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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
私の古巣のブラザー工業のかつてのミッションのひとつは「輸入から輸出へ」だった。同じミッションをトヨタも掲げていた時代があった。もちろんそれは実現され、今はミッションでない。ただし当時、この訴えは「社会構造の変化」を意味したはずである。「その変化を起こす担い手になろう!」と、社員たちに呼びかけていたのだ。「○○の担い手になろう!」そういう呼びかけが、最近少なくなった気がする。
それぞれの仕事、取り組んでもらう課題の「自分たちにとっての意味づけ」をどうするかは、若者だけでなくベテランの従業員にとっても重要なことだろう。給料が減額となり、後数年…という計算をしている人に「報酬」や「地位」はほとんど意味がない。「やりがい」「生き甲斐」のようなものを実感させられるかどうか。保有するスキル、豊富な経験を「その力を○○をしようとしている私に貸してください」。この○○を語れるマネージャが、今、求められている。
若い人たちを動機付けするにはどうしたらいいか、某社人事担当者と議論した。彼によると、会社が世界一であることを主張してもなかなか響かない。それ以上に伝えるべきは、今の仕事の「自分たちにとっての意味付け」である。意味づけを求めるに背景には、かつて頑張れば手に入ると言われた報酬や地位に価値を見出せなくなっているからだろう。その意味でも仕事のミッションを示すことは大事だ。
「○○を実現するために、シュリンクを××でブレイクスルーせよ!」。景気も人口も縮む時代。そんな会社が「○○」のために「××」に何を入れるかはこれからの10年を大きく左右する経営戦略の根幹であろう。「○○」は千差万別だが、今のところこの××には「グローバル化」「アライアンス」「ビジネスモデル」などの手段が入る。まだ他にも手段があるかもしれない。
ブラザーの話を聞いて感心するのは、消耗品を販売する企業の強さである。トヨタの一流企業も、ハード売りのウエイトが高いと昨年のようなことがあれば一気に赤字に転落してしまう。しかし、プリンターのカートリッジのような消耗品やゲームメーカーのようにソフトを中心に売る会社、インフラを維持する会社は底堅さからを持つ。企画段階から「続けて儲かるビジネスモデル」を指向したいものだ。
古巣のブラザー工業で同社の新規事業に関する展望を聞いた。話の中で新規事業について明確に定義されていたことが印象に残った。同社では「世の中にとっての新規事業」か「ブラザーにとっての新規事業か」がよく議論の土俵に上がるという。また、「事業のための事業か(利益を生み出し続ける事業か)」ということも問題になるという。こうした定義へのこだわりは、成功以上に失敗を重ね、糧とした企業経験の賜物だろう。話を聞きながらつくづくよい会社に育ててもらったものだと思った。
新年になると毎年今年の目標となる漢字一字を決めることにしている。今年の私の目標は『提』。提言の提である。このところ組織活性化のためのノウハウやスキルをマスターし、そればかりを提供してきたが、反面どの事業にどんなチャンスがあるのか情報発信できなくなっていた。先がどんどん見えない中、チャンスはあるのか。あるとしたらそれは何か。それを提言するのが今年の私の仕事だ。
トヨタのショウルームでいろんな映像を見たが、そこには日本語と英語のほかに中国語も同じ大きさで書かれていた。当たり前のことだが、中国語表示の多さに改めて中国の凄さを感じた。新聞では「中国輸出額世界一に。08年まで首位だったドイツの09年実績を上回り、初めて世界一に」「新車販売台数、2008年→2009年で45%増。米国を抜いて、世界一へ」などと報道されている。今や自動車産業は中国抜きには語れない。
新年早々トヨタのプリウス生産工場に見学に行く。色も型も違う車種の車を同じラインで作る姿に今さらながらに感動した。どうしてこんなことが出来るのか、これを築くためにどれだけ苦労したのか…嫌でもそれを考えさせられた。またベルトコンベアと一緒に動く作業台や紐アンドンなどは始めて見たが、これらのアイデアにも脱帽。その仕組みと空気に極めていこうとする武士道に似た美しさを工場に感じた。
新年早々の経営者からの相談は、『経営計画のつくり方を見直したい』。変化が激しくて書いた内容と実務が乖離し、計画が空理空論になってしまっているという。昨年末にも同じような相談を受けた経験があり、多くの人が今、経営計画の立て方に迷っているとわかる。これまで計画はリーダーひとりが立て、それを部下にやらせていた。が、今ではこのスタイルに限界が来ているのだろう。
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