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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
同社では人間力を上げるために3つのテーマで取り組んでいる。テーマ1は「一人一人が人として成長しよう」。ジャンルを問わない経験や学びの提供。例えば二宮金次郎が読んでいる『大学』を用いた勉強会を月に一回各職場で行なっている。職場は全部で6ケ所ある。佐久社長は毎月6回これに参加する。社外研修では北海道で酪農体験をしたり、鹿児島の知覧で特攻隊について考えたりする機会を設けている。これらを通して豊かな発想力や道徳心を養っている。また月に1度、定時後に佐久塾と呼ばれる社長主催の塾を開催している。ここでは皆で一緒に映画を観る。そしてその映画について語り合うことをやっている。映画はインドの映画(ポリウッド)が多い。一緒の映画を観て、その後の感想や気づきを伝え合う。私も管理職研修時に受講生皆に短編映画を見せることがあるが、人それぞれのものの見方やその人固有の考え方があることを知る上で大変効果的だ。
モチベーションの内的要因である「自分の楽しみ方を自分で作る」ことができる社員とは、例えばトイレ掃除をした時に、誰もが「うわあ汚くて嫌だなー」と思う中、「一生懸命やってきれいになったら楽しいじゃん」「誰かがキレイになったと喜んでくれたら嬉しいじゃん」等の楽しみを見出して行動できる人だ。こういう人は心の中に安定感を持つことができる。そんな人になるために必要なのは、人としての心の成長だ。視野が広く、知識や道徳、感動体験が豊富であれば、問題が発生した時により選択肢を多く出すことができる。給料だけを唯一絶対の価値基準とし、「もらっていない!」などと不満を増やさなくていいのである。社員一人ひとりがこうした考え方ができると、組織としての安定感が増す。どんな状況でも「この仲間となら大丈夫」という安心感をも生み出す。その話を聞きながら5 S を徹底している会社の社員が生き生きとしているのはこういうことなのかとストンと腹に落ちた 。
社員がワクワク働くための内的要因の大切さを伝える上で、同社の神田さんがディズニーランドを題材にとても分かりやすく例え話をしてくれた。ディズニーランドに行く時はとてもワクワクする。数日前から興奮状態で、東京駅に着いて舞浜駅に着いて、ランド入っていくまでずっとずっと興奮状態だ。ただこの興奮状態は非日常的空間だから楽しいのであって、これが毎日毎日続いたらさすがに体が持たない。毎日楽しむには毎日楽しむ方法を、自分で自分に作るしかない。もし毎日ディズニーランドで楽しもうとしたら、隠れミッキーを探すなど地味だけど自分なりの楽しみ方を見つけるしかないだろう。仕事も同じ。仕事はもともと楽しいものではない。ただ楽しめる人と楽しめない人がいる。その中でどれだけ楽しめる人になれるかがとても大事なのだ。そして河合電器製作所はそれを様々な仕掛けによって仕事を楽しむことができる人材を育てているのだ。
社員がワクワク働くためには、評価と給料が欠かせない。その評価は、近年は業績に連動するのが一般的だ。が、これは自分だけでコントロールできない。お客様の好調不調や、世の中の景気など企業の『外的要因』に左右されてしまう。つまり業績連動で社員を評価すると、世の中の状況に左右されるため、社員の不安や不満を誘発してしまうのだ。そこで同社は他人から与えられるのを待つのではなく、一人ひとりの社員が内側からワクワクを作り上げていく『内的要因』を強化することにした。内的要因とは、「自分の楽しみ方を自分で作る」こと。不況の時は不況の時の楽しみ方を、好況の時は好況の時の楽しみ方を、社員が自分で身につける。そうすれば、継続的に毎日が楽しくなる。幸・不幸のハンドルを外部の誰かではなく、自分で握る。同社はそんな変化対応力のあるブレない社員を独特の方法で育成している。
