買っちゃったんでね…。 しかも、ぽちっとしやがってね…。
妻が写真教室なるものに参加してきた。
「ものすごく楽しかった」 「今までわからなかったことがよーくわかった」
ひとしきり、どんだけためになったか演説される。
いつもどおり上手に聞き流す。 そりゃよかったですね。 有意義な時間が過ごせて。
「でも」
はっ。出た。
でも。
嫌な予感がする…。
「うちのデジカメでは、習ったことが生かせない」 「絞りもシャッタースピードも変えらないし!」 「ISOはいじれるけど、めんどくさい」
あ、あの…。
「デジイチを買わねばっ」
ああ。 やっばり。
なーんでアナタは何でもかんでも物欲に直結するかなあ。
こないだだって、ヨガ始めたからとか言って、ヨガマット買ったでしょ。 その前にDVDも買ってたでしょ。 でも、ヨガやってるの見たことないですよ。
「そ、それは」 「人様にお見せするようなものではないから」 「決して見られない時間帯にやってるんだよ」
そんな、鶴の恩返しじゃあるまいし。
「それに、今話してるのはヨガのことじゃないもん」 「みんないいカメラ持ってるんだもん」
みんなって。 コドモかお前は。 ヨガだって道具ばっかり買ってろくすっぽやってないんだから、 カメラなんか買ったって、どうせ置物になるだけですよ。
それに我が家には今、もっと根本的な問題がありますよ。 うちはお金がないんでしょ。 ないないって毎日毎日ぶーぶー言ってるのはアナタですよ。
「何言っちゃってんの」 「ないのは、日常的に暮らすお金」 「こんな非日常的な出費は別」 「だって、そのうち孫が生まれたらどうせ買うんだから」 「貯金から出すなら、今でもちょっと先でも同じじゃん!」
ああ、なんだかまた訳のわからないことを言い出したぞ。 だいたいちょっと先って、我が家の娘達が子どもを産むのなんて、いつになるかわからないだろうが。 その前にまだまだ学費が…
「いや、産むね」 「そんな先のことじゃないね」 「私にはわかる」 「その前に腕を磨かねばなりません」
…。
こいつ、デジイチ欲しさに、おかしな占い師みたいになってきたぞ…。
で、今日は買い物に行くんですかね?
「うーん。米は昨日アンタが買ってきたし」 「どうしても行かなきゃいけないわけじゃないけど、あ、鶏肉」
…。 あの、鶏肉?
「ああ、鶏肉買いに行ったほうがいいかもしれない」
なんですか、その曖昧な答えは。 まあ、鶏肉くらいなら自転車でちゃちゃっと行けるでしょう。 あなた、ここのところ、まともに外に出てないんだから、運動がてら行ってらっしゃいよ。
「うん…。風が」
…。 ものぐさが過ぎて、得意の舌も滑らかに回らなくなってきてるな。いや、頭かも?
風が強いから自転車で行くのはしんどいんですね。
「でも、車じゃ運動に」
なりませんよ。 しかも、アナタが運転するわけじゃないんだから。 あ、歩いたらどうです。たいした距離じゃないですけど、自転車よりは運動になりますよ。
「あっ、そういえばワ◯ールさんがくれた万歩計があった!」
急に元気になって、うれしそうにパッケージをびりびりと開けている。 ほんとに新しいものが好きだな。 飽きるのも早いけどな。 まあ、ともあれ、ワ◯ールさん、ありがとう。 妻が買い物に行く気になりました。 あ、そのパッケージ、ちゃんと捨ててくださいよ。
「ああ、うん。でも、肩…」
はい?
「肩が痛くて荷物が持てない」 「仕方ない供の者を募集しよう」
募集ってアナタ、子どもは宿題に追われて部屋にこもりっきり。
「あと何分?」
は?
