V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
福岡のお客さんと話す。長崎出身の彼女は昔からダイエーホークスファンだった。球団がソフトバンクに買収されたとき、彼女を含むファンの仲間が残念がったのがダイエーホークスの応援歌がなくなってしまうこと。「われらのわれらのダイエーホークス〜」というくだりが好きだったという。ところが孫社長はこの応援歌を残した。わずかに「ダイエーホークス」のところを「ソフトバンクホークス」に変えて後は一緒だった。彼女たちファンはそれをすごく喜んだという。この話を聴きながら、現場で生きる人には、それぞれ大切したいものがある。変えるべきもの、と変えてはいけないものがある。カルロスゴーンの日産リバイバルプランでもその辺の見極めが上手だった。孫さんもそこはよく心得ていたのだろう。大河ドラマではまさに『本能寺の変』をやっているが、光秀はこの辺を見誤った人だったのかも。賛同者が少なかったのは、そこをはずした証かもしれない。
福岡に出張。中洲川端に泊まったところ、偶然にも有名なラーメン店「一蘭」を見つけた。私の住まう岐阜にも先ごろオープンしたが、深夜まで行列が絶えないとの噂でまだ行ったことがなかった。中に入ってみると、食べるところがひとり一人仕切られている個室。そして店員さんの顔も見えない。机上に置かれたオーダー表でお好みを選択する。スープや面は普通を選択。商談前なので「ニンニク」はなし、「ねぎ」は青と白が選べたので青にした。そして味はというと、こんなものかな?という感じだった。僕の味の選び方がよくなかったかも。地元で一覧に行ったことのある工務店の社長が「味は確かにいい!しかし二度目はない!」と言っていたのを思い出した。社長に「なぜ、二度目はないの?」と尋ねたら、「コミュニケーションを遮断して食べて何が食事か!」と怒っていた。家族を大事にし、家族の宝物たる家をつくる人にとって考えられない空間なのだろう。その意見に共感した。
V字回復の作戦を実践中の某社。支店単位で計画を立案しているが、すでに熱い支店が誕生している。その支店の温度は、メンバーの抱負を見ればわかる。例えばある支店のベテラン社員は、抱負に「皆の気持ちが伝わった。私も頑張る」と書いた。作戦が成るかどうかは、作戦の品質もあるが、作戦をどこかまでメンバーが腹落としして理解したかにかかっているが、前段の「皆の気持ちが伝わった」は皆とちゃんと話をしていないと書けない言葉。大いに期待したい。また、ある支店長は「この支店の未来のためを作ろう」と書いた。一段高い目線で支店を見ていることがわかる。このような支店がけん引役となり、その他の支店も盛り上げていきたい。
日経新聞一面の『革新力』に鈴7&IHDの鈴木会長のコメントが載っていた。曰く「川崎市に商品構成や店づくりを自由にやらせる実験店を造った。すると日販40万円と成績が悪かった店が80万円を超えた。新しいことをやるときに経験者なんていない。潜在能力を引き出せばよい」。「コンビニの時も銀行を始めるときも無謀と言われた。でも本当は皆に反対された方が可能性は大きい。そうすれば成功できるのは一人ですから」。鈴木さんは挑戦心を失わない人だ。それは「既存店売り上げの前年割れは絶対ダメ。そうなったら出店は全部止める。エルニーニョ現象で冷夏になっても猛暑でも売り上げを伸ばし仕組みを考えろと言っている」という危機意識から来ている。「何がダメなのか」という基準を明確に持つことが、その基準を生み出した価値観を自分の中に持つことが革新を生み出す原動力だ。ぜひ自社の中の「これだけは許せない〜ダメ出し基準」を確かめてみよう。 |