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2004年11月28日(日)
「一日5000円ぜいたく旅台湾」光瀬憲子

一日5000円ぜいたく旅台湾」双葉文庫 光瀬憲子
台湾行きの飛行機搭乗まで二時間と少し時間が出来たので、少しでも参考になれば、と空港の売店で買ったのがこの本。小銭の処理にも役立ったし、読むのもちょうど2時間ぐらいで目を通せる内容。「女性にも安心満喫の裏ワザ生情報」といううたい文句。しかし、である。ほとんど役に立たなかった。

台湾通ならではの美味しそうな店や掘り出し物の店は紹介されてあるのだが、全て住所と電話番号が書いてあるだけ。私はお勧めの台湾料理の店に行くため、わざわざ一時間ほどかけて歩きまわったのだが、ついに見つけることは出来なかった。「忠孝東路4段205港7弄13号」と書いてあっても、手元にある地図で分かるのは4段ぐらいまで。初めての旅行者には非常に不親切な紹介であった。ほかの情報は「地球の歩き方」を持っていればだいたいカバーできるものばかしである。そういうガイド本が全然無ければ買ってもいいかもしれない。住所はその後ホテルの人に聞いて、だいたいの見当は付けたのだが、結局時間が無くて行けなかった。なんとも心残りである。



2004年11月27日(土)
台湾旅行記 その他

「平渓線探検記」04.10.05
台北駅から一時閑寂で行ける田舎に行ってきました。この旅では平渓線一日周遊券は買うべきです。平渓線の最大の見所は台湾2番目に大きい瀧である十分漠布ですが、そこの入場料180元が100元になるからです。それだけでもこの券の52元の元はとれてお釣りがきます。

十分漠布は歩いていくしかないので少なくとも駅から40分くらいの往復時間は見ておきましょう。電車の時間は一時間に一〜2本しかないので、瑞芳駅や着いた駅でしっかり出発の確認が必要です。瀧はミニナイアガラみたいで迫力満点でした。もう一つ嬉しかったのは、行く途中や瀧の公園内で日本で見掛けることのないような自生している花を6種類以上発見した事。綺麗でした。

場末の駅にある店はなんとなく懐かしい感じがしました。アイスキャンデーを買おうとしてまごまごしていたら、おばあちゃんが「あんた日本人ね」と正確な日本語で聞いてきました。田舎に行っても、簡単な日本語なら、お年寄りになるほど通じるというのは本当なんだ、感動しました。

「ワーナビレッジ体験」04.10.05
台北最大の映画複合施設。18のスクリーンを誇り、小吃(軽食)が充実しているのと、小物屋、本屋まである。館内は日本のシネマコンプックスと同じ。音響は私がはいった部屋はドルビーまで。

みたのは「明日世界」です。ジュード・ロウとヴィネス・パルストロウとアンジェリーナ・ジョリーが出演する滑稽無籐的、懐古的、恋愛的、冒険的、活劇です。(日本未公開)火曜日の19:50開演。約5百席の会場に約80人の入り。ほとんど若者のカップル。入場料は割引無しで285元。(約935円)この値段、私が最近行ったアジアの映画館と比べて、中国(約300円)、ベトナム(約300円)、韓国(約650円)少し高いが、日本の正規1800円と比べると安い。いかに日本の映画代金がべらぼうに高いか、分かる。この映画館では一つも台湾映画はしていなかった。入館人数や、コンピュータ管理など日本の映画事情とよく似ている。一つ違うのは上映前に予告広告以外に一般広告が6つも付き、そのうち半分が公共広告(交通規則を守ろうといった内容)だったこと。

「台湾昆虫博物館」04.10.06
成功中学の中の教室の1室を借りている台湾昆虫博物館に行ってきました。噂とおり蝶の展示は目がくらむほど豊富にあり、綺麗でかつ素晴らしかった。中学校の中にあるためか、説明版は全部手作り、とても好感が持てるし素人の私にも分かるように分かりやすくつくられていた。いってみてもし閉まっていても隣の研究室を覗いてみよう。誰かいればきっと開けてくれると思う。



2004年11月26日(金)
台湾映画事情

10/3〜6、台湾は台北に行ってきました。観光です。この第7会議室、発言が少なくて、私の去年の発言「ベトナム映画事情」がすぐそばにあります。今回の発言それと比べてみてくだされば、アジアの各国それぞれ映画事情は違うなあ、とわかるのではないでしょうか。ひとつ言い訳しときますと、「私は決して暇とお金をもてあましているわけではありません。」(^^;)

