ATFの戦争映画観戦記



【File121】十八萬接続達成御礼・・・ボツ原稿サルベージ大作戦/ニッポン大戦車軍団③

2006年06月14日(水)

残念ながら日本代表は緒戦を勝利で飾れなかったみたいですね・・・ロンメル君のご利益も余りなかった様ですな。さて前置きはこれ位にして、戦争映画の中でも珍しい日本軍戦車の攻撃シーンがある『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』第三幕の開幕です。余り前置きを書き過ぎると、また書き込み字数制限に引っかかって〝またも続きは次回観戦記で〟ってな事になりかねません。余り同じ話題で引っ張り過ぎても何ですから・・・ちょうどお後がよろしいようで・・・と言う引き際を弁えて、今回で打ち止めです。それでは【開演ブザー】・・・携帯電話の電源はお切り下さい・・・【文中の様々な書き込みには資料的価値は全くありません・・・(^o^;A】

【血戦戦車1号~3号】
ジョン・ウェイン主演の『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』において、X371島米軍補給基地に迫る日本軍奇襲部隊・・・そしてその先頭を突き進んで来るのが日本軍戦車・・・命名〝血戦戦車〟であります!前回の観戦記で紹介した画像によると、取り合えず3両の血戦戦車が確認出来ます。それでは時系列に従って、それら血戦戦車たちの〝華麗なる大パフォーマンス〟をご紹介して行きましょう。取り合えず、これら血戦戦車たちには説明し易い様に、登場順に1号、2号、3号と名前(仮称)を付けさせていただきました。

【血戦戦車1号登場!】・・・まず最初に米軍の防衛線に突っ込んでくる勇ましい日本軍戦車です!
■①逆光の為に些か不明瞭ながら車体の輪郭が解る画像からご紹介させていただきます。なんとなく改造のベースになっている車体は、その足回りの転輪配置から■ユニバーサル・キャリア系の車体ではないか?と想像出来るのですが・・・如何なものでしょうか。
■②米軍前哨防衛陣地に迫る血戦戦車1号(赤枠内)です。二段式の様な砲塔ですが・・・上段はコマンド・キューポラなのでしょうか・・・それにしても自棄にでかいコマンド・キューポラですな。どうやらハッチ?は砲塔上段と同じ大きさの様です。
■③米軍前哨防衛陣地を蹂躙する血戦戦車1号です。こうやって見ると結構迫力があります・・・向って車体左側のハッチ?は操縦席用でしょうか・・・右側の張り出し部分は前方機銃座の様です。
■④血戦戦車1号の操縦席ハッチ(赤丸内)部分が明瞭に解る画像です。戦闘中なのにハッチが開いてるとは・・・操縦中は視界確保の為に常時開けていなければならないのかもしれません・・・砲塔上段部正面に、微かに展視孔の様な切れ目が見えます。
■⑤血戦戦車1号の車体前面の側面図です。主砲は37mm程度の小口径砲でしょうか。如何にも木製の様ですな・・・前方機銃座の張り出し部分の形状が良く解ります。機銃は搭載されていないのか・・・どうも明瞭ではありません。
■⑥突然登場する血戦戦車1号の戦車兵です。車内でも鉄兜を着用しております。画像左下に写っているのは主砲基部でしょうか、それとも車載機銃なのか・・・。主砲基部なら、この二人は砲塔内の戦車長と砲手という事に・・・反対に車載機銃ならば、操縦者と前方機銃手という事になりますが・・・にしても向かって左側の戦車兵の微笑む顔が不気味・・・背後に影が映ってるって事は、ハッチが開いてるって事でしょうか?
※ラヴァ分隊士のご指摘により〝ブローニングM1919A4機関銃の機関部〟である事が判明しました!ご指摘感謝します。
■⑦米軍前哨防衛線を突破し補給基地に迫る血戦戦車1号の何もない後部が良く解る画像です。しかし米軍守備隊も、ただ指を咥えて見ているだけではありません・・・前方(赤丸内)に注目!
■⑧↑の場面を、回り込んで前方より観た画像です・・・不鮮明な画像(赤丸内)ですみません。それにしてもこれの正体は果たして・・・
■⑨謎の物体(赤丸内)の正体・・・実はこれ、米海軍建設部隊の装備しているバケットクレーンって種類の建設用重機です。なんとバケット部分に米兵が乗り込み隠れて待ち構えていました・・・そしてなんとダイナマイトの束(赤丸内)を血戦戦車1号に向けて投下・・・!
■⑩ナイス着地!オイオイ・・・見事に血戦戦車1号の車体上砲塔横にダイナマイトの束が・・・血戦戦車1号の車体は激しく揺れているのに・・・このダイナマイト、吸着式なのか?
■⑪大爆発!・・・この高さからダイナマイトの束を見事血戦戦車1号の車体上に落下させるとは・・・
■⑫哀れ!血戦戦車1号は木っ端微塵・・・合掌

【血戦戦車2号見参!】・・・場面は変わり、戦線は別方面に移動しております!
■①突如、尾根を越えて姿を現し、米軍補給基地に肉薄して来た血戦戦車2号(赤丸内)・・・危うし米軍補給基地・・・この血戦戦車2号ですが、向って車体右側には血戦戦車1号と同じ様に前方機銃座の様な張り出しが見えますが、砲塔式ではなく、車体上部に防盾付きの小口径砲か機銃を搭載し、戦車兵?の身体が露出しております。ひょっとしたら自走砲なのでしょうか?しかしどう観ても戦車が通れる様な場所ではありませんな・・・
■②しかし、そうは問屋が卸さないのであった!血戦戦車2号を待ち構える米軍本防衛線のエリコン20mm機関砲です。擬装網が張られているところを見ると補給基地防衛用の対空機関砲でしょうか?・・・なんでも朝鮮戦争じゃ共産側のT34/85戦車を一撃で撃破したってイーストウッド主演の『サンダーボルト(THUNDERBOLT AND LIGHTFOOT/1974)』の中でも言ってたくらいですから・・・ね!
■③見事命中(赤丸内)!・・・哀れ血戦戦車2号の最後であります・・・T34/85撃破の話は兎も角として、ブリキの棺桶・・・実際の日本軍戦車でも一発でイチコロでしょ・・・ブローニング50口径機銃でも95式軽戦車の装甲を貫通したって事ですから。でも機関砲の軸線が全然違う方向を向いて撃ってるんですけど・・・(汗
意外とあっさりやられちゃいましたね、血戦戦車2号・・・涙。血戦戦車2号の戦車兵は登場しませんでした。最初の方のシーンで後ろ姿が写っていただけです。

