V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
熊本のラーメン屋「龍の家」の店員さんに驚いた。1,470円の支払いに10,000円渡した。すると、5千円札1枚に1千円札を3枚とり、扇形に持って丁寧に「5,6,7…」と8千円あるのを数えた。次に札を持ち変え、逆からもう一度「1,2,3,8…」と数えた。そして私に渡すときに、「5千、6千、7千、8千」と目の前で勘定し、「お確かめください」と渡した。20歳そこそこの人がお釣りを3回も丁寧に、律義にやる姿が素晴らしい。そうでなくてもこの店は、20代ばかりの店員の掛け声が素晴らしい。常に声が出ていて、誰かの声に誰かが反応する声のキャッチボールができている。また、バックヤードから厨房に入る時は皆大きな声とともに頭を下げ、出ていくときも一礼して出ていく。グラウンドや道場に入るスポーツ選手と同じだが、それをやらされ感なく全力でやっている。呼べばすぐ来る対応力も凄い。クリンネスも完璧。経営者の指導力の賜物だろう。素晴らしい店だった。
寺島実郎先生の講演会でもうひとつ面白かったデータは、「川上インフレ川下デフレ現象」。2000年を100とした場合、原材料費は251と2.5倍になった。中間財は117、最終財は86.特に最終財のうち耐久消費財は59。また2013年比でも、原材料費は17.0%増、中間財は5,5%増、最終財は2.8%増である。つまり、原材料比の値上がりを企業はなかなか価格に転嫁できず、付加価値を伸ばすことができないのだ。よって企業は、賃金を政府の要求通りに上げられないのである。そんな中で企業が勝ち残ろうとするのなら、スピードしかない。早くやればそれだけ人件費を圧縮でき、その分コストダウンできる。カンブリア宮殿を見ていても「どこよりも早い試作品を作る会社」「どこよりも早い印刷屋」などが出てくる。私のクライアントも新規事業は「速さ」を売りにし、実現する仕組みを築いた企業はいずれも成功している。迅速なサービスは、コストダウンを求める企業の切実な要求なのだ。
日本経営合理化協会主催の全国経営者セミナーでエコノミストの寺島実郎先生の講演を聞いた。その中で大変興味深いデータが2つあった。ひとつは、日本の株は誰が買ったかという話。野田総理の解散宣言以来上がり始めた株は、外国人投資家が15.7兆円の買い越し。対して日本人の機関投資家(企業)は5.9兆円、個人投資家は8.0兆円の売り越しだという。つまり、外国人は日本企業の株を買っているのだが、日本人は「もっと高くなるから買おう」とは思わずに、「ちょっと高すぎるくらいだから今のうちに売っちゃおう」と言って手放している構造だ。もし日本人が自分たちの株はもっと高い!と思って売らなければ、株価は18,000円ぐらいの水準にあるという。外国人に買い支えられた日本の株は今後、外国人投資家に魅力的な他の投資対象(BRICsや米国)が出てくれば一気に売られ、下がる可能性がある。15,000円付近で安定する株価を見て「日本経済力強く回復!」と誰かが言ってもそれは見た目だけのようだ。
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