井口健二のOn the Production
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2003年04月16日(水) EXエックス、NOVO/ノボ、カントリー・ベアーズ、トゥー・ウィークス・ノーティス、ザ・コア、夏休みのレモネード

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。       ※
※一部はアルク社のメールマガジンにも転載してもらって※
※いますので、併せてご覧ください。          ※
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『EXエックス』“Extreme Ops”            
過去に映画・テレビの監督作品もあるが、主には撮影監督や
CMの監督として活躍するクリスチャン・デュネイの02年作
品。                         
物語は、スキーとスノーボードを題材にしたCM撮影のため
オーストリアの雪山を訪れた撮影隊が思わぬ事件に巻き込ま
れるという展開で、CM撮影のビハンド・ザ・シーンと、ス
キーとスノボのスタントが楽しめるという作品。     
カヌーでの滝壺への落下という危険なシーンをものにし、ク
ライアントの評価を得たチームは、次に雪山での雪崩との競
争に挑む。そのために訪れたオーストリア国境の山頂で工事
中のリゾートホテル。しかしそこには国際手配の戦争犯罪人
の一味が潜んでいた。                 
そうとは知らず、偶然彼らを撮影してしまった撮影隊は、彼
らに命を狙われることになるが…。一方、撮影に加わってい
た元W杯の女子滑降の金メダリストは、スノーボーダー達の
自由な滑りに自分の限界を感じている。         
こんな要素が入り混じって、それぞれはそれほど深くはない
が、それなりに手際よくまとまっているのは、監督自身が自
分の限界をよく心得ているからだろう。こういう造り方には
好感が持てるものだ。                 
俳優に、ルーファス・シーウェル、デヴォン・サワ、クラウ
ス・レーヴィッチェ(遺作)といったそこそこのメムバーを
集め、これにブリジット・ウィルスン=サンプラス、ジャナ
・パラスキーといった女優を配したキャスティングも良い雰
囲気だった。                     
といっても、やはり見所は、次々繰り出されるスタントの面
白さ。特に中心となるスノーボーダー達の演技は、明らかに
特撮ではないだけに見事だし、迫力と同時に華麗さも描かれ
ていて良かった。                   
クライマックスの結末は、「そのシーンは誰が撮ったんだ」
と突っ込みたくもなるが、それは野暮と言うものだろう。と
りあえず1時間34分を楽しめばいい。同傾向で以前に紹介し
た『ブルー・クラッシュ』と併映すると面白いと思うが、配
給会社が違うのが残念。                
                           
『NOVO/ノボ』“Novo”              
最近、ちょっとブームになっている長期の記憶を持てない人
を描いたフランス映画。                
実際、近親者にもそれに近い状態の者がいる関係で、他人事
ではないテーマなのだが、映画はそれほど深刻でもなく、男
女の色恋沙汰を中心に据えて、ちょっと風変わりな恋愛ドラ
マに仕上げている。                  
とある会社でコピー係として働くグラアムと名乗る男。彼は
5分間しか記憶を保てない記憶障害者だった。その会社に派
遣社員として来たイレーヌは、最初は彼の奇異な行動に戸惑
うが、彼の障害を知り興味を持つようになる。      
記憶を持たない男との毎日が新鮮な恋愛。それは最初は刺激
的だったが、やがて絆を築けない関係に不満を感じ始める。
そんなとき、彼の本当の名前がパブロであり、見守る妻子の
いることが判明する。そして彼の記憶が戻り始める。   
果たしてイレーヌは、彼の記憶に残っていられるのか。  
まあ、展開にそれほどの無理は感じられないし、現実にも起
こる話であることは、僕自身が体験しているので、物語の理
解は出来るものだった。なお原因が、直接的ではないにして
も、中国武道の秘技というのは、ちょっと笑えた。    
それにしても、最近のヨーロッパ映画のおおらかなセックス
描写は感動的ですらある。この作品のヒロインも、今年のシ
ャネルのイメージキャラクターだそうだが、ここまでやって
くれるとは…。これが映画というものだろう。      
                           
『カントリー・ベアーズ』“The Country Bears”     
ディズニーランドのアトラクション〈カントリー・ベア・ジ
ャンボリー〉からインスパイアされた映画の第1弾。後には
〈カリブの海賊〉〈ホーンテッドマンション〉が続く。  
子供に人気のアトラクションだから、映画も当然お子様向け
だが、その丁寧な作りには感動した。また音楽をテーマにし
ている作品だが、特にその音楽の扱い方の上手さが、大人に
も納得できるほどに見事だった。            
物語は、熊が人間の言葉を話し、人間と共存している世界で
の出来事。熊の子ベアリーはバリントン一家の次男として育
ってきた。しかし最近、自分の容姿が他の家族と違っている
ことに気付き始めている。               
そして兄から決定的な証拠を突きつけられたベアリーは、家
を出て幼い頃からの憧れでもあったバンド、カントリー・ベ
アの元を目指す。ところがたどり着いた彼らの伝説の演奏会
場カントリー・ベア・ホールは人けもなく、取り壊し寸前。
実はバンドはすでに解散し、ホールは銀行家リードが差し押
さえて再開発しようとしていたのだ。ベアリーはその窮状を
救うべく、カントリー・ベアの再結成を提案する。しかし歳
月は、メムバーの音楽への情熱も友情も失わせていた…、よ
うに見えた。                     
こうして、バンド再結成までの道程が描かれる訳だが、その
間にバンド合戦やら、歌姫との再会やらと、60年代の音楽映
画を髣髴とさせるシーンが連続する。          
そしてこの音楽シーンを支えたミュージシャンも多彩だが、
エルトン・ジョンから今年のオスカー候補にもなったラップ
の女王クィーン・ラティファまで、音楽関係のカメオ出演も
多彩という訳で、実に音楽を中心にした作品なのだ。   
これを、銀行家を演じるクリストファー・ウォーケンの怪演
や、コメディリリーフの警官のドタバタで脇から支える。そ
の構成の上手さと、技術的には、雌熊の甘い表情まで作り上
げた上げたジム・ヘンソン・クリーチャーズショップが素晴
らしい仕事をしている。                
お子様向けの映画、でも充分に大人も納得できる。これがデ
ィズニー映画だ。                   
                           
『トゥー・ウィークス・ノーティス』“Two Weeks Notice”
サンドラ・ブロックの製作・主演で、イギリスからヒュー・
グラントを招いて作り上げたニューヨークが舞台のトレンデ
ィー・ドラマ。                    
主人公は、建造物保護に精力的に活動するハーヴァード出身
の女性弁護士。ところがある日、ニューヨークの再開発で富
を築き上げた若き不動産王から、保護を目指していた公民館
の保存と引き換えに顧問弁護士の席を提供される。    
厳しい法律家の母親は、信念を売り渡すものと反対するが、
彼女はその申し入れを受ける。そして彼の会社の法務部門を
立て直すのだが…。雇主の不動産王は金に飽かせた女漁りし
か頭にない下衆な奴で、しかも彼女にテレビ出演のスーツま
で選ばせる始末。                   
結局、公民館を彼の会社に買収させ、保存の目途が付いたと
判断した彼女は、2週間後の退職を申し出る。ところが、実
は彼は兄弟の傀儡で、実権を握る兄は金の掛かる公民館の保
存には反対だった。                  
何しろブロックが自らの製作に大張り切りで、ここまでやる
かという演技を見せる。一方グラントは、お手のもののいい
加減で嫌みだが憎めない男を小気味よく演じ切る。見事に2
人のキャラクターが活かされた作品でアメリカでの大ヒット
も納得できた。                    
                           