【血戦戦車3号参上!】・・・血戦戦車1号と同じ型式の車両です。ひょっとしたら一人二役かもしれません!この場面はBGMを『ジョーズ』のイメージでご観戦下さい・・・
■①お待たせしました!血戦戦車3号の画像です。血戦戦車1号のところでははっきり解りませんでしたが、こちらの3号では前方機銃らしき棒状の物体が搭載されているのがはっきり写ってます!車体側面の形状も明瞭に解ります・・・それにしてもショボイ日の丸ですな・・・
■②これまた登場・・・血戦戦車3号の戦車兵です。車内の乗員配置は当然の如く血戦戦車1号と同じ。相変らず不気味な日本軍戦車兵コンビであります。ちゃんと戦車兵役の東洋系俳優を交替させているところに、製作陣の意気込みを感じます!東洋系なんてアメリカ人から見たら、全部同じ顔でしょうけど・・・
■③米軍補給基地に迫る血戦戦車3号です。見れば見るほどに車体の装甲板は金属製には見えませんな・・・(赤枠内)に注意!
■④米軍補給基地に迫る血戦戦車3号・・・その2です。こうじっくり見てみると、この戦車の砲塔は全く旋回しそうにありません・・・車体側面の日の丸は赤色じゃなくピンクなのでしょうか〟白黒なので判別不能です・・・保護カバーがなければ足回りの形状・・・転輪配置が明確に解るのに・・・引き続き(赤枠内)に注意!
■⑤米軍補給基地に迫る血戦戦車3号・・・その3です。主砲砲身は上下する様ですが・・・ただ震動で上下に揺れているだけかも・・・さらに(赤枠内)に注意!果たして何が?
■⑥米軍補給基地に迫る血戦戦車3号・・・その4です。血戦戦車3号の背後の茂みを突き破り、遂に姿を現す謎の物体(赤枠内)・・・一体これは?
■⑦遂に物体の正体が明らかに・・・なんと、これも米海軍建設部隊の装備であるブルドーザーです!・・・そのまま血戦戦車3号の側面に体当たりをかましてくれます・・・おっと血戦戦車3号の砲塔ハッチの形状が明瞭に写っております。
■⑧哀れ血戦戦車3号の最後・・・米軍ブルドーザーに車体を押し捲られ、そのまま谷底へ・・・南無阿弥陀仏!しかし何時の間にジャングルから、こんな岩場に移動したのかは永遠の謎!
はっきりと写った画像がないので断定し難いのですが、この血戦戦車1号から3号の車体の改造ベースとなっているのは、やはりユニバーサル・キャリアー系の車体の様に思えます。当時の米軍がユニバーサル・キャリアーを装備していたかどうかはっきり確認出来ませんでした。ただ車体を80cmほど延長改良されたT-16型(ウィンザー・キャリアー?)は米軍に供与されていたらしいのですが、この車両は転輪が4個なのです。血戦戦車1号~3号は、どうも転輪が3個の様で、しかも第2転輪と第3転輪の間隔が第2転輪と第1転輪よりも広く見えるので、このT-16型ではない様です。カナダ軍の装備するユニバーサル・キャリアーからの改造かもしれません。

【血戦戦車4号・・・飛び入り参加!】
さて血戦戦車1号~3号の大活躍?をご紹介して来ましたが、実はこの『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』には、もう一両日本軍戦車が登場しております!
■①米軍補給基地の向かい側稜線にいきなり登場の血戦戦車4号(赤枠内)であります・・・これまた違う型式の車両です。見たところ砲塔状の装備は見当たりません・・・丸っこい型状の操縦席らしい構造物が搭載されています。車体向って左側には機銃らしき物が・・・どちらかって言うと戦車って言うよりは、雪上車とかトラクターって感じっすね!
■②血戦戦車4号の勇姿です。画像が少し大きくなったので、車体の型式がより明瞭になりました。それにしても奇妙な型状の操縦室?です・・・車体向って左側は間違いなく車載機銃の様ですな。
■③これまたいきなり登場!血戦戦車4号の戦車兵です。車内配置は1号及び3号と同じ様です・・・画像手前側の不気味に微笑む眼鏡ッ子戦車兵が機銃を撃ち捲ってます!・・・ってオイオイ。それなら車載機銃って車体向って左側じゃないの・・・ってツッコミは置いといて・・・将にアメコミや対日戦戦意高揚ポスターに登場する日本人=ジャップそのものって感じがする戦車兵ですな。
■④米軍補給基地の背後に回り込もうとする血戦戦車4号(赤丸内)です。ちょっと解り辛いですがご辛抱下さい。この血戦戦車4号だけでも米軍の防衛線を突破出来れば、日本軍の逆転勝利は間違い無しッ!今や米軍補給基地の命運は風前の灯に・・・。
■⑤そうはさせるかい!・・・主演ジョン・ウェイン演じるドノヴァン少佐直々の指揮で、遂に怒りの鉄拳・・・これでも喰らえッ・・・迫撃砲(以外にショボイ)発射!
■⑥チュドォォォォォォォォォ~ン(迫撃砲にあるまじき大爆発)!・・・で、見事命中・・・と思ったら実は至近弾でした・・・しかしこりゃ迫撃砲じゃなく野戦重砲か艦砲並みの破壊力であります。
■⑦しかし爆風はもの凄い!・・・車体ごと吹き飛ばされ、哀れ稜線を真ッ逆さまに転がり落ちる血戦戦車4号!
■⑧お陰で車体が反転して足回りの転輪配置がはっきりしました!・・・この起動輪・転輪・誘導輪配置からすると、どうやら改造ベースとなった車体は米マーモン・ヘリントン社の2人乗りタンケッテ(豆戦車)CTL-3A型戦車の様です・・・どうです、足回りの転輪の配置そっくりでしょ!・・・この戦車をベースにした撮影用改造戦車は、あの「誰が為に鐘は鳴る」の中にも登場・・・そうそう手榴弾を投げ込まれて大爆発するヤツです!で、何故かジェームズ・コバーン主演の『地上最大の脱出作戦(WHAT DID YOU DO IN THE WAR,DADDY?/1966)』国内版DVDパッケージ写真にも写っています・・・本編には登場してませんが・・・閑話休題。
■⑨今日はいつもより多く転がっておりますッ!・・・このシーンを観る限りでは、この血戦戦車4号の落下シーンは、模型を使った特撮ではない様に思えます。
■⑩これだけ派手に転がり落ちても・・・車体の上部構造物やキャタピラ部分には壊れた様子がありません!この血戦戦車4号の上部構造物は、金属か何か丈夫な物で作られている様です。そう言えば操縦室部分が丸っこくなっていたのは、ひょっとすると横転し易く(ロールバー代わり)する為だったのかもしれません・・・
■⑫嗚呼、血戦戦車4号・・・谷底部分に横転したまま着底した血戦戦車4号です。やはり車体は余り壊れていない様ですな!
ユニバーサル・キャリアーの車体に木製の砲塔を載せただけの様な血戦戦車1号~3号では、「鎌田行進曲」の池田屋大階段落ちにも匹敵する、この一大見せ場シーンである稜線落ちには堪えられないのは明白です。そこで急遽ピンチヒッターとして頑丈な車体の、この血戦戦車4号が抜擢されたのではないだろうか・・・などと思えてしまうのでした!