台北最大の映画複合施設「ワーナービレッジ」に行きました。。18のスクリーンを誇り、小吃(軽食)が充実しているのと、小物屋、本屋まである。館内は日本のシネマコンプックスと同じ。音響は私がはいった部屋はドルビーまで。

観たのは「明日世界」です。ジュード・ロウとグウィネス・パルトロウとアンジェリーナ・ジョリーが出演する滑稽無籐的、懐古的、恋愛的、冒険的、活劇です。(日本題名「スカイキャプテン」未公開)火曜日の19:50開演。約5百席の会場に約80人の入り。ほとんど若者のカップル。入場料は割引無しで285元。(約935円)この値段、私が最近行ったアジアの映画館、中国(約300円)、ベトナム(約240円)、韓国(約650円)と比べて少し高いが、日本の正規1800円と比べると安い。いかに日本の映画代金がべらぼうに高いか、分かる。この映画館では一つも台湾映画はしていなかった。「2046」は封切り済み。一番人気を誇る。つまり台湾は中国と国交はないが、経済的、文化的交流はあるということだ。入館人数や、コンピュータ管理など日本の映画事情とよく似ている。一つ違うのは上映前に予告広告以外に一般広告が6つも付き、そのうち半分が公共広告(交通規則を守ろうといった内容)だったこと。






2004年11月25日(木)
「台湾旅行体験記」04.10.03〜06

「台湾旅行体験記」04.10.03〜06
台湾の首都台北四日間の旅に行ってきました。これまでいったアジアはこれで韓国、中国、ベトナム、に次いで4カ国目です。旅の終りの日、今回は失敗したかもしれないなあと思っていました。慣れてきたためか、台湾という国自体がそうなのか、なんか外国にいった「新鮮な感動」が少なかったのです。でも数日してやはり行ってよかったという気持ちになってきました。日本を取り囲むアジアの国を網羅したあと、日本の位置が感覚的にみえてきました。結論から言えば、ハードルはいくつもあるのは承知の上で、日本を含む「アジア共同体」をつくるのは可能であり、それが日本が平和的に生き残る再良の道ではないか、という感覚です。

幾つか印象に残った事をメモ的に書くと以下の通りです。
<台湾の人の親日的感覚は本物です。>
台北駅から一時閑弱で行ける田舎に行ってきました。日本統治時代、金鉱が出たため栄えた鉄道の線で、今は岡山県の芸備線よりも寂れています。そこの場末の駅にある店はなんとなく懐かしい感じがしました。アイスキャンデーを買おうとしてまごまごしていたら、おばあちゃんが「あんた日本人ね」と正確な日本語で聞いてきました。田舎に行っても、簡単な日本語なら、お年寄りになるほど通じるというのは本当なんだ、感動しました。この体験は一度や2度ではありません。駅のきっぷ切りのお爺さん。町の朝食屋のおばあさん。隣にいる若者は日本語は解さないのに、彼らには通じるのです。もちろん日本統治時代の日本語教育の結果ではあるのですが、彼らの話してくる態度にほんのかけらも日本に対する敵対心は無かったのです。同じく戦前日本語教育を徹底していた韓国ではついにこういう事は無かった。また、台湾の看板に時々思いだしたように日本語が付いてるのです。まるで日本における英語みたいな感覚です。台湾の中に抗日戦線があったのは事実ですし、それを顕彰する施設もあります。しかし、日本軍の残酷さを告発する施設はみつける事が出来ませんでした。幾つかの要因が考えられるとは思いますが、現代台湾の「台湾独立政策」(今は中国の正当な後継国であるという政策を廃し、独立を目指しているが、中国はこれを認めていないし、国連も認めていない)がもし成功したら、日本と台湾とは今以上のパートナーシップが築けるはずです。

<台湾の経済力は日本と韓国の中間に位置する?>
経済は門外漢なのでまったく感覚的なものですが、物価で見るとだいたい交通費、宿泊費、食費とも日本>台湾>韓国という感じがしました。(台湾の地下鉄一区間約70円。安宿約3000円。朝食の最低値段約50円。)首都の規模(広さ)は日本>韓国>台湾ですが、地理的要因が大きいのかもしれません。(台湾は山ばかし)。街の清潔さ、テレビCMの洗練は台湾のほうが韓国よりずっと上です。映画文化に対するお金の補助は韓国>台湾>日本なのかもしれません。映画料金が650円<935円<1800円なので。台湾の大卒すぐの給料はガイドの人の言を信じるなら5万〜10万。首都で持ち家を立てようとしたら、数千万から数億かかる。日本より少し低いくらいか。台湾の教育程度がとのくらいなのかは分からないが、輸出国、外貨準備高、ということでも相当高い事が伺われる。同じ島国として、一部分では既に日本を抜いている経済立国なのだ。