『ザ・コア』“The Core”               
地球のコアの回転が停止。地磁気が不安定になり出した地表
には太陽風が直撃し、3カ月後には人類は、地球の生物は死
滅する。そんな危機に立ち向かったテラノーツ達の活躍を描
いたSF映画。                    
久しぶりに大真面目なSF映画だった。ファンタシーでもア
ドヴェンチャーでもない。こんなSF映画を見たのは、多分
『コンタクト』以来ではないかと思う。         
実際、この映画の中でもわざわざカール・セイガンに言及す
るシーンがある辺りは、脚本家や製作者も意識しているのだ
ろう。ヒロインを、オスカー女優のヒラリー・スワンクが演
じているのも、ジョディ・フォスターを思い出させる。  
物語は、とある街で心臓ペースメーカーを付けた人々が一斉
に急死した事件から始まる。やがて渡り鳥の変調やクジラの
暴走などが続発する。そして帰還途中のスペースシャトルが
コースを外れ、ロサンゼルスの市街地に不時着する。   
主人公の地球物理学者はこれら事件を解析して、地球のコア
の回転が不安定になったと推論。それを政府とつながりのあ
る地球物理学の権威に指摘する。この指摘に政府は即応し、
主人公は対策会議に呼び出される。           
そして以前から砂漠で研究を続けていた科学者の下、500
億ドルの予算を投入して地中探査機を完成させ、シャトルを
最少の被害で不時着させたパイロット達の操縦でコアに向か
い、そこでの1000メガトンの核爆発によって回転力を取
り戻させようとする。                 
しかしこの計画を、政府は一切公表せず、秘密裏に進めよう
としていた。そしてその情報操作のために、天才ハッカーが
計画に参加するが…。                 
僕は、『コンタクト』も評価している作品なので、それにオ
マージュを捧げているような本作も当然気に入っている。 
プロローグのいろいろな災害を描くシーンは、多少見慣れて
しまった感じでもあるが、中でスペースシャトルの不時着シ
ーンは見事。特にロサンゼルスの市街地にあんな恰好の滑走
路があったとは…。しかしその宣伝を自粛せざるを得なかっ
たことは残念だ。                   
地底のシーンでも、ヴェルヌの『地底探検』を思わせるシー
ンがあったりして、僕らのようなSFファンのために作られ
たような作品に思えた。                
                           
『夏休みのレモネード』“Stolen Summer”        
ミラマックス社がインターネットを通じて募集した12,000本
の脚本の中から選ばれ、その新人脚本家自らが監督した少年
ドラマ。                       
今年1月に『ボーン・アイデンティティ』のプロモーション
で来日したマット・デイモンが、その記者会見の席で、自ら
が製作者として関わったこの作品を誇らしげに語っていた。
新たな映画製作の門戸を開くグリーンライト・プロジェクト
の第1弾。                      
舞台は1970年代前半のシカゴ。アイルランド移民で裕福では
ないがカソリック信者の厳格な父親の下で暮らす8人兄弟の
一人で小学2年生のピートと、同じ町でユダヤ教の会堂を主
宰するラビの一人息子で1歳年下のダニー。       
本来なら出会うことのない2人の少年が、ひと夏を一緒に過
ごし、成長して行く。1970年代前半の人々がお互いを屈託な
く言い合えた時代に、自らの信条と相手への思いやりの大切
さを見事に描き出している。              
出会いや別れに様々なエピソードが積み重ねられて行くが、
それぞれが素晴らしく、どれを一つ取り上げて紹介しても片
手落ちになる感じがしてしまう。そんな気持ちになる素晴ら
しい作品だった。                   
宗教の問題が絡む物語ではあるが、飽くまでも小学生のお話
で、逆に最後は宗教なんて関係ないという結論なのは見事だ
った。この時代に人々は今よりもっと純粋だった、そんな脚
本家=監督の思いが、真摯に描かれている。       




