それから数日…… 特に何がある訳でもないんだけど。 でも、何かおかしいような気がしなくもない、はっきりとしない違和感があった。 はっきりとしないので、あたしはレンになんと言っていいのかわからず。というより、気の所為かと思って何もいう気が起きなかった。 しかし、漠然とした違和感はあたし以外の人間も感じてたらしい── 同じクラスの子や、同じ学年の子。それだけにとどまらず、違う学年の子たちも、似たような疑問を発していた。
「最近、何かおかしいような気がするんだけど…… それが何なのかわからないんだよね〜」 「あ〜!? うんうん! 実は私もそう思ってたんだ」 「私も〜」 「実は……」 「えっ、あんたも?」 「でも、何が変なのかがわからない…… 喉元まで出かかってるって感じで、気持ち悪いよね〜」 「うんうん! わかるその気持!」
てな感じで。 (みんな似たような疑問抱えてるな〜) なんて、何の気なしに考えてたのだが…… 私は、ある共通点に気がついた。 同じように疑問を訴えてる人達って、あたしやレンと同じマンションの住人だったり、その近所に住んでる人達だったのだ。 (もしかして…… あの石が関係あるの!?) そう思ったが、疑問に感じる違和感が何なのか、まだあたしにはわからない。 なので…… あたしは、レンに尋ねられないままでいた。 わからないままに尋ねるのは、何となく癪に障るから。 誰かが言ってたけど、喉元まで出かかってるんだ。 だから、あともう少し、自分で考えてみよう──そう思っていた。 ちなみに、あれから三日後の体育の時間。 その日は雨で、男子は屋内でバレーボールをやっていたんだけど……
「っ、ぎゃああぁぁ〜〜!? いった〜〜!!」
またもやレンは悲鳴をあげたそうな。 ボールを拾う為、滑り込んでレシーブをした途端に…… 「うぅ…… 胸ポッケなら安全かと思ったのに〜」 石と床でこすれて痛めた胸を撫でさすりながら、レンはあたしに言った。 泣きそうな感じに眉をよせてる彼にあたしは言う── 「だから言ったでしょ。 そういう問題じゃないよって──」
それから、更に数日経ち、やっとであたしは違和感の正体に気付いた。 それは── 『時間』だった。
つづく
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