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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
銀の森コーポレーションは、人をすごく大切にしている会社だ。おせち料理を作るのは、女性のパートさん達の仕事だ。彼女たちは、どんなに頑張っても、子供の面倒や両親の世話などが重なって10年すると辞めてしまう。そこでパートさん達に感謝するモニュメントを作った。そこには一人ひとりの名前と、手形が彫ってある。パートさん達が、いつかお孫さんを連れてきて「ほら、おばあちゃんは昔ここで働いていたんだよ」と、自慢していただくためである。同社のおせち料理がいいものに見えるのは、自然の中にあるだけじゃない。sれだけ社員を大切にしている会社が作るから、いいものに見えるのだ。
銀の森コーポレーションの工場は自然の中にあった。製造業のお客様は、工場を見てファンになる。だから商談がうまくいく。こんな自然の中で作っているのだから、さぞかし良い商品を作っているんだろう。そうやって思ってもらうために、田舎の売り物である自然の中に工場を作ったと言う。確かにこのような自然の中で生まれる商品は新鮮で人に優しいものだと容易に想像がついた。
渡辺会長はスピードのある変化を求めている。そのため引き合いに出したのは、馬車に乗っていた人間が車で移動するようになるまでの時間。この間わずか13年。そこで、飛行機にまつわるスピードを調べてみた。ライト兄弟が初飛行に成功し(1903)、リンドバーグが海を渡るまで24年(1927)。月に行くまで66年(1969)。わずか66年前まで空を飛べなかった人類が、あっという間に月まで行ってしまうのだ。「できたらいいな〜」ではなく、「絶対にやる」と決めたときの人間は強い。創業者には、こうした強さを持った人は、そういう人が多い。
創業以来、お客様のニーズに合わせて目まぐるしく変わってきた同社のビジネスだが、「どんどん変わっていくことをどうやって社員に分かってもらうか」が課題になった。社員は、一度覚えたことを変えたがらないものだ。だから会社が変わることを望んではいない。会長が「新工場を建てるぞ!」と言ったときも「やらないほうがいい」の反対意見ばかりだった。そこで社長は会社のスローガンを「寝ても覚めても新たな試み」とし、これを目立つところに掲げることで、変化の必要性を社員に浸透させようとしているのだ。
渡辺会長は、結婚式のビジネスをある理由があってやめた。それは「嫌な所には行けない」という信念だ。式場は着色料を使って綺麗なものを作れ、並べて見栄えのするものを作れと要求してくる。しかし渡辺会長は食べて美味しくないものを作れば、いずれ天に仕返しされると考えた。「損か得か、人間の物差し。嘘か真か、神様の物差し」は相田みつをの言葉だが、それを判断基準にできる姿勢が素晴らしい。
渡辺会長は、元々豆腐屋だった。豆腐からできる揚げ物で稲荷寿司を作り、その寿司を高速道路のドライブインで委託販売した。が、返品が多いため井村屋を参考に冷凍の寿司を作った。同社の冷凍カップちらしは大当たり。以来、結婚式場に半完成品を作って収めるビジネスを始めた。当時の写真を見させていただいたが、随分とユニークな商品を作っている。会長は「どこにでもある商品をは嫌われる」という。素人集団ならではの自由な発想が業界の常識を破り、支持されたのだ。
無敵経営研究会で、岐阜県恵那市の銀の森をコーポレーションを訪ね、創業者である渡辺会長のお話を伺った。銀の森コーポレーションは、25万食物おせち料理を作るメーカーだ。おせちは作って冷凍し、それを年末に出荷するビジネスだが、同社の強みは冷凍前の「解凍した時に離水しない」処理技術にある。それゆえに同社のおせちを食べた人は、「冷凍でなぜこんな繊細なことができるのか?!」と驚く。また、海外の人は「ビューティフル!見ただけで美味しい!」と絶賛する。おせち料理のようにぎっしりと詰まった渡辺会長の想いを聴いた。
F社長は、何かをする時に「利他の精神」に立つための三つの呪文を教えてくれた。「私心はないか?」「動機は何か?」「心は善なるか?」。こうやって考えると、あらゆる商品は私心を満たすためのように思えてきてしまう。が、ハッと気が付いて、すぐに考え方を改めた。コンサルタントを頼るときは「自分を変えたい時・改善したい時」だ。その変化の対価として、お金が発生する。決してコンサルタントが何時間働いたからお金をください、ではない。そんな時給的な考え方は間違いで、「あなた自身ではなし得なかった変化があなたに起きたのだから、これぐらいの価値があったということです」という意味で値段設定すれば、それは私心ではない。もし私が高価ならば、それは私が強欲なのではなくて、そのような変化をクライアントにもたらすからだ。
F社長は現在、自社で特許を取得した技術の普及を考えている。このとき「真似されたら嫌だなぁ」と考える自分と、「真似されるのは仕方がない」と考える自分がいる。「嫌だなぁ」と考えるのは特許で稼ごうとする利己的な気持ち。「仕方がない」と考えるのは、技術を普及させて世の中の役に立とうとする利他的な気持ち。すると、様々なところで「あなたの技術を使いたい」という声が上がってきた。F社長は「奇跡が起きてる」と言うが、値上げの時の覚悟と一緒だ。「失ってもいい」と覚悟を決めると、自ずと良い方向に転じるのだ。
SDGsは、地球の困ったを解決する「利他の行動」を分かりやすく分解したものだ。そして、この中に、その人・会社が社会から求められている役割が必ずある。SDGsの行動に第一歩を踏み出すことが、 利他の行動を実践することになる。私の場合は4番の「質の高い教育をみんなに」と8番の「働きがいも経済成長も」、そして9番の「産業と技術革新の基盤をつくろう」が該当する。特にこれからは、どこまで9番に貢献できるか(衰退産業を活性化し新たな息吹を吹き込むことができるか)に挑戦していきたい。
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