|
V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
「いいサービスを受けるには、まずもって自分がいい客になれ!」とサービスの神様に教わった。喫茶店に行って「コーヒー!」と威張った客を演じていては良いサービスは受けられない。「コーヒーをください」「コーヒーをお願いします」と言い、出されたら「ありがとう」と返す。そうすると大感動ではなくても「いいね!」と言いたくなるようなサービスが受けられるという。それを聴いて、私が平素心がけていたことは間違いなかったと思った。が、時折タカビーになってしなうことを反省した。
サービスの神様から顧客未満足という概念を教わった。未満足は不満ではない。不満でも満足でもない状態で、これが一番怖いという。不満はクレームになって表面化するが、未満足は「やり方がよくわからない」「指示内容がよくわからならなった」などが原因で気持ちよくいない状態のこと。この状態は端から見ていてもわからないので、上司が声がけをする。「ご不便なことはありませんか?」。すると未満足の人は、満たされていない部分を伝えることができる。ESの向上、部下の成長に何よりも大切なのは上司の声がけだが、声がけが有効なのは「未満足」を減らして「満足」を増やすからだ。
TDLでは略語を使うことを禁止している。スペースマウンテンを「スぺマン」と言いそうなものだが、それはあくまで「スペースマウンテン」であり「スぺマン」とは別物となる。略語は「乱暴なものの言い方」であり、略語を使っているといろんなことが雑になると同社は考えているのだ。何より多くのキャストを動かす基本が言葉の統一であり、伝わらないことを恐れている。たとえば、掃除に関しても「きれいさを保つこと」ではなくて「15分後に落ちたゴミがなくなること」となっている。だから掃除担当のカスートディアル自分の持ち場を、15分に1回は巡回する。仮にゴミが落ちていていても上司は「やっていないじゃないか!」と叱ってはいけない。そのゴミが15分後も放置されていればそのとき叱れるのだ。そういう細かいコミュニケーションへの配慮が、品質の高いサービスの根源にあると聞いて感心した。これから自分も略語を使うのはやめよう。
TDLではサービスレベルの統一が不可欠だが、作業手順書に精神的なものを入れてはいけないという。たとえば「心を込めて拭きましょう」と言っても、キレイの基準が人によって異なるからわからない。そこを「最低3回スプレーする。その後、雑巾で3回磨く」と動作指示をすれば、誰でも同じ作業ができる。同じく扉は「丁寧に閉めよ」ではなく、「音がしないようにドアノブを回しながら閉めよ」とすれば、誰でも同じになる。作業手順書には「感覚、マインド、心構え」と「作業手順」を分けて書くのがポイントなのだ。
TDLの本物志向は有名だが、本物志向だけならハウステンボスも同じ。が、なぜTDLはそれで成功するのか?過剰品質という発想はないのか?と思ってレジャーサービス研究所の斉藤茂一先生に聞いたら、同じ本物でもハウステンボスはハードに金をかけ、TDLはソフト(デザイン料など)に金をかけていると教えていただいた。パーク内のBGMにもNYフィルを使っているのだという。それを聞いて納得した。ソフトの消費は繰り返せるが、ハードの消費は一度で十分。カリブの海賊を何度も見たが、ハード的に飽きてはいても、あの海賊の物語は、子供が絵本を繰り返し見るように、何度見ても笑えるからだ。
TDLのカリブの海賊の船には「クリスティーヌ」など女性の名前が付けられている。これはゲストと従業員が、船に愛着を持たせる工夫だという。また、カリブの海賊の人形にもすべて名前が付いている。彼らは単なる人形ではなくて、物語の主人公なのだ。よってその衣類は定期的に洗濯をするという。それにより油シミなどを見つかり、機械故障を未然に防ぐことができるという。仕事をすべてストーリー仕立てにし、その物語への参加、あるいは参画意欲生み出すのは、楽しく仕事をする秘訣だとおもう。社用車を使う会社は、そこかネーミングしてみてはどうだろうか?
TDLは開店当初、金がなかった。そのため広告宣伝をほとんどしていない。そんな中で客を呼ぶために行ったのが写真撮影代行。キャストがゲストの写真を撮ってあげる。その写真を見て、ゲストが「また行きたい」の気を起こす。それがリピーターになる。当時キャストをやっていた人は、「今やっているあなたの仕事の手を止めても取りなさい」と言われて1日100枚撮っていたという。そうした開業当初の地味な努力を聴きながら、もし今日SNS上の拡散を期待するのなら、仲間と一緒の写真をたくさん撮ることだ。そうすると仲間がどんどん広げてくれるだろう。
TDLは、ワールドバザールを抜けると多くの人が左からが右周りに回る。そのため、アトラクションは「懐かしい系」→「ファンタジー系」→「未来系」という順に構成されている。物語も演説も、「今→過去→憧れ→未来」の順で構成されるとわかりやすいが、まさにその順番で周遊できるようになっていると聞いて驚いた。これからこの構成の話をするときは、TDLの配置を題材に使おうと思う。
ディニーランドの構造を真上から見たことないのでわからなかったが、ハブ&スポークの構造になっている。これにより、パーク面積はとても広いのに、ゲストは移動が容易で行動範囲は広くなく、一周してもさして疲れない。さらに、アトラクションのメンテナンスや荷物の搬入出路は外側から行われるので、客導線と物流導線を完全に区別することができる。魔法の国を維持するため、搬入搬出は見せないように工夫しているが、それは同時に効率をとてもよくする工夫でもある。
TDLの駐車場は斜め60度の前向き駐車だ。これがゲストやキャストの危険を避けるため。駐車場でもっとも危険なのは、バック。そこでディズニーはSCSEに従って、絶対にバックさせない前向き駐車ができるシステムをつくったのだ。面積は1.2倍も必要になるが、1台止めるのに6秒で済む。するとお客様の危険はなくなり、なおかつパークにいる滞在時間が延びて、客単価が上がる…。「危険ならば、その根本原因から取り除こう!」は多くの会社の改善計画で出てくるが、根本からなくす事例としてこれから紹介したいと思った。
|