TOM's Diary
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S氏は台風一過の素晴らしいお天気の中、家の周りの片付けをしていた。 お天気は最高なのだが、外で片付けをするには少し暑過ぎだと思いながらも、 S氏は麦藁帽子や水筒を装備して片付けをしていた。
午前中に物置の片付けを終えたS氏はお昼を挟んで庭の片付けに入ったが 気温はどんどん上昇しているようだった。 庭には陽炎が立ち、強烈な日差しでサングラスをしていてもまぶしく まともに物を見ることもままならない感じであった。汗が止め処も無く 噴出し、水分を補給するがとても追いつかない。あまりの暑さに立って いるのもやっとなほどだ。S氏は作業の手を止めて、日影に隠れようと したが、その足取りもとても重かった。軽い目眩も感じる。どうやら 庭に出て5分も経っていないのに熱中症にでもかかってしまったようだ。
あまりの暑さに、午前中はうるさいくらいだったセミも鳴くのを止めて しまっている。そう言えば周囲からはいつも聞こえてくるクルマの音も 通行人の声もなにも聞こえてこない。暑さでみなどこかに隠れているの だろうか?
いったい何度くらいあるのだろう。 S氏は腕時計に装備された温度計を眺めた。しかし、時計の液晶は暑さ のためか、まっ黒になっていてまともに表示されていなかった。
S氏は作業を諦め部屋に戻った。 エアコン全開の室内は外から戻ったばかりのS氏には涼しく感じられたが、 温度計を見ると30度を超えている。あまりの暑さにエアコンもまともに 効かないようだった。 それでも外にいるよりははるかにマシとソファに身体を横たえ、水分を 補給した。テレビをつけるとどのチャンネルもまともに番組をやって いるところはなく、臨時ニュースばかりやっていた。どうやらこの異常 な暑さのため、多数の人が病院に運ばれ、交通網は麻痺し、政府は外出 禁止令を出し、気象庁は暑さによる機器の故障で観測もままならない らしかった。
S氏は体調が落ち着いたところでなんとか家の中を涼しくする方法が ないか考えた。まず、エアコンの室外機に水を吹きかけることを思い ついた。また、家の屋根にも水を吹きかけることにした。しかし、 そのためにはどちらも一旦外に出なくては作業が出来ない。 そこでS氏はこの暑さのなか外で作業をしても熱中症にならないで済む スーツを考え出した。 アルミ蒸着された生地で作られたスーツは太陽の熱を反射するように なっており、その内側には断熱素材で高温に熱せられた空気からの 熱を遮断する。背中に付けられたホースからは、冷たい空気が送り込める ようなっており、冷たい空気の供給源となる、小型の強力な冷却装置は とりあえず、台車に載せて運ぶようした。リュックサックに入れて背負う こともできなくはないが、この猛暑の中を重たい荷物を背負って歩くの は、躊躇われた。 スーツにはフードも付いており、頭まですっぽり覆うことができ、 外の熱い空気からは完全に遮断することができる。
S氏はさっそくエアコンの効いた(とは言え、室温はすでに35度を 超えていた)室内で試してみた。十分過ぎるほどの涼しさだった。 さっそく外に出たS氏は外の光景を見て驚いた。 あまりの日差しの強さにあたりは真っ白であり、草木は枯れ落ち、 鳥や昆虫は地面に落ちていた。まるで砂漠のようである。 冷却スーツを通しても熱さが伝わり、さすがのS氏の発明でも長時間は 外にはいられそうになかった。 S氏はわざわざ外に出なくても、この格好で室内にいれば良いのでは ないかと思って、部屋戻った。そのままソファに横になり、S氏は 快適なスーツの中でお昼寝を始めた。
S氏が寝ている間に、急激な温度上昇により強力な入道雲が発生し、 S氏の家の周りに激しい夕立が降った。夕立は大粒な雹が混じり 一気に地面や建物を冷やし、夕立に伴なう強風が熱い空気を噴き飛ばし、 急速に気温を下げたのだった。 エアコンを全開にしていたS氏の家も一気に冷え、室温は15度くらい まで下がっており、S氏のスーツの中は冷蔵庫どころか冷凍庫なみに 冷えていた。