「何分で支度できる?」
はいはい。 私ですね。 そうですよね。
まあ、私も運動するのはやぶさかでないですからね。 いいでしょう。 お供しましょう。
妻が買い物をしたのは、荷物もレジでつめてくれるちょっと高級なスーパー。 持参したエコバッグに荷物を入れてもらった妻を待ち受けて、中身を僕のバッグに移す。 えーと汚れなさそうなものは…。
「何してんの」 「そんなまどろっこしいことしなくていいよ」
エコバッグの口をくるっと丸めると、まるごと僕のバッグにぐぐっと押しこむ。 あっ。こら、そんなには入りませんよ。
ずぼっ。
「入ったね」
お、重い。
「あ、玉ねぎもらう?」
なんで玉ねぎピンポイント? もういいですよ、めんどくさい。
「ユ◯クロか本屋に寄る?」
いや、もう重いし…。 あ、でも、ユ◯クロに自転車にいいズボンがあるかな。
ちょろっとユ◯クロを流すと。
「私は本屋ね」
ってなぜ僕がユ◯クロにいる間に寄ってしまわないのだ。
結局2軒とも妻を見張りつつ流し。 やっと帰宅できました。
思い通りに散歩できてご機嫌な妻は、 夜、録画していたバラエティで、ある芸人さんの奥さんが、 「夫に点数をつけるなら、100点以上です」 などとコメントを寄せていたのを見て、
「うちの夫は200点以上です」
などと調子のいいことを言っている。
しかし、褒められるのは悪い気分ではないな。
でも、まあ、そんな。 僕なんて50点くらいですよ。
「え?じゃあ、あと150点は何してくれるの?」
ってお前、謙遜という言葉を知らんのか。馬鹿者。 あっ!しかも、さっき開けた万歩計のパッケージがそこに転がったままじゃないかっ。
「ああ、150点分?」
燃えるゴミと燃えないゴミに分別して、捨てておきました…。
2012年05月04日(金) |
ちょっと見たかっただけなのに |
みなさま、ゴールデンウイークいかがお過ごしですか。
僕は、少し前についに自転車を購入したのですが、天候(と妻の機嫌)に恵まれず、なかなか乗る機会が得られません。 先日、妻の機嫌を伺いながらお暇をいただき、やっとスカイツリーまで行ってきました。自転車納入日から2週間目のことでした。
明日も前々から予約を入れ、お暇をいただけることになっているので、晴海のあたりまで行ってみたいと思っています。
なので、今日は休養日。 幸い娘たちも出かけて家が静かなので、会社帰りに借りてきたふるーい映画のDVDを堪能することになっております。
「なんか、辛気臭そうな映画だよね」 「わざわざゴールデンウイークにこんな景気の悪そうなものを」
しまった。いちばんうるさい人が残っていたか。 まあ、無理に見ろとはいいませんよ。 でも、午前中にご要望におこたえして車も出したんだから、ちょっと静かにしててくださいな。
さてと…。
あれ?これどこに入れるんだ? あの…?
「はー、今日は電脳ちゃんがいないからねぇ」 「自力でやるしかないわねぇ」
何を言ってるんだ。 DVDくらい見られますよ。 ちょっと久しぶりだから手間取っているだけですよ。
かしゃっ、ういーん。
ほらできた。 ぼちっとな。
「なんだか操作音がいちいち平仮名で聞こえるんですけど?」
うるさいなあ、しっ、ほら、始まりましたよ、静かにっ。
あれ?
これはどうしたことだ。 字幕が見えないぞ。
「こんな古いの借りてくるからだよ」 「あーあ」 「どうしましょ」
いや、なにか手立てがあるはずだ。 どっちのリモコンだ? ぴっ。ちっ。これじゃない。 こっちか? 何も変わらない…。 そもそもなんでリモコンが2つもあるんだ。
「しょうがないなー」 「貸して」
妻がぴっぴっとリモコンをいじると見たことのない画面が次々出てきて、字幕が見えるようになった。 どこ押してるんだ。早すぎてわからない。 そもそもどっちのリモコンを使ったかもよくわからなかった。
まあ、とにかくありがとうございました。 さあ、では、ゆっくりと。
あれ? うーん。
あ、あのー、お手数ですけどね、この時刻とかHDDとか、邪魔なんですけど、消えないんですかね。
「めんどくさい人だねえ」 「それは画面表示のボタンを押せば消えるから」 「そのアンタが左手に握りしめてるリモコンだよ」
えっ、画面表示? どこにそんなボタンが。 そんな名前のボタンはありませんよ。
「あるよっ。ここだよっ」
妻がずかずかと近づいてきて、どっかをぽちっとしたら、表示が消えました。
「ふっ」
いつものように勝ち誇られましたとも。
はー、なんかもう疲れちゃったなあ…。
それでも気をとりなおして画面に向かい、いい気分になってきたあたりで、 しばらくカチャカチャとおとなしくキーボードを打っていた妻が言った。
「ねーねー、この映画5分おきにチラ見するだけでストーリーがわかるんだけど」
うるさい…(涙)
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