血戦戦車1号~4号の大パフォーマンスシーン、如何でしたでしょうか!日本軍戦車が4両も登場して米軍に肉薄するなど、戦争映画史上でも希に観る特筆すべき作品なのではありますが、反面その見事なまでの華麗なる各個撃破には、多くの戦争映画ファン並びに日本軍戦車ファンが感動の涙を流す事間違いありません・・・(爆)この血戦戦車たちを紹介しながら、一体全体日本軍のどの戦車をモデルにしたのか・・・などと詮索するのは、最早どうでも良い事の様に思えて来ました。将に東の〝馬鹿戦車〟と並ぶ西の横綱・・・〝血戦戦車〟と言う事が出来ると思います!・・・と言う訳で、この辺で〝血戦戦車〟についての観戦記を終らせていただきます。口直しと言う訳ではありませんが、真の日本軍戦車の活躍する姿をもっとじっくり観たいという観戦武官諸士には『西住戦車長傳(1940)』『将軍と参謀と兵(1942)』がお薦めです!前者には89式中戦車が、そして後者には94式軽装甲車が登場し、その勇姿を堪能する事が出来ます!【続く】
【2006/06/18】ラヴァ分隊士のご指摘により、一部加筆修正


【File120】十八萬接続達成御礼・・・ボツ原稿サルベージ大作戦/ニッポン大戦車軍団②

2006年06月12日(月)

世の中では、幼い子供が犠牲になる陰惨な事件や耐震偽造事件に匹敵する様な〝シンドラーのリフト〟事件等が日々マスメディアの話題となっておりますが、反面サッカーW杯も開幕し、世はサッカー一色に塗りつぶされつつあります!で、今日はいよいよ日本VSオーストラリア戦当日・・・なのですが、残念ながら私は以前から公言しておりますが、至ってアンチスポーツ論者なので、殆んどW杯には興味が無いのですよ・・・しかし、そんな私が唯一W杯関連で気になったニュースって言うのが〝日本サッカー協会広報犬ロンメル君(ミニチュアダックスフンド/オス10歳)〟の話題であります・・・なんでも、この〝ロンメル君〟が観戦した試合では、日本代表は負け知らずだそうで、人呼んで〝不敗犬〟なのだそうであります・・・さてこのワンちゃんの名前である〝ロンメル(ROMMEL)〟でありますが・・・軍オタを自称する者で、この名を知らない者はまずいない(?)でしょう。到底名前の由来も、今回のW杯の開催国がドイツである事も関連して、ドイツ人受けを考慮してか、かのドイツ軍の名将エルヴィン・ロンメル(ERWIN JOHANNES EUGEN ROMMEL/1891~1944)ではないかと思ってしまうのですが、ネット上でどう探しても両者の関連を示す書き込みは発見出来ませんでした。何でも日本サッカー協会の広報部長の方の愛犬だそうで、今回のW杯に特に関連して名付けた訳ではない様です。広報部長の方が子供の頃独軍戦車模型ファンだったとか、親類・家族にドイツ軍ファンがいるとか、そのレベルの命名なのかもしれません・・・各種マスメディアにおいても〝ロンメル君〟の名前の由来について敢えて言及している物も発見出来ませんでしたし・・・まぁ〝ブロンディー〟じゃなくて良かったって事でしょうか・・・さて閑話休題・・・ハリウッド製戦争映画の中にあって、日本軍戦車が大挙?して米軍に襲いかかる場面のある作品『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』についての第二幕を早速始めさせていただきます。それでは【開演ブザー】・・・携帯電話の電源はお切り下さいませ・・・【文中の様々な書き込みには資料的価値は全くありません・・・(^o^;A】

【米国海軍建設大隊とは】
『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』の映画の荒筋については、前回の観戦記にて紹介させていただきましたが、その中に登場する日本軍戦車について紹介させていただく前に、米国の海軍建設大隊について簡単に説明しておきましょう。『血戦奇襲部隊』の作品中でも、その部隊創設過程が概略的に紹介されているのですが、米国海軍が戦闘地域において飛行場や補給基地、港湾施設などを建設し、戦闘支援の為に1941年に組織した部隊で、当初は民間人土木技術者主体で〝土木技師義勇隊(C.E.C.=Civil Engineer Corps)〟と呼ばれていました。時の米海軍港湾施設管理局長であったベン・モレル准将は、以前から民間人土木技術者主体による土木技師義勇隊ではなく、隊員の待遇や部隊への補給等を考慮された海軍の組織内での常設建設部隊の設立を唱えていたのですが、中々海軍の上層部には認められませんでした。しかし1941年12月の日米開戦の結果、海軍上層部は常設建設部隊の必要性を認め、既存の土木技師義勇隊や一般市民からの志願者によって最初の海軍建設部隊が編成されました。そして戦争が進むにつれて海軍建設部隊の規模も次第に拡大して行きます。陸軍が陸上戦闘の主体となった欧州の戦線では、陸軍の工兵隊が戦闘支援を行いましたが、海軍のニミッツ提督が反攻の指揮を執り、海兵隊が陸戦の主体となった太平洋の島々の戦線では、海軍建設部隊が陸軍工兵隊の任に当たる事になります。それは戦闘部隊が編成主体である海兵隊が、補給や医療部門等の戦闘支援部門を全て海軍に依存していた事にもよります。結果太平洋戦線では、上陸した海兵隊に続き海軍建設部隊が大量のブルドーザー等の重機を随伴して上陸し、まだ戦闘下の上陸地点において飛行場や橋、道路、燃料や食料、弾薬の貯蔵施設、病院、兵舎等の建設、設営を行いました。結局第二次大戦下では、総勢32万5千人以上の海軍建設部隊員が、6大陸及び300以上の島々において建設任務に従事しました。第二次大戦後、部隊は平時編成となり人員、規模も削減されますが、1949年から1953年の間の朝鮮戦争時の経験を経て、新たに水陸両用建設大隊(PHIBCBs)及び海軍機動基地建設大隊(NMCBs)が基幹部隊として再編成されます。更にベトナムでの経験を経て、海軍建設部隊は現在では米国海軍及び海兵隊と共に世界的に展開し、海軍施設の維持運営を行い、また旧ユーゴやイラク、アフガニスタン等紛争地域での軍事施設や民間公共施設(病院・学校等)の建設、大規模災害時の救援活動に従事しているそうです。カルフォルニア州西部のベンチュラ郡ポートヒューネム市には、合衆国海軍建設部隊センター(USNCBC=United States Naval Construction Battalion Center)が置かれています。ここには1,600エーカーを越す敷地に全長29マイルの道路と10マイルの鉄道線路、そして大規模な港湾設備を備えた一大海軍基地があり、〝海軍建設部隊博物館〟が設けられています。この博物館は、海軍建設部隊の歴史と成果の記録が集められ展示されており、一般の人々に海軍建設部隊への理解を深めてもらう為に1947年に設立されたそうです。各時代、各地域での部隊装備や兵器、軍服、部隊記章、部隊旗の他、種々の資料が展示されており、米国軍事力の底力を見せつけられる博物館とも言えます。因みに米国海軍建設大隊の公式のモットーは〝Construimus.Batuimus.〟というラテン語で、訳すと〝私達は造る、私達は戦う〟と言う意味になるそうです。これも頭文字は〝CB〟ですね。日本海軍にも建設専門の〝海軍設営隊〟が存在していましたが、海軍の正規部隊編成と言っても人員の大部分が軍属主体で、また人力に頼っていた為、米海軍建設部隊に比べて能力的には大きく劣っていました。
※以上の内容は、海外サイトの英文説明を和訳サイトで強制翻訳したものを基にしていますので、部分的に誤っている可能性が多々あります・・・by.ATF(大汗)

