V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
民主党の謝罪はわかるが、辞めてまで責任を取らない対応に納得できない。例えは悪いが「死んだ犬を誰も蹴飛ばさない」という。切腹の文化を持つこの国では、一度潔く議員から引いてしまえばもう追求されることもないのが常だ。その方が心機一転新しい課題解決に向かえると思うのだが、結論の先送り続きでは民主党はますます頼りない。ああ、私は早く牛丼が食べたいし、偽装住宅を再建して欲しい。
福岡のキャナルシティに行った。店内には階段状ではない、動く歩道を斜めに立てかけたようなエスカレータがあったので驚いた。そのエスカレータに乗ると、店内の時間がとてもゆったりと流れているように見える。慣れたエスカレータの角度を変えるだけで、こんなにも景色が変わるのか。エスカレータ脇にはワゴンショップが並びこちらも楽しげ。トレンドスポットは定期的に覗いてみるものだ。
ユニセフの募金の呼びかけ。「毎月2,000円のご支援をいただけると…」→「たとえば1年間で、必要最低限の文房具一式を118人分、あるいは、はしかや下痢の余病、失明などから子供を守るビタミンAカプセル7,100人分届けることができます」。パンフには他に同3,000円、同5,000円のバージョンもある。上手い誘い方だが、本来はどんな商品でも同様の手応えが感じられる案内をすべきだ。
4点セットで真正面から自民党を追い込めるはずだった民主党。それなのに奇襲ともいえる一点突破の攻め方をし、哀れな墓穴を掘ってしまった。組織間抗争は、こんなミスから一気に形勢が逆転する。前原代表までもが1枚の「堀江メール」に頼ったということは、これだけ有利な状況下でも民主党執行部内に対自民戦略が何ひとつなかったことの証明だ。執行部は無策であることを恥じ、引責するべきだ。
「イナバウアー」。あの美しい技に惹きこまれた。得点にならない技だが、自分ならではのものを披露したくてプログラムに入れたという。得点にならないものは切り捨てる…学習でも仕事でも、そんな要領だけを追及した風潮がある中で、自分だけの、自分らしくいられる、自分を取り戻せる何かを持つことの大切さを荒川静香は教えてくれた。おめでとう!荒川静香。そして彼女を支えた人たち!
引退した辣腕経営者が、ソフトハウスの事業部長に再就職した。就任後オタッキーな社員たちに徹底したのは「大きな声で挨拶をしろ!」「5分前までに必ず出勤しろ!」「締め切りは絶対に守れ!」。いずれも躾だが、部長は「この3つが出来たら、後のことは皆その応用だ。だから、この3つだけを徹底してやれ」。他は応用に過ぎないとは大胆だが、実はその通り。見る視点・考える視点が卓越しているなあ。
名古屋に開店した魚料理専門店「魚こう」。案内状には、「料理長自らが日本全国の漁港を訪ねて地元漁師自慢の逸品を産直で仕入れております。また、その地方に根付いた“おふくろのお漬け物”も揃え、“ほっとする旨さ”も用意いたしました」。さらに、案内地図には「全日空さん」「トヨタ自動車さん」というように、目印の建物に「さん」付き。このように書かれると、きっと全日空やトヨタの人も行くだろう。
i-podの付属品の白いイヤホン。知人によればi-podのイヤホンの音は悪くすぐ壊れるのだそうだが、あの「白」が「i-pod使っています」の象徴になって、皆あの白が手放せないようだ。ウォークマンが普及した当時、盛田昭夫は「Sonyブランドのイヤホンを作れ!」と指示。ロゴ入りのイヤホンが、ウォークマン=Sonyのブランドを固めたという。ハードが見えない場合、見える付属品がブランドを創るのだ。
田沢湖芸術村の小劇場で「わらび座」を観た。こんな雪深い村に下北沢の劇場のような空間があり、たっぷり笑わせてもらったのは望外の幸せだ。地方に行くと木工品や地酒など人を唸らせる芸術品に出会うが、いずれも個人技の域を出ない。ところが同じ芸術でも、劇団は育成学校にはじまる集団で創造する芸術だ。劇を観ながらこの村が持つ潜在的な情熱とか包容力が痛いほど伝わってきた。