<徴兵制廃止の動き>
韓国に徴兵制がある事は今ではほとんどの日本人が知っているが、台湾にもある事を知っている日本人は少ないのでは。実は私今回初めて知った。韓国に徴兵制がある理由はいろいろ要因はあるが、最大の要因はやはり未だに北朝鮮と休戦状態にあるということであろう。しかし、韓国はベトナム戦争に兵士を送り、今またイラクに兵士を送っている。台湾の街中でもソウルほどではないが、迷彩服がかっぽしている。台湾の理由はいうまでも無く中国共産党との内戦の結果である。しかし、韓国ほどの緊張状態は無い。台北の街中ではありとあらゆる中国料理専門店があり、香港映画の大作「2046」は日本よりも早く台北では既に上映されており、一番人気を博している。それはすなわち国通しの国交は無いが、経済、文化的な交流は確立してる事を示しているだろう。ガイドが「台湾の靖国神社みたいなものです」といって、「忠烈嗣」につれていってくれた。そこでは近衛兵がまたばきもせずに直立しているのだが、20才で一年10ヶ月徴兵される若者は例えばそういう使われ方をしているのである。ここに祭られている聖霊は国共内戦以降は一人もいないらしい。つまりそれ以降全然戦争はなかったということである。国連に入っていないこともあり、海外に出る事も無い。「徴兵制に対する反対運動は無いのですか」と聞くと、「たぶんもう少ししたら志願制に変わると思います」という答が帰ってきた。ここで日本の若者に付いて考える。日本に徴兵制が無い事。それはやはり、日本の特殊性なのだ。9条を持っている日本の誇りうる特殊性である事は間違い無い。喜ばしい事なのではあるが、しかしそれを「特殊」だと思って支持する事と、空気のようにそうであるのが当たり前であると支持するのとは違う。韓国の徴兵制は一方では悲劇を生んでいるが、一方では極めて高い若者の政治性を生んでいると私は思う。台湾の徴兵制もどういう意味を持っているのか、今はまだよく分からないが、韓国と日本で始まっているように、若者とおしの交流が必要ではないか。私は自分も含めて「のほほん」としている日本の若者が喜ばしい事だとは決して思わない。

<孫文とはなにか>
台湾には日本でいう平成のような元号があります。今年は民国93年です。元年はいつかというと、1911年辛亥革命です。よって孫文は建国の父として蒋介石に次いで国民の尊敬を集めています。しかし、孫文の思想というのは不思議です。彼の三民主義とは本当に単に「民主民生民族」で片付くものなのでしょうか。中国でも孫文は大きな記念館があるのは知られている通り。有為変転が多い中国の中で彼の偶像の価値は未だに一度も堕ちていないはずです。そして日本でもなんと孫文の人気は高い。明石に孫文記念館があり、犬飼木堂記念館の中に孫文コーナーがあり、日本の至る所に孫文記念館があるはずです。孫文の思想の中にアジアをまとめる大きなヒントがあるのかもしれません。誰か研究してもらえないでしょうか。

<アジア平和共同体に向けて>
まだ読んではいないのですが、喬尚中が唱えている「東北アジア共同体」構想、加藤周一が言及した日韓中共同体構想、に関心を持っていた私ですが、今回の旅でその実現の可能性をますます広げる事が出来ました。もちろん、日米安保体制の解消、台湾中国間の問題の解消、朝鮮半島の問題、あまりにも難しい問題が横たわっています。しかし、このまま日本がアメリカの言いなりを続けていたらやがて日本が戦争を起こす事は目にみえていますし、朝鮮半島の平和化はすでに北朝鮮以外の世界中の国では常識となっていますし、台湾海峡の平和化は予断は許さないものの一つの流れになっているように私には思えます。私は韓国北朝鮮中国台湾日本の平和条約の可能性は、これからの各国通しの後戻りの出来ない経済文化の交流如何にかかっているのではないかと思います。そしてそれは一部分ではすでに始まっている。後戻りの出来ない規模で。私が高校生の頃にこのことに気が付いたなら、迷わず北京語とハングルを同時に学んだろうに、と今悔しく思っています。



