※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『アビゲイル』“Abigail” 2013年に『V/H/S』という作品が日本公開されている映画 製作集団レディオ・サイレンスのマット・ベティネッリ=オ ルピンとタイラー・ジレットが、ホラー映画の古典=吸血鬼 に挑んだ作品。 登場するのは寄せ集めの犯罪グループ。互いの素性も知らな い彼らが挑むのは身代金5000万ドルの誘拐。その獲物は幼い バレリーナで、それぞれにスキルのあるメムバーには容易い 仕事のはずだったが…。 首尾よくセキュリティを掻い潜ってバレリーナの住む邸宅に 侵入し、袋詰めにした彼女を山奥の古びた館に運び込んだ彼 ら。ところがそこから思惑が狂いだす。何と彼ら自身が館に 閉じ込められ、しかもバレリーナは吸血鬼だったのだ。 ということで、彼らのスキルを最大限に活用して、吸血鬼が 行動を封じられる夜明けまでのサヴァイヴァル劇が繰り広げ られる。 出演はメキシコ出身で監督らの前の作品にも出ているメリッ サ・バレラと、2017年8月紹介『シンクロナイズド・モンス ター』などのダン・スティーヴンス。それに本作の前には舞 台で『マチルダ・ザ・ミュージカル』に主演していたという アリーシャ・ウィアー。 他にキャスリン・ニュートン、ウィル・キャトレット、ケヴ ィン・デュランド、アンガス・クラウド。さらに2016年5月 紹介『マネーモンスター』などのジャンカルロ・エスポジー ト、2022年10月紹介『SILENT NIGHT』などのマシュー・グー ドらが脇を固めている。 最初に書いた2013年の作品は、実は試写は観ているがここで の紹介は割愛した。それはアイデアは良いがそこからの展開 が今一つの感じがしたためだ。その点は本作も同じで、誘拐 した子供が吸血鬼というワンアイデアだけでは話が辛い。 そこに主人公らの呼び名をフランク、サミー、ディーン、ピ ーターにするなどいろいろな擽りは入れているのだが、如何 せん捻りが足りない、というか浅い。また『トワイライト』 など吸血鬼もののタイトルも鏤めるが、それではない。 もっと根本的なアイデアと言うかファンを唸らせるものが欲 しかった。でもアメリカでは高評価とのことで、まあこの程 度でも若年の観客には手頃なのかな。その辺は年寄りの僕に は判断できないところだ。 公開は9月13日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて 全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社東宝東和の招待で試写を観て投 稿するものです。
2024年08月18日(日) |
Back to Black エイミーのすべて |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『Back to Black エイミーのすべて』“Back to Black” 1983年に英国ロンドンミドルセックス州で生まれ、2008年の 第50回グラミー賞にて映画の題名と同じタイトルのアルバム で最優秀新人賞や最優秀楽曲賞など5部門を受賞した歌姫・ エイミー・ワインハウスの生涯を描いた作品。 元タクシー運転手だが後にジャズシンガーに転身したという 父親と、薬剤師だが親戚に多くのプロミュージシャンがいる という母親の間に誕生したエイミーは、16歳の時に通ってい た演劇学校を退学処分になる。 しかしこのときの同級生が所属していたレコード会社にデモ テープを送ったことが切っ掛けで歌手への道が開けることに なる。そして20歳の時にリリースしたデビューアルバムがプ ラチナセールスを記録し、ブレイクを果たす。 ところが元々の性格の弱さなどがデビュー当初から薬物やア ルコールへの依存症を引き起こしていた。それでも何度も復 活し、さらにはそれを題材にした楽曲などでファンの心を掴 んで行くが…。 監督は2015年『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』など のサム・テイラー=ジョンスン。脚本は、監督のデビュー作 『ノーウェアボーイ』(2009年)で組んだことのあるマット・ グリーハルシュが手掛けている。 出演はその監督らに「彼女しかいない」と言わせた子役出身 のマリサ・アベラ。声質などは異なるが、自身の歌唱で劇中 でのエイミーの楽曲をカヴァーしている。 他に2023年8月紹介『オペレーション・フォーチュン』など のエディ・マーサン、2024年4月紹介『フェラーリ』などの ジャック・オコンネル、2011年9月紹介『家族の庭』などの レスリー・マンヴィルらが脇を固めている。 