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オトナの恋愛考
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2010年08月31日(火) シーソーゲーム






今から書く内容の件で日記を更新する事もできなかった。
今日は少し落ち着いたので久々にネットを開く。

先週の金曜のひろとのメールのやり取りの後、
私はウキウキした気分で家路につき、明日の仕度をしようとした矢先、
夫の姉の訃報を知った。身内の不幸で予定がキャンセルになる事はよくある事。
ただし他の急用とちょっとだけ違うのは
家族のいない義姉の葬儀を長男である夫が出す事になった事。
兄弟である夫は子供のいない義姉の法廷相続人になるという事。
大きな家に独りで住んでいた為に、後の書類等の手続きやら
家の片付けを全てこれからやらなくちゃいけないという事。

昨日、葬儀から納骨まで終わり、ひと段落はしたのだけれど
これから裁判やら何やら煩わしい処理が山積みだという事。
結婚していれば、多かれ少なかれこういう事態は誰でも経験するのだけれど
夫に離婚を切り出そうとした矢先だっただけに
まるで義姉がそれを止めようとして命をかけたように思えてならない。
夫との離婚の理由は、ひろとの事ではない。
もっと基本的な夫婦の問題なのだけれど、夫が相続人となれば
離婚訴訟だの、今波風を立てるわけにはいかなくなった。

ここには非日常な恋愛物語を綴っていきたかったのだけれど
この数日間、色々な事を夫婦として一緒に行動していくうちに
この世で一番大切なのは家族であり、生活の基盤である夫婦の関係は
生きていく中でとても大切なのだと思えてきて
非日常なひろとの恋愛にちょっと引き気味なのは否めないのだ。

彼も家庭のある身なのだから、状況は私と同じなのだけれど
一方が引き気味であればあるほど、もう一方のテンションが上がることは
恋愛関係に良くある事。実際、デートがキャンセルになった事で
ひろの方が積極的に私に逢いたがっている事を知った。

バタバタとしている間もメールはくれた。
「返信が遅くなる可能性はあるけどちゃんとチェックはするから
 メールはちょうだいね。」と
私がお願いしたことは実行してくれた。

例のサイトのブログには私に逢えなかった寂しさが綴ってあった。
タイトルは「大事な女性(ひと)」

昨夜は久しぶりに電話で話ができた。
この数日間の出来事を簡単に話した。ブログの話題になって
私に逢えない寂しさを埋めるために
「オトナの誘惑」と戦ったと書いてあったので、
それに勝ったのか負けたのか、冗談ぽく聞いてみた。

週末のキャンセルの原因はあまりにも暗い話題であった為
わざと明るく冗談を言って笑った。

「大丈夫。メールした通り「独りカフェ」で寂しく帰ったよ(笑)」

そして彼から切り出した提案は9月中にまた
どこか近場に1泊2日で旅行に行こうというもの。
9月中に有給休暇を最低一日は消化しなくてはいけないから
というのがその理由。

再来週の土曜にまた東京へ行く用事があるので逢えるのに
その時とは別にまたゆっくりどこかで一緒に過ごそうという。

それはとてもステキで嬉しい提案だけど
今の状況では手放しでは喜べないのも事実。
でも素直に「嬉しい」とは彼に伝えた。

「金曜から土曜日はどお?ちょっと色々計画してみて
 また連絡するね。」とひろは嬉しそう。

「じゃあね。」と何度か言っても
お互いになかなか電話を切る事ができなかった。

ひろが小さな囁くような声で「愛してるよ。」と言った。

「私も・・・」とちょっと言葉がつまったけれど
思い切り優しい声で「愛してる」と答えた。


でも本当にこれで良いのかとちょっと戸惑っている自分に気付いてしまった。



【172日目】



2010年08月27日(金) 恋愛ワクチン







ここ数日、心が夏風邪をひいて元気がなかった。
元気なフリをして頑張って土曜の件をひろにメールを送った。

そして深夜になって彼からの返信にちょっと凹んだ。

「今帰宅中だよ。
 実は土曜日も仕事になっちゃったよ、ごめんね・・・。」


もっと頑張って返信した。

「仕事が忙しいのは知ってるから大丈夫だよ。
 かなり寂しいけど我慢します。
 体に気をつけて頑張ってくださいね。」

土曜日は都内で逢う約束をしていた。

仕事が理由でのデートのドタキャンは
もう気持ちが離れ始めている証拠なのだ。
本当に忙しいのかもしれないけれど
直前になっての「仕事が理由のキャンセル」は初めてだった。