【「決戦」・・・いや『血戦奇襲部隊』】
この『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』の邦題名ですが、『血戦』なんて聞き慣れない言葉が使用されております。辞書で調べたところ『血戦』=血みどろになって激しく戦う事。またその戦いだそうです。因みに『決戦』=勝敗を決める重大な戦いとなっています。以前『西部戦線異状なし』について観戦記で紹介した時に、『異状』と『異常』について書かせていただきましたが、この『血戦』と『決戦』も同様な書き間違いをしそうです。しかし『西部戦線異状なし』程はメジャーな作品ではないので、そんな心配は徒労でしょうか・・・さて、この作品を未見であるとして、邦題と荒筋だけから推察してみると、邦題名の『奇襲部隊』は『米海軍建設大隊』の事を差しているのでは、というイメージがありますが、内容的には〝『奇襲部隊』=『日本軍』〟であるとしか思えません。『日本軍奇襲部隊との血まみれの激戦』って事です。配給会社の宣伝担当者が単純に『戦う海軍建設大隊』ってするよりは、一般映画ファンの興味を惹く邦題って事で命名した邦題と言う事でしょうか!
取り合えず『血戦奇襲部隊』のソフト各種及びポスター関連の画像一覧を紹介させていただきます。米国では数々のVHS及びDVDのソフトが発売されておりますが、残念ながら日本ではVHSで一種類が発売されているのみです。しかもこれは殆んどレンタル用で、一般への販売は無いのではないかと思われます。古い・・・或いは規模の大きなレンタルビデオ店には現在でも在庫されているかも知れません。かく言う私ATFは、某巨大ネットオークションサイトにて一年以上も出品されるのを待って、やっとの事で入手出来ました。字幕無しの海外製DVDでも良いならば、ジョン・ウェイン主演の戦争映画作品ばかりを収録したDVD-BOX『JHON WAYEN AT WAR』ならば、海外通販サイトにて比較的入手し易い様です(ただしリージョンコードが異なる為、日本国内製DVDプレーヤーでは再生出来ません)。昨今、古いハリウッド製映画の版権切れに伴い1000円以下の廉価版DVD(・・・所謂パブリック・ドメイン映画作品)として、多くの作品が発売されていますが、この『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』も何とかDVD化して発売して欲しいものです。さて画像紹介ついでに、引き続き興味深い画像を紹介させていただきます・・・日本軍戦車に関しては今暫くお待ち下さい(汗。
まず紹介させていただくのは、物語中での海軍建設大隊に関連する場面の画像です。
【左上】海軍建設大隊の正式部隊記章だと思われるのですが、詳しい資料がないので良く解りません。人物像の下部に記されているのがラテン語の部隊モットーだと思われます。
【右上】海軍建設大隊設立の正式認可後、隊員の志願募集会場で、面接官の机の前に貼られていた部隊マスコットキャラクターが描かれたポスターです。部隊創設時に早くもマスコットキャラクターが出来上がっているとは、流石はマスメディア・CM大国アメリカであります。
【左下】クライマックスの部隊表彰シーンで登場する、部隊モットーの日本語訳字幕・・・前述の〝私達は造る、私達は戦う〟ではなく〝我らは作り、造ったものを守る〟と訳されています。こっちの方が恰好良いですな・・・。
【右下】新入部隊員の訓練風景です。海軍での水兵訓練らしい(例えば手旗信号とかカッターを漕ぐとか言った)シーンはなく、陸軍や海兵隊式の戦闘訓練シーンを中心に描かれておりました。
次に紹介する画像は、物語中盤における日本軍の奇襲攻撃に関連するシーンの画像で、まだ正式に海軍建設大隊が編成されていない〝土木技師義勇隊〟の頃の場面です。
【左上】太平洋戦争を舞台に描かれた作品の中でも、珍しい日本軍の大規模上陸シーンです。
【右上】日本軍奇襲上陸部隊の指揮官らしい将校です。相変らずおかしな日本語を喋っていますが、注目すべきは、その手に持つ拳銃(黄丸内)・・・画像では小さくぼやけていますが、画面で観る限りではドイツのルガー拳銃の様にも見えます。日本軍将校がルガー(orワルサー)拳銃を所持している場面は、古いハリウッド製戦争映画では良く登場します。南部十四年式とかのプロップ拳銃が無かったのでしょうね。
【左下】日本軍の銃剣突撃は米兵に非常に怖れられていましたが、この作品でも白兵戦において銃剣で米兵を刺し捲っています。
【右下】これは物語後半のシーンで、米軍を悩ませる日本軍の狙撃兵。樹上から狙撃するのなら解りますが、岩場に隠れているのに、何故か枝葉でカモフラージュしている、ちょっと間抜けな日本兵です・・・。
これは土木技師義勇隊による反撃シーンの画像です。
【左上】日本軍の奇襲に対し、民間人土木技師・作業員たちが自ら小銃を手にして、ブルドーザーやスクレーパー等の重機、ダンプカーに便乗して日本軍に立ち向かって行きます。
【右上】日本軍上陸地点に向う重機・ダンプカーの隊列・・・中々迫力満点です。建設重機ファンには堪らないシーンですな。
【左下】ブルドーザーのドーザー部分を盾に、日本軍に迫る民間人土木技師・作業員たち。ブルドーザーを戦車の代用として利用している場面がある作品で思い出されるのは『ハートブレイク・リッジ』そして『コンバット』の中の採石場のエピソードでしょうか・・・そうそう『ガン・ホー』の日本軍通信施設の奇襲攻撃シーンで、海兵隊員が日本軍のロードローラー(トラクター?)を戦車代わりに使用してましたっけ?
【右下】日本軍の激しい砲撃下、横一列に隊列を組み進撃する米軍重機群・・・。そう言えばジョン・ウェイン主演の『グリーン・ベレー』の中で、ブルドーザーで基地の周辺のジャングルを切り開き視界を広げるシーンがありましたな。確かジョン・ウェインの息子が陸軍工兵隊か海軍設営部隊の指揮官役で出演しておりました。
そしてお次は航空機関連の画像です。
【左上】米軍反攻作戦時に、補給の為にX371島の臨時燃料補給基地の滑走路に着陸して来た米海軍のF4Fワイルドキャット戦闘機です。映画が製作されたのは1944年ですが、物語の時期設定にあわせる為に、国籍マークは旧式のものが描かれています。他に実写シーンでは、空母から発艦するブリュースター・バッファロー戦闘機やSBDドーントレス急降下爆撃機なども登場しています。
【右上】F4Fワイルドキャット戦闘機の機銃弾の補給シーン。流石は米軍、コンパクトな脱着式のマガジンにより短時間で弾薬の補給が可能になっています。
【左下】燃料基地の爆撃に来襲する日本陸軍97式重爆撃機・・・邦画『燃ゆる大空』で使用されているシーンの使いまわしらしいです。
【右下】で、そのパイロット・・・日本陸軍式に言えば空中勤務者であります。他のハリウッド製戦争映画に数多く登場する憎まれ面や間抜け面の日本軍パイロットに比べると、ちょっと精悍な顔つきの東洋系俳優が演じております。
次に紹介するのはジョン・ウェイン演じるドノヴァン少佐の特攻シーン?の画像①です。
【左上】日本軍本隊の攻撃に米軍が気を取られている隙に、日本軍別働隊が補給基地の側面を迂回して米軍補給基地に肉迫して来ます・・・これに対しジョン・ウェイン演じるドノヴァン少佐が、ブルドーザーに高性能テルミット爆薬を装着し一番外側の燃料タンクに体当たりさせ、その爆風や炎によって日本軍を撃退する作戦を提案・・・自ら爆薬付きブルドーザーを操り作戦が開始されます。
【右上】ジョン・ウェイン演じるドノヴァン少佐のアップシーン。作戦は問題無く成功するかに・・・見えたのですが・・・。
【左下】しかし、そうは問屋が卸さない・・・密かに待ち構える日本兵・・・構えているのは、なんと小銃ではなく銃剣付きの軽機(96式or99式?)です。
【右下】ブルドーザーが燃料タンクに接近し、速度と進路を固定してから脱出しよう・・・とした瞬間、哀れ日本兵の放った銃弾に倒れるジョン・ウェイン演じるドノヴァン少佐・・・。
そして最後はジョン・ウェイン演じるドノヴァン少佐の特攻シーン?の画像②です。
【左上】息絶えたジョン・ウェイン演じるドノヴァン少佐を乗せたまま、ブルドーザーは一路燃料タンクへ・・・。
【右上】そして遂に・・・(黄丸内にテルミット爆薬が装着されています)
【左下】燃料タンクは大爆発を起こして炎上・・・その火炎に襲われた日本軍別働隊は、大慌てで撤退・・・いえ日本軍には〝撤退〟という文字はないので・・・転進!して行きます。
【右下】しかしジョン・ウェイン演じるドノヴァン少佐の指示により、予め待ち構えていた米軍の待ち伏せ攻撃によって、哀れ日本軍は瞬く間に壊滅してしまうのでありました!