2004年11月24日(水)
「ハウルの動く城」は70点

「ハウルの動く城」宮崎駿
冒頭から戦闘機、戦車が描かれ、軍服が闊歩する。宮崎駿が初めて「戦争」を正面から描いた、と思ってはいけない。いや、私は最後の瞬間までそう思っていた。そうでなければこの作品が終らないと思っていた。けれどもそれは裏切られる。
この弱いラストはいったいどういうことなのだ。最後の最後になって宮崎は作品を投げ出したというのだろうか。ついには自分の後継者が見つからない、宮崎の愚痴みたいな作品になってしまった。いったん老いてしまうと「荒地の魔女」みたいにもう能力は戻らない。
もちろんいま流行りの「純愛」物語としても観れない事は無い。とくに、ハウルがなぜ「黒」の扉から出ていき、なにをしているのか、大人の女性である主人公はなぜ、ハウルの本質をああもたやすく発見する事が出来るのか、その事に万が一納得できるなら、それはそれで合格点を付けるだけの水準ではあるのだろう。でも不満である。少なくとも私は、主人公たちに共感していないからである。



2004年11月23日(火)
「海猫」は60点

「海猫」森田芳光監督 伊藤美咲 佐藤浩市 中村トオル 三田佳子 白石加代子 深水元基 ミムラ あお井優 小島聖
昭和50年代の北海道漁村。昔気質の残っている田舎で、けなげに頑張るロシアのあいのこの美しい若嫁。そして暴かれる三角関係。まるで一昔前の昼のメロドラマだ。でも丁寧につくれば傑作になる可能性はあった。本格推理小説の中には「閉ざされた山荘の中での密室殺人」という物語がくり返し描かれ、決して駄作ばかりではないということがありうるように、「閉ざされた環境の中での三角関係」というのはくり返し描かれるべき日本映画の永遠のテーマだろう。舞台設定、美術は素晴らしい。脇役は白石加代子を筆頭に堅実。だとすると、問題は主演俳優である。男優のほうは可も無く不可も無い。女優は問題である。些細なことだが、女優の目は青いはずだし、セリフでも明確に言われているのに黒いままというのはいかがなものか。いや、そんな事ではない。伊藤美咲、雰囲気だけはあるが、もっと上手い俳優にすべきではなかったのか。雰囲気だけを出そうとする女優への演技指導はつまりは「キャストミス」という事なのではないか。伊藤美咲がどんな気持ちで仲村トオルに走ったのか、そのもっとも大事なところを雰囲気だけで撮って貰ってはたまらない。つまりはこの作品は官能美溢れたメロドラマであり、映画作品としてはすぐ消え去るべきものである。ただし、伊藤のだらしない弟役、深水元基は収穫。



2004年11月22日(月)
「世界でいちばん不運で幸せな私」は60点

「世界でいちばん不運で幸せな私」ヤン・サミュエル監督 ギョーム・カネ マリオン・コティヤール
今年最初で最後のフランス映画。どうした事だろう。去年はあんなにも公開されたのに。去年は結局、9.11後のハリウッドの一時の休息であったのだろう。

ポーランド移民でいじめられている女の子と、母親を無くした男の子の、「いたずらを断ることの出来ないゲーム」。それがなんと20年間つづく。二人はお互い好きだけど、心はすれ違う。だって、日常を全て「ゲーム」で過ごしているのだから。

二人の関係はいつも「ゲーム」だった。だから続いた。何度かお互い気持ちを素直に出す事がある。でもゲームが続いている以上、それは相手には伝わらない。映画として成り立たせるために、それを悲喜劇で終らせるのだが、普通なら、思春期の10代でこの関係は清算するはずだ。それを俳優の事情からか、35歳まで続けさせた事でこの映画のリアリティが無くなったと私は思う。でも「ゲーム」は一人では出来ない。どんな結末であれ、ゲームの相手を見つけたのはうらやましいことだと思う。



2004年11月21日(日)
「血と骨」は60点

「血と骨」原作梁石日 さい洋一監督 ビートたけし 鈴木京香 新井浩文
 田畑智子 オダギリジョー 濱田マリ 中村優子 北村一輝 寺島進 伊藤淳史

大正年間に済州島より日本に渡ってきた「在日」の人々の1970年頃までの物語。大阪の「在日」のスラムのみが舞台になっているため、日本の中の「朝鮮」の昭和史を描いた物語だとも言えるだろう。金俊平は戦後蒲鉾工場を立ち上げ、成功し、やがて金貸しに転じる。嫁、息子、娘たちは反発し、妾は脳腫瘍で寝たきり、いよいよ凶暴、強欲、絶倫になっていく。