彼の中の私の優先順位が下がったと確信してしまったけど
大人気ない女だとは思われたくはなかった。


でも、そのメールに対するひろからの返信。

「明日は仕事を夕方までに終わらせるから、
 その後は逢えるよ。うさぎは何時頃なら大丈夫なの?」

私は更に頑張って返事を送った。

「仕事の方が大事なんだから無理しなくて良いよ。
 私の方も夕方には終るとは思うけど
 何時になるのかはわからない状況です。」

ちょっと素っ気無いとは思ったけれど
こっちにも用事があると知れば、彼の方も気が楽だろう。

1時間ほどで着信したひろの返事はこうだった。


「あのね、仕事も大事だけどうさちゃんはもっと大事なんだよ。

 ①17時に汐留のソニープラザ集合にして、
  この前行ったホテルでラブラブする。
 ②夜の東京湾クルーズする。
 ③品川に行っちゃって映画かカラオケをする。
 ・・・というような案があるけどどれがいいかな?(笑)」

忙しいのは事実だろうけど、
心の風邪にこのワクチンはかなり効いて
弱っていた私のハートはまた元気を取り戻した。


それにしても・・・
私の心の動きを察知して最後にちゃんとどんでん返しの
ご機嫌取りしてくれる彼って、本当にわかりやすくて大好き。

「ありがとう。本当に嬉しい。
 私はひろと一緒ならどこにいて何をしても楽しいの。」

・・・と返信をした。
東京湾クルーズも捨てがたいけど
やっぱり時々しか逢えないのだから
2人きりの場所が良かったけれど
決定はひろに託した。

「じゃあ、汐留めのホテルでラブラブしよ。(笑)」と
同じ気持ちの彼から返信がきて・・・

この後、とんでもない事が私の身に降りかかろうとは
この時は私たちは思いもしなかった。

仕事が終って早めに家に帰って、
次の日のデートのしたくをしようと思いながら
何気なくみた携帯の着信履歴には
想像も出来ないようなメールが着信していた。



続きは後日。





2010年08月24日(火) 日傘とビーチサンダル






ここ数年、風邪も引いたことのなかった私が
月曜の朝から熱がでて、ここ2~3日調子が悪い。

今朝はかなり元気になったけれど
まだ少し鼻声で自分じゃないみたい。

数ヶ月間メールだけのお付き合いだったひろと
彼からの真剣で真摯なアプローチに心が揺らいで
初めて逢ったのが桜の季節の少し前。

初めて逢ったあの晩、まさかこんなに私の生活に
影響を与える存在になるとは思わなかった。

それまでの私の人生の中で
まったく出会う機会のない世界の人だった。

それから逢う約束をする度に・・・

まだ間に合う。これで最後にしよう。
まだ間に合う。これで最後にしよう。
まだ間に合う。これで最後にしよう。
まだ間に合う。これで最後にしよう。

そう思って逢ったのは最初の2ヶ月ぐらいだった。

いつか別れが来るのなら、
傷つかないうちに逢うのは終わりにしよう。

一度か二度のラブ・アフェア。束の間の逢瀬。
ひと夏の経験。非日常の関係。

こんなフレーズがいつも頭の中にあった。

いつの頃からだろうか。
出逢ってから毎日毎日朝晩必ず送ってくれるメールが日課になり
月に1度か2度のデートが普通になって、真夜中の電話が待ち遠しくなり
私にとって、ひろは必要な存在になってしまった。

私にとっての非日常の恋人の条件は、
一緒にいて楽しく過ごせる程度の容姿やコミュニケーション能力と、
抱き合って気持ちの良い程度の体型やセックス能力と
安心して毎回デートを楽しめる程度の経済力と、
尊敬に値できる程度の社会的地位と仕事を持っている事。


それまでのメールの内容では、
彼の生真面目で誠実な性格はなんとなくわかっていた。

実際に逢ってみて彼の第一印象はとても良かった。
囁くような話し方や声のトーンは癒し系でセクシーだったし
見つめる瞳は真っ直ぐで魅力的だったし
立ち振る舞いやしぐさも自信に満ちたオトナの男だった。
セックスの相性は最初から私が抱かれながら泣いてしまう程良かった。
もちろん、IT業界最大手の企業管理職という身分も申し分なかった。

