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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
近年は理念経営を推進している会社が多い。今回のレジェンド合宿の会社も同じ。よって会社の課題を見つけるにはデータをあれこれひっくり返す前に、まず自分たちの日頃の行動がこの理念に従ってどうなのか、というのを洗い出してみる。そしてそこから見出された課題に対し、「なぜそんなことになっているのか?」という原因と、その原因を生んでいる真因を洗い出していく。そうやって突き詰めていくと、対処しなければいけない課題が見え、その解決策が戦略になる。外部環境分析ももちろん大事だが、理念に照らして内観することはもっと大事。今回も非常に重要な課題を見出すことが出来た。
地元の岐阜でお客様の幹部11人とビジョン開発合宿。いつか「会社はあの合宿から変わり始めた」という伝説にしたいから、ビジョンを描くための合宿を私はレジェンド合宿と読んでいる。何年もしたら、あの合宿で何を語ったかなんて、忘れてしまうもの。が、「あのとき、頑張ったよね」と、仲間同士で同じ記臆は残る。それを共有できることは、信頼や一体感を育む大切なこと。昨今は時短の影響で合宿するのが難しい時代になったが、仲間と未来を考える時ぐらいは、非日常の中に身を置いた方が良い知恵は出る。そう信じて敢えて合宿を提案したが、やってみて良かった、と言われるものにしたい。
新著『チームV字経営』をお読みいただいたお客様から、お会いしたいとのオファーをいただいた。「まさにうちの経営に今必要なこと!」というご意見である。こういう出会いは本当にありがたい。陶芸家の河合寛次郎は『ぎりぎりの我に到達した時に初めて、 ぎりぎりの他にも到達します。 自他のない世界が、ほんとうの仕事の世界です』と語っている。書籍はこういう日記と違って自分のギリギリを書くもの。たいしたギリギリではないが、一部でもそれが他に到達したのなら、こんなありがたいことない。
昔の同僚に依頼され、某社の赤字事業部門でV字回復策を見出す研修を行った。このとき、その同僚は私のやり方をオブザーバー席でずっと見ていてくれたのだが、その後でこんなメールをいただいた。「聴講させていただき、改めて酒井さんが進化されていることを強く感じました。これは、日々のメルマガを拝読させていただいても感じるところであります。何年か前に酒井さんがブログで「〜な職人でありたい」といった内容を書かれてましたが、ちょうど昨日、NHKスペシャルで「和食ふたりの神様」という番組をやっていました。90代と70代の和食職人が日々進化していく様を描いた秀逸な番組でしたが、正にそんな求道の姿がダブって見えました」。この番組を私も観たが、こんなふうに評価されて嬉しい。彼も独立を目指しているという。この料理人たちと同じ境地で切磋琢磨したいと思う。
掛川市の「たこ満」は、来店者に対するお辞儀を欠かさない。私たちがバスで立ち去る時も見えなくなるまで手を振って見送っていただいた。また「ありがとうカード」は複写式になっていて、書いた人ではなくもらった人が表彰される仕組みだ。社員ひとり一人の月報には、上司はもちろん社長もフィードバックコメントをくれる。こうしたことを地元の人たちは知っていて、子どもを同社に入社させたがる。「あそこに行けば、子どもを躾てくれるから」。採用難の時代にこの信用は大きい。同社は採用に困らないというが、教育で評価される会社に人が集まる時代。企業は教育に力を入れ、地域の信頼を勝ち取るべきなのだ。
掛川市の「たこ満」では、新人は現場の幹部が採用する。社長は採用に関与しない。しかし、育てるのは社長の責任だとして社長が教育するという。新人教育の中ではひとり一人の入社動機を聴く。そして、3か月後の6月に自分の夢、志を語る機会を設ける。新人と、新人のパーソナルコーチと、審査員がいて、その発表で60点以上なら合格だ。が、新人は夢、志なんて持っていないのが一般的だ。それを2人1組になって、20分くらいかかって引き出していく。そうすると出て来るものだという。夢、志は潜在意識の中から引き出すもの。それを聞いてとても良い取り組みだと感心した。
掛川市の「たこ満」ではアメーバ会議を行いながら、「何を売れば粗利が高くなり、稼げる仕事が出来るか」を毎回検討しているという。当たり前のことのように思えるが、5月22日の日記に書いたように、日本の経営は「何をしたら儲かるのか」が細かいところまで落ちていなくて、「長時間労働すれば儲かる」のように事実(ファクト)ベースではなく、イメージベースで仕事をしてるところがある。アメーバ経営は事実ベースで仕事をする仕組み。生産性の問われる今日、ますます必要になってくるだろう。
掛川市の「たこ満」では「心を高める勉強会」として、衛生勉強会、心得勉強会、環境整備チェックを継続的にやっている。中でも心得勉強会では稲盛さんの「人生・仕事の方程式=能力×考え方×熱意」を伝えているという。その中で、考え方とは自利か利他かで異なると聞いて「なるほど〜」と感心した。考え方は(+)、(−)で表現されるが、自利なら(−)、利他なら(+)である。平松社長自身、自利で始めた事業は失敗し、利他で始めた事業は成功したと言った。この話に、とても納得した。
掛川市の「たこ満」には、教育理念があった。教育理念は「職場を通し、自らが成長でき、社会貢献できる人材の育成を行う」。そしてこの理念に従った教育を行い、社員は殆どやめることなく定着しているという。同社には、基本理念(たこ満の基本の考え方・目指す社風)、経営理念(たこ満の目指すところ)、教育理念、創業の精神「社名の由来」、社訓「私たちは***忘れません」、事業領域「おいしさとおもてなしで地域文化創造企業」の計6つの定義がある。同社には100年ビジョン、10年ビジョン、そして「コアコンピタンス経営の実践」と2つの基本戦略、コアバリューの強化戦略、周辺バリューの強化戦略がある。たくさんのようだが、結局これくらい考えないと事業は上手く行かない、ということだ。この理念〜事業体系は構成はとても良いと感じた。
仲間と掛川市のオンリーワン企業「たこ満」を訪問、平松社長の講演を聴いた。同社は「心を高める教育」を行っているのだが、その理由が「作る人の気持ちがこもっていないと美味しいお菓子作りが出来ないから」。気持ちがこもっているかどうかで、機械化できない泡の立ち具合、攪拌具合などが違うという。そして、店を広げると長時間労働を強いることになり、作業のひとつひとつが疎かになるので、拡大よりも社員の幸せを追求していく会社を選択したという。量か質かは常にビジネスの分水嶺だが、質を高めることを選択するときは、それは「従業員の心を高めること」とイコールなのだ。
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