音楽には全く疎くてこの女性歌手のことも知らなかったが、 アーティストにありがちというか、心の細やかな人はこうな ってしまうのだなと言う感じの物語が展開される。それにし ても悲しい物語だ。 特に結末に関しては、ウィキペディアにもこういうエピソー ドは紹介されていなかったが、繊細さがそれを招いたという 解釈はファンにも納得できるものなのかもしれない。いずれ にしても巧みに作られた物語で、依存症撲滅のキャンペーン にも使えそうな作品だった。 公開は11月22日より、東京地区はTOHOシネマズシャンテ、渋 谷シネクイント他にて全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社パルコの招待で試写を観て投稿 するものです。
2024年08月11日(日) |
ピアニストを待ちながら、BISHU 世界でいちばん優しい服、ほなまた明日、とりつくしま |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ピアニストを待ちながら』 2004年の監督デビュー以来、商業映画にはほとんど関わらず に独自の映画ワールドを構築してきたという七里圭監督が、 早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)の開館記念と して制作した短編作品のディレクターズカット版。 作品は建築家隈研吾のデザインによる村上春樹ライブラリー の中で全編が撮影され、階段や曲がりくねった通路などが多 用されたある種の幻想的な空間の中で、いろいろな謎を秘め た物語が展開されて行く。 そこで主人公は、ふと目覚めるとその空間に閉じ込められて いた。そこは自動ドアなどは開かれるが、外には出て行けな いのだという。そしてそこには他の住人もいて、彼らはやが て来るはずのピアニストを待っているのだという。 その中には主人公の知人もいて、その知人は「ピアニストを 待ちながら」という演劇のリハーサルを始めるが、主人公は その知人がすでに亡くなっていることに気づく。それでもア ヴァンギャルドな演劇のリハーサルは続いて行く。 主演は、2019年5月26日付題名紹介『ザ・ファブル』とその 続編にも出演の井之脇海と、2018年5月13日付題名紹介『菊 とギロチン』などの木竜麻生。他に大友一生、澁谷麻美、斉 藤陽一郎らが脇を固めている。 村上春樹ライブラリーは早稲田大学の旧4号館を改築したも のだそうで、この4号館という施設名は実際の場所は異なる が、1969年の70年安保闘争時代にジャズピアニストの山下洋 輔が伝説のライヴを行ったことでも知られる場所。 それが題名の謂れにもなるようだが、その一方でこの題名は サミュエル・ベケットの「ゴドーを待ちながら」に由来して いることは明らかで、本作もベケットの舞台劇と同様の不条 理劇となっている。 因にこの舞台劇に関しては2019年3月31日付題名紹介『柄本 家のゴドー』で見事な解題がなされていたものだが、本作で はそこまでは踏み込まず、単にベケットの舞台劇に準えた物 語が展開されるというものだ。 従って観客はあまり深くは考えずに、単なる不条理劇として 味わえばいいものであって、それはそれとして楽しめる作品 になっている感じはした。 公開は10月12日より、東京地区は渋谷のシアター・イメージ フォーラム、11月2日よりシネ・ヌーヴォ他にて全国順次ロ ードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給を行う合同会社インディペンデント フィルムスの招待で試写を観て投稿するものです。
『BISHU 世界でいちばん優しい服』 イタリアのビエラ、イギリスのハダースフィールドと並んで 世界三大ウール産地の一つと呼ばれる愛知県と岐阜県に跨る 尾州(尾張国)。その中心地、尾張一宮を舞台に知的障碍を持 つ女性の成長を描いた作品。 主人公は尾張一宮で織物工場を営む一家の次女、少し知的な 障碍はあるが高校の普通科に通っている。そんな少女の夢は 父の工場を継ぐことだ。しかし娘の将来を案ずる父親は工場 をたたんで現金で残すことも考えている。 一方、主人公には衣装デザインの才能があり、下校時に親友 の女子と立ち寄った神社で巫女の姿を観た主人公は、即座に デザイン画を描いて見せる。そしてその画を手にした親友は それを学内のコンテストに応募するが…。 果たしてそのデザインは、高校に併設のデザイン科の生徒を 差し置いてグランプリを獲得。親友は主人公に一宮市主催の ファッションコンクールへの出品も提案する。