選びしは 苦楽の二橋 渡る時 自(み)ずを責めずと 苦と向こうぞ 己(おのれ)すら 正しき道と 進めずに 人を責め居て なお苦しかろ 我(われ)先と 生き急ぎて 残すもの 残すものなぞ 無くて生きらん 夢追いて 夢に破れて 夢嘆く 夢に捉われ(とらわれ) 夢無き気づかん 足元の 全てに力(ちから) 注ぐなり そこに在るこそ 己(おの)の魂 食ふことの 喜び笑ふ 喜びに 満足なくて 夢は入らん 晴れた日の 憂ひせし雨に 迷いたる 惑わさるるな 天地味方よ 身の端に 虫を置きたり 苦しんで 心失うと 嘆きなさるな ***** ***
彼女(かの)声を 釦叩いて 聴く願い 電話の向こふ 実母(はは)温っか 実母(はは)に寄り 甘えたき今 幼きに 帰る自(みず)抱く 微笑緩るる「えみゆるる」浮ふ 義父(ちち)寂し 歳の切なさ 母語る 傍に走りて 有難し云い願 義父(ちち)を聞く 我の脳裏に 勇ましき 姿だけあり 拳握ぐ思ひ ***** ***
連れ去られ 親無し日々に 覚えしは 喰うに生き抜け 奴等かほ選べ 忘るるな ぬしの親こそ 愛深く 奴等に喰われぬ 術たけよ ***** ***
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