コラム 金財茶房 〜 投資のゴマはこう開け!〜


2004年10月30日(土) 通貨の価値について


【お知らせ】

来週はセミナー(東京)、香港出張 のため
コラム 金財茶房 はお休みさせていただきます。

悪しからずご了解くださいませ。


こんにちは、カン・チュンド です。

私たちはふつう、
「今日買えるモノは 明日も(同じように)買える」と思います。

ところがある朝、スーパーに買い物に行くと

今まで買えていた品物が
(お金が足りなくて)まったく買えなくなっている・・。

こんな事態になったら、皆さんはどうしますか?

(んー、そもそもこういう状態、想像できますでしょうか・・?)


上記は(単に)モノの値段 が上がったわけではありません。

お金(通貨)の【価値】が急に下がってしまったために、
(結果として)モノの値段 が跳ね上がったのです。

つまり、あなたの財布には たくさんの紙幣があるけれど、
その 価値 は日に日に目減りしている状態・・。


私たちは(たまたま)このような「お金の価値*変動」を
経験していませんが、

(例えば)南米ペルー では 短い期間に 年金利1000パーセント に
なるような「ハイパーインフレ」を経験しています。

また、イギリスの通貨「ポンド」のように、長い時間 をかけて
ゆっくりゆっくりその価値が減少してきた 通貨 もあります。


< だいじな基本 >

◆ お金の価値は いつも同じではない・・。


特に お金(通貨)が 金(ゴールド)の「裏付け」を失って以来、
お金 は【揺れ動く資産】として認識されています。

その国の政治、経済、将来性などの「長期的要因」、
また利ざやを求めて売り買いされる「投機的要因」などにより、

お金(通貨)の【価値】は日々変動しているのです。

(もはや 債券 や 株式 と同じ!?)


(例えば)最近は 資源 を有している国の通貨が高いですね。

オーストラリアドル(アメリカドル に対して・・過去2年)

カナダドル(アメリカドル に対して・・過去2年)


今後(長期的に見て)
【資源】に対する 需要 が増加することが考えられます。

( → 中国 や インド の人たちが豊かになっていくさまを
想像してみてください・・)

その結果、【資源】を有する オーストラリア や カナダの
「通貨」に対する需要が増す 

→ (その国の)お金の価値が上昇する ということなのです。

そういう意味では「ロシア ルーブル」も注目ですね。

(なにしろすごい石油の埋蔵量ですから・・)

ロシア ルーブル(アメリカドル に対して・・過去2年)


ここ70年くらいは アメリカドル が世界の「基軸通貨」でした。
(未だに)世界貿易の約半分は USD建て決済 です。

自分のところのお金より USD を信用している人たちはたくさん居ます。

(実は アメリカ国内にある ドル紙幣 より、
海外にある ドル紙幣 の方が多いのです・・)

また、表に出てこないお金(地下経済のお金)の相当部分も
USD で保有されているでしょう。

(それが「基軸通貨」というもの・・)


しかし、この USD支配 も
大きな「転機」を迎えているのではないでしょうか?

今後、世界は 一極パワー から、
多極的なパワーオブバランス の時代に移行していきます。

(ユーロの上昇はその兆候では・・?)

これから USD が(相対的に)安くなっていけば、
世界の多くの人が「損」をしてしまいますね。

(USD が安くなることに、
アメリカ自身がメリットを感じている部分もあり・・)

そうした【不安】を感じて、政府 や 企業 (一介の個人までも)が
ドル以外の 外貨保有割合 を増やしているのです。

もはや世界の通貨は USD という「窓」から覗けばよい、
という単純な図式ではなくなりつつあります。


ひとつだけはっきりしていることは、
「弱い国の 通貨 を持つと損をする」ということです・・。



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2004年10月26日(火) ボールゲームと経済について


こんにちは、カン・チュンド です。

日本シリーズ が終わると、もう秋だな と思ってしまいます(笑)

わたしは プロ野球 が好きです。

小学校5年の時、
友達と一緒に西宮球場へ行き「阪急 VS 近鉄」を観ました。

甲子園球場ではラインバック選手のホームランも観ました。
(もちろんライトスタンドで!)

