を作る方法はないのだろう。
ラコリーナの里山を高い場所から見ることができた。田んぼの真ん中に所々に、てっぺんに木が植えられている大きな石が置いてある。この石は神様の足跡という意味で、山の向こうの神社へと続いていると言う。そんな話を聞いていると、ここに目に見えない巨大な神がいて、神が山の向こうの神社へと歩いていく姿が想像された。その姿を見ながら、なんとも日本的でいいなぁと思った。
ラコリーナ内のレストランで食事をしたメニューは、単品で特製のオムレツだった。オムレツの周りに冷やしトマトが施されていて、何とも言えない美味しさだった。さらにそこで作られたパンが添えられていた。この場所で緑濃い里山を眺めながらそれをいただくと、何とも言えない優しい気持ちになった。今の世の中は、穏やかで優しい気持ちになることが難しい時代なのかもしれない。日々は慌ただしく、変化は目まぐるしく、ヤフーニュースも人間の尊厳を踏みにじるような事件ばかりだ。そんな中、優しい気持ちになれる場所と料理は本当に価値があると思う。
和菓子で有名な「たねや」のラコリーナを訪ねた。年間300万人も訪れる集客スポットは、自然があふれていて度肝を抜かれた。業者からよもぎを仕入れた時にそのよもぎが農薬まみれだった。「安全安心の材料でお菓子を作りたい。自然とともに生きる。やっぱり自然が一番だ」そう考えた「たねや」は、ここに農園を作った。たねやは50年後も100年後も存在していきたい。ここへ来れば「たねや」の生き方がわかる。永源寺農園のあるラコリーナは「たねや」の「挑戦する場所だ」なのだ。その強い意思をビンビン感じる刺激的な場所だった。
銀の森コーポレーションでは、ここにしかない商品の代表として、どんぐりを使ったクッキーの詰め合わせを販売していた。食べた人は「とても美味しかった」と言う。このどんぐりクッキーは、大変幻想的な店の中で、リスが主婦になって作っているというストーリーがある。この店は、インスタ映えするので若い女子は、クッキーを買いにあの店に行ってみたいな!と思わせるだけの力がある。会長はここを「わざわざ訪ねてくる聖地」にするんだといきまくが、「お土産を買う理由を作る=ソフトにお金をかける」ことが大切だとよくわかった。
渡辺会長は気さくな人で、園内を見学するときもずっと私たちに喋りかけてきた。メンバーが質問すれば、そのメンバーとずっと歩きながら話をした。このような経営者は今までの見学会ではいなかった。それどころか、メンバーにいろんな質問をしてきた。「お土産売り場で店員の接客をどう思うか?」「この商品はどうしたらもっと売れるようになるのかな?」など。誰にでも学ぼうとするこの謙虚な姿勢に感心した。
渡辺会長の話の中にお金との付き合い方が出てきた。会長は税金はたくさん払え。そして「経理が嫌がることはやるな」と言う。経理が嫌がることとは、ゴルフのプレー代や接待費を経費で落とすことだ。会長曰く「個人資産など作ろうと思うな。個人資産がなくても、会社に利益があれば、あなたは会社の100%の株主なのだから、会社があなたを守ってくれる」。同じ話を釣具販売店のイシグロの石黒社長からも聞いていたので、私はとても驚いた。そしてその考え方が本当に正しいと考えるようになった。
銀の森コーポレーションの園内には、もう一つモニュメントがあった。それは合掌している手の形を表したものだ。寿司屋から始まっておせちを作っている会社だから、人間の手が同社の象徴でもあるのだ。そのモニュメントには雨を防ぐための屋根がついていた。昔は屋根がなかったが、お客様から「屋根をつけたほうが良い」と言われ、つけたそうだ。手を合わせているモニュメントを雨から守るなんとなく渡辺会長の人柄が伝わってくるエピソードだ。
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