V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
某社の新事業立案の研修を後輩に任せた。アイデアを出す前に「まずは、ターゲット像を明確にする練習をしてみましょう」といい、後輩は私を題材に取り上げた。つまり私という人間がどんな人間か、「仕事上の姿」「生活習慣」「性格」の3点について考えさせたのだ。受講生とは前日に私が会っていたからだが、まさか私自身が研修の題材になるとは…。こんな愉快な授業を行う後輩のセンスに脱帽だ。
誰もが扱いに苦労するが、数字は抜群の一匹狼的社員。彼をどう使うかが、上司の腕の見せ所だ。その人物については経営会議等でも賛否両論出るだろうが、「否」の部分が出たときにどこまでかばってやれるか。「そこまでの意識があるということです」「私が好きにやらせていますから多少のことは眼をつぶっていてください」。身体を張ってかばってくれる人には誰もが信頼を寄せるものだ。
某社の営業会議に出席。配布されたペーパーに、『祝1万件達成』の字が躍る。累積販売数量がそこまで及んだということだ。そしてその文字の後に「^0^//」の記号が。こういう遊び心がいいねぇ。責任者が心から喜んでいるのがよく分かる。かつて「お前はいくら仕事をしていても遊んでいるようにしか見えない」と上司に言われたことがある。楽しいことだし遊びに見える部分は必要だ。
3年前、某銀行で講義をした。そのとき「銀行の体質を変えるにはどうしたらいいか?」との質問を受けた。私は「上司から『お前は黙っていろ!』といわれたら、『いいえ、いわせていただきます!』と言え!」と答えた。今日、その質問をした人が再び私の講義に参加した。「当行は3年間で何か変わりましたでしょうか?」。こういうことに関心を持ち続けている行員がいる。そのこと事態が変革だろう。
シャルドネという家具屋へ行った。店内の「集まれパワフル・キッズ!」という張り紙が目に留まった。毎週日曜日2時から、子供達を集め紙芝居を行うなどのイベントを開催。その間、お母さん達にはシャルドネの店内をゆっくり見てもらおうという試みだ。他にも店内のキッチンなどを使って料理教室やフラワー教室を開いている。商品に馴染んでもらってから選んでもらう、心憎い演出だ。
営業日報のシステム導入専門のコンサルティング会社がある。以前、講演会でそこの社長とカップリングしたことがあったら、雑誌WEDGE掲載されていた。内容は、その社長と、同社のシステムを導入した企業の社長の対談。『顧客満足創造の営業改革 実践企業訪問記』と題するシリーズだが、よく見ると広告だった。なんだ。が、WEDGEに出稿する狙いは素晴らしい。さすが営業を指導するだけある。
中日のファン感謝デーに落合監督の信子夫人も来ていた。同夫人は優勝祝のビールかけにも来ている。中小企業に例えると、社長夫人が参加しているようなもの。もし中小企業だと、社員は社長夫人にもいらざる気を遣うようになる。夫人がいろんなことを社長に注進しないか心配になる。本来部外者である夫人の注進が社内の統率を乱すことがあるが、そんな心配は杞憂に終わって欲しいと思う。
業務改善を進めている会社で、いろんな改善アイデアが出された。そのうち、ささやかな工夫を2つ。第1は上司への申請書。「至急」印を押しても返事が遅れがち。そこで「至急 10:00まで」と時間まで書いたら遅れなくなったという。第2は書類を縦置きにする。横置きにすると積み重なって探すのが大変だが縦置きなら探すのも簡単で早いというのだ。こんな気付きの積み重ねが職場を明るくする。
運動を求めるか、実効を求めるか。改善提案が次々と出る習慣を作るのが第一段階なら、実効を求めるのが第二段階だ。改善活動に真摯に取り組み始めた某社に対し、「改善によって作業時間が0.5人日短縮されたら、もう0.5人日分改善する。するとはじめて『今日は休み』と指示できる。ここまでやって改善です」と語ると、いたく感激された。実効を求める執念が改善活動の継続に繋がるのだ。
基準原価という言葉がある。何の基準かわからなかったが、よく聞くと原価の目標値だという。これなら売れるという売価を想定し、利益を引いて許されるギリギリの原価を算出する。その値段にするために、一時間に生産する個数を割り出し、かかる人員数は何人に抑えねばならないかを計算。それを実現するまで業務改善を繰り返す。これがトヨタの改善意欲の源。基準原価の実現が目標なのだ。
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