「なまはげ」を観たのは、柴灯祭が行われた真山神社。この参道で、小学3年生の一団から「なまはげ調査隊」と書いた栞をもらった。栞には彼らが調べた「なまはげ」のことが手書きで綴られていた。中にはナマハゲの面を掘る人や、研究家の先生にインタビューした記事もあり、博物館では知り得ない情報も多々あった。小学生が皆で調べ、作り上げたものを観光客に配るとは、いい学校だなあ。
有名な「なまはげ」を見た。ナマハゲは、「泣く子はいねえか…怠け者はいねえか…」と言いながら大晦日に家々を回り、人々の怠け心を諌める。同じ村人がこんなことを注意し合うのは日本だけだろう。まさに、この国の勤勉さの象徴のような存在。さらにナマハゲは、亭主の言い訳を聞き、認め、ちゃんと許して帰っていく。その寛容さも人間くさくて温かみがある。いつまでも続いて欲しい日本の風習だ。
秋田県の男鹿半島を訪ねた。同半島にある雄山閣社長の山本次夫氏は、江戸時代の歌人で、同地で30年間過ごした菅江真澄に注目し、「真澄を訪ねる旅」を提唱している。真澄が感嘆し、絵に描きとめた大滝まで歩いていけるように自ら岩場に7つも橋を架けた。そして、たった一人でも大滝を見たいという客がいれば、ガイドとして自分が案内するという。このような熱い人が地域を活性化するのだ。
地方活性化について考える。東京には「ウルトラマン商店街(祖師谷)」のようなキャラクターによる活性化策が幾多もあるが、こうした手法は長期繁栄に有効だろうか?「ウルトラマン」という切り口は斬新だが、イメージが固定化されどうも広がる自由感がないように思う。一方、秋葉原は「萌え〜」というキーワードで街を作る。イメージは膨らみ、次々と新しい文化生まれる。それほどキーワードは大事だ。
古畑任三郎でのイチローは大変な名演だったが、友人によれば、イチローには「自分が人からどのように見られているのか」が分かる能力=自分を客観視できる力が備わっている。だからはじめてでも上手く演技ができたのだという。ビデオを見て自分のフォーム・チェックを繰り返すうちにそのような能力が身に付いたのか。野球選手に限らず自分を客観視できるのは、プロフェッショナル共通の技術である。
日産の軽自動車MOCOが売れている。自動車業界の人と話すと、「色」が売れている要因なのだそうだ。男性が好む赤は、日の丸の赤。ちょっと朱色が入っている。対して女性が好む赤はピンクっぽい赤。もはや軽のマーケットは安全性能や走行性能の面で普通車と同一化しているが、その中で頭ひとつ抜け出すには個々の商品の魅力度を高めていかねばならない。色から入るのは有効な策のひとつだ。
最近は男が弱くなったと嘆く社長。新入社員を評して「実家で長男坊が両親にベッタリ張り付いている」。対して「去年採用したOLは、卒業旅行に友達3人で、ケニアに行ってきた。女性は強くなった」。実際にその事務員は、一言交わせば「しっかりしている」が伝わってくる逸材。ケニア旅行もパッケージツアーではなくガイドの手配も全部自分たちでしたという。中小企業はこんな人材を活かすべきだろう。
広島のホテルに泊まる。部屋の中の机の上に網袋が置いてあり、何かな?と手に取って見るとこう書いてあった。「靴下を翌朝6時までに無料で洗います。希望される方はこの網袋に入れて、夜11時までにドアノブに掛けておいてください」。なるほど、つい飲みすぎて外泊となったとき、パンツやシャツは2日続けても抵抗ないが、靴下だけは洗わないと嫌なもの。母性を感じるサービスだった。
広島で評判の三喜寿司に行った。「名物しそ穴子◆瀬戸内の潮で育った最良の地穴子と当店独自の五年汁で心ゆくま焚き上げ、磯昆布と焼きのりで仕上げた穴子巻きです。初雪の如く和らかで舌にとろけるこのしそ穴子をぜひご賞味下さい。御見舞い、おみやげにもぜひどうぞ」。店内の看板にあるようにここのしそ穴子は絶品。「五年汁」とは何年も重ねに重ねた味のことだと言う。数字を入れたネーミングもいい。
ホリエモンの大はずれにも拘らず、細木数子がまだTVに出ている。この人気は、規制緩和・機会の均等・選択肢の拡大など、自由の度合いがどんどん高まる社会への反動だろう。本来、「あなたはこうなる」などと言われたら「うるさい!勝手なことを言うな!」といいたくなるはずなのに、それがない。逆に道を示してくれる大きなものにすがり、誰かにコントロールされたくて仕方がないのだ。