S氏は寒さで目覚めた。指先や耳が痛い。ちぎれそうだ。 どうやら凍傷になってしまったようだった。
S氏は熱中症の患者でごった返す病院の中で唯一の凍傷の患者として 病院に運ばれ、迷惑がられるのだった。
扉をなんとか物置に固定したS氏は家の中に戻った。
物置の修理の途中で空を舞ったS氏は雨合羽を着ていたとは言えさすがにびしょ濡れになっていた。とりあえずお風呂でも浸かって、暖かいお茶でも飲もうとS氏は思い、湯船にお湯をはる間にお茶の準備をした。
ゆっくりと湯船に浸かりながら窓の外を見ているといろんなものが舞っている。 相当な強い風のようだ。なかには先ほどのS氏のようにたくさんの人も空を舞っている。あの人たちは無事に降りられるのだろうか?先ほどのように降り方をみんなに教えた方がよいのではないか? よく見ると舞っている人たちの中に先ほどS氏と一緒に着陸した人も混じっていた。どうやら舞い方のコツを覚えたらしく、舞うのを楽しんでいるようだ。そのうち、その他の人たちを従えて地面に降りていく様子が見て取れた。どうやらS氏の後継者が育っているようだった。S氏は安心して風呂から上がって、リビングでお茶を飲み始めた。
暴風雨がとても激しく、アルミサッシ越しに見える庭はいつもとはまったく違って見えた。それにしても激しい台風だ。植木は先日庭師が台風に備えてワイヤを張ってくれていたおかげで、かろうじて倒れないずにいるが、もう少し風が強くなったらいつ倒れてもおかしくない感じがする。芝は半分水に隠れこのまま池にでもなってしまいそうである。しかし、リビングにいる限り平穏無事である。お気に入りの曲をかけてゆっくりとお茶をすするS氏であった。
S氏はいつのまにか居眠りをしていたようである。 目が覚めると庭が池のようになっていた。 ふと見ると物置の扉が庭を流れていくのが目にとまった。
あんなにしっかり固定したはずだったのに。
S氏は慌てて物置の扉を取りに外に出た。 ただでさえ激しい暴風雨の中、洪水となった庭は歩くのも困難であり、やっとのおもいで扉を取り押さえることができた。しかし、この重たい扉を持って物置に戻るのはとても困難である。
S氏は扉の上に乗ってイカダのように移動できないか試してみた。
扉の上に乗るのはなかなか難しく何回かのチャレンジのあとようやく乗ることができた。しかし、コントロールすることはとても出来そうに無い。S氏は空しく流れに身を任せることしかできなかった。そこにどこからか板キレが流れてきた。必死でそれをすくい上げたS氏は、その板を舵にして向きを変えようとした。なかなかうまく行かず、コツを掴んだときには流れにのって庭から道路に出てかなり流されていた。
しかし、一度コツを掴むとなかなか面白い。サーフィンでもやっているかのような気持ちがした。もっと広いところで遊んでみようとS氏は大通りに向けて舵を切った。
そこには大勢の人たちが戸板にのって漂流していた。 S氏はその中で一人イカダを制御していた。 それを見た周りの人たちは流れている板や、カバンなどを使ってS氏の真似をし始めた。最初はうまく行かなかった人たちもS氏のやり方を見てだんだん上手くなってきた。 いつのまにかS氏を先頭に全員高台へ向けて舵を切り始めた。 ようやく高台にたどり着くと、みんな満足そうな表情で上陸を果たした。どうやらみんなイカダを楽しんでいたようだ。 さて、S氏はどうやって家にもどろうかと思案にくれた。ちょうどそのとき、空からS氏の後継者が降りてきた。
そうか、空を舞って帰ればいいんだ。
S氏はそう思って、戸板を持ち上げて風を戸板に受けた。 S氏はすぅ〜っと空に舞い上がった。 それを見ていたイカダの人たちはS氏にならって空に舞い上がった。そして、S氏の飛び方を見て、空の舞い方を練習してある程度自信をつけると、S氏に手を振るとそれぞれの家に方に向かって帰っていった。 S氏は着陸の方法は教えなくて良かったかなぁと思いながらも家に向かって舵を切ったのだった。