野球場は円状の大きな「舞台」であり、
そこでは 興奮 や 熱気 が自然に孵化されます。

(まさに少年に帰ったような感覚・・)


さて、日本ではプロ野球こそが 娯楽の王様 であり、
(文字通り)長期間 君臨 してきました。

今、プロ野球の再編問題が大詰めを迎えていますが
(12球団にしろ、10球団にしろ)、

わたしは「果たしてこれからやっていけるのか?」
という 不安 を感じます。


(例えば)今までプロ野球人気を支えてきたのは誰でしょうか?
答え) 40代以上の男性 です。

(当たり前の話ですが)40代以上の男性 諸氏は、
年々年老いていきます。

わたしは今36歳なのですが、わたしの世代がちょうど
「分岐点」になっているのではないでしょうか?


わたし「Aさん(36歳)は 野球 好きですか?」
Aさん「いやあ、ぼくは野球にはあんまり興味ないんですよ・・」

わたし「へえ〜、そういう人もいるんだ」という 感想 です。

ところが、これが 20代 になると
「プロ野球? あんまり観ないですね・・」が 普通 になり、

10代 になると、「ぼくって 野球 やったことないです」
という セリフ が聞かれるようになります。


プロ野球興行 も立派な「ビジネス」です。
とすれば、将来のお客様 を見据えないといけません。

野球ビジネスの今後を担う お客様(若い世代)は、
まず 野球 というものを「絶対視」しません。

「あっそう。ひとつのスポーツだよね」、です。

(それはそうです)


サッカーもあれば、スケボーもあり、ゲームボーイもあれば、
インターネット小説もある世の中なのですから・・。

娯楽を巡る 競争 は激しく、
かつ将来のお客様(若い世代)人口 は年々減っています。

はっきりしていること)

今、娯楽の「王様」として 君臨 している椅子は、すでにきしみ始めている。

しかし、人は その椅子にいつまでも座れると思っています。

この 座り場所 はいつまでも変わらないと錯覚します。

今まで確かだったことは、
これから先も(同じように)確かである と思ってしまうのですね。


今までの「成功」が、サッカー(中国)や、
スケボー(LG)や、ゲームボーイ(インドのソフト産業)の
存在 を見えにくくしているのではないでしょうか?


さて、(仮に)テレビ欄から プロ野球中継 がなくなれば
どうなるのでしょうか?

答え)それに代わる 番組 が登場するだけです。


(野球に興味がない方はテレビの前でず〜っと思っていましたよね。
「どうして 野球ばっかりなのよ!!」と)


テレビ にも、経済 にも「代わり」はいくらでもいるのです。

もしかすると、野球マニアのために2015年時点では

ケーブルテレビ214チャンネルで 細々と有料放送が
行われているかもしれません・・。


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2004年10月22日(金) ゴッホはなぜ、耳を削ぎ落としたのか?


こんにちは、カン・チュンド です。

(念のため)上記標題 は、わたしが思いついたものではありません。
(たしか)村上 龍 氏 の小説の中で使われていた言葉です。

実は最近、ゴッホ の画集を読み返しています。

きのう目に留まったのは「耳を切った自画像」です。

Self-Portrait with Bandaged Ear


彼の 自画像 を見つめながら、
「ゴッホはなぜ、耳を削ぎ落としたのか?」

という問いに対する 答え がふと浮かびました。

ゴッホ は「 耳(聴覚)なんて必要ない・・」
と、無意識に思っていたのではないか、と。

(彼は目を突いたのではなく、耳を削ぎ落としたのです)

耳(聴覚)を遮断することで、
目(視覚)= (絵を描くことの)感性 を
研ぎ澄ませたかったのではないか、

というのがわたしの邪推です。


まあ、今お話したこと自体、
一種異様な 想像 ですよね。

この 耳の事件 をはじめとして、
ゴッホ には(なぜだか)狂気の画家
というイメージがつきまといます。

黒澤 明 監督 の「夢」で描かれていた ゴッホ も、
ブツブツわけのわからないことを言いながら、

一心不乱に 筆 を動かしている人でした。

(ちなみにゴッホ役は
 アメリカの映画監督 マーティン・スコセッシ・・)

(確かに)絵を描いている最中の彼は
(一種)狂気 の状態であったかもしれませんが、

その前段階、つまり、

絵を描くに至る「プロセス」の段階では、
実に 緻密で、論理的な思考を行っていたとわたしは思うのです。

それは 弟のテオ に宛てた数多くの「手紙」を読めばわかります。

ゴッホの手紙(中)(下) (岩波文庫)