トリノ五輪その3。岡崎朋美の勇姿に、伝説の女性が頭に浮かんだ。信長の小説や漫画にたびたび登場する「出雲の阿国」。歌舞伎舞に命を賭けて戦国時代を生き抜いた姿が、スケートリンクに命を賭ける彼女にダブった。里谷・原田・清水…長野の英雄たちの時代が過ぎ去る中、彼女だけが違う大きなものを背負って戦っている。「人が、大きく輝いて見える」とは、彼女のような人を言うのだろう。
トリノ五輪その2。スノーボードで若い選手たちが果敢に大技に挑み、失敗。予選落ちが相次いだ。この状況にみのもんたが「良い成績を出したかったら確実な演技を選ぶべきだ」と言うのを聞いて「馬鹿言うな!」と頭にきた。彼らは仮に失敗しても、まだ20歳前後だからいくらでもやり直しができる。だからリスク覚悟で、自分の可能性に挑んでいる。大人ならその姿勢こそ評価するべきだ。
トリノ五輪その1。モーグルの上原愛子の5位は惜しかったが、TV放送の解説には感心した。モーグルはなじみの薄い競技で、どこがどう採点基準になるのかが全く分からなかったが、解説者の三浦豪太氏の話が誠に端的で、細かくてわかりやすくて、彼女が5位でも納得できた。他の種目の解説者は知識量や語り部はもちろん、放送中に冷静であることや日本を身贔屓しないことも彼に学んで欲しい。
目標未達成が続く某社で、若手の営業担当者を集めて会社をどのように変えたらよいか議論してもらった。すると情報の共有化のために、オフィス全体のレイアウトを変えた方が良いという案が出た。仕事の流れやルールを変える提案は当方の意図どおりだが、レイアウトへの言及には驚いた。これは自分の仕事を会社という単位で捉え、鳥瞰的に見ていないと出てこない発想。彼のこの後が楽しみだ。
コロコロと引っ張るキャリーバックを頂いた。今までのが古くなっていたので喜んで使ってみると、タイヤの滑りが良すぎて、電車が傾くとバックがツーッと滑って隣の人の足に当たってしまう。よく見ると、このキャリーバックは4輪。2輪のキャリーバックのように立てた時のストッパーがないのだ。斜めに引っ張ることを考えれば2輪で十分。使ってみて分かる意外な落とし穴だった。
某金融機関が、60歳以上の高齢者を対象に、定期預金を募集をした。一口30万円で何口でも結構…という内容だったが、実際に30万円を預けに来た人はゼロ。それどころか「10口でもいいかな…」と、300万円を預ける人が多かったのだ。「定期預金に、たった30万円では恥ずかしい」という恥の文化が働いたのだ。高齢者相手のビジネスは、「恥ずかしくない」を誘発することも重要なテクニックだ。
NHKの『ようこそ先輩!課外授業』を楽しく見ていて気がついた。子供の目が輝く授業には共通したパターンがある。まず、何に気づいて欲しいかが明確。そして「気づかせる」→「気づきを自分の課題に応用」→「実際に少しやって、自分で課題を解決できると確信」→「皆の前で発表し、自分のものにする」というステップを踏む。何を教えるかではなく何に気づかせるかが良い研修なのだろう。
四国新聞にホリエモンの大学時代のゼミ先生のコメントが載っていた。(以下引用)「堀江君に弱さがあるとしたら『目的』がないことだろう。(中略)彼らの世代に欠けているのはその仕事全体を意味づける目的や価値観だ。価値観をゼロから築くことはできない。これまで蓄えられてきた知恵や経験が必要だ。それを世代を超えて受け渡していかねば、私たちの社会は脆弱なものになる」。ズキッと僕の胸にも刺さった。
ユニクロで\7,990のダウンジャケットがバーゲンで\3,990だった。ここまで安くなると他社品を値打ちの面で完全に圧倒する。そのダウンを見ながら、中国で見学した縫製工場を思い出した。戦場のような職場で彼らが一心不乱に働くからこそこの価格が実現する。監督は日本人だったがこの戦場を仕切れるのは、かつてこれを体感した人だけだ。つまり引退間際の社員のガンバリがこの価格を生んでいる。
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