2003年04月15日(火) 第37回

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 最初に訂正から。                  
 前回の記事で、主演が交替すると報告した“The Amazing
Spider-Man”で、急転直下トビー・マクガイアーの続投が発
表された。しかも、公開日を04年7月2日に延期するという
おまけ付きだ。                    
 この続編の公開日については、昨年の第1作の公開日に合
わせた04年5月7日にするというのが公式に発表されていた
ものだったが、前回報告したように、マクガイアーの直前の
出演作“Seabiscuit”の撮影が今年の2月半ばまで掛かった
ために、4月からのアクション映画の出演は体力的に無理と
いうことになっていた。                
 しかし、前作の体制を保ちたい製作者側はマクガイアーの
出演に固執。元々1月の撮影開始予定が4月に延期になった
時点で製作スケジュールが厳しくなっていたこともあり、結
局、公開日を延期することで製作に余裕を持たせ、体制を保
つことにしたようだ。                 
 とは言うものの、前回も紹介したように、共演のキルステ
ィ・ダンストは、ワーキングタイトル製作の“Wimbledon”
への主演が決まっており、この作品は6月のウィンブルドン
・テニストーナメント期間中の撮影が欠かせないと言われて
いるが、その手当はどうすることになるだろうか。まあ、素
人考えでは、4月、5月に2人の絡みのシーンを撮り終え、
6月以降はマクガイアーと敵役のシーンを撮るということに
すれば良いようにも思えるが、どうなりますか。     
 なお、新たな公開日の7月2日というのは、言うまでもな
く独立記念日(7月4日)絡みの、興行にはベストと言われ
ている週で、各社が自信作をぶつけ合う時期。そこに殴り込
みを掛けることになる訳だが、配給会社のプロモーションも
最高の腕の見せ所というところだろう。         
 因に、来年の同じ週の公開が決定している作品では、フォ
ックス配給でウィル・スミス主演の“I, Robot”(アイザッ
ク・アジモフ原作のロボットものの原点の映画化)が対抗馬
ということになるようだ。               
 一方、5月7日公開が無くなったことでラッキーなのは、
ユニヴァーサル配給、スティーヴン・ソマーズ監督の“Van
Helsing”(吸血鬼退治の教授を主人公にしたVFXアクシ
ョン作品)。この作品の公開日は、『ハムナプトラ』に合わ
せて来年5月21日が発表されていたもので、こちらは最大の
敵がいなくなったというところだ。           
 もっとも、来年夏の公開予定では、ワーナー配給“Harry
Potter and the Prisoner of Azkaban”と、いよいよ監督
も決まったパラマウント配給“Mission: Impossible 3”の
期日が未定で、これらの作品がどこに入ってくるかでも、い
ろいろ変わってくることになりそうだ。          
 そして“The Amazing Spider-Man”の撮影は、ディエゴ・
リヴィエラ扮する新たな敵役ドック・オックと、さらにメリ
ー・ジェーンの新たな恋人役にニュージーランド出身のダニ
エル・ギリスを迎えて、サム・ライミ監督の下、4月12日に
開始されたようだ。                  
        *         *        
 もう一つ前回の記事で、最後に紹介した“Lionboy”につ
いて、イギリスでの出版権の契約金は100万ポンドの誤りだ
った。イギリスがまだユーロに参加していないのを忘れてい
たものだ。なおこの件については、ホームページも訂正して
いるが、上記の“The Amazing Spider-Man”では、簡単に
は直し切れないのと、ジェイク・ギレンホールの名前が挙が
っていたことを記録に留めるために今回の訂正記事とした。 
 この他にも、ホームページの記事は、後で気が付いて訂正
していることがありますのでご了承ください。      
        *         *        
 さて、以下はいつもの製作ニュースを紹介しよう。   
 まずはSFファンには待望の話題で、アメリカSF界の中
でも巨匠と呼ばれた作家の一人、故ロバート・A・ハインラ
インが、1966年に発表した長編小説“The Moon Is a Harsh
Mistress”(邦訳題:月は無慈悲な夜の女王)を映画化する
計画が発表された。                  
 そう遠くはない未来を背景に、地球の圧制に苦しむ植民地
〈月〉の独立戦争の顛末を描いたこの作品は、ハインライン
に4度目のヒューゴー賞をもたらした名作だ。      
 因に、ハインラインの作品では、この他にジュヴナイルで
1949年に発表された“Red Planet”(赤い惑星の少年)は火
星の独立を描いており、また1951年に発表された“Between
Planets”(宇宙戦争)は金星の独立を描いたもので、僕は
3部作だと思っているが、その中では唯一成人向けに発表さ
れた作品と呼ぶことができる。             
 2075年、地球の植民地である月の全てを管理するため、月
世界行政府に置かれたメインコンピュータ・マイクには自意
識があった。しかしそれは、いつもマイクの傍に居る技師ガ
ルシアを含めた少人数だけが知る秘密だった。      
 そして地球政府が窮状を訴える月の要請を無視したとき、
ガルシア達はマイクの助けを得て、地球への反撃の準備を始
める。その手段は、月に無尽蔵にある岩石を、電磁カタパル
トを使って地球に向けて撃ち出すというもの。その岩石は地
球の引力によって地球に落下し、ギガトン級の破壊力を生み
出す。しかもその落下点は、マイクの計算能力で正確に定め
ることが出来るのだ。                 
 こうして月は、物語の中で井戸の口に立つ子供と譬えられ
るように、引力を最大の武器として地球からの独立を勝ち取
ることになる。                    
 という、まるで革命の手引書のような作品だが、実はハイ
ンラインは、それ以前の2度目のヒューゴー賞受賞作で、映
画化もされた“Starship Troopers”(宇宙の戦士)では、
その軍事訓練の描き方などがファシスト的といわれていたも
ので、そこからの変身ぶりにも驚かされた(ただし、その間
の3度目の受賞作“Stranger in a Strange Land”(異星
の客)はヒッピーの聖典とも呼ばれたものだ)。      
 なお物語では、マイクの存在が非常に魅力的で、その魅力
も名作と称えられる一因になったとも言われている。   
 そしてこの作品の映画化を計画しているのは、『ハリー・
ポッター』の映画化も手掛けるデイヴィッド・ヘイマン。実
はこの映画化権は、以前はドリームワークスが所有していた
そうだが、今年1月に亡くなったハインラインの未亡人が生
前にヘイマンと合意し、彼に託されたということだ。   
 また製作には、元ソニーのマイク・メダヴォイが主宰する
フェニックスも参加することになっている。       
 配給会社は発表されていないが、“Starship Troopers”
とは違って人間を描いたこの作品には、製作準備が開始され
れば、注目の集まることは必至だろう。         
 因にヘイマンは、同じくハインラインが1958年に発表した
“Have Space Suit-Will Travel”(スターファイター)の
映画化権も所有しているそうだ。            
        *         *        
 また、日本作品からのハリウッドリメイクで、今度はオリ
ジナルヴィデオアニメーションで発表された梅津康臣監督の
『カイト』という作品が、『トリプルX』のロブ・コーエン
監督の手で実写版として映画化されることが発表された。 
 女子高生と殺人請負人の2つの顔を持つ美少女、砂羽。組
織から逃れることもできず、泥沼の世界に生きる彼女が唯一
心を許せる謎の少年、音分利。しかし、音分利が組織を抜け
ようとしたとき、砂羽に音分利を始末する命令が下る。  
 オリジナルには、「クライムエロス×ガンアクション」と
いう宣伝文句が付けられているが、この作品が“A Kite”の
タイトルで、2000年に英語吹き替え版としてアメリカで発表
され、ハリウッドにかなりの衝撃をもたらしたそうだ。実際
アメリカ版はRレイティングと紹介されている。     
 その作品を、アクションでは新境地を拓いた感のあるコー
エン監督が実写映画化する訳だが、最近の監督の作品は、エ
ロスというよりはメカフェチのイメージが強い感じで、それ
にポルノとは厳格に区別するハリウッドでどのように映画化
されるか楽しみだ。                  
 なお製作は、ディスタント・ホライズンという会社が担当
するが、この会社ではモーガン・フリーマンの主演でネルソ
