V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
TVをつけると殆ど毎日お笑い芸人である。いろんな番組にゲストとして登場し、その番組を盛上げている。スペシャル番組は3〜4時間と放送時間が長い。ビデオに録り飛ばしながらもつい長い時間見てしまう。なんでこんなにお笑い見るの?とカミサンに尋ねたら「癒されたいから」。何も考えなくてよい点が気持ちいいという。逆に言えば大人も子供もそれだけストレスフルな世界にいる証明だ。
家で大掃除をする。風呂と洗面台と洗濯機を洗うようにカミサンに指示されたが、洗い方がイマイチ分からない。昨年リフォームをしており、風呂の浴槽や壁の素材が違うからだ。そこでカミサンに指示を仰ぎに行ったら、「そんなぐらい自分で考えろ!指示するのが面倒くさい!あなたも会社でそんな指示待ちの部下がいたら嫌でしょう!」と一括された。まったくその通りで返す言葉もなかった。
枡一酒造の市村社長と話した後、同社が経営する枡一客殿に泊まった。床暖房の入ったフローリングの洋間は、書き物をするにはピッタリの静かでクリエイティブな空間だった。小布施には温泉はないが、その分お風呂は大変スタイリッシュで、ホテルの個室で浴槽がガラスの風呂に入ったのは初めてだ。本来は自宅にお招きすべきをお泊り頂く部屋だから…というコンセプトのホテルは、泊まる人を癒す空間でもあり、啓発する空間でもあった。
枡一酒造の市村社長は文明と文化の違いも語ってくれた。文明とは普遍的なもので標準化され普及するものだという。文化とはその場独自のものをいう。小布施は文化を大切にしながら文明をどんどん吸収してきた街。彼は「時代を感じることが大切だ」といい、そのために毎月、偉人を招いた小布施ッションという名の講演会を開催している。小布施ッションは田舎が情報を得るために開いた「出島」なのだ。
小布施堂の市村社長に「幽霊や悪魔と妖怪は何が違うのでしょう?」と尋ねた。すると市村社長は「妖怪には可愛げがある」と答えた。そうなのだ。妖怪には強欲な奴もいるが、どちらかというと自分の「分」というものを良く弁(わきま)えているような気がする。彼らが暴れるときは、第三者が彼らの領域を冒したときだ。そんなこと考えていたら、経営者はやっぱり妖怪で、ますます経営者が好きになった。
妖怪で話がそれたが、市村社長は「おつとめ(公)」と「仕事」のバランスが大切だと語った。おつとめとは、地域の祭の手伝いだったり運動会だったり、仕事より優先しなければならないことのこと。最近の世の中は利益優先一辺倒になり、いつしか「おつとめ」の感覚が失われてきている。「公」とはその人のアイデンテティのありかを示すもの。利害の時代に「おつとめ」を持てる人はそれだけで強く生きていると思う。
小布施に北斎を住まわせたのは、豪商・高山鴻山だった。鴻山は画家でもあり、記念館でその作品を見て驚いた。彼は妖怪を好んで描いていたが、その殆どが水木しげるが描く妖怪そっくりだったのだ。もちろん鴻山の方が水木より100年以上も古い。だから鴻山がオリジナルで、この絵に物語を加え社会風刺を描いたのが水木なのだろう。豪商はなぜそんなにも妖怪を描いたのか。今、妖怪ブームだが、とても興味が沸いた。
長野県小布施市を訪ねた。同市の小布施堂の市村社長が3月に行なわれる中部マーケティング協会主催の「中部マーケティング会議」にてパネルディスカッションのパネラーを務められることになった。私はその司会係を務めるため、ご挨拶に伺ったのだ。行ってまず小布施の田舎ぶりに驚いた。が、その一方で町全体が持つ気位の高さのようなものを感じた、晩年の葛飾北斎が住み多くの肉筆画を残した町。たったひとりの世界的な天才芸術家を受け入れたことが、後の市民にこれだけの誇りを与えている事実に驚嘆した。
出版社の社長と飲んだ。社長の会社では、「ショッカーになろう!」が合言葉だ。仮面ライダーは正義の味方だ。しかし、正義の味方は誰かに「助けて!」と呼ばれてからはじめて動く受身的な存在。それよりも自分の意思でどんどん仕掛けていく存在。これがショッカーである。もちろん世界征服は拙いが、世の中に貢献するために積極的に仕掛けることは素晴らしいこと。その話を聞いて私もショッカーになろうと思った。
諏訪地区の労働金庫に3年連続招かれて講演。昨年まではあるべき姿を説いていたが、今年はもう一歩踏み込んで、あるべき姿に近づこうとしつつなかなか近づけない人のジレンマと、それを乗り超えた人の手ごたえを伝えることにした。題材したのは、昨日と一昨日のこの日記に登場したKさん。おかげで講演は成功したが、なんと彼女が予告なしで会場に来ていたから驚いた。隣町から一時間飛ばして駆けつける。その行動力に脱帽した。
