バブル当時売上が75億あったA社。その頃は「当社は開発機能を持った問屋です」と言っていた。自社開発商品も多数あるが、取り売り商品も多数あるという意味だ。ところが現在は「当社はメーカーです」とハッキリ言う。取り売り商品を一切やめ付加価値の高い事業のみに絞ったのだ。現在の売上は25億。売上を1/3にしても利益を出し続ける構造へ変化させた社長の大胆さに敬意を抱いた。
あるコンビニの若手幹部の話。創業当初、添加物だらけの弁当を大量に作り、大量に廃棄する舞台裏を見て「なんと情けない。これは男子が一生賭けて取り組む仕事じゃないな」と直感したという。そこで添加物を一切使わない冷凍弁当を開発。今では幼稚園の給食に多数採用されるようになった。一生取り組む価値がないから辞めるではなく、自らの手で価値あるものに変える。その姿勢に習いたい。
東京三菱銀行がアコムに出資し、経営傘下に置くという。急成長する消費者金融市場だが、それが原因で自己破産する人も多い。3年以上の取引歴があり、かつある程度の預金がない限り金を貸さなかったバンカーのモラルはどこへ行ったのか。貸し手が借り手の信用力に応じて与信限度額を設けることは、結局は借り手を守ることになる。利益よりもまず生活者を守ることの方が大切ではないか。
トヨタがトランペットを吹くロボットを発表した。介護に使うために指先の微妙な動きや、会話用に唇の動きを追求したものだ。需要に応じて創るところがいかにもトヨタらしい。一方ホンダのASIMOは目的は不明でも「とにかく鉄腕アトムを作りたかった」ことはよくわかる。ニーズがあるから対応したトヨタと、ニーズは不明だがやりたいことをやったホンダ。ロボットに企業体質の違いがよく出ている。
高橋尚子の記者会見を見て驚いた。事実を正面から受け止めて恨み言ひとつ言わない。TVのゲストで出ていた松野が今だに恨み節だったのとは対照的だ。「専門家が決めたこと」と正面から受け止める。この素直さが彼女を世界一にしたのだろう。その人の価値は苦境に立たされたときに決まるというが、あれ程までに明るく前向きでいられるとは。高橋尚子は国民栄誉賞に値する偉大な人だ。
高橋尚子が代表選考からはずれた。誰が見ても落ちるのが妥当だが、私はそれでも陸連は選ぶだろうと思っていた。過去の実績を重視するのが日本の慣習だからだ。ただそのやり方はいつまでも一流大卒を崇める大企業の人事制度に似て、私はいつも嫌悪していた。スポーツだけでもスパッと割り切れないものか…。そしたら本当に落ちたので驚いた。日本の体質が変わりつつあることを評価したい。
長嶋オールジャパンの監督が脳梗塞で倒れた。週刊誌によれば、子供は皆独立し、奥さんはNPO活動に忙しいらしく、彼はあの田園調布の豪邸に一人で暮らしだったために発見が遅れたという。一家離散とは違うものの、独居老人だったということだ。それを聞いて侘しくなった。大金持ちになっても一人ぼっちじゃ…。世間がほっとかなかったのだろうが彼もまたワーカホリックだったのだ。
住宅設備会社の営業マンのT君の場合。ある新築物件の内覧会でクライアントが「T君ってサイコーだぁ!」と言ってくれたという。場所は新築物件の内覧会。その日は予想をはるかに超える来場者が来て誰もがてんてこ舞い。そこに設備の説明員として参加していたT君は、大勢のお客様を裁きにお客様の靴やスリッパをこまめに揃えたという。その行動にクライアントが感心したのだ。
5年前と同じやり方を今も続けて、業績不振に陥っている企業がある。当時は破竹の勢いだった。その後競争相手が続出し戦国市場になったとき、対応が遅れ顧客が流出してしまったのだ。成長市場は子供と同じ。5歳のとき似合っていたからといって、10歳のときにその服が着られるはずがない。企業は数年でガラリと変わる。私も企業を数年前のイメージで見てしまう悪癖がある。気をつけなければ。
一番若い部下が提出した週報の言葉。[私としては、「お客様の期待以上の成果を挙げ、『驚き』と『効果』を与える」ことを第一としたいと考えています。集めた情報を組み合わせ、担当者が『驚き』、そして実際に使えるという『効果』を与えるような、提言をしたいと考えています]。読んだ後、余りの忙しさについ「どう手を抜こうか」を考えてた自分を恥じた。彼の熱さに忘れかけていた初心を思い出した。