 
ゴッホは、これから描こうとする絵の「コンセプト」について
弟に語り掛けます。

「自分がなぜ、この風景を、この人を描きたいのか・・?」

「わたしが描きたいのは、この風景の ○○さ なんだよ・・」と。


彼は 弟テオ に手紙を書くことで、
絵を描くに至る 思考・戦略 について自身を掘り下げ、
また、絵を描くことの「必要性」を再確認していたのだと

わたしは思うのです。


描写の『手法』についても、ゴッホ は事細かに語っています。 

(自分の中で)たったひとつ追い求めている
「赤」の具体的なイメージ、

そこに至るための 絵の具の重ね方 について、
あるいは、一本の「木」の、具象の仕方 と その意味付け について・・。


ゴッホ は、弟テオ に語りかけることで、
己の漠然としたイメージを、

具体的な【作品】に昇華させていったと思うのです。

そういう意味で、ゴッホの 絵 は 弟テオ との 合作 です。


わたしは、ゴッホという芸術家は(その本質のところでは)
非常に鋭利な 分析能力 を備えた人物だったと推察します。

そんな彼が、自らの耳を削ぎ落とし、

(結果として)聴覚という 感覚 を拒否しながら、
ひたすら絵を描き続けていた姿を想像すると、

ちょっと胸が痛くなってしまいます・・。


ともかく、画家は 絵 によって人生を語る者ですから、

ご興味ある方は ぜひ ゴッホの世界 に触れてみてください。


では皆さん、よい週末を!



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2004年10月19日(火) お待ちどうさま! 確定拠出年金「個人型」です。


こんにちは、カン・チュンド です。

自営業者の皆さん、お元気ですか?

ところで皆さんは、国民年金に上乗せできる
「国民年金基金」という制度をご存じでしょうか?

この制度の画期的なところは(公的年金にしてはめずらしく?)
受給できる 年金額 が今の時点で確定している ということです。

(保険会社さんがやっている「個人年金保険」と似ていますね・・)


国民年金基金 は「予定利率」が決まっているので、
65歳以降、毎月もらえる 年金額 が予めわかるのです。 


しかし、例えば今から30年後の「5万円」という 年金額 に、
果たしてどれくらいの 価値 があるのかということは、

実は誰にもわかりません(苦笑)

(それは)長期の物価上昇(インフレーション)によって
お金の価値 が目減りするという 歴史の習い があるからです。


そこで 確定拠出年金(日本版401K)「個人型」が登場します。

毎月の掛け金は、最高68,000円 で、
5,000円以上1,000円単位 で受け付けてくれます。

申し込み先は 国民年金基金連合会 です。

この制度では、皆さんがどの金融商品に、
どれだけの掛け金を委ねるのかを、

皆さん自身 が決めなければなりません。

(最終的に 受取額 がいくらになるのかも、
皆さんの運用のしかた次第です・・)

◆ そうです、確定拠出年金は 資産運用そのもの なのです。


また、確定拠出年金では皆さんの口座を
「個人単位」で管理するため、

各種手数料 がかかってきます。

したがって、この制度を利用して「定期預金」のみを購入しても
あまり意味がありませんね(コスト倒れ になってしまいます・・)

さらに、皆さんの掛け金は(原則)
途中で引き出すことが出来ないしくみですから、

国から半ば「長期運用」を強制されるようなものです。

強制 という言葉は好きではありませんが、

長期保有しやすい環境になっているのは
悪いことではないと思います。


さて、少し整理してみましょう。

皆さんは毎月一定の「掛け金」を拠出し、
金融商品 を継続して買い付けます。

積立金は(原則)60歳 になるまで引き出せません。

まさに、コツコツ型の 長期運用のイメージ ですね。 

では、長い期間置いておけるお金 = 長期運用 するのに
適した金融商品とは何なのでしょう? 


はい! ぜひ「株式」を考慮に入れてください。 

リスク分散を考えるなら、
「投資信託」というカタチで保有してください。 


(そして、ここからが大切なのですが)

◆「運用の全体像」がまず初めにあって、

(そして)パーツとして 確定拠出年金 を認識するようにしてください。

(確定拠出年金 が 投資のすべてではないはずです・・)


それから、さまざまな「金融商品」を
どのように品揃えしているのかは 各窓口 によって異なります。

窓口? 

