凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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アユムが通っている未就園児教室は、第一子を通わせている方が殆ど。 上が小学生なんてのはウチを入れてクラスの一割位じゃなかろうか。 つまり、ママさん達は結婚年数が片手の方が殆ど。 イコール、二人目出産ラッシュ。今月既に三人生まれたし。 この前おなか大きかった、と思ってたらもう生まれて二ヶ月よ、なんて言われるし。 今日なんか生まれてやっと一ヶ月という新生児抱いて来てたママさんもいて、人生の中で一番妊婦と乳幼児に囲まれた凄く貴重な時間を今過ごしている感じ。
子供嫌いな私だけれど、新生児は別。 だってあれは生き物で子供じゃないもの。 乳幼児は動物と同じだから可愛い。 他所の子供は特に自分と無関係だから無責任に可愛いと思える。 独身時代、赤ん坊や子犬なんか見て「かわい〜〜っ!」と声を上げる女性の心理が理解できなかったけれど、今は分かる気がする。 他人のモノだから可愛いんだよね。他人事だから。 世話しなくていいから。可愛いとこだけ見ていればいいから。 可愛がるだけでいいから。 ついでに「子供好きor動物好きの優しい私」を他人にアピールできる絶好の機会であるわけだし。 結婚したら「かわい〜」なんて無責任に言えなくなるものね。 「じゃぁ子供早く作りなさいよ」とか「自分でも飼えば?可愛いわよ〜」なんて、親切な顔した無責任発言返しに合うし。
でも新生児は本当に可愛い。見つけるとフラフラと寄っていってしまう。 「抱いていい?」なんて抱かせてもらって「かわい〜!!」なんて言ってしまう。 だっていくら無責任に「可愛い」って言っても大丈夫なんだもの。 「じゃぁもう一人産めば?」なんて、無責任発言返しされても「そうねぇ男の子も産んでみたいけれど、もううちは2人で充分〜」なんて、これまた無責任発言返しで切り返す技を習得したし。
今日見た新生児はまだ脱皮もそこそこの本当に生まれたてホカホカといった感じだった。 うわぁもうこの小さな爪が可愛い。遮光式土偶みたいな目蓋が可愛い。 どれだけ夜鳴きしようとも母乳の出が悪いと悩もうと乳腺炎になって苦しもうと睡眠不足と上の子の赤ちゃん返りにイラつこうと、それはその人の問題であって、私にとってはもう通り過ぎた過去だ。 大変だよなぁと同情し、もうあの思いは今後一生味わう事はないんだ、という安堵感と達成感とちょっとだけの寂しさと、色んな思いが入り混じるけれど、結局私には他人事だ。 だから、可愛い。無責任に可愛い。 泣き喚いている子供の声も可愛い。 あの声の親はさぞかしイラついているだろう。お気の毒に。 でも私には他人事。うちの子じゃないもの。 だから寛大な心で構えていられるワ。 先輩ママさん面して「来月には嘘みたいに楽になって、次の苦労に進んでいるわよ。大変だけど、ずっと同じ大変さが続くわけじゃないから大丈夫よ」なんて、偉そうに励ましたりするワタシ。 うわぁ嫌な女。
でも本当に、新生児や乳児を見ると、抱きたくて仕方なくなる。 泣き出したらママが飛んでくるから楽だし。 無責任に他人の子が「可愛い」と言えるのって、思えるのって、幸せな事だと、やっと分かった気がする。
幼稚園児や小学生になったら別。 アレは子供だから。嫌いは嫌い。扱いにくいし。
それともアイやアユムが中高生になったら、園児や小学生も可愛いと思えるようになるのかな。 懐かしい、もう通り過ぎた自分には関係ない時期だ、と無責任な可愛さを感じるようになるのかな。 そしたら、我が子が社会人になったら、その年代の社会人を可愛いと思えるようになるのかな。 そして自分が死ぬ時は、自分より下の年代総てを可愛いと、いとおしいと思えるようになるのかな。
それならそれで、幸せな気もするなぁ。
本にはカバーをつけてもらう派だ。 ついでに、独身時代は旅行先で常になんでもいいから文庫本を買って帰るのが好きだった。 購入するのは出来れば大手本屋じゃなくて、その地域の中堅所(?)の本屋さんが良い。 旅行先の本屋さんでつけてもらったカバーは、その土地の住所が記されている。
本を引っ張り出すついでに、思い出もひっぱり出される。 あの時、この本屋さんでどういう気分でこの本を選んだのか、その時の感情が甦って本の世界と同時に思い出にもはまれる。
インドア派の夫と結婚したおかげで「旅先で本を買う」という楽しみは絶たれた。 今、ある本は、独身時代に夫以外の人達と旅行した時の本達。 思い出に浸れば浸るほど、今が色あせて空しくなる。
本を処分する時ってどういう気分の時なんだろう? 私は、「投げやりな気分の時どさくさに紛れて」って感じ。 なんかもう人生疲れちゃったーって気分の時本を処分する。 と、いっても、文庫本派なのでたいして場所を占めてもいないし、あらかた結婚する時処分してきて、その後は図書館で済ませる事が多くなったのであまり数は無い。 だから、結局独身時代に買って結婚してからも持ってきた少ない文庫本を処分する事になるわけで。
カバーを引き剥がし、ダンボールへ放り込む。 明日はブックオフへでも持って行って処分してもらおう。 売れそうな本はまったくないから、捨ててもらいに持って行くだけだけど。 もう、持っていても辛いだけだから。
空いたスペースに子供の本を並べる。 これから増えるのは、この子たちの本なわけで、そのためにも私の本なんか置く場所は要らないわけだし。
新井素子の「ひとめあなたに」が出てきた。 結婚する時これを持ってきた自分にちょっと笑えた。
暁
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