ン・マンデラの伝記“Long Walk to Freedom”の映画化を
進めている他、ディメンションでウェス・クレイヴンが監督
する黒沢清監督作品『回路』のハリウッドリメイク“Pulse”
の計画も進めているということで、後者がちょっと頓挫して
いるのが気になるところだ。              
        *         *        
 さらに、この他の日本作品のハリウッドリメイクの情報で
は、まずハリウッドリメイクの計画では初期の頃から話題に
なっていた『Shall we ダンス?』の計画がいよいよ動き出
すようだ。                      
 今回は、ハリウッド版を製作するミラマックスから配役が
発表されたもので、それによると、日本版で役所広司が演じ
たサラリーマン役をリチャード・ギア、そして草刈民代が演
じたダンス教師役をジェニファー・ロペスとなっている。因
にロペスは、ミラマックスでラッセ・ハルストローム監督、
ロバート・レッドフォード共演の“An Unfinished Life”
の出演契約が先に結ばれている。             
 またスタッフでは、脚本を『ジャングル・ジョージ』など
のオードリー・ウェルズが執筆し、監督は『セレンディピテ
ィ』のピーター・チェルソムが担当することになっている。
 生活に疲れた男が、タンゴのレッスンに励むという話にな
るようだが、昨年公開の『ガール・フロム・リオ』では、ヒ
ュー・ローリーが華麗なサンバのステップを披露しており、
『シカゴ』で達者なダンスを見せたギアの踊りが楽しみだ。
        *         *        
 一方、黒澤明監督の名作『生きる』のハリウッドリメイク
には、メル・ギブスン主演の96年版『身代金』を手掛け、フ
ィリップ・カウフマンが79年に発表した『ワンダラーズ』な
どの作家としても知られるリチャード・プライスが、脚色を
契約したことがドリームワークスから発表されている。  
 この作品は、トム・ハンクスの主演作として計画されてい
るもので、黒澤版で志村喬が演じた病魔に犯された初老の男
を、ハンクスではちょっと若すぎるようにも感じるが、実は
1905年生まれの志村が52年のオリジナルに主演したのは47歳
の時で、1956年生まれのハンクスはちょうど同じ年齢。平均
寿命が伸びた分、見た目の雰囲気も変わっているということ
かも知れないが、同じ年齢のハンクスがどのように役作りを
してくるかも楽しみだ。                
 ただし、今回脚色を契約したプライスは、現在パラマウン
トで、ジョディ・フォスターとジョナサン・デミが『羊たち
の沈黙』以来の再会を果たすタイトル未定の作品の脚本に取
り掛かっており、“Ikiru”(今のところアメリカの報道で
もローマ字になっている)の脚色はその後になるようだ。 
 一方、ハンクスも、現在は製作も勤めるロバート・ゼメキ
ス監督の“Polar Wxpress”が進行中で、ドリームワークス
としては、今回紹介した作品と第35回で紹介したスティーヴ
ン・スピルバーグ監督による“Terminal”は、共に来年度の
製作という計画になっているようだ。          
        *         *        
 アカデミー賞では、2作・2年連続の作品賞候補と、視覚
効果賞受賞を決めた“The Lord of the Rings”のピーター
・ジャクスン監督の次の監督作品の計画が発表されている。
 発表された作品は、以前から噂には上っていたものだが、
ユニヴァーサル製作の“King Kong”。1933年製作RKO作
品のリメイクが、監督の次の計画として契約されたものだ。
 実はこの計画は、ジャクスンにとってはまさにドリームプ
ロジェクトで、彼自身9歳の時に見たと言うオリジナルが、
彼を監督の道に進ませたのだそうだ。そして1997年頃には、
ユニヴァーサルで進行していたリメイク計画のためにいくつ
もの原案を提出していた。しかし当時は、ディズニーで『マ
イティー・ジョー』と、ソニーでは『Godzilla』のリメイク
が進行している状況で、ニュージーランド出身の新人監督に
は荷が重いと判断されたようだ。            
 しかし今回は、“Rings”の成功を引っ提げて文句無しの
契約となったもので、監督は「クラシックな物語に、現代の
息吹を吹き込んでみせる」との決意を表明している。またこ
の計画には、“Rings”と同様に300−500名のスタッフを招
集して、ロケーションから視覚効果まで、全てをニュージー
ランドで製作する計画ということだ。          
 なおジャクスン監督は、現在は“Rings”3部作の最終話
“The Return of the King”の仕上を行っており、10月末
ごろが目途のその作業が終了し次第、“King Kong”の脚色
に取り掛かって、撮影は04年の半ばから、そして公開は、05
年のクリスマスシーズンが予定されているということだ。因
にこの計画、アメリカの報道では“Rings”の第3部に引っ
掛けて“The Return of the Kong”とも呼ばれている。   
        *         *        
 続いて“Rings”絡みで、フロド・バギンス役で3部作に
主演したイライジャ・ウッドがCGIアニメーションの声優
に挑戦することが発表された。             
 この作品は“Happy Feet”という題名で、ワーナーとヴィ
レジロードショウが製作を進めているもの。脚本は『マッド
マックス』と『ベイブ』のジョージ・ミラーを中心としたチ
ームが手掛けており、アニメーションの監督もミラーが担当
することになっている。                
 内容は、南極大陸を舞台に、特別な才能を与えられた若い
ペンギンが、夢を追って進む姿を描く、歌と踊りの要素も取
り入れたコメディだそうだ。歌と踊りが好きというホビット
を演じたウッドではあるが、まあ、アニメーションだから、
ウッドが踊る必要はないが、歌の方はどうなのだろうか。 
 因に、ウッドの今年のスケジュールでは、マイクル・ゴン
ドリー監督で、ジム・キャリー、ケイト・ウィンスレット、
キルスティン・ダンストと共演した“Eternal Sunshine of
the Spotless Mind”の撮影はすでに終了しており、また、
ジェフリー・ポーター監督の“Try Seventeen”と、エド・
バーンズ監督主演の“Ash Wednesday”への出演が予定され
ている。                       
 一方、ミラー監督はソマリアで予定されていた“Mad Max
IV”の撮影がイラク戦争の影響で一時延期と発表されていた
が、現在の状況はどうなっているのだろうか。なお今回の報
道は、4月6日付のものだ。              
        *         *        
 最後に短いニュースをまとめておこう。        
 以前から紹介している“Around the World in 80 Days”
のリメイクが、『ウェディング・シンガー』のフランク・コ
ラチの下、3月13日にタイで撮影が開始された。     
 この作品はジャッキー・チェン主演作として進められてい
るものだが、彼と一緒に世界を一周するフォッグ卿役には、
『24アワー・パーティ・ピープル』などのコメディアン、ス
ティーヴ・クーガンが起用され、クーガンはかなりの肉体的
アクションもこなせるということで、チェンとのコンビネー
ションが期待されている。               
 また、旅を妨害するケルヴィン卿役には『アイリス』のジ
ム・ブロードベント、ヴィクトリア女王役で今年も候補に挙
がったキャシー・ベイツと、オスカー受賞者が顔を揃えるの
も見所になりそうだ。この他にも各国のスターのカメオ出演
が予定されている。                  
        *         *        
 これも以前から紹介しているミュージカル作品“Bye Bye
Birdie”のリメイクの監督に、23歳の新鋭の起用がコロムビ
アから発表された。                  
 このオリジナルは、エルヴィス・プレスリーの入隊騒ぎに
想を得て、1960年にブロードウェーで初演されたミュージカ
ルを63年に映画化したもので、以来コロムビアでは映画化権
を保持していた。そして昨年来、リメイクの計画が進められ
ていたものだが、その監督が23歳の新人のジョン・M・チュ
ウに任されることになった。              
 なお、チュウは昨年USCの映画スクールを卒業したばか
りということだが、彼が脚本監督した17分の短編作品“When
the Kids Are Away”は、175人のスタッフキャストを使い、
40人のサルサダンサーと50人のオーケストラが踊りまくると
いうもので、新しいミュージカルの誕生を感じさせるものだ
そうだ。                       