はい、

実は皆さんの 運用管理・記録関連の 窓口 となる機関を
【運営管理機関】と呼んでいます。

(なんと、郵便局も【運営管理機関】のひとつです・・)


さて(ここ、重要ですが)

実は皆さんは、

◆ この【運営管理機関】も ご自身で決定しなければなりません。

この選択はたいへん重要です。

(どんな商品が買えるのかが、決まってきますから・・)


また、確定拠出型年金 の最大のメリットは
「課税の繰り延べ」でしょう。

金融商品を毎月購入していって、利益がいくら出ても、
60歳を過ぎて実際に(年金として)お金を引き出すまでは、

税 が繰り延べされるのです。

つまり、成長した資産をそのままの大きさで
さらに育てることが可能になる、ということです。


晋陽FP事務所の 確定拠出年金サポート



2004年10月16日(土) ラスト・フロンティアとしての中国株式


こんにちは、カン・チュンド です。

24日(日)に【歓迎! 中国株式ワールド へようこそ】を開催します。

注)セミナーです(笑)

さて基礎レッスンですが、
中国の会社は(その多くがまだ)国有企業 です。

(当然です、50年以上 社会主義 をやっているのですから・・)

また中国では、国有(企業)、民間(企業)というような
単純な「線引き」は存在しません。

ほとんどの会社に「行政府」の息が
かかっていると思っていいでしょう。

(当然です、社会主義 をやっているのですから・・)

国が所有する企業、省・市が所有する企業、
あるいは人民解放軍が所有する企業が、

「いちば」に上場し、資金調達をしているのです。

(トヨタやインテルといった企業とは 訳 が違います・・)


じゃあ、中国株式 は危ないのかというと、そうとは思いません。

中国という経済社会は、アメリカともフランスとも
日本ともスウェーデンとも異なる、

特異なカタチ をしているのです。

わたしは(紆余曲折はありながらも)中国が
21世紀の成熟世界にとって「ラスト・フロンティア」に
なると思います。


セミナーでは中国株式の「光と影」についてご説明するとともに、
最適な「投資スタイル」について

突っ込んだお話をさせていただきたいと考えています。

(ズバリ、鍵となるのは)香港 です。


今後、中国企業の「香港上場」はますます盛んになるでしょう。

「香港上場」には 適度なハードル がありますが、
中国政府 は香港の「いちば」を貪欲に利用していくと思われます。

なぜなら、それが中国の【利益】になるからです。


具体例・・。

国有企業の 赤字問題)

再生可能な国有企業を上場させる。

(あるいはその子会社、事業部門を上場させる)
      ↓
資金調達 をし、赤字部門を解消・分離させる。


国有銀行の 不良債権問題)

 公的資金 を注入。
    ↓
再生可能な銀行を上場させる。

(4大銀行はすべて香港市場に上場させるでしょう)


つまり、

香港の「いちば」は
中国政府 にとって 命綱 である、ということ。

(そして中国政府は 中国企業の 大株主 なのです・・)


わたしは 香港市場 が変貌していく「きっかけ」は、

1.人民元の切り上げ 
2.大陸中国の投資家への「香港市場」の解禁

になると考えています。


さて最後に、
「中国は共産党一党独裁の国であり、
政治 が経済を動かしているので信用できない」

とお思いの方が多いようです。

が、もはや「経済を発展させる」ことでしか、
人民(古い言い方ですが)を掌握する術(すべ)はない・・。

このことを、中国政府自身がいちばん理解しています。

(なんとも皮肉ですが・・)


・走ることは決まっています。

 問題は どう走るのか、ということなのです・・。


セミナーへの参加を心よりお待ちしています。





                03年 深セン にて。







2004年10月15日(金) グロース投資 VS バリュー投資


こんにちは、カン・チュンド です。

今日は少々 マニアック になるかもしれません・・(苦笑)

(皆さんは意外に思われるかもしれませんが)
成長株式 に投資をしたとしても、

バリュー株式 に投資するのに比べて、
低いリターン(収益)しか期待できません。

それは なぜ なのか?

勢いがあり、成長性の高い(グロース型)会社 に投資しているのに、
なぜ、疲れ果てている会社、株価が割安に放置されている会社

(バリュー型)に投資するよりも(全般的に)成績 が劣るのか?