もしフリーであればかなり女性にモテタはずなのに
とても謙虚で正直で寡黙な男だった事も私が惹かれた要素だった。


でも付き合いが深くなればなるほど
彼は私にとってはただの男になっていった。

可愛いひと。一言で言えばそんな感じ。
彼は無防備で純粋で真っ直ぐすぎて時々とても私を傷つける。

悪気がないだけに始末が悪い。
そんな彼の性格がわかりやすいほどわかるから
私はいつもそのまま受け流すしかないのだ。


「ねえ、別に若くも美女でもない私のどこが好きなの?」

「ん?うーん。楽なの。」

「楽チンなんだ。」

「うん、うさちゃんといるとすごく楽なんだよね。」


「楽な女」ってどう解釈していいのかわからないけど
「難しい女」よりは居心地が良いと解釈するしかない。


家で何も予定をいれずに休んでいたこの3日間。
そんな取り留めのない事を考えていた。

「今日も一日大人しく良い子にしているんだよ。
 頑張っていってくるね。」

今朝も夏風邪をひいた事を知っているひろからメールが届く。



私の車に積まれたままの
ひろが買ってくれた日傘と
ひろが2日間履いたビーチサンダルが
私のこの夏の思い出。
もう二度と訪れる事のない真夏の夢。








あの日、貸し別荘をチェックアウトしてから
リフトに乗って近くの観光地になっている小高い山に昇った。

リフトから更に数百メートルのハイキングコースで
この山の展望台まで登ることができる。

「え、このビーチサンダルで山登りするの?」
「大丈夫よ。ほら、あんなに小さな子だって歩いてるでしょ。」
「うーん。このサンダルだと辛いなあ。」

「あのね、ひろ。もう二度とこの山にこないかもしれないんだよ。」
「また来る機会はあるよ、きっと。」
「でも私達2人で来る事はもうないかもしれないんだよ。」
「うーん・・・そんな事はないよ。きっと、あるよ。」

日傘をクルンと回してニッコリと笑ってみせた。
ひろは最後の言葉を濁して黙って歩き出した。

仕方がなく歩き出したひろの背中を見つめながら
もう私達2人でこの山の頂上に登る事は本当にないのだと思った。






【165日目】



2010年08月23日(月) 往く夏を惜しんで






ここ1ヶ月も日記の更新をしなかった理由。別になし。
ただなんとなく書くのが億劫になってただけ。

ひろとの避暑地での休暇はとても楽しかった。
普通なら真っ先にここの綴るであろう夏の想い出。

たしかに丸二日間、今までで一番一緒にいた時間が長かった。
私たちは夏の高原で、慣れ親しんだ子供のいない夫婦か
熟年カップルのように仲良く過ごした。

最寄の駅にひろを乗せた新宿からのエクスプレスが到着して
私は改札口で彼を待っていた。

改札から出てくるひろは避暑地には似合わないビジネススーツだったけど
出張だと偽って逢いに来てくれたのだから仕方がない。

私は彼のビジネススーツ姿が嫌いじゃない。むしろ普段着の彼より好き。
本当はドキドキしたけれど、平静を装って
用意したTシャツとハーフパンツを手渡した。

駅の近くの海岸沿いにある「道の駅」へ車で向かった。
彼がトイレで着替えている間、私は大道芸人のパフォーマンスを見ていた。

すっかりリゾート着に着替えたひろと私は併設されたショップで
彼のビーチサンダルとそれと日傘を買ってもらった。

ランチをしてから別荘に連絡を入れた。
チェックインの15時には1時間ほど早かったけど
掃除が済んでいるという事で別荘に向かった。

こじんまりとした小奇麗なメゾネット型のコテージだった。
施設を確認してから買い物に行く予定だったけど
2階のベッドルームに上がっていって、
ベッドに腰掛けた途端に押し倒されて、
そのままシャワーも浴びずに3時間以上も私たちは抱き合っていた。

気付くともう日が翳り始め、吹き抜けの窓のカーテンを閉め忘れていて
向かいのレストランから丸見えだった事を知った。

「ねえ全部見られちゃったかもね。」「うん、でも関係ないよ。」

ひろはまったく平気な様子。それから近くのスーパーまで買い物に。
まるで私たちは長年連れ添った仲の良い夫婦のように見えただろう。

シンプルなチキンと野菜のオーブン香草焼き、エビのグリル、
ごぼうの煮物、牛モツの炒め物、グリーンサラダ、など
私が用意している間、ひろはテラスで一服中。

彼がビール、私は低アルコールのカクテルで乾杯。

「ね、せっかくだから明日早起きして湖までお散歩しよ。」
「うーん、起きれるかな。」
「起きよ。せっかくの避暑地なんだから勿体無いよ。」
「うん、わかった。」

こんな会話をしながらご飯を食べて
少し酔った私と、疲れが出たひろは早めの21時頃には既にベッド。
夕方、いっぱい愛し合ったせいか、
この時は一緒にお風呂に入ることもなくグッスリと眠ってしまった。

真夜中、物音で目を覚ました。階下で彼がシャワーを浴びている音。
それから冷蔵庫から何かを出してそれからテラスに出る音。

ウトウトとしているうちに目が覚めると隣でグッスリと眠ったひろの寝顔。
今度は私がシャワーを浴びに行き、パジャマ代わりに
総レースのキャミソールとローラライズの下着を身に着けて
そっとひろの横に滑り込んだ。