2003年04月02日(水) ギャングスターNo1、NARC、デビッドゲイル、トレジャーP、エデンより彼方に、オシリス、クローン・オブ・エイダ、ブロンドと柩の謎

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介します。       ※
※一部はアルク社のメールマガジンにも転載してもらって※
※いますので、併せてご覧ください。          ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

『ギャングスター・ナンバー1』“Gangster No.1”    
マルカム・マクダウェル主演のイギリス製フィルム・ノアー
ル。                         
ロンドンの裏社会に君臨するギャングスターの男。今しもホ
テルのボウルルームで開かれるボクシングの試合を談笑しな
がら観戦する男に不穏な知らせが届く。それは男の元ボスが
30年の刑期を終えて出所してくるというのだ。男は30年前に
思いを馳せる。                    
1968年、街のチンピラだった男はロンドンで最も羽振りを利
かせていたフレディ・メイズの前に呼び出される。そして男
はメイズと共に裏社会で力を付けて行くことになる。   
しかし婚約者と一緒にいたメイズが襲われたのに続き、襲っ
た抗争相手のボスが惨殺される。この事件で警察はメイズを
逮捕し、彼に30年の刑が下るのだが、その全てを利用してボ
スの跡目を継いだのが主人公の男だったのだ。      
この若き日のギャングスターをポール・ベタニーが演じ、虎
視眈々とボスの跡目を狙う男を好演する。そしてマクダウェ
ルは、ボスの陰におびえながらも虚勢を張る老年のギャング
スターを鬼々迫る演技で見せる。            
マクダウェルが『if もしも...』で衝撃的な登場をした
のが68年だから、この作品はちょうど彼の時代を描いている
感じだ。そのマクダウェルが見事に老けてしまったのも驚き
だが、それでも若いときそのままの怪演ぶりには嬉しくなっ
てしまった。                     
また、ベタニーが抗争相手のボスを痛めつけるシーンには、
『時計仕掛けのオレンジ』のアレックスの姿を髣髴とさせる
ものがあった。                    
結局、全てがマクダウェルにつながっているような感じの作
品だが、その一方で、イギリス映画の中での、『if』『オレ
ンジ』の占める大きさのようなものも感じてしまった。  
                           
『NARCナーク』“Narc”              
『ハンニバル』『ジョンQ』などの脇役レイ・リオッタが自
ら製作主演した捜査ドラマ。              
麻薬潜入捜査官だったニックは、犯行阻止のために撃った銃
弾で居合わせた妊婦の胎児を死なせてしまったことから、定
職の処分を受ける。しかしそれは、潜入捜査で心身共にぼろ
ぼろになっていた彼と家族には好ましいことでもあった。 
ところが彼とは別に潜入捜査をしていた刑事が殺害され、そ
の捜査に彼の知識が必要とされて、現場に引き戻されること
になる。それは家族には悪夢の再来であった。      
その捜査には、殺された刑事の相棒だった老練な刑事オーク
が関わっていたが、なぜか途中で捜査を外されていた。ニッ
クはオークの復帰を要望し、その条件として彼とチームを組
むことになるのだが…。このオークの役に、リオッタが迫真
の演技で扮している。                 
最近のリオッタは、最初に書いた2作でもどちらかというと
1本抜けたような感じの役ばかりで、あまりイメージの良く
ない俳優になっていた。しかし本作では体重を15キロも増や
し、見事な髭をたくわえて印象をガラリと変えてしまってい
る。                         
さすがにプロの俳優という感じだが、本作が、そこまでの熱
意を込めるだけの作品だったということでもあるのだろう。
脚本と監督はジョー・カーナハン。脚本の見事さが光る作品
だが、完成された本作を見てトム・クルーズが製作総指揮の
名前を冠し、パラマウントでの配給を実現した。そしてカー
ナハンを“M:I 3”の監督に指名している。        
                           
『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』          
              “The Life of David Gale”
アラン・パーカー監督による死刑制度反対を唱える社会派映
画。                         
死刑制度反対運動の代表だった元大学教授がレイプ殺人の容
疑で逮捕され、死刑の判決を受ける。その処刑4日前、彼は
ある雑誌の女性記者を指名して、3日間2時間ずつのインタ
ビューに答えると連絡する。              
しかし取材に向かった彼女の周囲には謎のカウボーイハット
の男がつきまとい、また彼の弁護を担当したのが、全く無能
な問題の弁護士であったことも判明する。果たして事件は、
死刑制度反対の旗手を陥れる罠だったのか?       
そして3日間のインタビューの中で、女性記者は彼が冤罪で
あると確信するのだが…。               
もちろん死刑制度反対を全面に押し立てた映画だが、監督は
これを見事にエンターテインメントに仕上げている。謎解き
と、巧妙に仕込まれたトリック。そしてサスペンス。監督の
職人技が光った作品でもある。             
試写では最後に涙を流している人も多かったようだが、監督
は単純に涙されるより、もっと強烈な印象を与えようとし、
それに成功している。                 
                           
『トレジャー・プラネット』“Treasure Planet”     
ロバート・ルイス・スティーヴンスンの『宝島』を、そのま
ま宇宙を舞台にして再話したディズニーのアニメーション作
品。アカデミー賞の候補にもなっている。        
ストーリー展開は全く原作のままで、それにSFの味付けが
してあるという作品。                 
僕は一昨年の『アトランティス』にはお手上げだったが、こ
の作品は認めようと思う。簡単に言ってしまえば、物真似の
域を出なかった前作の戦闘アクションを排して、純粋な冒険
アクションにした点に好感を持つ。ディズニーらしさがそこ
に見られたという感じだ。               
大きな帆を張った帆船が宇宙を飛んで行く、その発想が日本
のアニメにあると言いたいのならその通り。しかしここには
純粋な冒険の心がある。それはスティーヴンスンの原作にも
うたわれたもの。それを純粋な気持ちで受け入れられる、そ
んな感じの作品だった。                
日本では通常スクリーンでの公開になるようだが、アメリカ
ではIMax上映された作品。巨大画面で見たかった感じも
する。                        
                           
『エデンより彼方に』“Far From Heaven”        
『めぐりあう時間たち』では助演賞にノミネートされている
ジュリアン・ムーアが主演賞にノミネートされている作品。
50年代のメロドラマが見事に再現されている。      
舞台は1957年のコネティカット州ハートフォード。大手企業
の重役の妻で専業主婦のキャスリーンは、2人の子供と黒人
のメイドと共に優雅に暮らしている。恒例のパーティーの日
が近づきその準備に追われながら、高級雑誌の取材にも応じ
る充実した日々だ。                  
しかし、夫の不審な行動が目立ち始め、やがて彼が同性愛者
であることが発覚する。そして元々がリベラル派だった彼女
は、庭師として出入りしているが、学位を持ち教養もある黒
人男性との交流を深めて行くのだが…、それはこの時代には
タブーな行動だった。                 
町並の俯瞰ショットから始まる映画の巻頭のシーン。右上が
りの斜めに描かれたタイトルロゴ。エルマー・バーンステイ
ンの壮麗なサウンドトラック。そして、赤は飽く迄も赤く、
青、緑の冴え渡るテクニカラーを忠実に再現した色調。  
本当に2002年の作品かと思ってしまうほど、見事に50年代調
を再現した作品。しかし描かれるのは、人種差別や同性愛者
への偏見など、今も全く変わっていない問題の数々。この2
重構造が見事に決まった作品だ。            
                           