(この問題、なかなか根が深いのです・・)


例えば・・、

先述しましたが(世の中には)行動ファイナンス
と呼ばれる分野があります。

その専門家(A専門家)は、

・投資家は 成長株式 にお金を払いすぎている(高く買っている)

と見なします。

そして、

・割安(バリュー)株式 には
お金をあまり払っていない(安く買っている)

と見ます。


なぜこんな 違い が生じるかというと、
【いちば】というところは不完全な場所 であり、

・株式の値段(株価)はそもそも間違って導かれていると
(A専門家は)考えるからです。

つまり、「いちば」の 変則性 ですね。

この 変則性 は アノマリー( anomaly )と呼ばれています。


株式市場には、
アノマリー(変則性)が一定度 存在することが広く知られています。


さて、もし皆さんがある時、

成長株式 を高く買い、割安(バリュー)株式 を安く買っていることに
気付いたとしたら、どうでしょうか?

そこには(おそらく)裁定 が働くのではないでしょうか?

裁定?

つまり、高い株式(成長株式)を売って、
安い株式(バリュー株式)を買おう とする 行動 です。

(これを 裁定取引 arbitrage と呼んでいます)


この 裁定 が働くことで、
成長株式 も 割安株式 も「正味価値」に近づく、というわけです。

→ つまり、成長株式 の期待リターン と、割安株式 の 期待リターン が
  限りなく近づいていく、ということ。

が、しかし(現実には)この 裁定 はうまく働いていません。


なぜなら多くの投資家が、

◆ 成長株式 こそ、期待リターン が高く、
  割安(バリュー)株式 は 期待リターン が低い と

 「思い込んで」いるからです。(ここ、重要!)


わたしはお客様に常々申し上げています。

◆ 成長性の高い 株式 と
  投資妙味のある 株式 は(まったく)別物 です、と。


さて、もう一方の専門家(B専門家) はこう考えます。

「いちば には(そもそも)裁定 が働く余地はない。
いちば は効率的なのだから・・」

割安(バリュー)株式 の方が 成長株式 より、
期待リターンが高い(プレミアムのリターンが存在する)としても、

それは、毎年規則的に実現されるものではない。

(なぜなら、いちば は効率的だから → 予測は不可能・・)


(逆に)成長株式 の方が、割安(バリュー)株式 よりも
高い収益を残している時期が存在するではないか!

(例えば、90年代のアメリカ市場・・)


(ようやく?)わたしの結論 ですが、

成長株式 と 割安(バリュー)株式 のリターンの「差」は
明らかに存在します。

(長期の歴史データをひも解けば、バリュー株式 の結果リターンが
成長株式 の結果リターン を上回っています)

「効率的市場仮説」で有名なシカゴ大学のファーマ教授は
次のように云っています。


株式市場には、さまざまなリスクが存在する。

いちばん基礎にあるのは「市場リスク」そのもの。

もしあなたが、市場自体が提供する「収益」を超えるリターンを
獲得したいのなら、

「市場リスク」 プラスアルファ の リスク を
引き受けなければならない。


(例えば)あなたが バリュー株式 に投資をすれば、

「市場リスク」+ バリュー株式「固有のリスク」
を引き受けることになりますね?

上の式 を見ると、

私たちは(バリュー株式に投資することで)より高い 価格変動のブレ

引き受けなければならないと思ってしまいますが、

(価格変動のブレ の大きさ = 「リスク」の大きさ)


実際には、

バリュー株式 に投資することによるリスクの大きさ(標準偏差)は、
成長株式 に投資することによるリスクの大きさ(標準偏差)より

小さくなるのです!

(ここ、ポイント!)


これ、ここだけの秘密ですよ(笑)


※ グロース投資・・ 企業の利益成長に重きを置いて投資する手法。

※ バリュー投資・・ 企業の「正味価値」に対して割安なものに投資する手法。




             企業向けセミナー にて。 in 茨木







2004年10月12日(火) 価格変動(リスク)こそが、将来の収益(リターン)の源泉である


こんにちは、カン・チュンド です。

・舞鶴市 近辺 にお住まいのあなたへ・・。

(実は)来る 10月16日(土)に
セミナーの仕事で 京都府 舞鶴市 にまいります。

セミナー終了後、14時以降で
【お試しコンサルティング】を希望される方を募集いたします。

詳しくは info@sinyo-fp.com までお問合わせください。


「いちば というところは上がったり下がったりするものだ・・」

(突き詰めて言えば)
これが【市場リスク】と呼ばれるものです。

この【市場リスク】があるからこそ、株式 という資産は
(歴史的に)預金よりも、債券投資よりも、

高い 結果リターン を残してきたのです。


また、リスク と リターン は 水 と 空気 のように寄り添っています。
が、決して融合(一致)することはありません。

それぞれが 独自性 を保ちながら、かつ相互に依存しているのです。

例えば、あなたが「リスクは予測できる」と信じているとしましょう。

しかし、「リスクは予測できる」という言葉自体、
おかしいのではないでしょうか?

