徒然なる Short story 集

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『月のカケラ』十四

2008年02月02日(土)

 あたし達は、その場に立ち尽くす。 
 暫くの間、月を仰ぎ見ていた。
 淡い光を照らす月光を浴び、不可思議な現象の余韻に浸る。
「可愛かったね」
 とあたしが言うと、「うん」
 とレンは微笑み頷いた。
「さあ〜てと!」
 あたしは大きく伸びをする。
「帰ろうか?」
「そうだね」
 帰り道、あたしはレンに問い掛ける。
「これで、全ては元どおりだよね?」
 これに対しレンは、
「違うよ」
 と言う。
「……えっ?」
 あたしは驚く。
 レンの答えは、あたしの予想外のものだった。
「あの子は月に環ったけど、すぐに時間の感覚が戻る訳じゃないよ。
 安定するまで、もう一月くらいかかる」
「そんな!?」
 思わず悲鳴めいた声を上げる。
 そして数日後。
 その日は満月だった。
 あたしはベッドの上で、何度も寝返りを打つ。
 暇を潰す為に、ネットをやったりした。
 しかし、いつまで経っても時間は進まない。
十分過ぎる程に睡眠をとったので、すっかり目は醒めてしまっている。
(う〜〜……)
 あたしはまた、ゴロンと寝返りを打つ。
(早く朝になってよー!?)
 明けるのが遅い夜が続いた。





 fin.
(第一話・終)


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如月なつき [MAIL] [HOMEPAGE]