『ファイナル・フライト・オブ・オシリス』       
            “Final Flight of the Osiris”
6月7日の日本公開が予定されている『マトリックス・リロ
ーデット』のプロローグ的な物語となる9分のオールCGI
アニメーション。4月に公開されるスティーヴン・キング原
作『ドリームキャッチャー』の併映として一般公開される。
このアニメーションは、全体を『アニマトリックス』と称す
る9本の短編からなるが、その内の本作を含む3本が『マト
リックス』のウォシャウスキー兄弟の脚本によるもの。  
そして本作は、ザイオンに重要なメッセージを伝えるための
飛行中に、敵と遭遇したオシリス号の戦いを描いており、こ
の戦いが続編の物語の発端となるようだ。        
因に、ウォシャウスキー兄弟脚本の後の2本は『マトリック
ス』の世界が構築されるまでの物語と、第1作のサイドスト
ーリーの様な作品ということで、9本全部を見るチャンスが
あるかどうか分からないが、この2本だけはなんとか見たい
ものだ。                       
なお、本作の製作は『ファイナル・ファンタジー』の映画版
を手掛けたスタッフで、動きや質感の再現はさらに進歩した
ようだ。『FF』の脚本がもう少し良かったらと、いまさら
ながらに思ってしまった。               
                           
『クローン・オブ・エイダ』“Conceiving Ada”     
ヴァーチャルリアリティをテーマにした一風変わったSF映
画。ドイツとの合作で、アメリカのインディペンデンスで製
作された作品。                    
詩人バイロンの娘エイダといえば、それだけでお判りの人も
いると思うが、史上初のプログラマーと呼ばれるヴィクトリ
ア朝の女性。本作は、そのエイダの生涯を題材に、現代との
交流を巧みに描いて、かなりしっかりしたSF作品になって
いる。                        
監督のリン・ハーシュマン・リーソンは、ヴィデオアートで
知られる女流アーティストということで、本作は1997年に発
表された彼女の長編第1作。こういう作品は、得てして中途
半端になってしまい勝ちなものだが、本作のSF度は期待以
上だった。                      
主人公は、現代に生きる女性プログラマー。彼女は個人が残
した記録を積み重ねることによって、過去の人物をヴァーチ
ャル的に甦らせる研究をしている。そしてその研究対象がエ
イダ。彼女はエイダの残した日記や研究ノートからエイダの
人格を形成して行く。                 
こうしてエイダの生涯が描かれて行く。そして母親との確執
や、家事や子育てと研究を両立させる困難と闘うエイダは、
やがて麻薬に溺れて行き、死の淵に立つ。そんな彼女を、主
人公はヴァーチャル世界の中で生き長らえさせようとするの
だが…。                       
映画の中では、現存するエイダの肖像写真からヴァーチャル
セットを作り出すなど、映像的にもいろいろな試みをしてお
り、さすがヴィデオアーティストの作品という感じの作品で
もある。結末はちょっと強引だが、何かほっとさせてくれる
ところもあった。                   
監督はインディペンデントでの映画製作を続けているようだ
が、現在すでに第3作を準備中で、その第3作では、本作に
はエイダの親友として登場するメアリー・シェリーを描く計
画だそうだ。                     
                           
『ブロンドと柩の謎』“The Cat's Meow”        
1924年に新聞王ハーストの持船で起きた映画人の怪死事件を
題材にしたピーター・ボグダノヴィッチ監督による2001年作
品。一応、映画ファンには知る人ぞ知るの事件だが、配給会
社の意向で被害者の名前は伏せることにする。      
主人公は新聞王ハーストとその愛人の女優マリオン・デイヴ
ィス。そして彼らが開いた船上パーティには、無声映画時代
の大プロデューサー、トーマス・インクや『黄金狂時代』を
撮影中のチャーリー・チャップリンらが集っている。   
そこでは禁酒法時代にも関わらず酒が振舞われ、夫婦もいる
がほとんどは愛人関係の男女達が語らっている。そしてチャ
ップリンはデイヴィスに熱を上げており、ハーストはそれに
困惑し、インスはそれを利用しようとしている。     
そして発砲事件が起こり、一人の映画人がそれで死亡する。
しかし事件の捜査は早々に打ち切られ、闇に葬られる。チャ
ップリンに至っては、後に発表した自伝の中で船には乗って
いなかったと主張しているということだ。        
原作は戯曲として発表されたもので、映画ファンには事件自
体も興味深いが、これをオースン・ウェルズと共に仕事をし
たこともあるボグダノヴィッチが映画化していると言うとこ
ろが面白い。といってもハーストを批判的に扱っている訳で
はないが。                      
なお、主演のマリオン役はキルスティン・ダンスト。『ジュ
マンジ』や『スモール・ソルジャーズ』でジャンル・クィー
ンを目指すかと思いきや、『ヴァージン・スーサイズ』や本
作で演技派としても認められた彼女だが、本作では撮影当時
19歳のはずで、それが27歳のマリオン役を、しかもボグダノ
ヴィッチの監督で演じたというのは凄い。さらにその後『ス
パイダー・マン』のヒロインを演じるのだから…。    