しかしそこに は父親との確執など様々な障害も存在していた。 主演は2020年『ミッドナイトスワン』で多くの受賞に輝いた 服部樹咲。共演は岡崎紗絵、吉田栄作、長澤樹、黒川想矢、 さらに知花くらら、清水美沙、田中俊介、山口智充、近藤芳 正、吉澤健らが脇を固めている。 脚本と監督は、東京藝術大学大学院映画専攻監督領域卒で、 修了制作作品が2019年「えいじゃないかとよはし」映画祭で 初代グランプリに輝いたという西川達郎。共同脚本に同専攻 脚本領域卒の鈴木史子。 また音楽を坂本龍一に見出されたという小山絵里奈。さらに 衣裳デザイン/監修を2002年生まれで新人デザイナーの登竜 門とされる2022年「第96回装苑賞」受賞の大下彩楓が手掛け ている。 主人公はアスペルガー症候群と思われるが、この障碍を持つ 人が特定の分野でとんでもない天分を発揮することはよくあ る現象とされる。本作はその典型で、そんな主人公を描いた 映画は近年よくある状況だが…。 実は自分の生家が呉服屋だったもので、本作の題材には親近 感が生じてしまった。そんな中で、生家は京呉服中心だった から絹織物。従ってウールは少し下に見がちだったが、その 手触りの良さなどはよく覚えていたものだ。 本作を観ていてそんな手触りの良さも思い出してしまった。 そんな衣服の暖かさもしっかりと感じさせてくれる作品だ。 因に本作は、東海地方が舞台の全国公開映画を製作公開する 「シントウカイシネマ聖地化計画」の第一弾となっている。 公開は10月11日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて 先行上映の後、10月18日から全国拡大上映となる。 なおこの紹介文は、配給会社イオンエンターテイメントの招 待で試写を観て投稿するものです。
『ほなまた明日』 2018年4月22日付題名紹介『カメラを止めるな』が大きな話 題を呼んだ「ENBUゼミナール」製作映画の第11弾。なおこの 第11弾は2作品ある内の1本。 物語の舞台は大阪の藝術大学。その写真専攻学科では若い才 能が切磋琢磨する中で、1人の女性が頭抜けていた。そして 各自は写真家のアシスタントや写真スタジオなどの道を目指 す中で、彼女だけはいち早く才能を開花させて行く。 そんな女性に振り回されつつも彼女の才能をねたむわけでも なく、そんな仲間たちの青春群像が描かれて行く。そして数 年後、海外で活躍する彼女の凱旋帰国が伝えられ、仲間たち が再び集まる日がやってくる。 主演は田中真琴。共演に松田崚汰、重松りさ、秋田卓郎。他 に大古知遣、ついひじ杏奈、越山深喜、ゆかわたかし、加茂 井彩音、福地千香子、西野凪沙らが脇を固めている。 脚本と監督はビジュアルアーツ専門学校大阪の出身で、学生 時代に撮った作品がぴあフィルムフェスティバル2018で審査 員特別賞を受賞。ndjc若手映画作家育成プロジェクト2021に 参加して『なっちゃんの家族』と言う作品を完成させている 道本咲希の長編第1作。 映画の前半は大阪が舞台で、写真家の主人公がいろいろな町 の風景を捉えて行く。それは東京で暮らす自分には目新しく もあり、何かファンタスティックな雰囲気にも感じられるも のになっていた。 そんな背景の中で繰り広げられる青春群像劇には、自分の青 春時代に照らしても懐かしさも感じられ、何とも心地よい時 間が流れていた。そこにはただ甘ったるいだけではない厳し さも描かれ、現代の青春を見事に描いた作品と言えそうだ。 公開は9月28日より、東京地区は新宿K's cinema他にて全国 順次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ENBUゼミナールの招待で試写を 観て投稿するものです。
『とりつくしま』 「ENBUゼミナール」製作映画第11弾のもう1本。歌人、小説 家の東直子が2007年に発表した短編集を、実娘の東かおりが 脚色、監督した作品。 物語の全体の設定は、人は死後に何か物体に憑りつくことが でき、そこから現世に残した人を見守ることができるという もの。しかしそこには様々な悲喜劇が誕生する。そんな物語 が4篇、オムニバスで映画化されている。 最初は「トリケラトプス」。結婚2年目で亡くなった妻が、 夫の愛用するトリケラトプス柄のマグカップに憑りつく。そ して夫と思い出いっぱいの部屋を見守るが、その部屋に新し い女性が現れ…。 2編目は「あおいもの」。幼稚園児だった少年が憑りついた のは公園の青いジャングルジム。そこは母親がよく連れて来 てくれた場所だ。そして少年は赤ん坊の妹の成長を見続ける ことになるが…。 3編目は「レンズ」。