【お待たせしました!ニッポン大戦車軍団】
いよいよ真打登場です!前述の通り、この『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』には、この映画の為に改造?されたと思われる日本軍戦車が登場します・・・しかもなんと四両も!物語後半部における南の島(X371って名前の島)において、米軍の臨時補給基地を巡り、日本軍大部隊との激しい攻防戦が展開される中で、日本軍攻撃部隊の先頭を切って突撃して来るのが、これら日本軍戦車なのですが・・・改めてじっくり画面を観てみると、これらの日本軍戦車の恰好はとっても変・・・いや日本軍戦車らしく見せようとしている努力は認めなければなりません!
①米軍補給基地攻撃に迫る日本軍戦車(赤丸内)を米軍監視哨から望む場面であります。このシーンに登場する迫り来る日本軍戦車は、多分実車ではなく模型じゃないかと思われます。
②米海軍補給基地攻撃に迫る一両目の日本軍戦車(赤丸内)の画像をちょっと大きくしてみました・・・が、でもはっきりした型状は解りませんね。
③米海軍補給基地攻撃に迫る二両目の日本軍戦車(赤丸内)の画像をちょっと大きくしてみました・・・何となく型状が・・・でもやはり何とも言えません・・・な。
④日本軍歩兵の先頭で進む一両目?の日本軍戦車が、次のシーンで型状がはっきりしてきました。車体の装甲が、如何にも木製って感じがするのと、なんだか金網被せてんじゃないのとしか思えない砲塔ハッチと車体側面に描かれたショボイ日の丸?に注目!
⑤ちょっと不明瞭なのですが、一両目に続く二両目(赤枠上)と三両目(赤枠下)の日本軍戦車を後方から見た場面のアップです・・・三両目は一両目と同型状の様ですが、二両目はちょっと型状が異なる様です。車体後部上方に兵士が乗っていますが、これは跨上歩兵・・・ロシア名物タンクデサントなのでしょうか・・・見様によっては防盾付きの機銃?に機銃手を配置している様にも見えますが・・・。
⑥次のシーンで明らかになった二両目の日本軍戦車(赤枠左)・・・やはり防盾付き機銃(速射砲?)に兵員が配置されているのが良く解ります・・・それと転輪配置の間隔も自棄に大きい様に思えるのですが・・・三両目の日本軍戦車(赤枠右)は、何か厳つい型状の車両ですね!