2003年04月01日(火) 第36回

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページは、キネマ旬報誌で連載中のワールドニュー※
※スを基に、いろいろな情報を追加して掲載しています。※
※キネ旬の記事も併せてお読みください。       ※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 今回は続編の話題から紹介しよう。          
 まずは、マット・デイモンが予想以上のアクションアクタ
ーぶりを見せた『ボーン・アイデンティティー』の続編の計
画が進み始めた。                   
 この作品については、第32回の記者会見の報告でも、原作
が3部作からなっていることを紹介したが、今回はその原作
の第2作に当る“The Bourne Supremacy”について、第1
作を手掛けた脚本家のトニー・ギルロイが再契約を行ったと
いうものだ。因に、ギルロイは『アルマゲドン』や『プルー
フ・オブ・ライフ』などの脚本でも知られるが、今回の契約
では7桁($)の中盤の契約金が提示されたということだ。 
 また、前の記事でも紹介したように、監督のバズ・ラーマ
ンはすでに続編2本の契約を結んでおり、残るは主演のマッ
ト・デイモンがどうするかということになるが、記者会見で
も脚本の素晴らしさを強調していたデイモンに、同じ脚本家
の再契約は朗報と言える。逆に言えば、デイモンの出演を確
実にするために、脚本としては最高額に近い7桁($)の契
約金ということになったのだろう。           
 なお原作のお話は、中国首相が暗殺され、それが伝説的暗
殺者ジェイソン・ボーンの仕業とされる。しかしそれは虚偽
で、中国とアメリカの友好関係を破壊しようとする者達の策
略だった。この事態にCIAのデイヴィッド・ウェッブはジ
ェイソン・ボーン本人を呼び戻し、彼のアイデンティティー
に掛けて事態を修復させようとするのだが…。      
 第1作ではヨーロッパを舞台に、リアリティー溢れる物語
が展開し、そのリアルさにデイモンも惚れ込んだと言ってい
たのだが、さて中国を舞台にそのリアルさがどこまで出せる
かも脚本の勝負になりそうだ。欧米人にとって、中国=東洋
はどうしてもファンタスティックな印象に捉らわれ易いとこ
ろがあり、その辺の料理の仕方が脚本家の腕の見せ所だし、
デイモンに出演をOKさせる決め手にもなる。      
 実際の製作はもう少し先になりそうだが、まずは脚本の完
成に期待したい。                   
        *         *        
 お次は、ベン・アフレックが主人公を引き継いだジャック
・ライアン・シリーズで、トム・クランシーの新作の映画化
権がパラマウントと契約された。            
 この新作の題名は“Red Rabbit”というもので、物語は、
1981年を背景にしたソヴィエト諜報機関によるローマ法王暗
殺計画を題材にしたもの。つまりジャック・ライアンの駆け
出しの頃を扱ったもので、丁度『トータル・フィアーズ』に
つながる作品のようだ。なお、この物語でライアンは、法王
暗殺により西欧世界の混乱を招こうとするソヴィエト諜報機
関内で、暗殺に反対する勢力を探り出し、彼らを支援して、
事件の阻止を図ろうとするという展開だそうだ。     
 そしてこの脚本に、『プライベート・ライアン』でアカデ
ミー賞候補になったロバート・ローダットが、こちらも7桁
($)の契約金で契約したことが発表されている。なおロー
ダットは、コロムビアで映画化された『パトリオット』の脚
本でも知られるが、基本的にはパラマウントを本拠にしてい
る人のようで、4月に全米公開されるマイクル・クライトン
原作“Timeline”の脚色も手掛けている。        
 また、製作はマイクル・オーヴィッツとマーク・カントン
が担当するが、この内のオーヴィッツは、以前にクランシー
とクライトンのエージェントだったという人物だそうだ。一
方、カントンは、製作プロダクションのAPG(Artists
Production Group)を率いているが、このAPGでは、同
時にクランシー原作のジャック・ライアンの傍系シリーズか
ら、以前に紹介した“Rainbow Six”の映画化も進めている。  
 俳優、監督などは未発表だが、出来ればベン・アフレック
の再演は期待したいところだ。ただし、APGの次回作とし
ては、ワーナーで5月撮影開始が予定されている“Taking
Lives”というスリラー作品が発表されており、本作の製作
はまだ少し先のようだ。                
        *         *        
 続いては、テレビシリーズからの映画化の情報で、ハナ=
バーベラが60年代に製作したアニメーションシリーズ“The
Jetsons”の実写版の計画が再燃してきた。        
 この計画は、ワーナーで『スクービー・ドゥー』なども手
掛けるプロデューサーのデニス・ディ=ノヴィが10年近く以
前から検討していたものだが、この計画について、前回も登
場した“Bringing Down the House”のアダム・シャンクマ
ン監督との交渉が公表されている。           
 “The Jetsons”は、60年代のハナ=バーベラ製作では、
すでに実写映画化されている“The Flintstones”と並ぶ人
気シリーズで、原始時代が舞台の『フリントストーン』に対
して、21世紀の未来(?)を舞台にしたもの。未来の空中都
市に暮らすジェットソン一家とメイドロボットのロージー、
それに愛犬のアストロを主人公にしたものだ。      
 僕の記憶では、プロローグで地球が爆発し、小惑星帯のよ
うになった中に一家の暮らす空中都市が存在するように解釈
していたが、いずれにしても住居や公園までもが空中に浮か
んでいるという設定で、そんな環境の中で、父親の職業はサ
ラリーマンという中流家庭の生活を描いている。     
 シリーズは、アメリカのABCネットワークで62−63年に
放送されたもので、オリジナルは24話しかないそうだが、こ
れが3大ネットワークで繰り返し放送され、さらに80年代に
51話が追加製作されて、全75話が作られている。また90年に
は劇場用の長編版も製作された。            
 そして今回の計画は、その長編版の公開直後から進められ
ていたものだが、この計画では過去にいろいろな監督の名前
が挙がったものの実現には至っていなかった。      
 その計画にシャンクマンの名前が公表されたもので、実現
に向けて多少の展望が開けてきたという感じだ。ただし、シ
ャンクマンが契約した場合は、すでに『スクービー…』のポ
ール・フォーリーとドン・フォアマンが完成していた脚本は
採用されないということで、新たな脚本家が選考されること
になるようだ。                    
 なお、お話は原作シリーズに基づくが、やはりハナ=バー
ベラで製作されたシリーズで、“Harvey Birdman”という元
スーパーヒーローが弁護士になって活躍するシリーズのエピ
ソードが加味される計画もあるということだ。      
 “Harvey Birdman”は、『スクービー…』のテレビシリー
ズの特番にも登場して評判が良かったようだが、さてどうな
ることか。またキャスティングは未発表だが、父親ジョージ
の勤務先スペイスリー社の社長の役にはダニー・デ=ヴィー
トの起用が期待されているようだ。           
        *         *        
 次も計画ばかり先行している作品で、ティム・バートン監
督の『バットマン・リターンズ』からスピンオフされる計画
の“Catwoman”で、ハル・ベリーへの交渉が発表された。 
 この計画は、92年のオリジナルでミシェル・ファイファー
が演じた不幸な境遇の敵役キャットウーマンを主人公に、新
たなスーパーヒロインを生み出そうというもので、ワーナー
ではずっとアシュレイ・ジャドの主演で計画を進めていた。
そして監督には、フランス映画の『ヴィドック』を手掛けた
ピトフの起用も発表されていた。            
 ところが、撮影の予定されていた今年の後半に、ジャドが
ブロードウェイの舞台に立つことが発表され、ジャドの主演
では撮影が不可能になってしまった。その代役として、『X
−メン』や『ダイ・アナザー・デイ』でもアクションは実証
済みのオスカー女優に白羽の矢が立ったものだ。     
 契約は未了のようだが、ここまで正式に情報が流されると
いうことは、ワーナーにもかなり自信があるということなの
だろう。元々キャットウーマンという役は、計画が発表され
る度にハリウッド中の女優が立候補するという役でもあり、
その辺の自信もあるということかも知れない。      
 因にべリーは、『ダイ・アナザー・デイ』ではアフリカ系
初のボンドガールということでも話題になったが、キャット
ウーマンに関しては、60年代のテレビシリーズでアーサー・
キットが演じたことがあり、初めてではない。      
