V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
日本人は農耕民族だ。また工業製品を作らせても一流だ。日本人は農産物や工芸品にいかに付加価値を付けるかに努力してきた。そのため品質管理とリスクマネジメント優先でインセンティブは二の次だった。米作り上手いエリアの製造業が良いものを作るのは根っこが同じだからだ。対して狩猟民である欧米人の付加価値は、獲物を取るか。そのための情報や配置など猟のため全体を見るマネジメントにある。
金沢の香林坊の焼き鳥屋。夜遅い時間に焼酎を飲みに行くと、客は私一人。若い店主とカウンター越しに会話。「人が好きです。相手の世話をするのが嫌だとこの商売はできません。自分にしか出来ないことにプライド持ってやっています。自分のしたことで相手に喜んでもらうのが嬉しいです」。腰の低い好青年だった。奥さんと6歳の子供がいるという。昼間は別のバイト。ただし、「したいことはない」という。
糸井重里のインタビュー記事にその人が持っている「どうでもいいこと」を見ると、その人がよくわかるという。例えば素晴らしい筋肉より脂肪の量を見る。これが少ない人は節制し自分を苛めている人だし、多ければ怠惰で続かない人だということを示している。企業もその企業が持っている余分を見ればその企業がよくわかる。過剰な在庫、設備、売り場…そこからかつて見た夢やわかっていても手が打てない経営者の姿が見える。
某社の資料に目を通す。するとどの資料にも「主語をあなたに」のヘッダーが付いていた。トップが全社員に徹底したい習慣を刷り込むために書いているのだ。「私が…」「俺が…」のIメッセージを繰り返すより、「あなたは…」と語りかけることで、相手の立場に立ってモノを考えられるようになるという。YOUメッセージを多用すると、それだけで声がけが増える。そして、自分に入って来る情報量が増える。
少年野球の指導者達を見ていると、本当に熱い人がいる。彼らは少年たちのプレイひとつひとつに細かいアドバイスを送る。鍛えられて、少年達はどんどん上手くなる。コーチというものはうるさいくらいで丁度良いのだと思う。自分は子供の頃から、そのようなコーチには一度もめぐり合わなかった。黙ってみている人ばかりだった。それが私には心地よかったが…いろんな指導者がいるからしっかり育つのだろう。
昨日のトップはシズル感を自分の体験で語った。システム系の営業担当だった彼はアポが取れると、たった10分の商談で一つのことを依頼した。それはそのオフィスの様子を1日観察させてもらうことだった。その観察の中で、彼はいろんな問題点を見出す。そしてそれを解消するための提案を行い、次々と受注したのだった。シズルの探し方まで自分で築いた点が素晴らしいと思った。
某社のトップの話を聞いた。不況時に売るヒントは焼き鳥屋にあるという。繁盛している焼き鳥屋は客を呼ぶために煙を出す。良い音を出す。それに引きずられて客はやってくる。その人は鶏肉が食いたいと思っているわけではない…お客様の別の何かにヒットして財布の紐が揺るむのだ。その何かを見つけ、その見つけ方を自分の中でパターン化すれば売れる」。確かにその通り。「名古屋コーチン」と書いた看板に誘われるわけじゃないもんね。
某社で計画の進捗状況を確認する会議を行なった。その中でAさんが発表したとき、誰も質問しなかった。Bさんが発表をしたときも同様だ。それを見て社長はぶちきれた。「他部署の話は、その部署の上司になったつもりで聞け!質問は関心の表れです!質問をすることで質問された方はさまざまなことに気付く!その質問への答えは多くの人にヒントを与えるんだ!」。発表者の質問は、管理者の仕事なのだ。
わが部に2Sパトロール隊ができた。担当は20代の女性二人。彼女達が抜き打ちで整理整頓の状態をチェックする。チェック項目は5つ。キレイかどうか。どこにあるかわかりやすいかどうか。そして鍵がかかっているかなどセキュリティの状態はどうか、である。これらを3段階で評価し、10点満点で採点。デジカメ写真付で部会で公表する。部長としてドベにはなりたくない。何とか片付けねば…
「褒めろ、と言われても何をどう褒めてよぴかわからない」。そう嘆く管理者は少なくない。しかし、それはその人を褒めようとするから難しいのだ。褒めれば良いのはその人の仕事。「よくまとまっている」「丁寧に仕上げてあるね」「この表現が良いね!」などいくらも指摘できるはずである。褒めるのは愛情がベースにある場合は難しくないが、愛情がない場合は仕事(生んだ成果)を見る。相手もそれを望んでいる。
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