あたし達は、その場に立ち尽くす。 暫くの間、月を仰ぎ見ていた。 淡い光を照らす月光を浴び、不可思議な現象の余韻に浸る。 「可愛かったね」 とあたしが言うと、「うん」 とレンは微笑み頷いた。 「さあ〜てと!」 あたしは大きく伸びをする。 「帰ろうか?」 「そうだね」 帰り道、あたしはレンに問い掛ける。 「これで、全ては元どおりだよね?」 これに対しレンは、 「違うよ」 と言う。 「……えっ?」 あたしは驚く。 レンの答えは、あたしの予想外のものだった。 「あの子は月に環ったけど、すぐに時間の感覚が戻る訳じゃないよ。 安定するまで、もう一月くらいかかる」 「そんな!?」 思わず悲鳴めいた声を上げる。 そして数日後。 その日は満月だった。 あたしはベッドの上で、何度も寝返りを打つ。 暇を潰す為に、ネットをやったりした。 しかし、いつまで経っても時間は進まない。 十分過ぎる程に睡眠をとったので、すっかり目は醒めてしまっている。 (う〜〜……) あたしはまた、ゴロンと寝返りを打つ。 (早く朝になってよー!?) 明けるのが遅い夜が続いた。
fin. (第一話・終)
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