遂に真打が登場!『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』で米軍補給基地に肉薄する日本軍戦車・・・この後、この日本軍戦車たちは、大方の予想に反して派手なパフォーマンスを繰り広げてくれるのです・・・が、なんとまたもや書き込み可能字数に余裕が殆んど無くなってしまいました(涙。お楽しみは次回観戦記へと持ち越しまして、本日の観戦記はこれにて閉演ッ!【まだまだ続くッ】


【File119】十八萬接続達成御礼・・・ボツ原稿サルベージ大作戦/ニッポン大戦車軍団①

2006年06月08日(木)

光あるところに影がある
誠、栄光の影に数知れぬ観戦記ボツ原稿たちがあった
命をかけて『ATFの戦争映画観戦記』の歴史をつくったボツ原稿たち
だが観戦武官諸士よ その企画名を問うなかれ
闇に生まれ、闇に消える 
それがボツ原稿の運命なのだ
折角だが、お前はボツ!


とまぁ今回は、いきなり懐かしいナレーション(もどき)で始めさせていただきます(・・・このナレーションが解る観戦武官諸士は、私と同世代か?)。お陰様をもちまして、我が『ATFの戦争映画観戦記』十八萬接続の栄誉に輝き、観戦武官長も感激一入であります。最近は専ら更新遅延のご迷惑をお掛けしておるのですが、さてそんな状況の影では観戦記執筆に関わる、人知れぬ物語の数々が存在しております。その中で最も多いエピソードのが〝ボツになってしまった観戦記の執筆原稿&企画〟なのであります。〝ボツになってしまった〟理由と言っても、専らその当時におけるATF個人の個々の都合によるもので、一概にコレである、とは言い切れない(まぁ殆んどの場合、ただの面倒くささなのですが・・・大汗)のですが、その〝ボツになってしまった〟原稿の中には、今更ながら考え直してみると〝ボツになってしまった〟いや〝ボツにしてしまった〟事が非常に惜しまれる企画が多々あるのです。事実、資料文献や画像の収集も終わっており、後は文章にまとめるだけ・・・という状態だったものもひとつやふたつではありませんでした。そんな訳で、今回は〝十八萬接続達成御礼〟と言う事で、そんな〝ボツになってしまった観戦記原稿&企画〟の中から、このまま闇の奥(PCデータの中)に埋もれさせてしまうには非常に勿体無いと思えるモノを、サルベージし(引き揚げ)て、ご紹介させていただこうと思います・・・ってオイオイ、また体の良い手抜き観戦記の言い訳かいッ!(自爆&滝汗)・・・前回の【File118】十七萬接続達成記念・・・再録/よろず観戦日誌~男たちの大和と同じゃないのか・・・ッてですか?・・・いえいえ誓って・・・そんな事は・・・滅相もございませんよ・・・いやぁ~参ったなぁ・・・まぁ兎にも角にも今回の観戦記の始まり始まりぃ~(爆汗)。それでは恒例【開演ブザー】・・・携帯電話の電源はお切り下さいませ・・・【文中の様々な書き込みには資料的価値は全くありません・・・(^o^;A】

【映画の中の日本軍戦車・・・外国映画編】
先月(2006年5月)に観戦武官次室でも話題となった、太平洋戦争時にフィリピンで捕虜となった米兵捕虜の救出作戦を描いたハリウッド製戦争映画『THE GREAT RAID(2005/仮邦題:大襲撃)』・・・内容的には日本軍による米兵捕虜の虐待を中心に描かれた反日度数の高い作品に仕上がっておりました・・・でありますが、その中で何と言っても話題となったのが、作品中に登場した日本軍戦車で、英国製の汎用装甲兵員輸送車FV432の車体をベースに、97式中戦車(改)通称チハ改・・・をイメージして改造されたと思われる、非常に完成度の高い出来となっておりました。因みにこの英国製汎用装甲兵員輸送車FV432の車体を利用して「バンド・オブ・ブラザーズ」や「シャーロット・グレイ」に登場した独三号突撃砲や「スターリングラード(2001)」や「戦場のピアニスト」「エニグマ奪還」に登場した独三号戦車も製作されているのは有名な話です。またジョン・ウー監督、ニコラス・ケイジ主演でサイパン戦における米国先住民暗号通信兵を描いた『ウィンド・トーカーズ(WINDTALKERS/2001)』に登場した米軍のM5高速牽引車をベースに改造された95式軽戦車もまた高い完成度で、多くの戦争映画ファンを唸らせていました。因みにこの95式軽戦車は前述の『THE GREAT RAID(2005/仮邦題:大襲撃)』にもチョイ役で出演しており、また今年2006年秋に公開されるクリント・イーストウッド監督による『父親たちの星条旗(FLAGS OF OUR FATHERS/2006)』にも出演している模様です。この様に昨今の戦争映画においては、完成度の高い撮影用改造戦車が登場する様になった事は、戦争映画ファンとしては大変嬉しい事ですが、振り返って見ると今までの海外製戦争映画に登場した日本軍戦車には、それ程印象に強く残るモノが無かった・・・と言えるのかも知れません。参考までに太平洋・中国大陸の戦線を舞台とした作品に登場する日本軍戦車をざっと思い浮かべて見ると・・・
【中国大陸戦線】
■筧橋英烈伝(HEROES OF THE EASTERN SKIES/1975)■
日の丸を付けただけのM10駆逐戦車(中華民国軍所属?)が登場。
■チャイニーズ・ウォリアーズ(MAGNIFICENT WARRIORS/中華戦士/1987)■
中国奥地の少数民族の王国を攻撃する日本軍大部隊に日の丸を付けただけM24戦車が登場。
■ファイナル・ファイター鉄拳英雄(ZHONG HUA YING XIONG/1988)■
T34/85の車体にハリボテの砲塔を搭載した戦車。他に日の丸を付けただけのT34/85が登場。
■紫日(紫の夕陽/PURPLE SUNSET/2001)■
ソ連軍T34/85の大軍に立ち向かう改造ベース形式不明の97式中戦車改らしき戦車3~4両が登場。
■沈黙の鉄橋(七七事変/JULY 7 INCIDENT/1995)■
中国製63式軽戦車がベースと思われる95式軽戦車及びベース車体形式不明の97式?中戦車。
【太平洋戦線】
■バターンを奪回せよ(BACK TO BATAAN/1944)■
クライマックスシーンで日の丸を付けただけのM4シャ-マンが米軍M10駆逐戦車に撃破されます。
■愛欲と戦場(BATTLE CRY/1955)■
クライマックスシーンで日の丸を付けただけのM4シャ-マンが登場。
■大戦争(IN LOVE AND WAR/1958)■
ダミー砲身を搭載したM5スチュアート軽戦車が日本軍戦車役で登場。
■裸者と死者(THE NAKED AND THE DEAD/1958)■
日の丸を付けただけのM4シャ-マンが登場。
■戦場よ永遠に(HELL TO ETERNITY/1960)■
M48ベースの車体にハリボテ砲塔を搭載した97式?中戦車・・・ハチマキ型無線アンテナ付き。
■太陽の帝国(EMPIRE OF THE SUN/1987)■
日本軍進駐シーンでM4シャーマン戦車ベースの89式中戦車?が登場。
・・・なんて作品が思い浮かびます。中国製戦争映画に登場する日本軍戦車は、それなりの改造が成されており見た目も結構日本軍戦車らしいですが、これら中国製戦争映画に登場する日本軍戦車については、登場する日本兵の軍装と一緒にまた別の機会に詳しく紹介させていただくとして・・・さて肝心の日本軍戦車が登場するハリウッド製戦争映画ですが、上記で紹介した作品くらいで他には余り思い浮かびません。しかもこれらの作品に登場する日本軍戦車は、殆んどが米軍戦車に日の丸を付けただけ・・・のような傾向が多く見られます。例えば太平洋戦争を舞台とした作品の多くで零戦役として登場する機体としては、まずA6テキサン等を改造ベースにした機体が有名で「トラトラトラ!」に登場した機体を始めとして、それなりの改造がされていて零戦らしく見せている場合が多い(中には素のままの機体もありますが・・・)ですが、元々配備数も少なく、米軍にとっては余り脅威でもなかった日本軍戦車には、ハリウッドの映画製作陣はそれ程リアリティを追及する意欲は湧かなかったのでしょうか・・・まぁ日本兵の軍装からしていい加減なモノが多いですからねぇ・・・