韓国を旅してひとつ気が付くのは、彼らの日常的な感情表現の過激さであろう。人前で喧嘩が始まるのは当たり前。街中の女の子たちは常に腕を組んで歩いていく。パコダ公園で、政治的アジ演説を始めるひと、朗々と哀切な歌も始まる。韓国の代表的な感情表現といわれる「恨(ハン)」の意味はいまだによく分からないが、日本人の感情表現とは明かに違うということだけは分かる。この作品にほとんど日本人は出てこない。しかし韓国の人たちが観たら、強い違和感を覚えるだろうと思う。確かに感情の爆発はある。しかしそれを独り「金俊平」の「血」のせいにし、「感情」に対する人々の対処のし方、あるいは描き方は、突然場面が変わるなど、非常に抑制されてあり、見事な「日本映画」になっている。たまたま同時上映になった「オールドボーイ」と見比べると、「暴力」の描き方の違いは明確であろう。韓国映画の暴力は、なんというか、湿っぽいのだ。

この映画はあくままで、金俊平の長男の目から描かれている。ビートたけしの存在感は圧倒的ではある。しかしそれに対抗する男たちのなんとひ弱な事か。新井浩文、もう少しなんとかならなかったのか。唯一対抗したのは、鈴木京香と田畑智子か。しかし、金俊平の神格化を狙っていたにしては単なるごうつく親父にしか見えなかった。よって、この映画、なにを描きたかったのか、分からなかった。たまたま日韓映画の比較が出来た事が今回の収穫。





2004年11月20日(土)
「オールド・ボーイ」は70点 

「オールド・ボーイ」パク・チャヌク監督 チェ・ミンスク ユ・ジテ カン・ヘジョン 
去年の今ごろ、韓国・釜山の街で偶然この映画を観ていた。偶然というのには少し語弊があるかもしれない。12月のはじめに韓国に行った時、なにかの作品を観ようと心に決めていた私は、喫茶店で読んだ韓国の映画雑誌で星が一番多く、評価が高かったのがこの作品であったのだ。もちろんなんの前知識も無かった。辛うじて韓国題名も「オールド・ボーイ」であり、切符も買うときに困らなかった事を覚えている。次ぎの週からは「ロード・オブ・ザ・リング王の帰還」「シミルド」が始まり、さらには「ブラザー・フッド」が控えていたので、ちょうど韓国映画の狭間の時期であったのだろう。作品自体は主人公を中心によく動くのでセリフが分からなくてもなんとなくストーリーは追える。チェ・ミンスクの最初の酔っ払いサラリーマンぶりには驚愕した。役づくりのためとはいえ、見事に太り、そしてガリガリに痩せて、「シュリ」のときはうって変わって感情の振幅の激しい役柄である。いや、正直言って彼の役者根性振りしか心に残らなかった。韓国語が分からないので、敵方の心理状態が今一つ分からないまま、終った。そしてこの題材はもしかしたら、日本にはやってこないかもしないなあと思っていたのである。そのときは韓流ブームが起こるとか、この作品がカンヌグランプリをとるとか、もちろんこれっぽっちも予測はしていなかった。

日本という国においては、「流行」とか「国外の評価」というのは、これほどにも決定的なのである。まさか全国拡大ロードショーになろうとは。そういう題材ではないだろう。日本語でみても結局さいしょの印象と変わらない。敵の心理状態はやっと少し分かったが理解できない。こんな不条理がどうして評価されるのか分からない。結局、題材が問題ではなく、「感情表現」が素晴らしかったのだろう。あくまで単館系で観るべき作品である。(釜山ではロードショーで若者中心250人以上、よく入っていたが。私の観た日本の館では初日にもかかわらず、20人ぐらいの入り。)ただ最終シーン。主人公の最後の顔の表情は後々まで心に引っかかる。



2004年11月19日(金)
「いま、会いにゆきます」は80点

「いま、会いにゆきます」土井裕康監督 市川祐司原作 竹内結子 中村獅童
前評判が高い作品。原作が「セカチュー」みたいに大ヒットしていたわけでもなく、口コミで広がりつつあった。そういう意味では少し期待して見せてもらった。なかなかいい映画であった。一度黄泉がえったことのある竹内を主人公に持ってきたキャストの企画勝ちですね。中村も「ピンポン」とはうって変わり、幅の広い役者振りを印象付けた。

純愛映画は引く事が多い私ではあるが、いろんな伏線を見事に活かしたこの映画は最後しみじみとさせた。泣きはしなかったが。「出会いとは不思議でもあり奇跡とも必然とでもいえるものかな」くま