へる(ぷ)の日記
へる(ぷ)



 陰恋。






知ってる。

僕が思う以上に君が普通なこと。

知ってる。

君が思ってる以上に僕が普通でないこと。

知ってる?

僕が見る君と君が見る僕の違い。

知ってる?

君を前にしたときの胸の鼓動。

知ってる…

君の思いは僕でない誰かのもの。

知ってる…

僕は君の前では嘘をつかなくちゃいけないこと


…君が思う以上に僕は君のことが好きなんです。






…知ってる…

この気持ちはいつまでも嘘で誤魔化さなくちゃいけないこと…





2002年11月30日(土)



 夜光虫






おはよう夜光虫

虫のザワメキ 無視の静寂

おはよう夜光虫

朝日への抵抗は死に物狂い

おはよう夜光虫

アタシはお前が目覚めるのを待っていた

おはよう夜光虫

…アタシを眠らせて

朝日の目に付かないダンボールの影で

アタシをひっそりと 眠らせて

日の光がアタシの嫌悪を焼き付けるの

だから次の夜まで眠らせて

ひっそりそっと 眠らせて

お願い ヤコウチュウ。







2002年11月29日(金)



 一人な訳。






切ない思いでも罪もいらない

だから幸せが一番いらない

傷心を癒す消毒液を注いでおくれ

僕の心の

一輪挿しの花瓶へ。






2002年11月28日(木)



 自惚れ







自分が白い羊の群れの中で

一匹だけ異彩を放つ

黒い羊であると思っていた



気づけばそこにいたのは

白でも黒でもない

毛のない羊だった

羊のようで羊でない

哀れな毛のない羊だけが取り残されていた。






2002年11月27日(水)



 ふと思った






誰か僕を返してください

誰か僕を呼び戻してください

誰か僕を生き返してください

暗いとこで膝を抱えた生活は

もう うんざりなんです。






2002年11月26日(火)



 ふと思う






死んだ人間を生き返らせれたら

なんて深く考えてたら

何時の間にか自分が死んでいたり

僕は生きてるのでしょうか?







2002年11月25日(月)



 今日の報告。






生きているとか死んでいるとかもあるけど

もしかしたら

僕らは生まれ続けている存在なのかもしれない

あぁ 素敵な 異常者の僕ら。

誇らしい自己愛の夢の中で

永久に永久に踊りましょう。






2002年11月24日(日)



 あああ。





僕の心には檻があって中には一匹の獣がいて常に貪欲に何かを狙っているような目つきで僕の檻を掻き毟る。アァァアアアァァァ。






2002年11月23日(土)



 






絶望を舐めた空は青い

青ざめた蒼

清潔なスカイブルー

なんだか空が恐いんだ

僕を見透かしてるようで

僕を飲み込みそうで

とってもとっても

恐いんだ。





2002年11月22日(金)



 汚い商売





我侭で飯食ってるのが批評家だとしたら

純粋や純潔で飯食ってるのは皮肉屋だろうな

だが、不幸なことに

俺らは彼らを前にすると

何の疑いもなく自分の檻に招きいれてしまう

哀れな子羊になってしまう

困ったもんだ…








2002年11月21日(木)



 自責の念






たった一歩を踏み越えられなかったこと

たった一声かけてあげられなかったこと

たった一度も名前を呼んでやれなかったこと

たった一発も黙祷するアイツラを殴れなかったこと

たった一度の孝行さえも出来なかったこと

自責の念達が 僕を殺す。

じわりじわりと

僕を殺す。

じわりじわり じわりじわり じわりじわり

…。






2002年11月20日(水)



 心の居場所






女のオルガズムの余韻のような鼓動

規則正しい律義者

絶対的なキーパーソン

私の居場所 ここだけ。

ここは 心臓 心臓 心臓。






2002年11月19日(火)



 愛さえあれば幸せなの。






愛さえ愛さえ五月蝿いよ

じゃぁ聞くけど

愛さえの「さえ」ってなんだ?






2002年11月18日(月)



 轢死した猫を眺めて。






「お前は死んだ。

幸せだったか不幸せだったか

私には計り知ることが出来ないが

取り合えず、今、即死に出来たのが

お前にとって一番の幸せだろう。」






2002年11月17日(日)



 初恋






雨降る夜 肌寒い店内 まだキミがいない

待ち合わせの場所 いつものコンビニ ほんの些細な帰り道

キミから握る手 戸惑うボク 初めての温もり

「恥ずかしいんだからね。本当は」 赤い顔のキミ 強く握る手

二人で待った地下鉄 そっけない態度 まだ来ないでと祈る本心

急いで車内 座席に滑り込むキミ いつもボクはキミの正面

サヨナラが寂しくて 手を振りたくなくて まだ離れたくなくて

時は無情に 二人を思い出とは別に 押し流して別々に

今はキミも 一児の母 幸せな家庭

今はボクも 一人の孤独 一人の部屋

落ち着かなくて また来てしまった 待ち合わせのコンビニ

雑誌のラック 飲み物の棚 お菓子売り場

こんな所に もう来るはずもないのに 判っているのに

まだボクは 忘れたくなくて キミの痕を追いかけている

キミが好き ずっと 初恋のころのキミが好き

叶わぬ恋に震えて また涙一筋 心の傷跡。




 


2002年11月16日(土)



 花占い。






一枚ずつ裸に成って逝く

乱暴な手つきで毟り取る

キミで占う花占い

キミ以外の誰かを占う

裏切りの恋占い。






2002年11月15日(金)



 夢逃。






迷い迷いさ迷い夢の中

零れる涙を胸に溜め

今日もアタシは逃げ隠れ

アナタがいる夢の中に逃げ隠れ






2002年11月14日(木)



 兎と亀






「別に俺らが強くなったわけじゃないよ

…お前が弱くなったんだって」






2002年11月13日(水)



 現実逃避






金もあって余裕もあって逃げるのは

現実逃避でもなんでもないよ?