【映画の中の日本軍戦車・・・本物編】
しかし、そんなハリウッド製戦争映画の中には、なんと本物の日本軍戦車が登場する作品があります!まずは〝ミスター・アメリカ〟ことジョン・ウェインが海兵隊の鬼軍曹を演じた『硫黄島の砂(SANDS OF IWOJIMA/1949)』であります・・・
①ストライカー軍曹の分隊が、日本軍トーチカからの銃撃に釘付けにされた時、救援に現れる火炎放射型M4シャーマン戦車のシーンの背景に登場した擱坐した95式軽戦車
②摺鉢山の攻撃直前、ストライカー軍曹と上官シュライヤー中尉の打ち合わせシーンの背景に登場した擱坐した95式軽戦車のアップ・・・火炎放射型M4シャーマン戦車のシーンに登場した車両と同一車両か?
③摺鉢山攻撃開始シーンに遠景で登場した擱坐した95式軽戦車
④↑をちょっと拡大してみました
この『硫黄島の砂(SANDS OF IWOJIMA/1949)』は、米海兵隊の演習場で撮影されたらしいので、米海兵隊の戦利品を撮影用に借用した車両かもしれません。
そしてもう一作品・・・日本軍占領下の島に上陸した海兵隊偵察チ-ムの苦闘を描いた『橋頭堡を攻撃せよ(BEACHHEAD/1954)』には砲塔に旭日旗(軍艦旗?海軍陸戦隊所属か?)が描かれた95式軽戦車が登場・・・するのですが、何と勿体無い事に・・・
①海兵隊員たちの前方の木陰に潜む95式軽戦車・・・と、その砲塔に描かれた旭日旗(軍艦旗?)
②反対側から見た95式軽戦車・・・日本兵の小銃の叉銃の向こうにはっきりしないが、微かに転輪が見える
③この戦車が後々味方にとって障害となる・・・との歴戦の軍曹の判断で戦車を攻撃する事に・・・
④一人の海兵隊員が車体に攀じ登り、砲塔に手を掛ける
⑤砲塔ハッチから、手榴弾を投げ込む
⑥その時、日本兵(画面向かって左上方)と海兵隊員(画面手前)とで銃撃戦が始まる・・・95式軽戦車は赤丸の中
⑦砲塔ハッチから手榴弾を投げ込んだ直後、砲塔内から伸びた日本軍戦車兵の手が海兵隊員の身体を掴んだ・・・37mm主砲の口径が良く解る
⑧次の瞬間、爆発横転し激しく炎上する95式軽戦車(赤丸内)
⑨炎上する95式軽戦車・・・画像を観た限りでは、砲塔内部からも炎が噴き出している様に見える
⑩炎が一瞬途切れ、車体上部及び砲塔の形状を明瞭に捉えたシーン
本当に燃やしているとしたら、なんと勿体無い事でしょう・・・が、何分録画したのが二十年近い古いVHSなものなので合成かどうか判別出来ません。DVD化される事を祈るばかりです。因みに日本公開時の劇場用パンフによれば、この『橋頭堡を攻撃せよ(BEACHHEAD/1954)』において日本兵を演じているのは、ハワイ駐留の日系二世部隊員だそうです!
そして最後の作品は・・・正直この作品は詳しい資料がないので本物かどうかはATF的には判定出来ません・・・判定は画像をご覧になった観戦武官諸士の目に委ねたいと思います。この作品はDVDで最近発売され・・・たのですが、製作されたのは今から20年前の1986年・・・しかも米国のテレビ用長編ドラマ・・・と言う知る人ぞ知る『フィリピン陥落-バターン半島1942-(WOMEN OF VALOR/1986)』・・・フィリピンで日本軍の捕虜となる米軍の看護婦がヒロインのお話ですが、その中で日本軍の捕虜となったヒロインたちが収容所へと連行される〝死の行進〟シーン・・・その道端になんと・・・
①連続する複数のシーンを繋ぎ合わせているので見難いのですが、起動輪や転輪などの足回りや車体の形状からすると本物としか思えない89式中戦車・・・参考までに実車画像と比較下さい
②行軍する米軍の捕虜の列を上方から写した俯瞰シーン(赤丸内)では、車体後方の様子が解ります・・・でも何か砲塔が小さ過ぎる様な気も・・・更に車体後部のエンジン部上方には何も無いぞ・・・車体後方には野砲が置かれていますな
でも待てよ・・・最初の画像では、この戦車は行軍する捕虜の列に対して向って左側に停車していたんじゃ?・・・で、よくよく観直してみると・・・なんと言う事でしょう!
③画像中央上方やや右寄り(黄丸内)に微かに写っている車体が・・・なんと、この作品には二両もの89式中戦車が登場していたのでありました!
たったコレだけ(時間にして2分もありません)のシーンに、本物いや本物じゃないとしても、コレだけ出来の良い日本軍戦車を登場させるとは・・・将に米国恐るべし!であります・・・な。
さて海外、主にハリウッド製戦争映画に登場する日本軍戦車を紹介して来ましたが、正直これらの作品に登場する日本軍戦車は、戦闘シーンにおいて活躍するシーンは殆んどありません。大抵の場合は場面の中ででんと停車しているだけか、ちょこっとだけ動いているくらいです。作品中で米軍に大きな脅威を与えるキャラクターとして登場するのは、今のところ最初に紹介した『THE GREAT RAID(2005/仮邦題:大襲撃)』『ウィンド・トーカーズ(WINDTALKERS/2001)』に登場した日本軍戦車くらいです。正直なところ太平洋戦線における実際の日本軍戦車は配備数も少なく・・・一部を除き連隊単位は良い方で大抵は独立中隊程度の規模・・・また性能的にも米軍の主力戦車であったM4シャーマンには殆んど歯が立たなかったので、ハリウッドで製作された戦争映画の中でも、脅威となる存在には描かれ難かったのだと思われますね・・・。

