凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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ここ三日ほどで二回、盗聴する機会があった。
と、いうと穏やかでないけれど、何のことはない、間違い電話が二度続いたという事。 それが、どちらも偶然リダイアルボタンを押したか短縮ボタンを押したかでかかってきたもの。
一回目は実家からだった。 電話のディスプレイの表示が実家だったので、受話器を取ったけれど、こちらが何度呼べど返事がない。 受話器の向こうからは遠くにTVの声と、義姉の声。 おそらく、TVの前に鎮座して動かない甥っ子か、ソファーにねそべったまま起きない兄に何か話しているのだろう。 そんな感じの様子が聞こえてくる。 「もしもしー」とこちらが何度言っても気づく様子はない。 向こうも用事があってかけたわけでもなさそうだしまぁいいか、と受話器を置いた。
その二日後、今度は携帯に友人からかかってきた。 一度目は運転中で、出られなかった。 帰宅してから携帯を取り出すと、二度、着信履歴があり、留守電にメッセージが残っていた。 聞いてみると、友人が甥っ子と人混みで話している。 花火大会の会場からかな。 大きな音の間に男の子の歓声と、たしなめる友人の声。 旦那様も一緒かな。あれこれ世話を焼く様子が聞こえる。 電話の向こうで甥っ子さんがはしゃいでいて、用件が聞こえないのかな…と聞いていたが、最後まで用件が聞こえる事も無く、人混みのざわめきと歓声と騒音のメッセージは終了した。
とりあえず、電話に出られなかった旨を一言わびておこうとメールしてみたら、やっぱり本人「?」といった感じで、ロックをかけてなかったので勝手にかかっていたらしい、とお詫びメールが返ってきた。
そんな感じで、「先方は聞かれている事をまったく知らないで過ごしている生活の一部を盗み聞きする」という機会があったわけ。
空間ってのは、自分がいるから認識できるもので、自分はその場にいないのに、他人ばかりの空間を一方的に認識しているという違和感。 当然ながら、人と会う時は、その人は自分の存在をちゃんと意識してふるまってくれていて、対、私用の状態になっているのだな、と改めて感じたのは新鮮だったけど。
友人の甥っ子に対する感じは私といる時と違ってたくましくたのもしく、良い叔母さんしてるんだなぁといった感じだったし、義姉は義理の姉というより、兄の奥さんで、男の子の母、だった。 この微妙な違い。実際目の当たりにする(?)まで分からなかった。
時々隠しカメラで家族を見る番組とか見かけるけれど、なるほど、確かに発見はあるなぁとこの偶然の盗聴で感じたわけで。
世の中に偶然はなく、すべて必然だそうだけれど、この二回の偶然から何を感じ取れというのかなぁと考えた。 感じたのは、皆、自分の生活を一生懸命生きているんだなぁといった所か。 それと、携帯はこまめにロックしようということか(←おい) 携帯を通して私の子供をしかる声なんか相手に聞かれてたら次回からその人の顔を見れなくなってしまうものなぁ。 いつ誰に聞かれても大丈夫なように日々改めて生きろって事か。 それも痛い話だなぁううむ。
電話を前に、とりとめもなくあれこれ思ったのでした。
アイ達が子猫の世話にはまっている、と聞いたのはいつだったか。 「飼い猫に子猫が生まれて、世話をしていた御宅があったのだけれど、引っ越されて、子猫だけ置いていかれたんですよ」とOさんのお母さんが教えてくださった。 「それで、子供達は今、その子猫達の世話に夢中なんですよ」と。
遊びから帰ってきたアイが「今日、子猫達とお別れしたの」と言ってきた。 いわく、「●●区のペットショップに連れて行かれた」のだそうだ。 「誰が教えてくれたの」と聞いたら「Oさんがそう言ってた」との事。 ふぅん。Oさんのお母さんがそう子供に教えたわけか。 「なんてペットショップ?」と聞くと「知らない」 「車にペットショップの名前書いてなかったの?」と聞くと「分からない。白い車だった」との事。 なるほど。
Oさんは「それで、近所でも子猫をどうしようか話してるんですよ」と言っていた。 つまり、そういう事か。
「バイバイ子猫〜!!って皆で車を追いかけて走ったよ」とアイは話す。 「そっか。ペットショップで誰か良い人に引き取ってもらえるといいね」と話した。
小学三年生なら、もう本当の事を教えてもいいと思うのだけれど、Oさんの御宅はそういう事にしたのなら、こちらもそういう事にしておこう。
本当に、ペットショップに引き取られたのならいいなぁ。
暁
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