S氏は台風に備えていた。 天気予報で台風の進路を見ていたら、間違いなくS氏の家を直撃しそうだった。 もっともすることはほとんどない。 庭のテーブルセットなど風で飛びそうなものを片付けたり、裏庭の物干し台から物干し竿を下ろしたり、立て付けの悪い物置の扉が風で開かないようにしたり、最後に雨戸を閉めて終わりである。
すでに降り始めていた雨の中、雨合羽を着たS氏はふだん庭でお茶をするときのために置いてあるテーブルのセットを物置に運んだ。立て付けの悪い物置の扉を開けようとするとまったく開かない。 この扉は、今まで開くことは比較的簡単だったが、一度開くと今度は閉じるのに苦労していたため、いつか修理しなければと思っていたのだが、ついに開くことすら出来なくなってしまった。S氏は風が強くなってきた中、とにかく応急処置をしようと考えた。
S氏の考えで、蝶番を外して扉自体を外してしまい、中にしまうものを入れた後、こんどは扉を釘で固定してしまう。そして台風が過ぎ去った後改めて修理をすると言う、S氏にしては珍しく普通のプランだった。
S氏はさっそく工具を持ってきて蝶番のネジを外そうとした。 しかし、よく見ると蝶番のネジは扉が閉まった状態では外れないように出来ていた。当たり前である。外せるくらいだったら泥棒にだって外せてしまうことになる。もっとも、物置には盗まれて困るものなど置いていなかったので鍵さえかけていなかったのだが・・・。 そこで、S氏は蝶番のピンを抜こうと考えたが、これも錆び付いていてとても外せそうになかった。
風雨はどんどん激しくなる。 焦ったS氏はグラインダーで蝶番を切ってしまうことにした。 蝶番を切ると扉は簡単に外れた。激しくなってきた暴風雨で扉があおられ扱いに苦労したが、なんとか無事に扉を地面に置いた。 荷物を中に入れて、扉を持ち上げようとすると、鍵がかかっていたことに気がついた。
なんと言うことだ。そう言えば、前回物置を開けた時、なんとか閉めてもすぐに開いてしまうようになっていたので、鍵をかけることにしたのだった。
そのときだった。 S氏が支えていた扉が風にあおられ空中高く舞い上がった。 S氏はしっかりと扉を掴み、扉が飛ばされないようにしっかりふんばったのだが、扉と一緒に舞い上がってしまった。S氏はなんとかバランスを取りながらグライダーのように着地しようと思ったのだが、吹き上げる風に、どんどん上昇していった。周りを見ると多くの人たちが、傘やカバンにぶら下がるようにして空を舞っていた。実に不思議な光景であった。 S氏はなんどかタコで空を飛んだことがあったので、比較的安定して空を飛べたが、周りの人たちはなれないらしく今にも落ちるのではないかと思われるほど危なっかしい飛び方をしていた。
S氏は近くにいる人の側に移動して、コツを教えて廻った。 そのうちS氏をお手本にしようと、S氏の後ろに多くの人が集まってきた。S氏はお手本になるように気をつけながら、風が収まるのを待って、地面に着陸した。それを見た人たちはS氏のやったとおりに次々に着陸していった。幸いほとんどの人たちが怪我をすることなく着陸したが、数人が着陸した際にひざを着いたりしてかすり傷を負った。S氏は責任を感じて、たまたまポッケに入れていたバンソウコウを配って歩いた。
「まったく、間違って扉を壊してしまうし、バンソウコウは減ってしまうし、ひどい一日だ。」と思うS氏であった。
常磐新線が開通した。 TXと言う略称だそうだが、「つくばエクスプレス」を 省略したもののようだ。
以前から常磐道のSAから高架橋が出来上がっていく様子を 何度も見ていて、いつ開通するのだろう?と思っていた。 昨年ぐらいから開通予定日が書かれるようになったが、 まだまだ先と思っていたら、ついにその日を迎えたわけだ。
正直言って常磐新線を利用するようなことはほとんどないと 思うが、しかし、まったくの新規路線と言うことでちょっと 乗ってみたい気もする。
人によっては一時間近くも通勤時間が短縮されることも あるようだ。便利になることこの上ない。 中央線も混雑緩和のために新線でも作ってもらいたい。