孫に買ってあげたカメラに憑りついた のは、孫が観る風景を共有したいためだった。ところが孫は カメラを中古屋に売ってしまう。しかしカメラを買った老人 がカメラを持って…。 最後は「ロージン」。亡くなった母親が野球少年の息子の中 学生最後の雄姿を見るため、ピッチャーズマウンドに置かれ たロージンバッグの中身に憑りつく。それは徐々に風に乗っ て消えて行くものだったが…。 それぞれがちょっと笑えるアルアルだったり、切なさだった り、いろいろな感情の行き交う素敵な4編が描かれる。 出演は2023年8月紹介『めためた』などの橋本紡、長編は初 という櫛島想史、2019年5月12日付題名紹介『よこがお』な どの小川未祐、オーディションで選ばれた楠田悠人、2018年 7月29日付題名紹介『止められるか、俺たちを』などの中澤 梓佐。 さらに劇団円会員の磯西真喜、舞台俳優及び劇団主宰の柴田 義之、2015年『海街 diary』などの安宅陽子、TVシリーズ 『おいしい給食season 2』などの志村魁。そして原作小説の ファンだという小泉今日子が重要な役柄で登場する。 なお監督は、2021年『ほとぼりメルトサウンズ』が各地の映 画祭で上映されるなど、実績を積んだ人だ。 本作を観ていて1999年の是枝裕和監督作品『ワンダフルライ フ』を思い出した。その作品も人の死後の世界で生前との因 果が描かれていたものだが、本作ではより強く現実との絡み が描かれて、それも素晴らしい作品になっていた。 公開は9月6日より、東京地区は新宿武蔵野館他にて全国順 次ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ENBUゼミナールの招待で試写を 観て投稿するものです。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『本心』 1999年にデビュー作の『日蝕』で第120回 芥川賞を当時最年 少の23歳で受賞した平野啓一郎が、2021年に新聞連載で発表 した原作を、2010年2月紹介『川の底からこんにちは』など の石井裕也脚本、監督で映画化した作品。 主人公は小さな町工場で働く溶接工の男性。仕事ぶりも良く 上司からも信頼されているようだが、工場にはロボット溶接 機の導入も始まっている。そんな主人公は母子家庭の暮らし だが、母親には少し衰えも始まっているようだ。 そして主人公が同僚と飲んで遅く帰宅した日、突然の豪雨で 水嵩の増した川べりを歩く主人公が見たのは、向こう岸の水 際に立つ母親の姿。しかも視界が遮られた直後にその姿が消 えてしまう。 この事態に慌てて川に飛び込んだ主人公だったが、彼は救助 されたもののそのまま昏睡してしまう。それから1年後。目 覚めた彼を待っていたのは母親の死という現実だった。しか も母親は法制化された「自由死」を選択していた。 その状況に納得できない主人公は、AI技術を使って母親を 再現し、母親が最後に電話で話した言葉の意味を知ろうとす るが…。再現された母親は主人公の知らなかった彼女自身の 物語を語りだす。 主演は自身が監督に原作の映画化を勧めたという池松壮亮。 共演はモデル出身で2013年2月紹介『旅立ちの島唄〜十五の 春〜』などの三吉彩花。他に水上恒司、仲野太賀、田中泯、 綾野剛、妻夫木聡、田中裕子らが脇を固めている。 映画の始まりで2025年のカレンダーが描写されて物語はその 1年後。まあ近未来SFと言えなくはないが、「自由死」な んて言葉が出てくるから、現実とは少し違う平行世界かな。 因に原作の設定は2040年代だそうだ。 ただし内容的には人間自身を描くことに注力された作品で、 SF的なセンス・オブ・ワンダーを楽しむものではない。つ まり2010年12月紹介『わたしを離さないで』のカズオ・イシ グロと同様でSFのギミックを利用しただけの作品だ。 それは例えばリアル・アバターの描き方などにも顕著だが、 その一方でメインテーマのAIに関してはかなり取材もされ たようで、いろいろと示唆に富んだものになっている。ただ AIが「自然死」を知らない設定は? ここで「自然死」は法制化もされて警察の調書にもあったは ずで、それを知らないのは恣意的に削除されたとしか判断で きず、物語に謎が残る。この辺は原作ではどう扱われていた のか。これは原作を読みたくなってきたところだ。 公開は11月8日より、東京地区はTOHOシネマズ日比谷他にて 全国ロードショウとなる。 なおこの紹介文は、配給会社ハピネットファントム・スタジ オの招待で試写を観て投稿するものです。
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