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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
ワークライフバランスは仕事と人生の調和だが、社長は「ワークアズライフ」だという。ワークアズライフは「「仕事とプライベートを分けることなく、寝ている時間以外はすべて仕事であり趣味であるという考え方」。同社の社員はそのくらいロコレディでの仕事を楽しんでいる。社長は社員を徹底的に信じている。任せたら本気で任せる。最初は100万円くらいから仕入れ権限を付与する。それが上手く行ったら200万、300万と増やしていく。そして最大8000万もの仕入れを任せている。この強い信頼に社員が力強く応えている。
不特定多数でなく特定多数を狙う。羽富社長は3.11の時に2千万の被害を受けた。店長の家もぐちゃぐちゃになった。にもかかわらず、当時テナント出店していたイオンは「明日から店を開けるので来い」という。このとき「これはいかん」と思ったという。店長は50〜60代の店長だ。孫の面倒を見ないといけない。自分の親、旦那の親の面倒も見ないと言えない。女性店長は21時までとても働けない。そのためにイオンを出た。すると売上げは30%落ちた。が、経費も1/3になった。売上が下がっても利益が出る経営に変えたら、社員は辞めなくなった。同社の平均勤続年数は30年。
売り込むときは本人ではなく「女、子供、ペット」を狙う。これはユダヤ商法の教えだが、店長はお客様のペットに年賀状を送る。「メリーちゃん、あけましておめでとう!ワン!」と書いて送ると受ける。ネコにも書く。建物でもトイレに一番金をかけている。お洒落と言うより面白いトイレだ。「あそこのトイレ、面白いんだよなあ」と噂になるトイレ。ロコレディのトイレは、高校生が利用すると「持って帰りたい、ここに住みたい」と言ったというが、これだけでも見たくなる。社長の噂づくり力には脱帽だ。
人の口コミでなく家族内の口コミを増やす。同社の自販機のジュースは只。そこで女子高校生たちが毎日のようにやってくる。一人で1日3杯も飲む子もいる。彼女たちはジュースがタダで飲めることをインスタなどでアップする。どんどんタダで飲む子が増える。そんな彼女たちは卒業したら初任給でお母さんやおばあちゃんにエプロンを買ってプレゼントする。結婚する前には彼氏を連れてくる。羽富社長は趣味で作ったドールハウスをプレゼントする。すると感激して泣き出すという。こうした物語が家族の中に広がる。家族内の口コミには嘘がない。高校生を基点にお母さんもおばあちゃんも客になる。「CSVは回りくどい」と羽富社長は笑うが、高校生と普通に話せるのは社長ならではの武器だ。
イベントではなく場立て。イベントは「売り」が目標。一方場立ては人が集まって来るもの。同社はこれを明確に区別している。人を集めようと思うと、どうしても値引きする。一方、場立ては一緒になってつくる。今企画しているのは、高校生が企画・演出する音楽フェスティバル。そこでは春をテーマに20代の曲、30代の曲などいろんな世代が集まる曲を演奏する。市長がサザンが大好きなので市長を交えたバンド演奏もやる。場立ては集めるんじゃなくて集まってくる仕組みづくりなんだ。
俳優が来る店にする。同店には羽田美智子さんや山本學さん、堀内正美さんなどが訪れている。方法はフィルムコミッション。映画、TV、CMの撮影に自分の店やオフィスを無料でどうぞ使ってください、時間帯は相談に応じますと市のフィルムコミッション制度に登録するのだ。すると、すぐオファーがあるという。またエキストラの話があると参加する。するとおまけがもらえるので、それをお客様にプレゼントする。当然、お客様は喜ぶ。常総市は映画撮影が盛んな街。その地の利を生かしたPR法だ。
水害に遭ったとき、避難所に支援物資が置かれていた。長靴の横に女性用の下着が置かれているのを見た羽富社長は「これはいけない!」と思い、女性用の下着をS、M、L、2Lのサイズ別にラッピングして各避難所に配れるようにした。「こんな緊急時に何やっているんだ」と言われながらも、女性心理を知る婦人服商として許せなかったのだ。また、Facebookで「女性用の下着を私に送ってください」と呼び掛けたところ、全国から460もの支援が届いた。社長はそれもラッピングして避難所に届けた。こうした活動が評価されて、社長は陛下が被災見舞いに訪れたときに市の推薦で言葉を掛けられる。彼の市民に寄り添う姿勢の賜物である。
仕事としてのボランティア活動。一般にボランティア活動は、社員が勤務時間外に自主的に地域のために活動する。それを、会社の活動とした。勤務時間内に社員が花火大会のゴミ拾いや募金活動を行う。このとき、社名の入ったジャンパーを着たりしない。逆に募金活動の時は怪しまれないように、市のマークを借りてくる。仕事だから皆、一生懸命やる。2−3万円集まったら市長に持って行って市長と写真を撮る。その結果、市の信任が厚くなるだけでなく、社員も育つという。
多くの会社の商工会への参加動機は「参加していれば市から仕事が来るんじゃないか」という下心だ。しかし、そんな下心が見え見えの会社に市はなかなか発注しない。すると参加者は「商工会なんて…」「市役所なんて…」と市の悪口を言い始める。一方市は、少ない予算であれこれ運営せざるを得ず四苦八苦している。また予算集めもしたい。そこで羽富社長はボランティアで運営に参加、募金集めだってやる。市の困っているところを助けるため、行政にフォーカスする活動をする。すると、市からの信任が積みあがる。愚痴る人と、信任を積み上げる人。この差はとても大きい。
さびれた商店街。ネコ一匹通らない。そんな茨城県常総市のシャッター通りで婦人服店「ロコレディ」は繁盛し続けている。きっかけは会議ファシリテータ普及協会の釘山代表の言葉。「さびれているのはそこに歴史や伝統があるということ。それを活かしましょう」。物事にはすべて裏と表がある。悲観して見えるのはすべて一方の側からしか見ていないから。それをもう一方の側から捉える。羽富社長は物事を見て「how」を考える癖がついた、という。ロコレディの成功はまさに常識を逆に見てhowを考える逆転経営にある。
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