V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
昨日のF営業部長の手柄の取らせ方。客は部長が登場したので、この時ぞと値引きを要請する。すると部長「そういわれてもですね、本件は『彼』にみんな任せてあるんです」。『彼』とは部下のことだ。「彼が決めることですからね、彼がウンと言わなければだめなんですわ」。こうしないと、客はいつまでも担当者を信用しない。「じゃあ、あんたは何なのだ!」と言われるリスクを覚悟の勇気。天晴れだ。
2002年10月31日のこの日記に登場し、200人を偉くすると宣言した某社のF部長と、熊本で久しぶりに飲む。集まったのは当時の部下数人と、今、部下の総勢8人。最近の仕事振りを聞くと、出てくるのは今の部下の武勇伝ばかり。自分がお膳立てしても、手柄はすべてを部下のもの。その私心のなさと親心が多くの部下をひきつけてやまない。客人扱いされた私もこの人に育てられた一人だ。
リーダーが組織に目標を伝えるときは、最初に「目的」言い、次にそれを達成する「意義」を語る。さらにその意義を果たさんと個人的な「想い」を語り、最後に実現の「方策」を語るのがセオリーだ。が、多くの場合、「想い」の部分が抜け、「目的」「意義」「施策」だけになる。しかし、「想い」を伝えないと、部下の感情にイ訴えることはできない。部下はリーダーの「I message」を待っているのだ。
次の本の取材のため、訪問したM社。すると、自分の色紙が掲げてあったから驚いた。お世話になって会計事務所で何枚か書いた色紙が、この会社に届いていたのだ。書いた文言は『未来日記』。夢が実現した日の日記を最初に書き、そこから逆算して計画を練ると、それは確実に実現します…という意味。自分の色紙を今日も掲げているオフィスがあると思うと遊んでられない。一生懸命お役に立とう。
某社のスーパー営業マン2。大手ITベンダーと競合してITソリューションを提案。このとき、同社の派遣社員たちが一台のPCの前に並んでいるのを目撃。この時間、彼女たちがとてもイライラしていることを聞きだした彼は、企画書にその事実と解決策を盛り込む。クライアントは「君は派遣社員たちの気持ちが誰よりもわかっているねえ」と得心し、彼に発注した。使用キーマンを現場で抑えた勝利だ。
某社のスーパー営業マン。お客様から打ち合わせのとき「君の上司は来ないのか?」と言われた。これに対し『上司は何ぼでも連れてくることができます。しかし、御社のことを一番知っているのは私です。私以上に御社のことを知っている上司を連れてくることはできません』と啖呵を切った。この返事を不快に思うか、「ごもっとも」と思うか。それでビジネスマンとしての器の大きさが分かる。
昨日示したような仲間からの手紙が、どれだけ人を救うかを身をもって体験したことがある。私が小学校5年で転校したときに、学校の友達から手紙をいっぱい貰った。その手紙には「今まで遊んでくれてありがとう」「また遊びたいな」「あのときは、うれしかったよ」「酒井君みたいに絵がうまくなりたい」…など、いっぱい書いてあった。それで、「なんだ、自分って皆に好かれていたんだ」と安心し、自信をもてた気がする。そんな手紙の仕組みが学校にも職場にもあるといいのに。 |