 なお、べリーは『X−メン』の続編が5月2日に公開され
る他、第33回で紹介したペネロペ・クルス共演のダークキャ
ッスル製作ワーナー配給作品“Gothika”の撮影がスタート
しており、それに続いてのワーナー作品ということになりそ
うだ。なお“Gothika”には、ロバート・ダウニーJr.の共
演も発表されている。                  
        *         *        
 続いても主役変更の話題で、4月に撮影開始される続編の
“The Amazing Spider-Man”で、主人公のピーター・パー
カー役からトビー・マクガイアーの降板が発表された。   
 オリジナルは、興行収入ベースで、アメリカ国内が4億ド
ル、全世界では8億ドルという大ヒットを記録し、その続編
については、前作に400万ドルで出演したマクガイアーに対
して1700万ドルの出演契約が公表され、前作の公開直後には
本人も出演の意向を示していたのだが…。        
 その後、マクガイアーは、1250万ドルの出演料で競馬の騎
手役を演じた“Seabiscuit”の撮影が、昨年の10月から今年
の2月半ばまで掛かり、4月からのアクション映画の出演は
体力的に無理という結論に達したようだ。因に、前作の撮影
から“Seabiscuit”までは18カ月空けたそうだ。     
 ということで、多分ソニー側も早くからこの事態は察知し
ていたのだろうが、直ちに代役が発表された。その主演に抜
擢されたのは、『遠い空の向こうに』や『ドニー・ダーコ』
などのジェイク・ギレンホール。元々彼は、マクガイアーと
並んで前作でも最終候補に挙がっていたということで、この
交渉は順調に行われたようだ。             
 また彼は、新作の『ムーンライト・マイル』では、ダステ
ィン・ホフマン、スーザン・サランドン、ホリー・ハンター
を向こうに回して主演を張っているが、キャリア的にはマク
ガイアーほどではないということで、出演料も低く押さえら
れ、一方、作品歴からはブレイクする可能性も高く、製作者
側にはリスクを負う価値があるということだ。      
 ただし、すでに撮影開始はマクガイアーを待つために1月
から4月に延期されており、来年5月7日に確定している公
開に間に合わせるには、かなり厳しい撮影スケジュールにな
りそうだ。                      
 しかも共演のキルスティ・ダンストは、ワーキングタイト
ル製作の“Wimbledon”という作品に主演が決まっており、
その製作には、6月末にウィンブルドンで開催されるテニス
トーナメント期間中の撮影が欠かせないということで、彼女
のスケジュールもハードになりそうだということだ。   
        *         *        
 新しい話題で、『アバウト・ア・ボーイ』で今年のオスカ
ー脚色賞の候補になった監督のクリス&ポール・ウェイツ兄
弟がユニヴァーサルに本拠を置いている製作会社デプス・オ
ブ・フィールドから、イギリス製ファンタシー・シリーズの
映画化の計画が発表された。              
 計画されている作品は、SFのニューウェイヴの旗手とし
て70年代に活躍したイギリスの作家マイクル・ムアコックが
発表した“The Elric Saga”と呼ばれるもので、全11冊から
なり、その内のシリーズの最初の6冊について3部作で映画
化するというものだ。                 
 物語は、剣と魔法が主役となるファタシー世界を舞台に、
アルビノの戦士エルリックが従兄弟の裏切りによって祖国を
追放され、諸国を旅して行く異世界での冒険を描いたもの。
当然、紹介された記事には『指輪物語』が引かれていたが、
どちらかというと『コナン』に近いヒロック・ファンタシー
に分類される物語だ。                 
 といっても、ムアコックはかなりの論客として知られてい
た作家なので、一筋縄で行く話ではないようだが…。因に、
今回の発表でクリス・ウェイツは、「子供の頃から原作のフ
ァンだったが、大人になってその評価をより高くした。『マ
トリックス』を剣と魔法の世界に置き換えたような作品だ」
と評している。                    
 ただし今回の計画では、ウェイツ兄弟は製作者の立場をと
るということで、脚本と監督には別の人材を起用するという
ことだ。また製作者には、原作者のムアコックも名前を連ね
るということで、この条件で、一体どんな脚本家と監督が選
ばれるのだろうか。なお、ムアコックはイギリスでハードロ
ックバンドを率いていたこともあるそうだ。       
 “Elric of Melmibone”から“Stormbringer”までの最
初の6冊については翻訳も出ている。           
        *         *        
 もう一つ、ちょっと懐かしい名前で、『フリッツ・ザ・キ
ャット』などで異端のアニメーターと呼ばれたラルフ・バク
シがアニメーションの仕事を再開することになったようだ。
 バクシは、56年に入社したテリートゥーンで『マイティ・
マウス』などの作品を手掛け、その後パラマウントを経て、
72年発表の『フリッツ』で一世を風靡、さらに78年には『指
輪物語』を発表している。しかしその後は、83年に『ファイ
ア&アイス』を発表しただけで長編からは遠ざかり、87−89
年にテレビ用の『マイティ・マウス』の新作を自分のプロダ
クションで製作した他は、趣味の絵画に専念していたという
ことだ。                       
 しかしその『マイティ・マウス』の新作に関わったジョン
・カークファルシというアニメーターがテレビ用に製作した
“Ren & Stimpy”という作品にバクシを引っ張り出し、さら
に『マイティ・マウス』の当時から話し合っていたという今
回の長編作品の計画へと進展したようだ。        
 そして計画されている作品は、“Bobby's Girl”という題
名で、脚本はバクシとカークファルシが共同で担当し、製作
費は1000万ドル以下、Rレイトを目指すというものだ。  
 因にカークファルシは、“Weekend Pussy Hunt”というイ
ンターネットで発表した作品で有名になったそうだが、上記
の“Ren & Stimpy”では、放送開始直後に大反響を呼んだも
のの、19エピソードが放送されたところで、スポンサー側か
らもう少し内容を大人しくしてくれと言われ、即、製作を中
止したということで、バクシに劣らず反骨の人物のようだ。
        *         *        
 最後に短いニュースをまとめておこう。        
 まずは続報で、                   
 前回紹介したジュード・ロウ製作・主演のSF大作“The
World of Tomorrow”にケイシー・アフレックの出演が発
表された。これは前回報告したジョヴァンニ・リビージに交
代するもので、アフレックは、ガス・ヴァン・サント監督作
品の“Gerry”の他、『オーシャンズ・11』にも出ていたそ
うだ。なお今回の情報によると、物語は、ジュード・ロウ扮
するパイロットと、パルトロウ扮するリポーターが、第2次
世界大戦直前の世界で、『レイダース/失われた聖櫃』のよ
うな冒険を繰り広げるVFX満載の作品だそうだ。     
        *         *        
 第30回で紹介したDCコミックス原作の“Shazam!”の映
画化で、脚本を、『明日に向かって撃て』『大統領の陰謀』
で2度のオスカー受賞に輝くウィリアム・ゴールドマンと契
約したことが発表された。ゴールドマンは、この他にも『マ
ラソンマン』や『ミザリー』の脚色でも知られるが、コミッ
クスの脚色は初めてのこと、しかし本人は「38年からコミッ
クスを集めており、熱狂的なファンだった。自分にとって最
高の仕事になる」と語っており、製作するニューライン側も
「完璧な人材」と考えているようだ。他のスタッフキャスト
は未定だが、04年クリスマスか05年夏の公開が予定されてい
る。                         
        *         *        
 ドリームワークスから、またまた子供向けファンタシー・
シリーズ映画化の計画が発表された。今回のシリーズは、第
1作が“Lionboy”という題名で、この原作は今年の2月に
イギリスでの出版権が100万ポンドでペンギンブックスと契
約されたばかりということだ。内容は、近未来のロンドンを
舞台に、猫族と会話のできる少年チャーリー・アサンテが、
サーカスのライオンと協力して誘拐された両親を救出すると
いうもの。作者は、ルイーサ・ヤングというイギリスのシン
グルマザーと、その10歳の娘イザベルが書き上げたものだそ
うだ。原作は3部作が予定されている。また映画の製作は、
『メメント』や『オースティン・パワーズ』を手掛けたスザ
ンヌ&ジェニファー・トッドが担当することになっている。


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井口健二