なぜなら、予測できるリスク、避けることができるリスク は
(ほんらい)リスク とは呼ばないからです。

(未来のことは誰にもわからない・・)


(先週お話した)「今こそ、マーケットに戻る時か!?」
という記事は 市場リスク を軽んじていると思います。

人間が 価格変動(リスク)を予知できる という、
ある種の「傲慢さ」を感じてしまうのです・・。

彼らは 株価(価格)に リスク が内包されていることを見逃しています。

本来的に 鋭利で すばしっこく、かつ臆病な「リスク」は

(予想リターンのぶれに反応して)株価 を 正味価値よりも 下方 に誘い、
(また)株価 を正味価値よりも 上方 に誘う ものなのです。


(何らかの)リスク が明らかになった時、株価 は過剰反応します。
→ 決して「売る」時ではない ということ。

(何らかの)好材料 が明らかになった時も、株価 は過剰反応します。
→ 決して「買う」時ではない ということ。


また、著名なアナリストがテレビ東京系列などで
眉間にしわを寄せながら、

「原油価格の高騰で 先進諸国の株式市場は
 非常に不透明な展開を余儀なくされるでしょう・・」

とコメントしたりしていますが、

わたしなどは

「じゃあ、非常に透明な展開って、どんな状態を指すのですか?
 それはいつ起こるのですか?」

と聞きたくなってしまいます(笑)


「いちば」が、誰にでもわかる「透明な展開」をすれば、
私たちは皆 億万長者 になってしまいますよね(笑)



● また 東京・大井町 に伺います!

  知的人生設計 ワークショップ

【テッテイ解明! ETF の活用法】
 
11月3日(祝) 大井町「きゅりあん」





        昨日、仲間とBBQをしました(んー、いい天気!)




2004年10月08日(金) そろそろ「いちば」に戻っても 安全 ですか?


こんにちは、カン・チュンド です。

わたしは資産運用を専門にしているFPですが
「マーケット分析」というものをしません。

マーケットが明日、機嫌がいいのか ↑、それとも悪いのか ↓
そんなことはわからないと考えるからです。

それよりも マーケットの性格 を学ぶ方が
資産運用においては大切だと思います。

(あなたにとって大切な人の 性格 を知るのと同じことですね)


さて、皆さん、ほんの少し前のことですよ・・。
(去年の春、ゴールデンウィークに入る少し前・・)

いちば(株式市場)はたいへん落ち込んでいました。
はっきり言って暗かったです。

(ほとんどの人は「いちば」のことなど考えたくもなかったのです・・)

去年の4月25日、
日経平均株価の終値は 7699円 を付けていました。

それからたった1年半しか経っていませんが(その頃に比べれば)
「いちば」のムードはずっと明るくなりました。

「いちば」で売り買いされている株式の 出来高 を見ればわかります。

(実は)暗さ から 明るさ への「転換点」は
(今こうして)振り返ってみてはじめて

「ああ、あの時だったのだな」とわかるものなのですね。


ところで あなたは「そろそろ(いちば)に戻っても安全かな・・?」
と思っているかもしれません。

マネー雑誌などでは
「あなたは(もう)マーケットに戻っても 安全 だと思いますか?」

というアンケートを募っていることでしょう。

あるいは、

「今こそ、マーケットに戻る時か!?」

という 特集記事 を組んでいるかもしれません。

(今、マーケットに戻らなければ いつ戻るのですか!
と煽っているかも・・)


しかし わたしは

「あなたは(もう)マーケットに戻っても 安全 だと思いますか?」
という質問自体、とても 空虚 だと思います。

なぜなら、株式市場(マーケット)は いつも、安全では、ない からです。

「いちば」には(いつも)市場リスク( market risk )
というものが存在します。

この 市場リスク は20年前と比べても(おそらく)
5年後 と比べても、そんなに違いはないでしょう。


また「あなたは(もう)マーケットに戻っても 安全 だと思いますか?」

というフレーズは、

暗に、あなたは一度、株式市場 を離れましたね?
( = 過去に保有する 株式 を売却しましたね?)