ひろが気付いた。

「寝ちゃったね。ごめん、ごめん。」
「起こしちゃったね。」
「あ、キレイでセクシーな下着だね。持ってきたの?」
「うん、ひろに見せようと持ってきたの。」
「あはは。色っぽいなあ。」

とそのまま抱きしめられて夜明け前の数時間また私たちは愛し合った。
白いレースの下着は彼の好みだったようで
そのまま脱がせずに愛撫するから、私の下着も心も身体もビショビショ。

そして1時間ほど眠ってから
私たちは約束通り、6時前に別荘を出た。
長い坂道を片道30分づつ掛けて、手を繋いで歩いた。
高原の風は爽やかで、湖を渡る風も心地よい。

野外プレイだ、なんて冗談を言ったけど
結局帰り道は上り坂で日も高く上って2人とも汗だくで部屋に戻った。

簡単な朝ごはんのメニューは・・・
チョコバナナプロティンシェイク
レーズンパン
目玉焼き ごぼう添え
フルーツ山盛り
具沢山味噌汁

ひろがフルーツが大好きだと初めて知った。
干しブドウのパンも好きだと知った。
一緒にいる時間が長いと色々な発見があって楽しい。

でも楽しくない発見もあるのも否めない。
朝ごはんの片付けをしている最中に彼がまたシャワーを浴びていた。
気が付くと2階のベッドルームへ行った様でダイニングにはいなかった。

チェックアウトまでまだ1時間以上あったので
2階へ様子を伺いに行く前に
バスルームとダイニングにあった2人分の荷物を片付けて
そのまま見に行くと裸でベッドで横になっていた。

「とりあえず帰りの仕度はしちゃったよ。」
「え、そんな時間なの?」
「ううん、まだ1時間ちょっとあるよ。」
「じゃあこっちへおいで。」

素っ裸のひろは夏のドレスを着たままの私を抱きしめた。
しばらく抱き合ってキスをしていたら
スカートをめくって下着の中に彼の手が入ってきた。

もう何度もひろを受け入れた私はなかなか濡れなかったけど
スカートをめくって下着を脱がされて
まだ濡れていなかったけど、そのまま強引に入ってきてと懇願して
何度か彼のペニスで擦られた後はそのままスムーズに受け入れた。

「また襲われちゃったね。」と力強く私を押さえつけながら
優しげな笑顔でニッコリしながらひろが言うから
「うん、いっぱい襲われて嬉しい。」と
私は強姦されながら悦ぶ変態女みたいな気分になって
また何度も何度も声をあげながら彼に逝かされてしまった。

逢えなかった時間を埋めるように
私たちはたぶん5回以上は交わったと思う。

チェックアウトしてから近郊の観光者向けの施設やリフトで山に昇り
夕方の5時過ぎにひろはまた東京へ戻っていった。

とても彼との時間は楽しかったし、
一緒にいるともう何年も付き合った恋人同士みたいだけど、
でもこうしてまた逢わない時間が過ぎて行くとなんだか不安になる。

今回、楽しかった発見とは裏腹に
彼の見えない部分も見えたのは、きっと彼も同じだと思う。

「ひろは奥さんに管理され過ぎ。」
「そうかな。そんな事はないよ。」

可愛くない事も言ってしまって彼を困らせた。

ひろの事を知るほど、奥さんに依存して生活しているのが見えてくる。
洗剤の良い匂いのする下着や、きちんとアイロン掛けされたワイシャツや、
そんな身近なもので、彼の奥さんはこの人は私の夫だと主張する。
自分では何も出来ない人だと知るほど、奥さんの存在が見えてくる。

そして

私と一緒の時でも、仕事の事なのか家族の事なのか
遠くを見ているような視線を時々感じて
私だけの男じゃないんだという事を確信してしまう。

私が求めている関係は
束の間の刺激的な逢瀬や、非日常の空間ではなくて
愛する人との穏やかな日常なんだと気付いてしまった。

そんな関係には絶対なれない私たちの現実を知って
私はまた孤独と不安に苛まれる。

贅沢だと言ってしまえばそれまでだ。
避暑地でのバカンスの次の週、彼は家族と一緒にお盆の里帰りだった。
その間は彼からの連絡がないと私はメールさえ躊躇した。

実家から帰ってきてからは又日常に戻って
毎日朝晩メールをくれたし、電話でも一度だけ話をした。

「じゃあおやすみ。」と電話を切ろうとしたら
まだひろの声が聞こえた気がして、
もう一度「なあに?何か今言った?」と訊いた。

「ん?・・・愛してるよ。」ともう一度囁いてくれたから
「私も愛してる。」と答えたけれど。


往く夏を惜しんで私はちょっと心が風邪をひいた。



【164日目】







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