しかし、これが開通したことで、これまで田舎だったところが 一気に市街地化するのだろう。せっかくの田園風景などが 消えていってしまうのは少し残念だ。 最近つくづく思うのだが、アスファルトで固められていない道や コンクリートで固められていない地面を見ると、とても落ち着く 気がする。開発が進むのは良いが、なんだか寂しい気がする。
今日も暑い一日であった。 もっとも私の仕事はほとんどの場合エアコンの効いた場所である。 通常、真夏日などあまり意識することはない。
が、今日のように出張となると移動は暑い中を移動することになる。 クルマによる移動であればエアコンもあるが、日差しが強いと どんなにエアコンが効いていても暑いものは暑い。
しかし、子供の頃はどんなに暑くても平気であった。 むしろ暑さが気持ちよくもあった。 肌をじりじりと焼く日差しは、暑いと言うより、夏の思い出でもある。 そう思って、あえて日差しの強い日向に出るが、いやはや子供のころの ように気持ちよさなど感じられない。これが海やプールであればすぐに 水の中に逃げ込むところだが、仕事の移動中に水の中に飛び込む訳には いかない。エアコンの良く効いたクルマの中である。
しかし、エンジンをかけたからと言ってすぐにはクルマは冷えない。 ようやく冷えたと思ったら今度は強烈な日差しだ。 信号待ちで出来るだけトラックや樹木の陰に停まるように心がけるが なかなか都合よくはいかない。
少し窓を開けると、冷やしすぎだったのか、外の空気が暖かくて気持ち 良いように感じる。エアコンを切って外の空気を入れるが、あっという間 に汗だくだ。それで、慌ててエアコンを入れる。
そんなことの繰り返しをしていると、だんだん体調に良くないような 気がしてくる。 う〜む、自分もおっさんになってきたのかなぁ〜。
今日、郵政民営化法案が否決され、衆院の解散が決まった。
郵政民営化は国の1000兆円にも上る債務を解消することが 目的であったはずである。これは自民党の公約でもあったはずだ。 総選挙によって国民の意見を問うことは大いに結構だと思う。
だれも大きな声では言わないが、郵政の利権で懐を暖めていた 議員などが利権を確保したいからこそ、いろいろ難癖をつけて 反対していたに違いない。彼らのお陰で、本来の目的がどんどん ぼやけてしまい、骨抜きの法案になってしまったような感がある。
そう言う利権を守りたいだけの議員などがこれで一掃されるので あれば総選挙大賛成である。
と、言いたいところだが、なかなかそうも行かないだろう。
1000兆円もの債務を抱えた状態は異常としか言いようが無い。 40兆円しかない税収で80兆円以上の国家予算と、1000兆円の 債務を賄うことが正常な状態であるわけがない。 これらを正してくれるのが小泉首相だと信じて来たが、どうやら 政治家の多くはこれでよいと考えていたようだ。
果たして国民はどう考えているのか?9月11日の開票結果が たのしみである。
ちなみに小泉内閣が倒れて、別の自民党内閣が出来上がった場合には 消費税率の増加が見込まれることを考えると小泉首相に頑張って頂き たいと個人的には思う。
「原爆許すまじ」と言う曲がある。 その歌詞をここに引用することは著作権法上問題があると 思われるので、止めておく。
小学3年生から高校卒業まで広島に住んでいた私は、 この曲以外にも原爆に関する曲や詩を耳や目にする 機会に恵まれていた。 その中でもこの曲は非常に印象に残っている。 私の中で原爆の歌と言えばこの「原爆許すまじ」である。
非常に重苦しい曲調で、短い歌詞の中に2度と原爆を 使用することを許してはならないと言うことが強く 歌われている。もちろんそれは我街、我国だけではなく 世界中どの国、どの地域においても許してはならないのだ と謳われている。
核廃絶を訴えるにはとても良い曲だと思う。
6日は広島の原爆記念日であったが、この曲を思い出した。
戦争を無くすことは非常に難しいことだと思うが、 核兵器くらいはなんとか無くして欲しいと思う。 (もちろん戦争を容認するつもりはないが)
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