という 前提 を想起させます。

確かに 去年の春先、
「いちば」全体がいちばん落ち込んでいた時期に

保有株式 を売って「いちば」から離れた人はたくさんいるでしょう。

その方々は、

<安い時に売って、高い時に買う> という
伝統的発想 に従った人たちなのです(苦笑)


その方々は(かつて売却した)同じ株式 を
より高い値段で買いたいと願う?人たちなのです。


さて、あなたは

「いちば」に入ったり、「いちば」から離れたり を繰り返しながら

ほんとうに資産形成ができると思われますか?



    ● 知的人生設計 ワークショップ

   【歓迎! 中国株式ワールド へようこそ】

  ・21世紀の ラストフロンティア と目される

  中国株式の「光と影」をテッテイ解明いたします。

    10月24日(日)大阪産業創造館




            1週間前に買ったシューズです。
             さあ、来週から走るぞ!(笑) 



2004年10月05日(火) ゴールド、その妖しき正体とは? その2)


こんにちは、カン・チュンド です。

さて、2004年現在、私たちは一体どんな「世の中」に
暮らしているのでしょうか?

まず私たちは銀行に口座を持ち、
ATMでいつでもお金の「預け入れ・引出し」をすることが可能です。

(この時、普通 キャッシュカード を用います)

このキャッシュカードを使って、買い物 が出来るようになっています。
(世の中では これを デイビットカード と呼ぶ・・)

もちろん クレジットカード は世界中で使用可能です。

(最近叩かれていますが → )
仮にあなたがシティバンクで口座を持っているとしましょう。

すると シティカード(キャッシュカード)を使って、

世界中の 提携CD/ATM から
「現地通貨」でお金を引き出すことが出来ます。

またシティバンクドルカード(米ドル決済専用クレジットカード)
を用いて買い物をすれば、

ドル建て預金から直接 ドル でお金が引き落とされ、
「為替レート」を気にすることもなくなります。

また私たちは アメリカの銀行
(ユニオン・バンク・オブ・カリフォルニア)や、

香港のHSBC銀行 などに直接「口座」を開設することも出来ます。


(わたしが申し上げたいことは)

金(ゴールド)の 専売特許 だった「資産を身にまとえる」、

「持ち運べる」という メリット を
私たちはほとんど享受している ということです。

もしあなたが この国の インフレーション(物価上昇率)を
気にしているのなら、いつでも 円以外の「通貨」を用いて、

日本以外の 株式、債券などの資産 を購入することができます。

(それも日本に居ながら・・)

もしあなたがこの国の 未来
(社会そのもの、政治、経済、教育、文化、治安、環境など)に対して
強い懸念 を抱いているのなら、

海外の金融機関に直接「口座」を開き(もちろん合法的に)
自身の口座に 送金 することが可能です。

(ただし、3,000万円相当を超える 送金 については
 財務大臣 に「報告書」を提出する義務があります・・)


(要するに)「世の中」は便利になっているのです。

外套(コート)の内側に 裁縫を施して 現金 を詰め込み、
スーツケースに金の延べ棒 を並べて運んでいた、

そういう 時代 ではないのです。

そのように考えますと、金(ゴールド)を ひとつの資産 として
保有するのは(正直)不便 です。

「保管」を委託すれば 手数料 がかかりますし、

ゴールド は保有しても タマゴ(利息)を産みません・・。


そして長期の歴史データを紐解けば、

ゴールド は(インフレーションを上回る)成長 を
果たしていないのです。


例えば、どれほどの 投資信託 が(その資産の中に)
ゴールド を組み入れているでしょうか?

