V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
某工場に「ヒヤリハット」と題した記入用紙があった。ヒヤッとかハッとしたことを申告させ、現場の安全性を高めるための手段だ。そして、その申告書で感心したのが2点。第1は「どうしたら回避できると思いますか」を本人が記入できるようになっていたこと。この欄があると、人は自分で対策を考えるようになる。理想的な結果に向かって「どうしたら」を問い続ける習慣が、同社には根付いている。
ワールドワイドに展開する某メーカーに学生が採用応募してくる。応募者のうち何人かは外国語がピカイチの人材。しかし、同社のビジネスは商品がハイレベルなため、一人前になるのに10年はかかる。すると、そのような語学達人をいくら採用しても、本人が10年間を辛抱できずに辞めてしまうというのだ。語学はビジネスの道具。その道具に縛られると、人は自分の首を絞めてしまうのだ。
TV局の経営者と飲む。現在の課題は、ビジネスモデルが大きく変わりつつあること。ブローバンド・バブルの時代は、放送と通信の境目がなくなり、広告収入だけに頼る経営が成り立たなく恐れがある。一方で、コンテンツ活用ビジネスや、イベント、ECなどのビジネスの可能性は拡大する。どこでどれだけ儲かっているのか。事業別にそれが見える局にしないと、機会を逸し完全に出遅れるであろう。
夏休み期間中に、市が子供のためのいろんな親子ホビースクールを開催する。ペーパークラフトで有名な大熊先生が来るので、早速申し込むことにした。ただし、申し込みは日曜の朝10時から。それも9時から整理券を配布するという。そこで8:40に行って見ると、これが長蛇の列で驚いた。みんな、夏休みの子供との時間を何とか埋めようと必死なのだ(特に女の子向けの教室の人気が高かった)。
奈良県で高校生が義母と義妹・義弟を惨殺する事件が起きた。ネガティブな行動に走るのは、一方で家庭内の誰かが恐ろしくポジティブになっているからだ。父親が強引に医師になることと勉強を強要したか、父と義母・妹弟の関係が、彼から見て余りにも愛情に満ちていたのか原因だろう。人は必ずバランスをとりたがる生き物。近くにネガティブな人がいれば、それはポジティブな人の影響なのだ。
中田がピッチの上にひっくり返って動かなかった。彼には彼にしかわからないことがあるのだろう。イチローがWBCに燃えたのは、世界の中での日本の野球の地位を高めたかったからだという。それくらい日頃からジャパンベースボールの存在の小ささを痛感していた。中田にもこの大会で世界にアピールしたかったジャパンサッカーがあったのではないか。そしてそれは、1-4という差を示して終わった。
某食品工場を見学した。この工場は1Fが工場で2Fがオフィスなのだが、1Fで靴を脱いだあと、スリッパも上靴も履かない。靴下のまま上がり、廊下と部屋の中も靴下のまま歩く。これは掃除をよほど丹念にやらないとできない行為。同社の衛生委員がいかに隅々まで注意を払っているかよくわかる。その他、汚染区と衛生区の床の色分けするなど、衛生管理を足の裏や目で感じるよう工夫されていた。
某工場の掲示板に、「朝礼」と題した手書きの模造紙が張られていた。内容は、朝礼の要旨をまとめたもの。生産目標個数と実績の対比、現時点での最優先課題などの他に、「1分間スピーチ=テーマは最近感動したこと」と記載されていた。「考える習慣づけと、何を考えているのかを知るために行う」と赤字で書いてあり、来週の担当者の名前もあった。朝礼内容を早速張り出すケースは初めてみた。
「ほんの少し、足りないもの」とは何か。ひょっとしたらそれは日本人が持つ「悲劇は繰り返される」という、悲しい先入観かもしれない。ワイドショウではドーハの悲劇と今回をダブらせて放送していた。こんな編集が、この国の国民の心を重くし、人を悲観的にする。逆に「俺たちは運が良い」「ラスト10分に天使は必ず俺たちに微笑む」というように確信していたら、足が止まるなんてことはなかったかも。
東京のタクシーにはエコーカードというCS調査の葉書が置かれている。質問を見ると「行き先についての返事は?」「道順確認した?」「降車のとき挨拶とお礼を申しましたか?」「安全運転について?」の4つだけ。タクシーの満足度は基本的にこの4つで決まるということだ。特に、「返事」と「確認」。乗車時の「たったこれだけ」で全然違う。しかし「たった、これだけ」ができない人が多いのだ。
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