V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
私の部署では毎年全員で「今年の一文字」を披露する。その中の一人の一文字に目が点になった。彼が披露した字は「死」。前職の生命保険会社で「死ぬまでやれ」「死ぬ気でやれ」「死んでもやれ」というようにしょっちゅう上司に言われたようで、毎日パワハラ全開だったという。そんな嫌な思い出も、今冷静に考えると「死ぬ気でやれ!」が嫌なのは、最後の語尾が命令形になっているから。この語尾を「る」に変えて、「死ぬまでやる」「死ぬ気でやる」「死んでもやる」に変えると、自分に矢印が向く。そしてやる気が出る。だから、自分の今年の漢字一字は「死」です、というのが彼の説明で納得。30代前半の人材が「死ぬ気」で挑むことは、キャリア形成上滅茶苦茶重要なことだ。ちなみに私の一字は「V」。流鏑馬のように一気に日の当たる坂道を駆け上り、目標を射抜きたい。書き初めの儀式のようなものだが、初春ならではの風物詩である自分の未来像の披露会は実に愉快だ。
自分を可愛がってくれた叔母が入院したと聞いて母とお見舞いした。85歳で怪我をし歩けなくなったのだが、懸命のリハビリで立ち直ろうとしている。怪我なので至って気丈であり安心した。帰り際に見舞金を渡そうとしたら頑なに拒否された。理由は「私はお返しできないから」。仮に元気になり退院しても、逆に私たちが叔母さんの見舞いを必要とするようなことはないだろう、という叔母さんの考え方だ。が、「その代わり、香典を頂戴」。悪い冗談だが、確かに香典は返す必要はない。親類の間で貸し借りの感覚なんて持たなくていのに…と思うが、そこは長年商売をやって来た人だ。その断り方が潔く、またカッコいいと思った。「頂いたらお返しする」という当たり前の商人魂が、彼女にとっての道徳になっているのだ。私も「給料をいただいたらお返しする」「お世話になったらお返しする」「お返しできないものは受け取らない」など自分の道徳にしよう。 |