(ほとんどない・・。 外国株式「資源・素材型」を除いては・・)


外国株式「資源・素材型」と呼ばれるファンドは
(いわゆる)ゴールド・ファンド です。

このファンドの値動きは 金価格の値動き に近くなります。

(正確には、ゴールド・ファンド は
 金鉱山会社の「株式」を組み入れています・・)

例)インベスコ・ゴールド・ファンド


金鉱山会社の「株価」は
金価格の値動き に大きく影響されます。

しかし他の要因も 金鉱山会社の「株価」に影響するのです。

例えば、採掘の途上で たくさんの金を発見したからといって
それが即 収益の向上 につながるとは限りません。

金採掘 もひとつの事業ですから、
需給関係、コスト、生産性の問題が収益構造 を複雑にします。


また金の 鉱脈 が尽きかけた時に 金価格が高騰しても

(それは)収益 には結びつきません・・。

つまり、

※ 金鉱山会社の「株価」は
  金価格そのものよりも 値動きの振れ幅 が大きい ということ。


またゴールドには 政治リスク も存在します。

そのひとつが政府の保有するゴールドの「売却リスク」です。

世界各地の 金鉱山会社 はこれを懸念して、
ロビイストを雇い各国政府に圧力をかけています。


彼らの関心事は、

ゴールド を 世界の通貨の裏づけとして
中央銀行 に保有させることです。

特にヨーロッパは歴史的に ゴールド を多く保有しているため
ECB(欧州中央銀行)にゴールド を一定割合保有するよう

働きかけています。


金鉱山会社も、金の研削会社も、そして販売会社も、
中央銀行がその「資産構成」を見直し、

現金比率を高める(つまり)保有する ゴールド を
一気に市場に放出することをもっとも恐れているのです。



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2004年10月01日(金) ゴールド、その妖しき正体とは?


こんにちは、カン・チュンド です。

さて、【命題】です。

「果たして 金(ゴールド)は ポートフォリオの 一パーツ として
認識すべきなのでしょうか?」

答え 「 否 」


今から約2000年前の 帝政ローマ時代、

1オウンスの金(ゴールド)で 職務用の 外套(コート)を
仕立ててもらうことができました。

(時代は下って)アメリカ南北戦争の頃、
(同じように)仕立ての 外套(コート)を、

1オウンスの金(ゴールド)で購入することができました。

今日(2004年10月)1オウンスあたりの 金の価格 は
約420ドル です。

さて、現在 420ドル で(果たして)
仕立ての良い コート を買うことができるでしょうか?


わたしがここで申し上げたいのは、
超長期にわたり ゴールドの価値そのものは ほとんど変わっていない、

(というか 幾分 価値は低くなっている)ということです。


なのに、どうしてでしょうか?

世の中には 金「ゴールド」の 響き に 絶対的な価値を頂く、
狂信的な人々が多数 存在します。

日経新聞のコラム欄でも(もう)何十年にもわたって、
「資産全体のうち10%くらいは 金 で保有しておきましょう」

という類のセリフが繰り返されていると推察します。

(果たして)こんなにも私たちの気持ちを惹きつける
ゴールドの魅力 とは何なのでしょうか?


人間が 金(ゴールド)を発見して 6000年以上経ちます。

金はその性質として(いったん溶かせば)
どんな形状にでもなり、破壊 は極めて難しいです。

そして何よりも(見た目に)美しく、
独特の 質感(持った時の重み)があります。

そんな 金 が、紀元前6世紀、丸いコイン として
流通し始めることになりました。

(そうです、)金 が【お金】になったのです。


さて、金 の 実物 としての 特徴 は、その「希少性」です。

現在に至るまで 世界中 で発掘された金の 総量 は
(オリンピックプールにして)わずか「2杯分」でしかないそう・・。

金の 生産 は限られ、
その 生産量 も急に増えることはありません。

また 金 は 秘匿性 が高く、
耐久性 にすぐれ、持ち運び が容易です。

(ん? なにやら 怪しい雰囲気・・)


そうです、金 は(昔から)人に知られたくない資産の
「受け皿」として、その威力を発揮してきたのです。

隠しておきたい、できればそっとしまっておきたい・・。

(人の欲 には限りがありませんから)

肉親から、兄弟から、税務署から? 仕事仲間から、
アンダーグランド仲間から「逃れる」ために隠された 金 のうち、

(所有者が死去したあと)発見されていない 金 が相当量あると
信じられています。

(どこかにあるのだ・・?)


また(よく映画などでありましたが)
戦争、内乱、災害などに遭った時でも、

金 なら「持ち運べる資産」として 身にまとうことも可能です。

そして(何より)紙幣 と違い、
インフレによって「紙くず」になることがありません。

このようなことから 金(ゴールド)は 何世紀にもわたり、

富の象徴、安全資産の象徴、そして 永遠の象徴 として
多くの人を魅了し続けてきたのです。


つづく・・)




            あー、はんなり浮かんでいる雲ですな。
        
         


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