昨日紹介したKさんの理想は組合事務所を「ここに来れば何かが解決できて自分がリセットできる。そんなホームグランドのような暖かい場所にすること」。そんな彼女は組合員からの「住宅ローンは3年固定と5年固定どっちがいいのかな?」という、銀行員が回答を避ける難問にも答えている。そのアドバイスは目一杯情報を集めて提供するだけでなく、決断するときの心得を伝えるもの。本当の思いやりを持った人でないとそこまでできない。
T労組の専従書記のKさんは、「お役に立てますか運動」を展開している。彼女は2児の母でパートだが、組合員の相談に乗れる自分になりたくて、ファイナンシャルプランナーや産業カウンセラー、キャリアカウンセラー等の資格を僅か3年間で取得した。また相談のスキルとしてリフレーミングやラポールつくりもセミナーに参加してマスターしたという。こんな人が常駐している組合は本当に幸せだと思う。
不況のせいで外食を手控える人が増えた。そして家で食べるもおかずも質素になった。それでもご飯を美味しくするためのもの…ということで「ふりかけ」が大ヒット中。他にもおにぎりの売上げも凄いという。食品にトヨタショックの影響は小さいというが、ふりかけがヒット商品になるとはなんと世知辛い世の中なのだろう。今後は少し具材にこだわったふりかけが出てくるのだろうな。
東急ハンズのチラシが入ってきた。トップ頁の上段にあったのは、なんとパーティ用のコスプレ衣装!それも女の子用のものばっかり!女の子はこんなの着て、会社の忘年会?それとも彼氏の前に登場するのか?他に「えどはるみ」「ヘキサゴン」「髭男爵」変身セット。カミサンは「誰がこんなことやるのかな〜」と懐疑的だが、こんなカッコする若者が登場する忘年会の会社は捨てたものじゃない。
トヨタショックの落ち込みは大きい。当地区の百貨店の落ち込みは前年比11%減。特に美術品や高級家具などを扱っている店で厳しい。対して飲食料品は微増。外食を手控えて、家で料理するケースが増えているのだ。ユニクロは満員御礼。ホームセンタの人出も多い。安価商品を大量販売する店舗は大賑わいだ。人がいかに高級品を「勤労収入」で買っていなかったかよくわかる。勤労収入で高額品を買うのは間違いなのだ。
タクシーの運転手に頼んで1時間かけて金沢の町を案内してもらった。金沢の魅力はとても小さな範囲に様々な時代が内在していることだとわかった。前田侯の時代の神社と兼六園。江戸時代の置屋。明治時代の学校。そして昭和を髣髴とさせる香林坊に、未来を切り取ってきたかのような21世紀美術館。自分がどこにいるのか見失いそうな彷徨う感覚が金沢の魅力だ。白人観光客も多く、異彩を放つ都市である。
金沢の某金融機関で研修。上期の住宅ローンは好調だったようだが、理由は誰に聞いても「金利が安かったから」。それを嬉しそうに語るのを聞いてガッカリ。確かにそれは一因だがこれだけが理由なら金利次第で「金利が高いから売れない」と愚痴られるだけ。本当は土曜・日曜もローンセンタを営業し審査期間を短縮などそういう現場の地道な努力があったからこそ伸びたのだ。そこを忘れないで欲しい。
富山の社長は不景気を生き残る3つのコツだけを社員に求めていると言った。「モチベーションアップ」と「スキルアップ」と「コミュニケーション」。わが意を得たりでマネージャはそれに注力するしかない。コミュニケーションが活性化すれば問題の8割は解決する。仕事が少ない時には勉強するしか他にない。問題はモチベーションアップで、新聞読んでもTV[を観ても暗くなる時代。カラ元気で吹き飛ばすしかない!
富山で講演会。講演後の懇親会である経営者が随分と絡んできた。同社は下請け企業だが、大手に一社依存せず、現在7社と取引しているという。それだけの技術があるということだが、その社長から「すごくできる職人に、できない奴の二倍の給料を払う。どうもそれは違うんじゃないかという気がするのだが、先生はどう思うか?」と聞かれた。職人の間でそこまで格差を付けるべきかの問題。私も2倍ほどの差には違和感がある。
ゴルフで石川遼くんの賞金総額が1億円を突破した。それでいて奢ることなく、感想を聞かれればお世話になった人への「感謝の言葉」。30代のゴルファーが頭を茶髪に染め、髭を伸ばし、ダブダブのズボンを履きへんてこな帽子を被る。そのため人気がなくなったスポーツを当たり前の清楚で礼儀正しい17歳の青年が変えつつある。やっぱり世の中は実力以前に礼儀なんだ。彼の活躍と人気を見てそう思う。
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