妄想誘発剤

2004年04月28日(水) うたた寝の背に氷を落とすような言葉

ひやりとして
にがわらい

姿勢をむりに正されて

視線は泳ぐより他ない



2004年04月27日(火) ビル窓から切り取られた青空

見上げたら青空

顔をあげれば
肩や首がきしむような気さえする

冷風そよぐデスクワーク

今のあたしはどのくらい希望に近づいているのかな
それでも
四角い青空が今のあたしのせいいっぱい



2004年04月25日(日) 闇に追い立てられて沈んでいく時間

じわじわとせまる闇に
太陽がおいたてられて沈み
そして消えるまで

その手は離さないでいて



2004年04月21日(水) それなりの孤独



このとてつもなく愉快な時間にも

それなりの孤独がひそんでいる



2004年04月20日(火) 錯覚はとりかごの中というだけで

あなたに恋をしたことを
あなたは知らない

あなたが私をとりかごの中にとどめおくから

あたしは恋をせずにはいられない

それが錯覚だろうとなんだろうと



2004年04月19日(月) 白いシャツに風をためこんで

ぐんぐんこいでく自転車
坂道もへっちゃら
上りもなんのその

白いシャツに
風をいっぱいためこんで

まっすぐに走れ



2004年04月14日(水) 真夜中のきらびやかな孤独


しんとしずまりかえれば

窓の外の星が

ちかちかと音をたてているようで

そのほんのりとしたひかりが

ベッドの中の孤独を照らし出すのです



2004年04月13日(火) 色をつけない決心をしました

無色透明のベールは
私を心地よくつつむから

この恋に
色をつけない決心をしました


進まない
けれど戻らない

そこにとどめる
そんな恋



2004年04月11日(日) あざやかなのは、春か恋か

この夕暮れに照り映える

あざやかなのは

春か

恋か

まぶしいのは

空か

貴方か



2004年04月10日(土) このままではいられない

手のほどこしようがないというのに
このままではいられないという
不安感



2004年04月08日(木) このせつなさに酔いしれましょう

夜になると
波のように
じんわりとやわらかく押し寄せる
この気持ち

せつなさを想って
窓辺で酔いしれる



2004年04月05日(月) 恋のページをめくりましょう

ぱらぱらと
恋のページを風がめくる

ただそれだけの
自然な流れ



2004年04月04日(日) たとえ往生際が悪くても

だってスキ
たったそれだけのこと
あたしという人間が
あなたという人のことを
ただ
こんなにもスキということ

その前にも後にも何もない
きれいさっぱり何もない

それでもスキだと言い張ることを
悪あがきだと片付けないで



2004年04月01日(木) 行き場がないなら瓶詰めにして

ほうら
もう桜が咲きますよ
季節がめぐっていくのだから
いつまでも同じではいられないのですよ

時間がたてば朽ち果てていくのですから

とろりとした液体にひたして
瓶詰めにしてしまいましょうね


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茜 幸美 [HOMEPAGE]

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