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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
3月一杯で恩師の水谷研治が会社の役を退任し、以後大学教授に専念することになった。いろんなことを教えていただいたが、一番の財産は判断基準を頂戴したことだ。今後「どうしようか」と迷うとき、「水谷先生ならどうするか」を考えて自分の判断基準とできるのである。こうして考えればその決断とその後の行動に自信がつく。これは一生ものである。
本格派の食品を供給しているメーカー。料亭等へは強いが、量販店ルートが弱いのが悩みの種だった。売上を伸ばしたいと考えて大手GMSに入り込みたいと願うが、それは必ずしも「本格派」のコンセプトとマッチしない。小さくても同じコンセプトの「本格派」を品揃える店を狙うべきである。インターネットの時代はそのような店をすぐ探すことができる。
ビジネスを簡単に表現すると「創る」→「作る」→「売る」→「維持する」となる。企業が儲かるのはこのうちの2つ以上を担う場合のみだ。大手一社依存の下請け企業が苦しいのは「作る」しかやっていないから。この場合は「創る」(企画開発)または「売る」(一社依存からの脱却)しかない。中小の問屋が苦しいのも「売る」しかやらず「作る」「売る」がないからだ。
日刊ゲンダイでの毎週火曜日の連載がはじまった。タイトルは『21世紀企業 勝ち組負け組 ここが別れ目』。およそ800〜900字。日本経済新聞でも日経ビジネスでもない点に赤髭コンサルを自称する自分らしさを感じてしまう。イチローは自分を高めながら、社会・お客さんも同時に高めている。連載を通じちょっとだけそんなことができればと思う。
ニュースで入社式が報道された。都庁やみずほBKの入社式で「おじさんの言うことをきくな」「マニュアル通りの仕事をするな」との話が出たのが印象的だった。新人が戸惑うのを承知で、管理職に危機感を抱かせる言葉を選ぶ。この言葉は過去の成長要因だったビジネスモデルしか知らない管理者に役所や銀行のトップが全く期待していないことを物語っている。
「3歳までに思いっきり遊ぶ日を作ると、子供は自分を平気で出せるポジティブな人に育つ」とのカミサンのアドバイスで、一日子供と大阪に遊ぶ。大リーグのホームラン記録を塗り替えたボンズは、「もう目標がないのでは?」の質問に「良い父親になるという最も困難な仕事が残っている」と答えたが、良い父親になることはビジネスの何倍も難しい。
「経営=経理+営業」と聞いて目から鱗が落ちた。なるほど企業は「経理+顧客」で成立する。勝ち組の社長は経理に明るく、いろんな質問にテキパキと応える。これに対し、ふた言目には「その点は総務部長に任せてあるから…」「経理部長に言ってやらせますから」という社長。このような人は「やばい」と気付くことはなく、気付いた頃にはもう遅いのだ。
講演会後に某都銀の次長と懇談。彼曰く「最近の若い行員は皆、促成栽培だ。入行以来、研修続きでロクに現場を体験しない。顧客の工場見学は自分の仕事じゃないという。なのにソリューションなどできるはずがない」。銀行は非財務の部分でこそ差別化が図られる時代。現場重視とスピード。勝負を分けるこの2点は机上では絶対に身に付かない。
先日お逢いした秋田県大館市の社長。拙著を5冊も申し込んでくれたのだが、その下に5人の社員の名前が書いてある。そして「サインと先生が心に留めておられる言葉を書いて下さい」とあった。仕方がないので各社員の肩書きを見ながら、個々の人に別々の贈る言葉を探す。普段考えたことのないこんな要求は、自分の考え方を整理する良い訓練だ。
漆器卸の最大手企業で講演会。その後の懇親会で印象的だったのは漆器の製造だけでなく漆器の修理もビジネスにしているA社長。いただいた名刺には「思い出をもう一度」の文字。ニッチもニッチなこの商売、A社長の漆器とそれを使う人への「愛」が支えている。愛は抽象的だが、人は愛のない人物をすぐに見破る。愛こそ事業の成否を分ける重要な要因だ。
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