無敵経営研究会で愛知県東郷町にある河合電器製作所様を訪問した。同社は厚生労働省の「第1回 働きやすく生産性の高い企業・職場表彰 〜魅力ある成長企業賞〜最優秀賞(厚生労働大臣賞)」を受賞している。この日は、佐久社長と広報担当である社員の神田さんが説明をしてくれた。佐久社長は「 何かに左右されるのではなく自分たちの意思で成長する未来を作り上げていきたい」という独立自尊の経営を目指している。近年わが国では、会社が利益を出すために経済合理性ばかりを追求し、社員が疲弊していくケースが大変増えている。が、佐久社長は「社員がワクワクすれば結果はおのずとついてくる。社員がワクワクとするために効率化や合理化を図るなら、それが良い経営ではないか」という考えを持っていた。良い結果を出すために原因を作る発想と、原因の原因をつくる発想。「この視点の違い」が、社風を大きく変えるのだと気がついた。
昨日出会った社長は、残業も減らすことに成功したと言う。ポイントは残業を申告制にしたこと。今日どれぐらい残業が必要かを午後3時までに管理部門に申請する。管理部門はその残業が本当に必要な事なのかどうか精査をする。もし不必要な残業をしていたり、特定の誰かの残業が多いと、部門全体を指導する。こうした仕組みを作ったところ、総残業時間が減少したと言う。精査する管理部門は大変だが、まずは外圧でもなんでも「本当に数字が減って、残業って減らせるんだと気づかせる。それから仕組みに着手する。こうした考える実行する順番が、残業削減には有効なのだと思った。
愛知県の製造業はどこも採用難で苦しんでいる。そんな中今日話した会社は、採用に成功している。その秘訣を社長に聞いたら、「従業員の休みを年間115日にしたこと。そして毎年1日ずつ増やして120日までにすると約束したこと」だという。さらに月当たりの残業時間を40時間以内に抑えるようした。総労働時間が減るのだから、その分は生産性を上げてボーナスで報いないといけない。「生産性を上げるのは大変だが、今の時代は給与より休日で人が集まる」。これが社長の結論だった。
NHKのクローズアップ現代でスポーツビジネスの特集をやっていた。プロバスケットボールのチームの中には、集客に成功したチームと経営不振で降格したチームがありその対比が面白かった。経営不振となったチームは、「勝つ→集客」を考え、強い選手を高額で補強した。そのため人件費倒れとなった。一方「集客→勝つ」を考えたチームは、ファンファーストな様々なサービスを打ち出した。これにより会場は満席に。その環境が選手のパフォーマンスを引き出していた。この対比に、経営を考える正しい順番を見た思いだ。日本企業が弱くなったのは、いつしか「勝つ→集客」的な発想ばかりになったせいもあるのだろう。
仕事柄、同じ会社の仲間同士でビジョンを考えている姿を見る機会が多いが、とても楽しいと感じる。ビジョンの実現に欠かせないのは、本当に成果を出そうと思うことだ。本当に成果を出そうと思えば、発想は次から次へと浮かんでくる。ビジョンを掲げ、そこに至るまでの途中経過をちゃんと描けなくても、とりあえず動いていればそのうち先が見えるものだ。それには「今の自分は最善だ」と今を肯定すること。ビジョンは先のことではなく、今の理想である。今の理想に向けて、今できる最善を選択して生きる。それが連続してできればビジョンは必ず実現できるだろう。
理念ができた後、ビジョンを皆で考えた。理念は会社の中心軸だから、衆知を集めた上で社長が作成すればいいが、ビジョンは皆でワイガヤで作るのが望ましい。このとき悩ましいのは「あるべき姿」に「先に」数字を入れるべきか否かである。赤字からの脱出、シェア奪回などが目標の時は、先に目標値数字を決め、そこに至る計画が必要だが、オンリーワンを目指す企業は「違い」を生み出すことに特化し、その証として数字が付いてくるという考え方もできる。定性目標と定量目標のどっちが先か、それが問題だ。
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