Leaflets of the Rikyu Rat
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2007年02月13日(火) 自分自身が思ったよりもひどい人間だったことを記念するのか

夜中に布団の中で自分自身とそれに関係する様々なことについて思いを馳せた
くるりとひとまわりした
遠いような近いようなことのように感じた
手の届く距離に思考が漂流しているようで手は届かない
毛布の遙か下で己のひどさを認識する
いっそのこと記念すれば良い
埋葬しても供養は残る
ひやりとする敷き布団の上で両親の身勝手を恨み
係累だから
よすがだからと
声にでない音
音にでない声
しっかり届いていたけれど
しかしそれでも感謝する
できる限り報いたいとおもう

(題名は安川奈緒より引用)


2007年02月10日(土) はじめの一歩、おわりの一歩

 最近また太りはじめた。
 食べ過ぎていると感じると途端に食事はただの作業になる。
 それでも手は次第に遅くなりつつもとまろうとしない。作業をやめてはならない。
 隙間に押し込むと言うよりも身体を内側から広げているような心もちになる。
 気持ち悪いがやめてはならない。

 良くお湯を浴びるようになった。
 あたたかさを感じると安心するのだ。
 布団の中のじんわりとしたものでは無く、もっと直接的な、
 熱いと感じるくらいのあたたかさに安心する。

 僕がどうしたいのかなんて分かっている。
 何をすべきなのかも分かっている。
 それなのにそうすることができない理由も分かっている。
 全て分かっているのに何もできないから苛々している。
 自分に。ただ臆病な自分自身に。


2007年02月09日(金) 見ろ、走りたまえ、そして消えたまえ

誰かに思い切り命令したい。我をぶつけたい。そして自己を解放したい。
エゴイスティックに振る舞いたい。利己を貫きたい。そして一心不乱に貪りたい。
他者がいないと成り立たない。だから他者を誘致したい。そして排他したい。
何もかもが煩わしくなることが時折ある。
全てを放り投げ出したくなる。今までやってきたものを、全部まとめて。きれいに。
けれどゼロから始める辛さを僕は知ってしまったから捨てることはできない。
捨てたいのに捨てられない。時間はありそうでない。

(題名は安川奈緒「神代辰巳のナンバースリー」より引用)


2007年02月07日(水) オレ いま橋の上 鉄風あびて 鋭くなって

暗くて寒いのは当たり前だと思っていたから、灯をつけたあとの冷たさに戦いた。
変わったのは明るさだけなはずなのに、いろいろなものが翻った。
けれどその転換は心地好く、僕を刺激する。鋭くする。
明るいのに、鋭いことが僕にはとても新鮮だった。


2007年02月06日(火) TRANSFORMED状態過剰

君は僕のことが見えているのか
本当に見えているのか
僕のことを知っているのか
どれくらい知っているのか
君は僕のことを全く知らないのかもしれない
あるいは僕の知らない僕を知っているのかもしれない
それは僕ではないかもしれない
もしくは僕は変わり続けているのかもしれない
変わらない振りをしているかもしれない
わからないかもしれない
わかっている振りをしているかもしれない
君はわかった積もりになっているかもしれない
なっていないかもしれない
かわらないとわからないは似ているかもしれない
似ている気がしてきている
僕は僕が僕ではない気がしてきている
僕を見ていて知らないひとのようにおもう
窮屈におもう
変わりたいとおもう
変わらなければ我慢のげんかいだとおもう
変われ僕とおもう
変わらないとしんでしまうとおもう
わからないなら変えてしまえとおもう
本当に見えてるのか


2007年02月04日(日) ふとした感情を微分して積分する自己正当化行為など

HIV検査に行こうと思いつつ怠惰に負けている
諄々と誰かに叱られたい
しゅんとしながらごめんなさいと言いたい
過去二度行ったことがあるが
場所による勝手の違いに驚いた
検査結果が一週間後に分かるタイプ
即日で分かるタイプ
どちらも無料であり誰でも匿名で受けられる
ゲイの男性ばかりかと思いきや女性も多い
己の身も顧みず彼らに対する妄想は止まらない

即日で分かる型は人気が高く整理券まで配布された
急いで行かないと定員オーバーになるほど繁盛していた
整理券の配布と同時に検査時刻を告げられた
検査結果を通知される際妙な講習までついてきた
こんな行為をしたら感染するんですよと人形を使って真面目に聞かされる
神妙な顔をした積もりで聞いた
感染を避けるためにはコンドームを使うのがいちばん良いですと明るく言われる
場にそぐわない明るさは狭い個室の中に吸い込まれる
擂り粉木とコンドームが登場なんと付け方の実演までしてくれるのです
袋に貼られたシールを外したらコンドームが擂り粉木にはまった
一瞬のことだった
思わず「すげー!」と興奮したがその興奮は実演する中年女性に吸い込まれた
「こんなゴムあるんですね」と少し落ち着きながら感心して言ったら
売ってるみたいねと優しく言われた
優しさを少し厭わしいと感じた
それにしても一瞬の出来事だった
あんなに一瞬で性器にゴムが飛んできたら性器は痛くならないのだろうか
それとも痛さよりもゴムを装着する際の時間短縮こそが重要なのだろうか
などと今でも稀に思い返すが結局あれ以来そんなゴムが売っているのを見たことは無い
一週間後に結果が分かる保健所では時間待ちも無くスムーズに検査ができた
勿論それから一週間待たされはするけれど
HIVに感染すると通常三〜四週間後には抗体が検出されるようになります
ただし万全を期してこの陰性というものは三ヶ月前までのものとしてお考えください
それ以降に何かあった場合、心配でしたらまた検査しに来てください
検査だけではないスムーズな説明は好印象だった
待たされてもこちらに行こうと思わされた

悪いことをしているような気になる
匿名検査と言うのはむずむずする
僕のプライバシーを知らないひとに
プライバシーに踏み込んだ質問をされたい

あなたはどんなひとが好きですか
髭の生えているひとが好きです
外見ばかり重視していたら人生損しますよ
性格だけしか気にしないならゲイなんてやってません

あなたの趣味はなんですか
微分して積分することです
元に戻るだけじゃありませんか
過程が残ります

目を開けるといつも太陽は南中を過ぎている
ほんとうはどちらが南でどちらが北かなんて分からない
鹿児島では桜島のある場所が東だった
どこからでも見えていた
見えているだけで安心した
見えないものは不安になる
早く検査に行こうと思った


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