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2004年05月27日(木)
「ヴァイブレータ」は85点

「ヴァイブレータ」廣木隆一監督 寺島しのぶ 大森南朋 
男のやさしさは本能なんてかっこいいものではなくて、あんなもんだと思う。女が素直に寄り添ってくれば、男は当然ああなる。
いくら体を寄せ合って、その瞬間心まで触れ合ったつもりでいても、結局別れてしまえばまた都会のなかの男と女に戻るのではある。それがいけないのではない。都会というものはそういうものなのだ。
寺島しのぶがかわいい女を演じて秀逸。



2004年05月26日(水)
「コールドマウンテン」は75点

「コールドマウンテン」
南北戦争時代、戦争は人をどのように変えていくのか、善良な男に人殺しを行わせ、普通の男たちに権力を与える。素朴な男は人をだまし、戦争未亡人は生活のために一息で銃を撃つ。生活のためにすることは一つもできなかったお譲様は立派な農婦になり、一筋のプラトニックラブが伝説となる。
アンソニーミンゲラ監督の戦争が引き起こす世界の点描はすばらしかった。しかし、前作ほどではない。



2004年05月25日(火)
「キル・ビルvol.2」は 60点。

キル・ビルvol.2 
タランティーノ監督
一対一の対決は迫力ありよかった。
総て西部劇かと思えば、カンフーあり、チャンバラあり、なかなかバラエティに富んでおり、よかった。いかんせん、前半がだるすぎた。



2004年05月24日(月)
「恋愛適齢期」は70点

「恋愛適齢期」ダイアン・キートン、ジャック・ニコルソン、
ダイアン・キートンの「泣き」がクライマックス。
今まで苦手だったタイプの二人がなぜ惹かれあうのか、
今一つ分かりにくい。
中途半端な年代の私には今一つ。



2004年05月22日(土)
「25時」は78点

「25時」
一癖ふた癖ある俳優ばかり出ているので、
それが変な緊張感を生んで、
ああいう終わり方も仕方ない(素晴しい)と思う



2004年05月21日(金)
「油断大敵」は 80点

「油断大敵」成島出監督 役所広司 柄本明 夏川結衣 菅野莉央 前田綾花 
「天職」に気が付くのは大切である。
なんか救われた気がしました。
泣いちゃいました。



2004年05月20日(木)
「花とアリス」は80点

「花とアリス」岩井俊二監督 鈴木杏 蒼井優 郭智博 80
非常に良かった。ただし一つ気になる事がある。
この映画、終って場内が明るくなったときふと後ろを振り向くと
むさくるしい男一人がニコニコしながら余韻に浸っていて、
別の席では20台と見える女の二人連れはブスッと座っていた。

なんとも愛しく愛しく
残酷で残酷で
私もニコニコしながら見たのではあるが、
それはやはり中年男の「いやらしさ」なのであろうか。
別の言葉で言えば「父性的な愛」。
ぜひとも若い女の子、出来れば10台の女の子からの感想が聞きたい



2004年05月19日(水)
「イノセンス」は60点

「イノセンス」60
プロットは簡単。
近未来世界のありふれた犯罪を解決する
サイボーグ公安調査員。
問題は設定にあるのだろう。
しかしすでに「指輪物語」を読んでしまった身には
あまりにも行き当たりばったりの設定に見えるのだが。



2004年05月18日(火)
『ホテルヴィーナス』は50点

「ホテルヴィーナス」
この映画を全部韓国語にした理由はよくわかる。
こんなくさい台詞、とても日本語では聞けないからね。



2004年05月17日(月)
『ロード・オブ・ザ・リング』あるいは『指輪物語』の世界(追補編)

<映画と原作を見終わって>
「王の帰還」を見る1週間前の2月1日、私は岡山県灘崎町のとある高台の上にいた。すみません。これ以降の文章は映画にも原作にもあまり言及しない私の個人的な感想です。指輪消滅のあと、灰色港に至るまでが長いと感じた人は読まないほうがいいかもしれません。

私が居たのは彦崎貝塚という西日本の縄文時代を代表する貝塚の現地説明会である。説明会文書にはこうあります。「彦崎貝塚は、JR彦崎駅から南に約300mの標高約5mの台地上にあります。S23.24年に東京大学理学部人類学教室によって発掘調査が実施されました。このときには約30体に及ぶ縄文前期の人骨と共に、土器を始めとした多量の遺物が出土しました。中でも縄文土器は山内清男博士によって瀬戸内地域を代表する基準資料として認定され、現在も広く知られています。」むかしは浅瀬が続いていた島の海岸線。このほんの数百mの間のごみ捨て場に当時の人々の生活のあとが様々な形で残っている。人骨が多数出土したのは貝で土がアルカリ性になっていたから。妊婦の人骨も胎児と共に出土している。数千年の間に少しづつ変わっていく土器の模様と形。サヌカイトが多量に出土しているのは海の向こうの香川の人々と交易があったしるしだ。

考えてみれば縄文全時代に渡って遺物が在るというのは凄い事だ。六千年近く永遠と人々はこの地域に住んでいたという事だ。それほどまでに瀬戸内の海の幸と、児島の山の幸は豊富だったのか。人々はいったいどんな「伝説」を大事にしながら住んでいたのであろうか。私はしきりとそういう事を考えていた。

ここの海を隔てた北側の海岸地に弥生時代倭国を席巻する「吉備」という「クニ」が生まれるのは、おそらく約2000年前。古墳時代には倭国で最大規模の造山古墳が造られ、「古事記」では最初に作られる島のひとつがここ児島であり、奈良時代には児島に「御宅倉」が設けられて直轄地になるのはおそらく約1200年前。源平合戦では藤戸合戦の戦場がこのすぐ近くだった。約900年前である。

では、それ以前の4000年間のここの人々の歴史と生活と日々の歌と勇気と愛はどんなものだったのだろう。
伝説の歌はあったのかもしれないが、それはもう既に失われている。

ただ、最近考古学会の中では定説になってきている物語がある。邪馬台国、あるいは大和政権は戦争後の勝利者が打ち立てたものではなく、当時の有力国の連合組織だったらしい。そして、その主要な祭祀組織はここ吉備から大和に移ったらしいというのだ。いわば平和的な日本統一が古代においてなされているのである。考えてみれば、日本という国は国の人たちがほとんど戦死するという皆殺しの戦争はほとんどない。隣の中国や朝鮮半島とえらい違いである。その伝統はいったいどこからやってきたものなのか。その中にこの縄文人たちの「伝説」も一役買ってはいまいか。

私にはトールキンみたいな「神話世界」を作る力量は元より無いけど、しかし、自分たちの未来を考える上でも、そうやって神話世界に付いてあれこれ想像することは決して全然無駄な事ではないと思うのである。そしてそうやって想像する力を私は「ロード・オブ・ザ・リング」と「指輪物語」から貰った。