【ニッポン大戦車軍団・・・『血戦奇襲部隊』】
しかし探せばあるもので、そんな多くのハリウッド製戦争映画の中にあって、日本軍戦車が大挙?して米軍に襲いかかる場面のある作品が存在するのをご存知でしょうか?それが今回ご紹介する『血戦奇襲部隊(THE FIGHTING SEABEES/1944)』なのであります。まだ戦時下の1944年に、ボーデン・チェイスの原作を製作アルバート・J・コーエン、監督エドワード・ルドウィグ、脚本は原作者ボーデン・チェイスとイーニアス・マッケンジーの共同、撮影ウィリアム・ブラッドフォード、音楽ピーター・デロースが担当して製作された、ぶっちぎりの戦意高揚映画です。出演はこれまた〝ミスターアメリカ〟のジョン・ウェインで、共演のヒロインはスーザン・ヘイワードという豪華な配役なのであります。
さて【あらすじ】ですが・・・
太平洋戦争緒戦時・・・多くの建設技術者たちが、太平洋の島々で米軍の港湾施設や基地建設工事に従事していた。彼らは、法的には民間人な為に武装出来ず、日本軍の攻撃によって多くの犠牲者を出していた。建設技師の一人ウィッジ・ドノヴァン(ジョン・ウェイン)は、そんな状況を憂い、所属する臨時建設部隊指揮官ヤーロウ少佐に部下の護身の為の武装を絶えず要求していたが許可されなかった。ヤーロウ少佐指揮下で新たに編成された建設部隊が、ある島へと向う命令が発令された。部隊には少佐の恋人で通信記者のコンスタンス・チェスリー(スーザン・ヘイワード)も同行する事になった。島での暮らしは何かと不自由だったが、そんな中でコンスタンスとドノヴァンは次第に親密になっていった。工事は日本軍の爆撃に阻まれて捗らず、ドノヴァンの憤りも次第に溜まっていった。そんなある日、島に日本軍部隊が奇襲上陸して来た。押され気味の米軍守備隊の苦戦を見たドノヴァンら技術者たちは一斉に銃を取り、ブルドーザーやダンプカーなどに乗り込み日本軍に反撃した。しかし戦闘に不慣れな為に大きな犠牲を出した。また戦闘によってコンスタンスも重傷を負う。救護所に横たわるコンスタンスに愛を打ち明けるウェッジ。帰国したヤーロウ少佐とドノヴァンは今までの経験から、建設作業と戦闘の両方に従事できる海軍建設部隊の編成に着手した。部隊には全国から多くの建設技術者たちが志願し、厳しい訓練が行われた。そして晴れて海軍建設大隊(Naval Construction Battalion)が編成された。やがて建設大隊は、その頭〝Construction Battalion〟の頭文字〝CB〟と海の働き蜂〝Sea Bee〟を掛け合わせ〝Seabees〟の愛称で呼ばれる様になる。ドノヴァンも海軍少佐に任命され大隊長となった。ヤーロウも中佐に昇進し部隊指揮官となった。米軍の反攻作戦が始まり、海軍建設大隊は後方支援の為の燃料補給基地設営の為に、日本軍のいる島に上陸。日本軍の反撃を撃退し、ただちに燃料補給基地の建設にとりかかったが、日本軍の反撃で作業は難渋した。特に日本軍狙撃兵によって多くの犠牲者が出た。その危険の中で戦闘機への補給も繰り返し行われていた。業を煮やしたドノヴァン少佐は、命令を無視してジャングル奥地の日本軍掃蕩に出発するが、その間隙を突き裏をかいた日本軍大部隊が戦車を先頭に基地へ襲いかかった。味方の守備隊は少数な為に、日本軍の優勢な攻撃に苦戦、遂には指揮官のヤーロウ中佐も重傷を負う。そして基地の窮地を知り、急ぎ戻ってきたドノヴァン少佐に燃料補給基地の死守を命じて息絶えた。ドノヴァン少佐は自分の短気な行動を悔い、巧みな指揮で日本軍の攻撃を激戦の末に阻んで行くが、その間に日本軍の別働隊が燃料タンクに接近していた。それを知ったドノヴァン少佐は、テルミット爆薬を装備したブルドーザーを燃料タンクに態と体当たりさせて爆破し、日本軍を撃退しようと単身試みるが、ブルドーザーから脱出する直前に日本兵に狙撃されて戦死。しかし燃料タンクの爆破には成功し、日本軍部隊に炎が襲い掛かった。こうして日本軍の奇襲攻撃は失敗し、燃料補給基地は救われ米軍の反攻作戦も無事に成功した。帰国した海軍建設大隊と兵士たちの武勲が称えられ、戦死した者たちも含めた叙勲が行われたのであった・・・。

ざっとあらすじをご紹介したところで、それではいよいよその日本軍戦車軍団の攻撃シーンをご紹介しま・・・っと行きたいところなのですが、ここで残念ながら時間・・・いや書き込み可能字数一杯になってしまいました・・・お楽しみは次回観戦記と言う事で、今回はこれにて〝襲撃〟・・・いや〝終劇〟【続くッ!】
【2006/06/18】Air-Attache様のご指摘により一部加筆修正

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