V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
リハビリを行う部屋を見せていただいた。一般のリハビリルームとは違うコーナーがあったそれは押入れ洗濯物パチンコ台テレビカラオケセットなど普通の家の中を再現したコーナーだ。これは患者が自分の自宅に帰った時に布団の上げ下ろしを自分でできる洗濯の時の干したり畳んだりが自分でできる、テレビのリモコンでスイッチのオンオフができる、あるいはパチンコ屋さんに行ってパチンコ台の操作ができるなど当たり前の動作がちゃんとできるように訓練するためだ確かにこういった訓練も必要だと施設を見て感じた
緩和ケア病棟見学させていただいた。この病棟には喫茶コーナーがあったそこは大変眺めが良く、ハロウィンの飾り付けや押し花、お月見の団子を象った装飾などがなされていて、心が穏やかになるような趣向があった。まだ個室の入り口にはとても可愛らしいぬいぐるみが、個室内にはパッチワークを施したベッドカバーが置かれていた。これらは皆、当病院の賛助会員のボランティアの手によるものだ。個室はエアコンが一人一台、どの部屋にも窓がある。これらの装飾や設計に、一人一人の尊厳を守ろうとする優しさを感じた。
南生協病院は、病院の中を歩くだけで、他の病院にはないいくつかの特徴を見つけることができる。そのうちの一つが床のデザインだ。目が悪い人でも大変見やすく、歩きやすいユニバーサルデザインが採用されている。トイレの場所を案内する看板が多く、表記がわかりやすい。患者が多く歩く階段の段差は、低く歩きやすい。「虹の意見箱」という意見を回収する箱があるが、これを読んでいるのは事務局の人ではなく生協の組合員である。組合員が組合員の意見を読んで、病院の改善策を考えるのだ。こんな南生協病院だが、救急車の受け入れ数は南区で一番である。
この病院の構造は変わっている。建物の半分を作り直した時に、もう残りの半分は営業を続けることができる。老朽化によって全部建て直しになると、その時入院していた人は全て出て行ってもらわねばならない。そのようなリスクがないように作られているのだ。この構造を担当者は、アテネのパルテノン神殿と伊勢神宮の違いだと語る。伊勢神宮は20年に一度の式年遷宮がある。そのために常に新鮮な状態を保っていられる。一方、そのようなルールのないパルテノン神殿は、時間が経過すればそれだけ朽ちていくだけだ。愛され続けることを目指すこの病院は、建物を建て替える時のことも考えて設計されているのだ。
この病院を企画した時、累計1000人の意見を聞いたという。これを同社は1000人会議と呼んでいる。1000人の意見を聞くために、類型45回のワークショップを開催した。そこで集めたのは、地域の組合員の意見と医師の意見。組合員の側からは便利で使いやすく明るい病院、医師からは安心で安全できる病院の意見が出された。企画の段階でそれだけの時間をかける。「健康な人がより健康になる病院」はそれぐらい時間と労力をかけて誕生した。
愛知県の南生協病院を見学させていただいた。この病院は病院らしい部分と、病院らしくない部分が両立している病院だ。入口付近にはレストランやオーガニックレストラン、料理教室、フィットネスクラブ、卓球台などの賑やかな店舗がある。そこを抜けていくと、その先に南生協病院がある。「病院は病人を治すところ」が常識だが、この病院のコンセプトは何とコンセプトは「健康な人が、より健康になれる場所」。こんな病院は見たことがない。
柴山先生の講義の翌日、私はある大手企業で研修の講師を務めた。その研修室は地下1Fにあった。どの窓にもセンサーがついていた。もしこの建物に入ろうとする人が、このセンサー付きの窓を割るとたちまち警報音が鳴り響き、犯人はびっくりするであろう。が、音がするだけで、誰かがすぐ駆けつけるわけでなければ、犯人は悠々と目的を果たし、誰かが駆けつける頃には立ち会っているに違いない。大事なのは音だけでなく、誰か駆けつけることだ。柴山先生に教わっていなければセンサーだけで感心しただろうが、今は一体誰が駆けつけるのか。その仕組みの方に関心がある。
柴山先生は、ご自身で様々なツールを持ってきて、犯罪者の手口を私達の前で再現してくれた。頑丈に見えるガラスが一発で割れたり、あっという間に取り外されたりする瞬間を目の当たりにして、大変に驚いた。受講生の中には何度か空き巣に入られた経験のある人が少なくなく、手口を見せられていかに自分が無防備だったか気づいた人も多い。柴山先生から私を含む受講生たちへの防犯診断を提案されたが、皆それを大変に喜んだ。柴山先生本当にありがとうございました。
空き巣防止には様々な対策があるが、最も重要なことは防犯カメラをつけることではなく、侵入に時間がかかるようにし、途中見つかるリスクを高めることだという。驚いたことに防犯カメラは犯罪の証拠にはならないらしい。またセコムをしたところで駆けつけるまでには20~30分の時間がかかってしまう。その間に犯人は悠々と退散していく。よって雨戸を閉めるなど、侵入に時間をかけさせることが最も有効な手段だという。
柴山先生は講義の中で、ご自身が監修したテレビ番組のVTRを見せてくれた。VTRの中で、外出中に空き巣に入られた家族が登場した。驚いたことにその家族は、空き巣に入られている事実に気づかない。空き巣はいっぺんに多くを持って行かず、1回あたりの被害額50万円ぐらいのものを、ちょこちょこ盗んでは何度も同じ家に入るのだという。そして何度も空き巣に入られた家族は毎日がとても不安になり、精神的に参ってしまう。入られてからでは遅い。入られる前にちゃんと準備することの大切さがよくわかった。
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