ただの堕落さ。

君も堕落組の人間かい?






2002年11月12日(火)



 問:思い出ってどんなものですか? 答:






ランドセルでもいいし

女子高生のカバンでもいい

みんな同じ形同じメーカー同じ値段なのに

手当たり次第個人的なものをぶち込み

肩に抱えてみんなと同じに見せようとする。

時として不真面目な奴は

何処かに置きっ放しにして空にして持っている。






…そんなもんだろ?






2002年11月11日(月)



 リラックス。





通り過ぎたビルの隙間から

捨てられたペップボトルの中から

コーヒー塗れのごみ箱から

自動車のボンネットから

特別な何かを感じようとしたけれど

なんか疲れちゃったから

ハチ公と抱き合いながら

西郷隆盛の飼い犬を小馬鹿にしようと思います。



やっぱ 誰かを馬鹿にしないと救われないわ。







2002年11月10日(日)



 





この部屋のいたる所にある鍵穴を

埋めれるだけの鍵を持っているのは

僕以外の誰だろう?

少なくても僕は持っていないのです。

可笑しいね。

ここは僕の部屋なのに。






2002年11月09日(土)



 銃。






銃があったら

あの町のあいつらを蜂の巣にするだろう

穴だらけ鍵だらけの節穴さん

二度とオレの前で踊るな

言うこと聞けないなら

あんたもオレのマグナムで射抜いちまうぜ?






2002年11月08日(金)



 猫じゃない。





黄色い体液を垂れ流し

ゴムホースのような腸管がはみ出し

見開かれた空ろな瞳が

道行く人に救いを求めている




道行く人は そんなワタシを一瞥しながら

ワタシがさっさと事切れて

残された抜け殻を 誰か早く片付けないかと

面倒くさそうに無視する




ワタシが完全から不完全に転げ落ちたからって

ワタシだったワタシをワタシ意外だと見捨てる

そう

彼らの共通する意識はただ一つに集約されている




「あれは猫じゃない」




ワタシはまだ猫だ

ワタシはずっと猫だ

ただ ちょっとだけ 

不完全で死にかけているだけなのに。








2002年11月07日(木)



 離秋。






秋桜

枯れて

貴女を

思い出す

裏腹な涙が

裏腹に

はらはらと

夕日の絹を縦裂きにする

やっぱり

貴女のいないこの街の夕暮れが

僕は好きになれません

僕には

好きに

なれません。






2002年11月06日(水)



 別れ(女の場合)






愛しいアナタが流す涙が

ワタシの頬を熱く焦がす

巣立ちを目前にして

尻込みして震えている小雀のように

ワタシに縋り付くアナタ

そして涙とは裏腹に

厳しく巣立たせようとする

ワタシは母雀

本当は嬉かったの。

振り向きもせずに独り立ちする大人ぶった兄弟達よりも

何時までもワタシから離れられない

そんな小雀のようなアナタの存在が嬉しかったの。

話したいこと…たくさんあるのに…

どうしてか この口は堅く貝のように閉じてしまう

右手を握り締める…アナタの温もりも…

時を刻む秒針の音が鋭利なナイフとなって私を刻むの

残り少ない蝋を削るように

コツコツ…コツコツ…コツコツ…

あぁ…ワタシ…残り少ない時間をアナタ以外に使ってしまってる

昔から変わらない癖

でも アナタが笑って許してくれた癖

体が細かく細かく分解されて

この白い壁この白いタイルこの白いベットこの曇り空

…この暖かい両手に

全て吸い込まれそうな気分…

わかるかなぁ…わかるかなぁ…

アナタならわかってくれるよね

ワタシを一番知ってくれようとする

世界で一人だけのアナタなら

わかってくれるよね

ホント…ワガママな女でゴメンね

最初から最後まで

ワガママな女でゴメンね

でも

付き合ってくれて嬉しかった

アナタに会えてよかった

本当に…





「ありがとう」







2002年11月05日(火)



 別れ(男の場合)







白いベッドの上

処女雪のごとく

純粋で色白なキミがさらに白く

三日月の頬のように

か細く冷たいキミの横顔がさらに細く

ボクの心を焦りの鎖で縛り付ける

無情にも刻一刻と迫る

絶対的な別れを前にして

あまりにもボクは

脆弱で役立たずな

苦悩するたった一本の葦でしかなかった

ただひたすら

枯れ枝の様に痩せ細った

キミの冷たい手を握り締めながら

「愛している」と

キミに見せたことのない顔で弱弱しく呟いた

震えるボクの手を

精一杯のか弱い力で握り返し

嬉しそうな顔をして

「ありがとう」と囁きながらキミは






死んだ…







2002年11月04日(月)



 ハッピーバースディ






ハッピーバースディ!

…また今年も誰もいない。








2002年11月03日(日)



 時間とワガママ。






少し…ほんの少しだけ24時間が24時間でなければ

もっとキミの側に居れたのに…

不意に理不尽な怒りで

この世から時計を全て亡くしたくなった僕は

ワガママでしょうか?






2002年11月02日(土)



 恋←→愛






恋してから愛を失うのは幸福だと思う。

一番不幸なのは

恋すらしないで愛を失う

キミの迷いだよ。






2002年11月01日(金)
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